最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
社労士ソフト営業誹謗事件
大阪地裁平成22.1.28平成20(ワ)10879損害賠償請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官 達野ゆき
裁判官 北岡裕章
*裁判所サイト公表 10/2/1
*キーワード:営業誹謗行為性
--------------------
■事案
社会保険労務士業務支援ソフトの製品説明会で機能比較表を配布した行為の営業誹謗行為性が争点となった事案
原告:ソフトウェア開発販売会社
被告:ソフトウェア開発販売会社
--------------------
■結論
請求一部認容
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項14号
1 本件比較表の記載は虚偽の内容か
2 本件比較表の記載は原告の営業上の信用を害するものか
3 被告の故意又は過失
4 損害論
--------------------
■判決内容
<争点>
1 本件比較表の記載は虚偽の内容か
原告は、社労士業務支援総合サービス「社労夢ハウス」やソフトウェア「ネットde社労夢Aタイプ」等を提供していました。
これに対して被告も同種のソフトウェア「@ろうむ」を販売していました。
被告は、被告製品である「@ろうむ」の説明会を平成20年3月5日から19日まで全国7ヶ所で開催しましたが、その際に来場者に対して被告製品と原告サービス、原告製品との費用と機能についての比較表を配布しました。
顧問先側機能(社会保険労務士の顧問先が利用ができる機能)のうち、
1 各種保険関係手続の申請
2 給与明細の閲覧・印刷
3 賃金や従業員台帳の閲覧・印刷
4 就業規則の保管・閲覧
という各機能について、以下のように○×△が記載されていました。
被告製品の機能欄 全て○
原告各製品の機能欄 全て×
原告サービスの機能欄
本件機能1の欄には○
本件機能2の欄には×
本件機能3・4の各欄には△
原告は、本件比較表の上記の△あるいは×の記載が虚偽(営業誹謗行為 不正競争防止法2条1項14号)にあたると主張しました(6頁以下)。
結論的には、原告サービスに係る本件機能2の×の記載だけが事実に符合しない「虚偽」あたると判断されています。
------------------
2 本件比較表の記載は原告の営業上の信用を害するものか
原告サービスに係る本件機能2の×の記載は、原告サービスの機能が実際よりも低いことを示すものといえるとして、原告の営業上の信用を害するものと認められています(11頁)。
------------------
3 被告の故意又は過失
被告の故意又は過失の有無について、他社製品との性能や機能を比較する文書を配布する場合には他社製品について十分調査すべきであるところ、本件では被告は本件機能2が備わることとなったことを容易に知ることができたにもかかわらず、リリースの事実や時期を十分確認することなく本件比較表を配布したとして、被告に少なくとも過失が認められるとしています(11頁以下)。
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4 損害論
商品説明会を開催した7回のうち、最後の2回で虚偽の内容を含む本件比較表を配布したことになること、また、虚偽部分が原告サービスに係る12項目の機能のうち、1項目についてのみであること等の事情から損害額を10万円と判断しています(12頁以下)。
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■コメント
被告サイトを拝見しますと、行政書士業務に関連するソフトウェアも取扱っているようです。
原告のサービスはSaaS型のウェブサービスで、顧問先従業員などの個人情報を多く取扱う社労士さんにはセキュリティ対策がいちばんの関心事かと思われます。
知り合いの社労士さんにこのサービスのことを伺ってみましたが、ASPサービス導入については色々と思案中のようです。
社労士ソフト営業誹謗事件
大阪地裁平成22.1.28平成20(ワ)10879損害賠償請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官 達野ゆき
裁判官 北岡裕章
*裁判所サイト公表 10/2/1
*キーワード:営業誹謗行為性
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■事案
社会保険労務士業務支援ソフトの製品説明会で機能比較表を配布した行為の営業誹謗行為性が争点となった事案
原告:ソフトウェア開発販売会社
被告:ソフトウェア開発販売会社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項14号
1 本件比較表の記載は虚偽の内容か
2 本件比較表の記載は原告の営業上の信用を害するものか
3 被告の故意又は過失
4 損害論
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■判決内容
<争点>
1 本件比較表の記載は虚偽の内容か
原告は、社労士業務支援総合サービス「社労夢ハウス」やソフトウェア「ネットde社労夢Aタイプ」等を提供していました。
これに対して被告も同種のソフトウェア「@ろうむ」を販売していました。
被告は、被告製品である「@ろうむ」の説明会を平成20年3月5日から19日まで全国7ヶ所で開催しましたが、その際に来場者に対して被告製品と原告サービス、原告製品との費用と機能についての比較表を配布しました。
顧問先側機能(社会保険労務士の顧問先が利用ができる機能)のうち、
1 各種保険関係手続の申請
2 給与明細の閲覧・印刷
3 賃金や従業員台帳の閲覧・印刷
4 就業規則の保管・閲覧
という各機能について、以下のように○×△が記載されていました。
被告製品の機能欄 全て○
原告各製品の機能欄 全て×
原告サービスの機能欄
本件機能1の欄には○
本件機能2の欄には×
本件機能3・4の各欄には△
原告は、本件比較表の上記の△あるいは×の記載が虚偽(営業誹謗行為 不正競争防止法2条1項14号)にあたると主張しました(6頁以下)。
結論的には、原告サービスに係る本件機能2の×の記載だけが事実に符合しない「虚偽」あたると判断されています。
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2 本件比較表の記載は原告の営業上の信用を害するものか
原告サービスに係る本件機能2の×の記載は、原告サービスの機能が実際よりも低いことを示すものといえるとして、原告の営業上の信用を害するものと認められています(11頁)。
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3 被告の故意又は過失
被告の故意又は過失の有無について、他社製品との性能や機能を比較する文書を配布する場合には他社製品について十分調査すべきであるところ、本件では被告は本件機能2が備わることとなったことを容易に知ることができたにもかかわらず、リリースの事実や時期を十分確認することなく本件比較表を配布したとして、被告に少なくとも過失が認められるとしています(11頁以下)。
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4 損害論
商品説明会を開催した7回のうち、最後の2回で虚偽の内容を含む本件比較表を配布したことになること、また、虚偽部分が原告サービスに係る12項目の機能のうち、1項目についてのみであること等の事情から損害額を10万円と判断しています(12頁以下)。
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■コメント
被告サイトを拝見しますと、行政書士業務に関連するソフトウェアも取扱っているようです。
原告のサービスはSaaS型のウェブサービスで、顧問先従業員などの個人情報を多く取扱う社労士さんにはセキュリティ対策がいちばんの関心事かと思われます。
知り合いの社労士さんにこのサービスのことを伺ってみましたが、ASPサービス導入については色々と思案中のようです。