最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
化粧品容器形態模倣事件
★大阪地裁平成21.6.9平成19(ワ)8262不正競争行為差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 田中俊次
裁判官 北岡裕章
裁判官 西理香
*裁判所サイト公表 09/6/10
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■事案
同じ金型で作られた化粧品の容器の形態模倣性などが争われた事案
原告:化粧品販売会社
被告:化粧品製造販売会社ら4社
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項3号、2条5項、民法709条
1 他人の商品の形態性
2 商品形態模倣の有無
3 一般不法行為の成否
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■判決内容
<経緯>
S63 原告会長、被告代表者らがフェースコスメティック設立
H3.7 被告が自社ブランド「エステツイン」の販売開始
H7 仕入方法の変更(原告を介さない直接仕入)
H7.10 原告が「アトシステム」ブランドで化粧品アイテム(原告商品)を販売
H17.5 原告が「アトシステム」デザインリニューアルの告知
H18.4.11 原告から被告側へ仕入値(取引掛率)の変更の通知
H19.1 被告らが被告商品「アトプロデュース」の製造販売を開始
H19.4 原告が被告に販売中止の内容証明書通知
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<争点>
1 他人の商品の形態性
クレンジング、ウォッシング、マイルドローションなど9点の化粧品アイテムで構成される原告商品について、原告商品と同一の金型から形成された容器を被告は被告商品で使用していました。こうしたことから、原告は被告の形態等の模倣行為性(不正競争防止法2条1項3号 商品形態模倣 デッドコピー)を争点としました。
まず「商品の形態」性について裁判所は、原告商品のうち商品コンセプトやアイテムの名称、内容物(化粧品の成分)は商品形態を構成する要素にあたらないとしつつ、
『原告商品の商品形態は,容器の形状・寸法,色彩,ワンポイント色,容器の素材の光沢及び質感を中心に観察し,素材や「アト」を含む商品名が使用されていること,容器に記載された文字列は,それが商品形態を構成する模様と認められる限度においてこれを参酌するのが相当である。』(32頁)
と説示。
さらに、被告が原告商品の容器は容器製造メーカーのカタログに掲載されている規格型の既製品であって、「他人の商品」性を欠くと反論した点について、原告商品の商品形態は全体として原告が資本、労力を投下して開発し、商品化したものというべきであるとして「他人の商品」性を肯定。
結論として、原告商品の「他人の商品の形態」性を肯定しています(31頁以下)。
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2 商品形態模倣の有無
次に、「模倣」性(不正競争防止法2条5項)について、裁判所は、原告商品と被告商品の形態の判断要素を認定したうえで、両者を対比して類否を判断。
「模倣」の判断要素である「実質的同一性」について、同一金型から作成された同一の形状・寸法、ピンク色の色彩など、両者は一見するとよく似た印象であることは否定できないとしつつも、色調及び光沢感に相当の相違があるなどとして、9点の商品についていずれも結論として実質的同一性を否定しています(33頁以下)。
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3 一般不法行為の成否
原告は、被告らが原告商品と酷似するデザインを施し、オリジナル商品と競合する流通過程に被告商品を置くことで原告の営業活動を妨害したとして、一般不法行為(民法709条)の成立を主張しました(46頁以下)。
しかし、裁判所は原被告間の過去の取引事情なども踏まえ、被告の販売行為が原告に対する商取引における公正な自由競争の範囲を著しく逸脱するものということはできないとして、結論として一般不法行為の成立を否定しています。
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■コメント
もともと被告代表と原告会長は化粧品事業設立当時から取引関係があり、緊密な関係にあった原告と被告らですが、その後袂を分かったようです(18頁)。
コスメ製品の製造元、卸会社そして販売会社という関係のなかでOEM提供などの取引関係も新たに出来て、各社の利害が絡み合ってしまった印象です(20頁以下)。
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■参考サイト
名古屋の商標亭
2009/6/11記事
アトシステムとアトプロデュース
2009/6/12記事
容器のデザイン
原告サイト
