最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
美術鑑定書事件(控訴審)
知財高裁平成22.10.13平成22(ネ)10052損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 滝澤孝臣
裁判官 本多知成
裁判官 荒井章光
*裁判所サイト公表 2010.10.14
*キーワード:複製、引用、権利濫用、フェアユース、権利制限規定
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■事案
美術絵画作品の鑑定書に付された原画の縮小カラーコピーが、原画の複製権を侵害するかどうかが争われた事案の控訴審
原告(被控訴人):画家の遺族
被告(控訴人) :美術品著作権管理鑑定業務会社
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■結論
原判決取消し、被控訴人請求棄却
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■争点
条文 著作権法21条、32条1項、47条の2、114条2項、民法1条3項
1 複製権侵害の成否
2 引用の成否
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■事案の概要
『画家であった亡Aの相続人である長男の亡B,養子(亡Bの長男)の被控訴人(以下,両名を併せて「被控訴人等」ということがある。)が,控訴人に対し,美術品の鑑定等を業とする控訴人において,亡Aの制作した原判決別紙絵画目録記載1及び2の本件絵画1及び2(以下,これらを併せて「本件各絵画」ということがある。)について,本件鑑定証書1及び2(以下,これらを併せて「本件各鑑定証書」ということがある。)を作製する際に,本件各鑑定証書に添付するため,本件各絵画の縮小カラーコピー(以下「本件各コピー」と,そのうち,本件絵画1の縮小カラーコピーを「本件コピー1」,本件絵画2の縮小カラーコピーを「本件コピー2」ということがある。)を作製したことは,亡Aの著作権(複製権)を侵害するものであると主張し,同侵害に基づく損害賠償請求(著作権法114条2項又は3項)として,12万円及びこれに対する当該侵害行為の後の日である本件訴状送達の日の翌日である平成20年11月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案』(1頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 複製権侵害の成否
題名「花」作品2点の鑑定証書の裏面に貼付された原画の縮小カラーコピー(162×119ミリと152×120ミリ)が原画の複製権(著作権法21条)を侵害するかどうかについて、原審同様、縮小カラーコピーは複製にあたると判断されています(10頁以下)。
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2 引用の成否
複製にあたるとした上で、権利制限規定である引用(著作権法32条1項)の成否が検討されています(13頁以下)。
(1)引用の適法性の要件
まず、引用の要件の点について、裁判所は、
『著作権法は,著作物等の文化的所産の公正な利用に留意しつつ,著作者等の権利の保護を図り,もって文化の発展に寄与することを目的とするものであるが(同法1条),その目的から,著作者の権利の内容として,著作者人格権(同法第2章第3節第2款),著作権(同第3款)などについて規定するだけでなく,著作権の制限(同第5款)について規定する。その制限の1つとして,公表された著作物は,公正な慣行に合致し,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で引用して利用することができると規定されているところ(同法32条1項),他人の著作物を引用して利用することが許されるためには,引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致したものであり,かつ,引用の目的との関係で正当な範囲内,すなわち,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであることが必要であり,著作権法の上記目的をも念頭に置くと,引用としての利用に当たるか否かの判断においては,他人の著作物を利用する側の利用の目的のほか,その方法や態様,利用される著作物の種類や性質,当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などが総合考慮されなければならない。』
『しかるところ,控訴人は,その作製した本件各鑑定証書に添付するために本件各絵画の縮小カラ−コピーを作製して,これを複製したものであるから,その複製が引用としての利用として著作権法上で適法とされるためには,控訴人が本件各絵画を複製してこれを利用した方法や態様について,上記の諸点が検討されなければならない。』
