最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ニュース短文情報配信ソフトウェア事件
大阪地裁平成22.3.11平成19(ワ)15556著作権侵害差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官 達野ゆき
裁判官 北岡裕章
*裁判所サイト公表 2010.3.31
*キーワード:著作権の帰属、使用許諾、合意、転貸、限界利益
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■事案
街頭のLED表示板などにニュースを配信する短文情報配信事業で使用されるソフトウェアの使用中止等の合意の成否が争点となった事案
原告:ソフトウェア開発販売会社
被告:ソフト販売会社
--------------------
■結論
請求一部認容
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■争点
条文 民法415条、416条、613条
1 本件ソフトウェアの権利の帰属(主位的請求)
2 被告による本件ソフトウェアの複製(主位的請求)
3 本件ソフトウェアの使用中止等合意の成否(予備的請求)
4 損害論
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■判決内容
<経緯>
H12.11 ピーアクロス設立
原告とピーアクロスがライセンス契約
H14.10 ピーアクロスが短文情報配信事業を開始
P1が取締役に就任
H17.3 短文情報配信事業から撤退の方針
H17.5.6 原告とP1が合意メモ作成
H17.6 被告が短文情報配信事業を開始
P1が取締役に就任
H17.8.22P1が被告取締役を退任
H17.9.20原告、P1らによる会合
H17.11 原告が短文情報配信事業開始
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<争点>
1 本件ソフトウェアの権利の帰属(主位的請求)
本件ソフトウェアは、「ニュースソースから送信されてくるデータを要約し,配信サーバへ送信できる状態に加工するソフトウェア(名称:ASP表示器用データ入力サーバソフト)」(別紙 25頁)で、「市中に設置されたLED等電光表示器にデータを転送して表示器にニュース等の情報を表示させるサービス」(短文情報配信サービス)に利用されるものでした。
原告は、被告が本件ソフトウェアを無断複製、使用しているとして主位的に著作権侵害に基づき、予備的に契約(合意)に基づき使用中止等を求めました(17頁以下)。
被告は、本件ソフトウェアの著作権の帰属に関して原告が本件ソフトウェアを開発したのは、ピーアクロスからの発注によるものであり、それによってピーアクロスに著作権が移転していると反論しましたが、認められていません。
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2 被告による本件ソフトウェアの複製(主位的請求)
次に、本件ソフトウェアの無断複製について、裁判所は、本件ソフトウェアをサーバに実際にインストールしたのは原告であって、このインストールは本件ソフトウェアに係るプログラム著作権を侵害する複製行為にあたらず、被告による使用の継続のみをもって、本件ソフトウェアに関するプログラム著作権を侵害しているということはできない、と判断しています(17頁)。
結論として、著作権侵害を理由とする本件ソフトウェアの使用の差止、削除、損害賠償に関する主位的請求は棄却されています。
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3 本件ソフトウェアの使用中止等合意の成否(予備的請求)
原告は、予備的請求として本件ソフトウェアの使用中止等の合意が成立しており、その合意に違反していると主張しました(18頁以下)。
今までの経緯やP1と原告との間の合意メモ(P1に対する使用許諾と停止条項)、また関係者らによる会合(平成17年9月20日開催)における会話録音内容などから、原告被告間で本件ソフトウェアの使用許諾関係が成立しているものの、使用期限が到来し、被告は、原告に対して平成17年9月末日の時点で本件ソフトウェアの使用を中止し、サーバから削除する義務を負っていると裁判所は判断。被告がその後も本件ソフトウェアの使用を継続していることは、合意上の債務の履行を遅滞していると認めています。
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4 損害論
(1)債務不履行による消極損害(逸失利益)
結論としては、39ヶ月(算定期間)×611円(顧客1件あたりの限界利益)×100件(顧客数)として、238万2900円と算定。
(2)債務不履行による積極損害
クレーム対応費、弁護士費用は損害として認められていません。
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■コメント
ソフトウェア使用許諾契約関係、合意に基づく債務の不履行の成否が争点となった事案です。
ソフトウェアの使用許諾について、人的な繋がり・個人的な信頼関係が重視されていて、キーパーソンが短文情報配信事業から外れる以上、従前の本件ソフトウェアの使用許諾関係も解消されるという合意の存在が認められる結果となっています。
なお、ソフトウェアの使用許諾関係が、原告→P1→被告という流れであったことから、被告の本件ソフトウェアの使用中止やサーバからの削除義務の根拠として、裁判所は、民法613条(転貸の効果)の規定を類推適用しています(20頁)。
