最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「真説猟奇の檻」アドベンチャーゲーム事件(控訴審)
★知財高裁平成21.9.30平成21(ネ)10014損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官 東海林保
裁判官 矢口俊哉
*裁判所サイト公表 09/10/1
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■事案
アダルト向けアドベンチャーゲーム(AVG)の映画の著作物性や翻案権侵害性が争われた事案の控訴審
原告(控訴人) :コンピュータソフトウェア開発販売会社
被告(被控訴人):アニメーション作画、ゲーム企画制作会社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条3項、10条1項7号、27条
1 映画の著作物該当性及びその著作権の帰属
2 複合的著作物該当性及びその著作権の帰属
3 翻案の有無
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■判決内容
<争点>
1 映画の著作物該当性及びその著作権の帰属
本件ゲームソフト「猟奇の檻」のリメーク版として被告(被控訴人)ゲームソフト「真説猟奇の檻」が被告により製作、販売されたことから、原告(控訴人)が製作した本件ゲームソフト又は著作権譲渡を受けたとする本件ゲームソフトの脚本(シナリオ)の翻案権侵害を理由として損害賠償を被告に対して請求していました(原審では請求棄却判決)。
まず、原告は、本件ゲームソフトは原告が著作権を有する映画の著作物であると主張していました。
しかし、控訴審は本件ゲームソフトの映画の著作物性について、原審同様これを否定。
『本件ゲームソフトにおいては,ある静止画像が,次の静止画像が現れるまで静止した状態で見え,動きのある画像として受け取られる部分はほぼ皆無であって,映画とは本質的な違いがあるというべきである。』
(5頁)
として、控訴審も本件ゲームソフトに動きのある連続影像があるとは認めていません。
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2 複合的著作物該当性及びその著作権の帰属
次に、本件ゲームソフトは画像、音楽、プログラム、シナリオ等が組み合わされた新たな著作物(複合的著作物)であり、その著作権が統合作業を行った原告に帰属すると原告は主張していました。
しかし、原告の統合作業はシナリオに従って行われたプログラムの創作行為そのものであって、本件ゲームソフトの影像の著作物の創作行為であるとは認められないこと、またイラストの補正調整作業は機械的作業であって格別の創作性はないとして、原審同様、控訴審は原告の主張を容れていません(5頁以下)。
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3 翻案の有無
原告に本件ゲームソフトの著作権が帰属せず、またそのシナリオに係る著作権を取得することはないとして、控訴審は翻案の有無の判断に踏み込むことなく原告の主張を容れていません(9頁以下)。
結論として、本件ゲームソフトの映画の著作物、複合的著作物としての著作権の帰属性、契約による著作権譲渡合意性、シナリオの著作権の帰属性について何れも原告の主張を否定しています。
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■コメント
控訴審でも原審の判断を維持する内容となっています。原審での争点に新たな争点は加えられていません。
なお、契約関係について「猟奇の檻」シリーズ5作品中、3作品目の「猟奇の檻 第3章」のゲームソフトの著作権については日本プランテック社との間で控訴人に帰属するとの合意があったと認定されていますが(7頁)、初代の本件ゲームソフト「猟奇の檻」の著作権は被控訴人へ譲渡する、といった取扱いに違いがあっても不合理ではない(8頁)として、控訴人の主張を容れていません。
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■過去のブログ記事
2009年1月9日記事
東京地裁平成20.12.25平成19(ワ)18724損害賠償請求事件
「真説猟奇の檻」アドベンチャーゲーム事件
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「真説猟奇の檻」アドベンチャーゲーム事件(控訴審)
★知財高裁平成21.9.30平成21(ネ)10014損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官 東海林保
裁判官 矢口俊哉
*裁判所サイト公表 09/10/1
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■事案
アダルト向けアドベンチャーゲーム(AVG)の映画の著作物性や翻案権侵害性が争われた事案の控訴審
原告(控訴人) :コンピュータソフトウェア開発販売会社
被告(被控訴人):アニメーション作画、ゲーム企画制作会社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条3項、10条1項7号、27条
1 映画の著作物該当性及びその著作権の帰属
2 複合的著作物該当性及びその著作権の帰属
3 翻案の有無
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■判決内容
<争点>
1 映画の著作物該当性及びその著作権の帰属
本件ゲームソフト「猟奇の檻」のリメーク版として被告(被控訴人)ゲームソフト「真説猟奇の檻」が被告により製作、販売されたことから、原告(控訴人)が製作した本件ゲームソフト又は著作権譲渡を受けたとする本件ゲームソフトの脚本(シナリオ)の翻案権侵害を理由として損害賠償を被告に対して請求していました(原審では請求棄却判決)。
まず、原告は、本件ゲームソフトは原告が著作権を有する映画の著作物であると主張していました。
しかし、控訴審は本件ゲームソフトの映画の著作物性について、原審同様これを否定。
『本件ゲームソフトにおいては,ある静止画像が,次の静止画像が現れるまで静止した状態で見え,動きのある画像として受け取られる部分はほぼ皆無であって,映画とは本質的な違いがあるというべきである。』
(5頁)
として、控訴審も本件ゲームソフトに動きのある連続影像があるとは認めていません。
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2 複合的著作物該当性及びその著作権の帰属
次に、本件ゲームソフトは画像、音楽、プログラム、シナリオ等が組み合わされた新たな著作物(複合的著作物)であり、その著作権が統合作業を行った原告に帰属すると原告は主張していました。
しかし、原告の統合作業はシナリオに従って行われたプログラムの創作行為そのものであって、本件ゲームソフトの影像の著作物の創作行為であるとは認められないこと、またイラストの補正調整作業は機械的作業であって格別の創作性はないとして、原審同様、控訴審は原告の主張を容れていません(5頁以下)。
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3 翻案の有無
原告に本件ゲームソフトの著作権が帰属せず、またそのシナリオに係る著作権を取得することはないとして、控訴審は翻案の有無の判断に踏み込むことなく原告の主張を容れていません(9頁以下)。
結論として、本件ゲームソフトの映画の著作物、複合的著作物としての著作権の帰属性、契約による著作権譲渡合意性、シナリオの著作権の帰属性について何れも原告の主張を否定しています。
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■コメント
控訴審でも原審の判断を維持する内容となっています。原審での争点に新たな争点は加えられていません。
なお、契約関係について「猟奇の檻」シリーズ5作品中、3作品目の「猟奇の檻 第3章」のゲームソフトの著作権については日本プランテック社との間で控訴人に帰属するとの合意があったと認定されていますが(7頁)、初代の本件ゲームソフト「猟奇の檻」の著作権は被控訴人へ譲渡する、といった取扱いに違いがあっても不合理ではない(8頁)として、控訴人の主張を容れていません。
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■過去のブログ記事
2009年1月9日記事
東京地裁平成20.12.25平成19(ワ)18724損害賠償請求事件
「真説猟奇の檻」アドベンチャーゲーム事件
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