と条文の文言に沿った解釈を示しています。
(2)要件充足性の有無
次に、要件の充足性について検討を加えています。
『本件各鑑定証書は,そこに本件各コピーが添付されている本件各絵画が真作であることを証する鑑定書であって,本件各鑑定証書に本件各コピーを添付したのは,その鑑定対象である絵画を特定し,かつ,当該鑑定証書の偽造を防ぐためであるところ,そのためには,一般的にみても,鑑定対象である絵画のカラーコピーを添付することが確実であって,添付の必要性・有用性も認められることに加え,著作物の鑑定業務が適正に行われることは,贋作の存在を排除し,著作物の価値を高め,著作権者等の権利の保護を図ることにもつながるものであることなどを併せ考慮すると,著作物の鑑定のために当該著作物の複製を利用することは,著作権法の規定する引用の目的に含まれるといわなければならない。』
として、各コピーの添付は、必要性、有用性があり、また著作権者等の権利の保護に繋がるとして引用の目的に合致していると判断。
さらに、
・本件絵画とカラーコピーは別に流通することは考え難い
・作家側が本件各絵画の複製権を利用して経済的利益を得る機会が失われることも考え難い
という点も総合考慮して、本件各コピーを添付したことは、著作物を引用して鑑定する方法ないし態様において、その鑑定に求められる公正な慣行に合致したものということができると判断しています。
結論として、引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致したものであり、かつ、引用の目的との関係で正当な範囲内の利用であるとして、32条1項の規定する引用として許されるものと判断されています。
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■コメント
旧法下、マッドアマノパロディ=モンタージュ写真事件(第一次 最高裁昭和55年3月28日判決)では、引用の要件として「明瞭区別性」と「主従関係(附従性)」の2つの要件が提示され、多くの下級審判決はこれに従って判断してきています。
もっとも、32条1項の文言にある「正当な範囲内」「公正な慣行」に沿った判断(絶対音感事件、創価学会聖教グラフ写真ウェブ掲載事件)もみられるところで、学説上は条文の要件論に即してどのような要素を考慮するかの検討に主軸が移っています(上野後掲論文327頁以下、中山後掲書258頁以下、茶園後掲論文12頁以下参照)。
今回の控訴審は、近時の学説や判例状況を踏まえたうえで、32条1項の条文の文言に沿った判断によって引用を肯定し、著作権侵害を否定した裁判例として意義があるといえます(田村後掲コピライト12頁以下参照)。
いずれにしましても、原審で権利制限規定である引用を明確な争点としなかった被告東京美術倶楽部側の方針は不可解でしたが、控訴審では原審の判断が覆り常識的な価値判断に落ち着いた点は、まずは良かったと思うところです。
なお、大家重夫先生は、一審支持のご判断ですが(後掲論文参照)、大家先生は原告遺族側に取材をされておいでで、作家側の権利擁護にも配慮されたうえでの結論とのお話しを過日伺いました。作家側への配慮に改めて思い至った次第です。
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■過去のブログ記事
原審記事(2010年6月4日)
美術鑑定書事件
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■参考判例
原審判決PDF
絶対音感事件
東京高判平成14年4月11日平成13(ネ)3677
創価学会聖教グラフ写真ウェブ掲載事件
東京地判平成19年4月12日平成18(ワ)15024PDF
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■参考文献
飯村敏明「裁判例における引用の基準について」『著作権研究』26号(2000)91頁以下
上野達弘「引用をめぐる要件論の再構成」『著作権法と民法の現代的課題 半田正夫先生古稀記念論集』(2003)307頁以下
中山信弘『著作権法』(2007)256頁以下
田村善之「検索サイトをめぐる著作権法上の諸問題(3・完)ー寄与侵害、間接侵害、フェア・ユース、引用等ー」『知的財産法政策学研究』18号(2007)34頁以下
(知的財産法政策学研究/21世紀COEプログラム:「新世代知的財産法政策学の国際拠点形成」研究プロジェクト)
田村善之「著作権法32条1項の「引用」法理の現代的意義」『コピライト』554号(2007)2頁以下
茶園成樹「「引用」の要件について」『コピライト』565号(2008)2頁以下
石井茂樹「聖教グラフ写真ウェブ掲載事件」『パテント』61巻8号(2008)76頁以下 論文PDF
林紘一郎、名和小太郎『引用する極意 引用される極意』(2009)33頁以下