ニュース短文情報配信ソフトウェア事件
大阪地裁平成22.3.11平成19(ワ)15556著作権侵害差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官 達野ゆき
裁判官 北岡裕章
*裁判所サイト公表 2010.3.31
*キーワード:著作権の帰属、使用許諾、合意、転貸、限界利益
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■事案
街頭のLED表示板などにニュースを配信する短文情報配信事業で使用されるソフトウェアの使用中止等の合意の成否が争点となった事案
原告:ソフトウェア開発販売会社
被告:ソフト販売会社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 民法415条、416条、613条
1 本件ソフトウェアの権利の帰属(主位的請求)
2 被告による本件ソフトウェアの複製(主位的請求)
3 本件ソフトウェアの使用中止等合意の成否(予備的請求)
4 損害論
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■判決内容
<経緯>
H12.11 ピーアクロス設立
原告とピーアクロスがライセンス契約
H14.10 ピーアクロスが短文情報配信事業を開始
P1が取締役に就任
H17.3 短文情報配信事業から撤退の方針
H17.5.6 原告とP1が合意メモ作成
H17.6 被告が短文情報配信事業を開始
P1が取締役に就任
H17.8.22P1が被告取締役を退任
H17.9.20原告、P1らによる会合
H17.11 原告が短文情報配信事業開始
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<争点>
1 本件ソフトウェアの権利の帰属(主位的請求)
本件ソフトウェアは、「ニュースソースから送信されてくるデータを要約し,配信サーバへ送信できる状態に加工するソフトウェア(名称:ASP表示器用データ入力サーバソフト)」(別紙 25頁)で、「市中に設置されたLED等電光表示器にデータを転送して表示器にニュース等の情報を表示させるサービス」(短文情報配信サービス)に利用されるものでした。
原告は、被告が本件ソフトウェアを無断複製、使用しているとして主位的に著作権侵害に基づき、予備的に契約(合意)に基づき使用中止等を求めました(17頁以下)。
被告は、本件ソフトウェアの著作権の帰属に関して原告が本件ソフトウェアを開発したのは、ピーアクロスからの発注によるものであり、それによってピーアクロスに著作権が移転していると反論しましたが、認められていません。
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2 被告による本件ソフトウェアの複製(主位的請求)
次に、本件ソフトウェアの無断複製について、裁判所は、本件ソフトウェアをサーバに実際にインストールしたのは原告であって、このインストールは本件ソフトウェアに係るプログラム著作権を侵害する複製行為にあたらず、被告による使用の継続のみをもって、本件ソフトウェアに関するプログラム著作権を侵害しているということはできない、と判断しています(17頁)。
結論として、著作権侵害を理由とする本件ソフトウェアの使用の差止、削除、損害賠償に関する主位的請求は棄却されています。
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3 本件ソフトウェアの使用中止等合意の成否(予備的請求)
原告は、予備的請求として本件ソフトウェアの使用中止等の合意が成立しており、その合意に違反していると主張しました(18頁以下)。
今までの経緯やP1と原告との間の合意メモ(P1に対する使用許諾と停止条項)、また関係者らによる会合(平成17年9月20日開催)における会話録音内容などから、原告被告間で本件ソフトウェアの使用許諾関係が成立しているものの、使用期限が到来し、被告は、原告に対して平成17年9月末日の時点で本件ソフトウェアの使用を中止し、サーバから削除する義務を負っていると裁判所は判断。被告がその後も本件ソフトウェアの使用を継続していることは、合意上の債務の履行を遅滞していると認めています。
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4 損害論
(1)債務不履行による消極損害(逸失利益)
結論としては、39ヶ月(算定期間)×611円(顧客1件あたりの限界利益)×100件(顧客数)として、238万2900円と算定。
(2)債務不履行による積極損害
クレーム対応費、弁護士費用は損害として認められていません。
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■コメント
ソフトウェア使用許諾契約関係、合意に基づく債務の不履行の成否が争点となった事案です。
ソフトウェアの使用許諾について、人的な繋がり・個人的な信頼関係が重視されていて、キーパーソンが短文情報配信事業から外れる以上、従前の本件ソフトウェアの使用許諾関係も解消されるという合意の存在が認められる結果となっています。
なお、ソフトウェアの使用許諾関係が、原告→P1→被告という流れであったことから、被告の本件ソフトウェアの使用中止やサーバからの削除義務の根拠として、裁判所は、民法613条(転貸の効果)の規定を類推適用しています(20頁)。