1958年(昭和33年3月)刊行の小林尋次「現行著作権法の立法理由と解釈−著作権法全文改正の資料として−」が第一書房から再刊されました(A5判 税込4200円)。

第一書房

再刊にあたって、久留米大学名誉教授で元文化庁著作権課課長補佐・著作権調査官でおいでであった大家重夫先生が再刊の意義、解題、索引等を担当されておいでです。
大家先生のお話では、小林さんのご遺族から早い段階で再刊の許諾を得ていたそうですが、最近の格安DVD事件(映画保護期間満了事件)で参考文献として判決において引用されるなど、本書の重要性が再認識されている状況を踏まえて再刊が実現したようです。大家先生ほか第一書房の皆様のご尽力には心から感謝したいと思うところです。

手元にある1958年刊行本と再刊本を比較してみますと、原書は文部省を発行者とする非売品の扱いで本文全281頁。
再刊本は縦書きが横書きに改められていて本文は213頁に収められています。原書にはなかった索引と附録として旧著作権法(明治32年当時)、明治43年、大正9年、昭和6年、昭和9年著作権改正法、旧著作権法(昭和45年当時)が掲載されていて旧法にあたる際に利用し易い体裁となっています。
また、解題として大家先生による「小林尋次について−水野錬太郎「著作権法」を手直ししようとした学者行政官」が巻末に掲載されていて小林さんのひととなりにも触れる大変興味深いものとなっています。

現行著作権法のコンメンタールも重要ですが、著作権法の沿革を知る上でも本書も必携の一冊ではないでしょうか。