大家重夫「三岸節子「花」縮小カラーコピー事件」『日本マンガ学会ニュースレター』(2010)26号16頁以下
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■参考サイト
町村泰貴教授 Matimulog(2010年10月15日18時10分)
知財高裁が公正な利用だとして引用を拡張解釈した事例−Matimulog−BLOGOS(ブロゴス)−livedoorニュース
企業法務戦士の雑感(2010−10−18)
これぞ知財高裁!というべき判決〜「引用」理論の新たな展開
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■追記(2010.10.28)
二関辰郎(2010.10.27)
「最近の著作権判決から―『美術品鑑定証書引用事件』(知財高裁2010年10月13日判決)」(骨董通り法律事務所ウェブサイト)
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■追記(2010.11.13)
著作権情報センター主催の11月月例著作権判例研究会が12日にありました。
柵木澄子判事(東京地裁民事47部)の「最近の著作権裁判例について」で、ここで柵木判事から被引用著作物の著作物性の論点に言及された部分ついて、本判決の重要性が指摘されていました。この点について、中山信弘「著作権法」(2007)261頁以下参照。
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■追記(2011.5.22)
参考文献
「大家重夫・福王寺一彦対談「著作権を巡る問題1」」『連盟ニュース』438号(2011年4月号 日本美術家連盟)1頁以下
伊藤 真「美術鑑定書事件」(著作権法学会判例研究会2011年5月20日開催資料)
大家先生と福王寺先生の対談では、美術鑑定書事件判決に関する評価や追及権導入の是非を巡る対談となっており、美術鑑定書事件が作家・遺族側への利益還元にも係わるという意味では、追及権と同じ底辺を持つ議論であることが分かります。
著作権法学会判例研究会では、伊藤先生により「利用する側の著作物性」の論点を中心に検討が行われました。参加者からは、パロディ事件最高裁判決の要件論、主従関係要件をどう捉えるかなど、質疑応答が行われました。
なお、上記連盟ニュースなどによると、伊藤先生が美術家連盟顧問として最高裁への連盟としての意見書の作成にあたっているとのことです。
美術鑑定書事件(控訴審)
知財高裁平成22.10.13平成22(ネ)10052損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 滝澤孝臣
裁判官 本多知成
裁判官 荒井章光
*裁判所サイト公表 2010.10.14
*キーワード:複製、引用、権利濫用、フェアユース、権利制限規定
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■事案
美術絵画作品の鑑定書に付された原画の縮小カラーコピーが、原画の複製権を侵害するかどうかが争われた事案の控訴審
原告(被控訴人):画家の遺族
被告(控訴人) :美術品著作権管理鑑定業務会社
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■結論
原判決取消し、被控訴人請求棄却
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■争点
条文 著作権法21条、32条1項、47条の2、114条2項、民法1条3項
1 複製権侵害の成否
2 引用の成否
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■事案の概要
『画家であった亡Aの相続人である長男の亡B,養子(亡Bの長男)の被控訴人(以下,両名を併せて「被控訴人等」ということがある。)が,控訴人に対し,美術品の鑑定等を業とする控訴人において,亡Aの制作した原判決別紙絵画目録記載1及び2の本件絵画1及び2(以下,これらを併せて「本件各絵画」ということがある。)について,本件鑑定証書1及び2(以下,これらを併せて「本件各鑑定証書」ということがある。)を作製する際に,本件各鑑定証書に添付するため,本件各絵画の縮小カラーコピー(以下「本件各コピー」と,そのうち,本件絵画1の縮小カラーコピーを「本件コピー1」,本件絵画2の縮小カラーコピーを「本件コピー2」ということがある。)を作製したことは,亡Aの著作権(複製権)を侵害するものであると主張し,同侵害に基づく損害賠償請求(著作権法114条2項又は3項)として,12万円及びこれに対する当該侵害行為の後の日である本件訴状送達の日の翌日である平成20年11月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案』(1頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 複製権侵害の成否