アトシステムatsystemフェースビューティ商品紹介
化粧品容器形態模倣事件
★大阪地裁平成21.6.9平成19(ワ)8262不正競争行為差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 田中俊次
裁判官 北岡裕章
裁判官 西理香
*裁判所サイト公表 09/6/10
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■事案
同じ金型で作られた化粧品の容器の形態模倣性などが争われた事案
原告:化粧品販売会社
被告:化粧品製造販売会社ら4社
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項3号、2条5項、民法709条
1 他人の商品の形態性
2 商品形態模倣の有無
3 一般不法行為の成否
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■判決内容
<経緯>
S63 原告会長、被告代表者らがフェースコスメティック設立
H3.7 被告が自社ブランド「エステツイン」の販売開始
H7 仕入方法の変更(原告を介さない直接仕入)
H7.10 原告が「アトシステム」ブランドで化粧品アイテム(原告商品)を販売
H17.5 原告が「アトシステム」デザインリニューアルの告知
H18.4.11 原告から被告側へ仕入値(取引掛率)の変更の通知
H19.1 被告らが被告商品「アトプロデュース」の製造販売を開始
H19.4 原告が被告に販売中止の内容証明書通知
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<争点>
1 他人の商品の形態性
クレンジング、ウォッシング、マイルドローションなど9点の化粧品アイテムで構成される原告商品について、原告商品と同一の金型から形成された容器を被告は被告商品で使用していました。こうしたことから、原告は被告の形態等の模倣行為性(不正競争防止法2条1項3号 商品形態模倣 デッドコピー)を争点としました。
まず「商品の形態」性について裁判所は、原告商品のうち商品コンセプトやアイテムの名称、内容物(化粧品の成分)は商品形態を構成する要素にあたらないとしつつ、
『原告商品の商品形態は,容器の形状・寸法,色彩,ワンポイント色,容器の素材の光沢及び質感を中心に観察し,素材や「アト」を含む商品名が使用されていること,容器に記載された文字列は,それが商品形態を構成する模様と認められる限度においてこれを参酌するのが相当である。』(32頁)
と説示。
さらに、被告が原告商品の容器は容器製造メーカーのカタログに掲載されている規格型の既製品であって、「他人の商品」性を欠くと反論した点について、原告商品の商品形態は全体として原告が資本、労力を投下して開発し、商品化したものというべきであるとして「他人の商品」性を肯定。
結論として、原告商品の「他人の商品の形態」性を肯定しています(31頁以下)。
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2 商品形態模倣の有無
次に、「模倣」性(不正競争防止法2条5項)について、裁判所は、原告商品と被告商品の形態の判断要素を認定したうえで、両者を対比して類否を判断。
「模倣」の判断要素である「実質的同一性」について、同一金型から作成された同一の形状・寸法、ピンク色の色彩など、両者は一見するとよく似た印象であることは否定できないとしつつも、色調及び光沢感に相当の相違があるなどとして、9点の商品についていずれも結論として実質的同一性を否定しています(33頁以下)。
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3 一般不法行為の成否
原告は、被告らが原告商品と酷似するデザインを施し、オリジナル商品と競合する流通過程に被告商品を置くことで原告の営業活動を妨害したとして、一般不法行為(民法709条)の成立を主張しました(46頁以下)。
しかし、裁判所は原被告間の過去の取引事情なども踏まえ、被告の販売行為が原告に対する商取引における公正な自由競争の範囲を著しく逸脱するものということはできないとして、結論として一般不法行為の成立を否定しています。
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■コメント
もともと被告代表と原告会長は化粧品事業設立当時から取引関係があり、緊密な関係にあった原告と被告らですが、その後袂を分かったようです(18頁)。
コスメ製品の製造元、卸会社そして販売会社という関係のなかでOEM提供などの取引関係も新たに出来て、各社の利害が絡み合ってしまった印象です(20頁以下)。
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■参考サイト
名古屋の商標亭
2009/6/11記事
アトシステムとアトプロデュース
2009/6/12記事
容器のデザイン
原告サイト
アトシステムatsystemフェースビューティ商品紹介