最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
貸金業顧客名簿営業秘密事件
★東京地裁平成21.10.30平成21(ワ)4767損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 岡本岳
裁判官 中村恭
裁判官 鈴木和典
*裁判所サイト公表 09/11/16
*キーワード:営業秘密、使用、開示、損害
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■事案
貸金業での退職幹部職員による顧客名簿使用の不正競争行為性が争われた事案
原告:貸金業会社
被告:貸金業会社
同社代表取締役A
--------------------
■結論
請求棄却
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項7号、8号
1 被告Aに関する7号不正競争の成否
2 被告会社に関する8号不正競争の成否
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■判決内容
<経緯>
H15.9 被告Aらがクレディア入社
H18.12.25 被告会社設立
H19.4.6 被告Aが被告会社の代表取締役就任
H19.6〜 クレディアの顧客が被告会社等に借換え
H19.9.21 クレディアが民事再生手続開始決定
H20.10.1 原告がクレディアの権利を吸収分割契約により承継
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<争点>
1 被告Aに関する7号不正競争の成否
被告Aが幹部職員として在職中に会社が営業秘密として保有していた顧客名簿(融資先会員情報と契約書面、顧客台帳)の開示をうけ、これを退職後被告会社への借換え(期限前弁済と被告会社による融資)に使用したとして被告Aの不正競争行為性(不正競争防止法2条1項7号:保有営業秘密の不正使用・開示行為)が争点となりました。
結論としては、営業秘密情報の特定や使用行為や開示行為の特定がされていないとして7号の成立が否定されています(11頁)。
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2 被告会社に関する8号不正競争の成否
次に、被告会社は被告Aが代表取締役であるとして、被告Aに7号が成立すれば不正競争防止法2条1項8号(不正開示行為の悪意者の使用・開示行為)が被告会社に成立すると原告は主張しました。
しかし、被告Aの行為について7号が不成立とされたので、被告会社の行為の8号の成立も認められていません(12頁)。
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■コメント
転職を契機に従来の顧客への営業と借換え成功が問題となった事案です。
「専ら個人的人脈に基づき貸付業務を行っていた」(11頁)被告Aの属人的・自己開発的な情報の利用は、競業避止契約などがあれば別ですが、不正競争防止法2条1項7号の営業秘密保護規定ではカバーしきれない(「示された」要件や図利加害目的の充足性、借換えによる損害の認定のハードルの高さもあります)部分です。
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■参考文献
田村善之「不正競争法概説第2版」(2003)342頁以下
貸金業顧客名簿営業秘密事件
★東京地裁平成21.10.30平成21(ワ)4767損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 岡本岳
裁判官 中村恭
裁判官 鈴木和典
*裁判所サイト公表 09/11/16
*キーワード:営業秘密、使用、開示、損害
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■事案
貸金業での退職幹部職員による顧客名簿使用の不正競争行為性が争われた事案
原告:貸金業会社
被告:貸金業会社
同社代表取締役A
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項7号、8号
1 被告Aに関する7号不正競争の成否
2 被告会社に関する8号不正競争の成否
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■判決内容
<経緯>
H15.9 被告Aらがクレディア入社
H18.12.25 被告会社設立
H19.4.6 被告Aが被告会社の代表取締役就任
H19.6〜 クレディアの顧客が被告会社等に借換え
H19.9.21 クレディアが民事再生手続開始決定
H20.10.1 原告がクレディアの権利を吸収分割契約により承継
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<争点>
1 被告Aに関する7号不正競争の成否
被告Aが幹部職員として在職中に会社が営業秘密として保有していた顧客名簿(融資先会員情報と契約書面、顧客台帳)の開示をうけ、これを退職後被告会社への借換え(期限前弁済と被告会社による融資)に使用したとして被告Aの不正競争行為性(不正競争防止法2条1項7号:保有営業秘密の不正使用・開示行為)が争点となりました。
結論としては、営業秘密情報の特定や使用行為や開示行為の特定がされていないとして7号の成立が否定されています(11頁)。
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2 被告会社に関する8号不正競争の成否
次に、被告会社は被告Aが代表取締役であるとして、被告Aに7号が成立すれば不正競争防止法2条1項8号(不正開示行為の悪意者の使用・開示行為)が被告会社に成立すると原告は主張しました。
しかし、被告Aの行為について7号が不成立とされたので、被告会社の行為の8号の成立も認められていません(12頁)。
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■コメント
転職を契機に従来の顧客への営業と借換え成功が問題となった事案です。
「専ら個人的人脈に基づき貸付業務を行っていた」(11頁)被告Aの属人的・自己開発的な情報の利用は、競業避止契約などがあれば別ですが、不正競争防止法2条1項7号の営業秘密保護規定ではカバーしきれない(「示された」要件や図利加害目的の充足性、借換えによる損害の認定のハードルの高さもあります)部分です。
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■参考文献
田村善之「不正競争法概説第2版」(2003)342頁以下