最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
太陽光発電システム営業誹謗事件
★東京地裁平成21.9.17平成20(ワ)6050損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官 大西勝滋
裁判官 関根澄子
*裁判所サイト公表 09/10/6
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■事案
太陽光発電システムの販売にあたり退職従業員がモニター商法、詐欺的な商法などと元の会社の営業を誹謗したかどうかが争われた事案
原告:太陽光発電システム販売施工会社
被告:住宅リフォーム会社
販売代理業者ら
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項14号、民法709条、715条
1 被告A,Bによる虚偽事実告知の有無
2 被告A,Bによる不正競争又は不法行為の成否
3 被告会社の不正競争、使用者責任等の成否
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■判決内容
<経緯>
H12.4 被告Bが原告会社に入社
H18.5 被告Aが原告会社に入社
H19.5.22 被告A,Bが被告会社と取引基本契約を締結
H19.6 被告Bが原告会社を退社
H19.9 被告Aが原告会社を退社
H19.11.21 原告が被告会社に警告書通知
H20.3.6 原告が提訴
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<争点>
1 被告A,Bによる虚偽事実告知の有無
原告会社を退職した被告A,Bは同業の被告会社と取引基本契約(販売代理店契約)を締結のうえ営業活動を行っていました。
被告らが営業した際に原告の顧客に対して原告の販売方法が「モニター商法、詐欺的な商法」であると言ったかどうか、虚偽事実告知性(不正競争防止法2条1項14号該当性)の有無が争点となっています。
1.原告がモニター商法、詐欺的な商法をしていると被告らは言ったか
まず、被告A,Bが原告の顧客を訪問した際に交付したメモや発言が原告の販売方法を詐欺的な商法を意味する「モニター商法」と言ったかどうかについて、裁判所は結論としてこれを否定しています(28頁以下)。
2.原告の販売価格は高いとの点について
次に、被告らが原告の顧客に対して「原告の販売価格は高い(普通は340万円位)」旨述べた点の虚偽事実告知性が争点となっています(32頁以下)。
この点について裁判所は、同種他社商品の販売価格なども踏まえ、被告Bの説明が一応裏付けのあるものといえると判断。原告の販売価格(401万円)は高いという趣旨のことを述べたことが虚偽事実の告知にはあたらないとしています。
3.原告が顧客に示した太陽光発電システムの発電量には嘘があるとの点について
原告が顧客に言った「1万6000円は売れる」との話を被告が聞いて、4000円位しか売電できないことを顧客に対して説明した点について、裁判所は売電量に関する原告の説明が実際と異なることを説明したにすぎないとして、虚偽事実の告知にはあたらないと判断しています(34頁以下)。
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2 被告A,Bによる不正競争又は不法行為の成否
1.不正競争行為性
争点1の結論として、被告A,Bの不正競争行為性(虚偽事実告知行為性 不正競争防止法2条1項14号)について否定されています(36頁以下)。
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2.一般不法行為性
被告A,Bが原告会社に在籍中に知った原告の販売先をわざわざ訪ねた上、虚偽事実を告知したり顧客の不信感や不安感を煽り、原告に苦情を申し入れるように仕向けたとして、原告に対する営業妨害行為として不法行為(民法709条)が成立すると原告は主張しました。
しかし、結論としては、被告らの行為は不法行為にあたらないと判断されています(37頁以下)。
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3 被告会社の不正競争、使用者責任等の成否
被告A,Bらの営業誹謗行為性、不法行為性がいずれも否定されたことから、被告会社の使用者責任(民法715条)等も否定されています(38頁以下)。
結論として、原告の主張はいずれも容れられていません。
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■コメント
退職従業員による営業活動でのセールストークが問題となった事案です。
営業活動の場面で偽名を名乗るなど被告側に不適切な点があったようですが(9頁以下、38頁)、いずれにしても3〜400万円もする太陽光発電システムの販売ですから、誠実な営業活動が求められるところです。
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■追記09/10/13
2009年11月から「太陽光発電の新たな買取制度」(経産省)が始まり、売電価格が引き上げられることから、販売活動も活発化し、すでに消費者相談窓口に業者の販売方法について苦情の申出が増加しているようです(NHKニュースより)。