題名「花」作品2点の鑑定証書の裏面に貼付された原画の縮小カラーコピー(162×119ミリと152×120ミリ)が原画の複製権(著作権法21条)を侵害するかどうかについて、原審同様、縮小カラーコピーは複製にあたると判断されています(10頁以下)。
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2 引用の成否
複製にあたるとした上で、権利制限規定である引用(著作権法32条1項)の成否が検討されています(13頁以下)。
(1)引用の適法性の要件
まず、引用の要件の点について、裁判所は、
『著作権法は,著作物等の文化的所産の公正な利用に留意しつつ,著作者等の権利の保護を図り,もって文化の発展に寄与することを目的とするものであるが(同法1条),その目的から,著作者の権利の内容として,著作者人格権(同法第2章第3節第2款),著作権(同第3款)などについて規定するだけでなく,著作権の制限(同第5款)について規定する。その制限の1つとして,公表された著作物は,公正な慣行に合致し,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で引用して利用することができると規定されているところ(同法32条1項),他人の著作物を引用して利用することが許されるためには,引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致したものであり,かつ,引用の目的との関係で正当な範囲内,すなわち,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであることが必要であり,著作権法の上記目的をも念頭に置くと,引用としての利用に当たるか否かの判断においては,他人の著作物を利用する側の利用の目的のほか,その方法や態様,利用される著作物の種類や性質,当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などが総合考慮されなければならない。』
『しかるところ,控訴人は,その作製した本件各鑑定証書に添付するために本件各絵画の縮小カラ−コピーを作製して,これを複製したものであるから,その複製が引用としての利用として著作権法上で適法とされるためには,控訴人が本件各絵画を複製してこれを利用した方法や態様について,上記の諸点が検討されなければならない。』
と条文の文言に沿った解釈を示しています。
(2)要件充足性の有無
次に、要件の充足性について検討を加えています。
『本件各鑑定証書は,そこに本件各コピーが添付されている本件各絵画が真作であることを証する鑑定書であって,本件各鑑定証書に本件各コピーを添付したのは,その鑑定対象である絵画を特定し,かつ,当該鑑定証書の偽造を防ぐためであるところ,そのためには,一般的にみても,鑑定対象である絵画のカラーコピーを添付することが確実であって,添付の必要性・有用性も認められることに加え,著作物の鑑定業務が適正に行われることは,贋作の存在を排除し,著作物の価値を高め,著作権者等の権利の保護を図ることにもつながるものであることなどを併せ考慮すると,著作物の鑑定のために当該著作物の複製を利用することは,著作権法の規定する引用の目的に含まれるといわなければならない。』
として、各コピーの添付は、必要性、有用性があり、また著作権者等の権利の保護に繋がるとして引用の目的に合致していると判断。
さらに、
・本件絵画とカラーコピーは別に流通することは考え難い
・作家側が本件各絵画の複製権を利用して経済的利益を得る機会が失われることも考え難い
という点も総合考慮して、本件各コピーを添付したことは、著作物を引用して鑑定する方法ないし態様において、その鑑定に求められる公正な慣行に合致したものということができると判断しています。
結論として、引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致したものであり、かつ、引用の目的との関係で正当な範囲内の利用であるとして、32条1項の規定する引用として許されるものと判断されています。
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■コメント
旧法下、マッドアマノパロディ=モンタージュ写真事件(第一次 最高裁昭和55年3月28日判決)では、引用の要件として「明瞭区別性」と「主従関係(附従性)」の2つの要件が提示され、多くの下級審判決はこれに従って判断してきています。
もっとも、32条1項の文言にある「正当な範囲内」「公正な慣行」に沿った判断(絶対音感事件、創価学会聖教グラフ写真ウェブ掲載事件)もみられるところで、学説上は条文の要件論に即してどのような要素を考慮するかの検討に主軸が移っています(上野後掲論文327頁以下、中山後掲書258頁以下、茶園後掲論文12頁以下参照)。
