2009年6月刊行のマーチャンダイジングライツレポート44巻6号(通巻584号)54頁以下に大家重夫先生の御論文「私的録画補償金制度-フランスから日本の漫画家へ2,880万円」が掲載されています。

私的録画補償金制度に基づいてフランスから日本の漫画家さん達(手塚治虫、宮崎駿、谷口ジロー、大友克洋など)に220,000ユーロ(邦貨にして約2,880万円)が送金されたそうです。

外国美術作品のカタログを見るとよく(c)表示されているフランスの著作権管理団体(ADAGP)から日本の窓口となる有限責任中間法人美術著作権協会 (SPDA)へ送金されていて、手塚治虫や鳥山明などトップ12名の漫画家さん達には、特に3倍額の率での支払算定となっているとのこと。

大家先生は、漫画家さん達のより良い創作環境整備のためにも海外販路拡大を念頭に漫画家の著作権管理団体の創設や追及権制度(自己の作品の転売利益への配分請求権制度)の導入をご提言されておいでです。

現状では、欧米市場での漫画やアニメの使われ方と中国・韓国をはじめとするアジア地域、ロシア・中東地域など地域によって事情が異なるので漫画家さんも海外での展開については個別対応になるかと思いますが、大家先生がご指摘のジャスラック(日本音楽著作権協会)のような著作権管理団体が漫画家さんについても創設されれば、こうした管理団体の利用も検討していくことになるかと思います。

まずは前提として、国内での出版窓口や二次利用(電子化など)の権利がどうなっているのかを整理したうえで、誰が漫画家さんの窓口になるのか(出版社か漫画家さん自身か、場合によっては編プロ)を契約関係上確定する必要があるところです。