太陽光発電システム営業誹謗事件
★東京地裁平成21.9.17平成20(ワ)6050損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官 大西勝滋
裁判官 関根澄子
*裁判所サイト公表 09/10/6
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■事案
太陽光発電システムの販売にあたり退職従業員がモニター商法、詐欺的な商法などと元の会社の営業を誹謗したかどうかが争われた事案
原告:太陽光発電システム販売施工会社
被告:住宅リフォーム会社
販売代理業者ら
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項14号、民法709条、715条
1 被告A,Bによる虚偽事実告知の有無
2 被告A,Bによる不正競争又は不法行為の成否
3 被告会社の不正競争、使用者責任等の成否
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■判決内容
<経緯>
H12.4 被告Bが原告会社に入社
H18.5 被告Aが原告会社に入社
H19.5.22 被告A,Bが被告会社と取引基本契約を締結
H19.6 被告Bが原告会社を退社
H19.9 被告Aが原告会社を退社
H19.11.21 原告が被告会社に警告書通知
H20.3.6 原告が提訴
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<争点>
1 被告A,Bによる虚偽事実告知の有無
原告会社を退職した被告A,Bは同業の被告会社と取引基本契約(販売代理店契約)を締結のうえ営業活動を行っていました。
被告らが営業した際に原告の顧客に対して原告の販売方法が「モニター商法、詐欺的な商法」であると言ったかどうか、虚偽事実告知性(不正競争防止法2条1項14号該当性)の有無が争点となっています。
1.原告がモニター商法、詐欺的な商法をしていると被告らは言ったか
まず、被告A,Bが原告の顧客を訪問した際に交付したメモや発言が原告の販売方法を詐欺的な商法を意味する「モニター商法」と言ったかどうかについて、裁判所は結論としてこれを否定しています(28頁以下)。
2.原告の販売価格は高いとの点について
次に、被告らが原告の顧客に対して「原告の販売価格は高い(普通は340万円位)」旨述べた点の虚偽事実告知性が争点となっています(32頁以下)。
この点について裁判所は、同種他社商品の販売価格なども踏まえ、被告Bの説明が一応裏付けのあるものといえると判断。原告の販売価格(401万円)は高いという趣旨のことを述べたことが虚偽事実の告知にはあたらないとしています。
3.原告が顧客に示した太陽光発電システムの発電量には嘘があるとの点について
原告が顧客に言った「1万6000円は売れる」との話を被告が聞いて、4000円位しか売電できないことを顧客に対して説明した点について、裁判所は売電量に関する原告の説明が実際と異なることを説明したにすぎないとして、虚偽事実の告知にはあたらないと判断しています(34頁以下)。
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2 被告A,Bによる不正競争又は不法行為の成否
1.不正競争行為性
争点1の結論として、被告A,Bの不正競争行為性(虚偽事実告知行為性 不正競争防止法2条1項14号)について否定されています(36頁以下)。
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2.一般不法行為性
被告A,Bが原告会社に在籍中に知った原告の販売先をわざわざ訪ねた上、虚偽事実を告知したり顧客の不信感や不安感を煽り、原告に苦情を申し入れるように仕向けたとして、原告に対する営業妨害行為として不法行為(民法709条)が成立すると原告は主張しました。
しかし、結論としては、被告らの行為は不法行為にあたらないと判断されています(37頁以下)。
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3 被告会社の不正競争、使用者責任等の成否
被告A,Bらの営業誹謗行為性、不法行為性がいずれも否定されたことから、被告会社の使用者責任(民法715条)等も否定されています(38頁以下)。
結論として、原告の主張はいずれも容れられていません。
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■コメント
退職従業員による営業活動でのセールストークが問題となった事案です。
営業活動の場面で偽名を名乗るなど被告側に不適切な点があったようですが(9頁以下、38頁)、いずれにしても3〜400万円もする太陽光発電システムの販売ですから、誠実な営業活動が求められるところです。
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■追記09/10/13
2009年11月から「太陽光発電の新たな買取制度」(経産省)が始まり、売電価格が引き上げられることから、販売活動も活発化し、すでに消費者相談窓口に業者の販売方法について苦情の申出が増加しているようです(NHKニュースより)。