今回の控訴審は、近時の学説や判例状況を踏まえたうえで、32条1項の条文の文言に沿った判断によって引用を肯定し、著作権侵害を否定した裁判例として意義があるといえます(田村後掲コピライト12頁以下参照)。
いずれにしましても、原審で権利制限規定である引用を明確な争点としなかった被告東京美術倶楽部側の方針は不可解でしたが、控訴審では原審の判断が覆り常識的な価値判断に落ち着いた点は、まずは良かったと思うところです。
なお、大家重夫先生は、一審支持のご判断ですが(後掲論文参照)、大家先生は原告遺族側に取材をされておいでで、作家側の権利擁護にも配慮されたうえでの結論とのお話しを過日伺いました。作家側への配慮に改めて思い至った次第です。
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■過去のブログ記事
原審記事(2010年6月4日)
美術鑑定書事件
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■参考判例
原審判決PDF
絶対音感事件
東京高判平成14年4月11日平成13(ネ)3677
創価学会聖教グラフ写真ウェブ掲載事件
東京地判平成19年4月12日平成18(ワ)15024PDF
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■参考文献
飯村敏明「裁判例における引用の基準について」『著作権研究』26号(2000)91頁以下
上野達弘「引用をめぐる要件論の再構成」『著作権法と民法の現代的課題 半田正夫先生古稀記念論集』(2003)307頁以下
中山信弘『著作権法』(2007)256頁以下
田村善之「検索サイトをめぐる著作権法上の諸問題(3・完)ー寄与侵害、間接侵害、フェア・ユース、引用等ー」『知的財産法政策学研究』18号(2007)34頁以下
(知的財産法政策学研究/21世紀COEプログラム:「新世代知的財産法政策学の国際拠点形成」研究プロジェクト)
田村善之「著作権法32条1項の「引用」法理の現代的意義」『コピライト』554号(2007)2頁以下
茶園成樹「「引用」の要件について」『コピライト』565号(2008)2頁以下
石井茂樹「聖教グラフ写真ウェブ掲載事件」『パテント』61巻8号(2008)76頁以下 論文PDF
林紘一郎、名和小太郎『引用する極意 引用される極意』(2009)33頁以下
大家重夫「三岸節子「花」縮小カラーコピー事件」『日本マンガ学会ニュースレター』(2010)26号16頁以下
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■参考サイト
町村泰貴教授 Matimulog(2010年10月15日18時10分)
知財高裁が公正な利用だとして引用を拡張解釈した事例−Matimulog−BLOGOS(ブロゴス)−livedoorニュース
企業法務戦士の雑感(2010−10−18)
これぞ知財高裁!というべき判決〜「引用」理論の新たな展開
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■追記(2010.10.28)
二関辰郎(2010.10.27)
「最近の著作権判決から―『美術品鑑定証書引用事件』(知財高裁2010年10月13日判決)」(骨董通り法律事務所ウェブサイト)
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■追記(2010.11.13)
著作権情報センター主催の11月月例著作権判例研究会が12日にありました。
柵木澄子判事(東京地裁民事47部)の「最近の著作権裁判例について」で、ここで柵木判事から被引用著作物の著作物性の論点に言及された部分ついて、本判決の重要性が指摘されていました。この点について、中山信弘「著作権法」(2007)261頁以下参照。
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■追記(2011.5.22)
参考文献
「大家重夫・福王寺一彦対談「著作権を巡る問題1」」『連盟ニュース』438号(2011年4月号 日本美術家連盟)1頁以下
伊藤 真「美術鑑定書事件」(著作権法学会判例研究会2011年5月20日開催資料)
大家先生と福王寺先生の対談では、美術鑑定書事件判決に関する評価や追及権導入の是非を巡る対談となっており、美術鑑定書事件が作家・遺族側への利益還元にも係わるという意味では、追及権と同じ底辺を持つ議論であることが分かります。
著作権法学会判例研究会では、伊藤先生により「利用する側の著作物性」の論点を中心に検討が行われました。参加者からは、パロディ事件最高裁判決の要件論、主従関係要件をどう捉えるかなど、質疑応答が行われました。
なお、上記連盟ニュースなどによると、伊藤先生が美術家連盟顧問として最高裁への連盟としての意見書の作成にあたっているとのことです。