最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
自動車部品コーティング剤品質誤認表示事件
★東京地裁平成20.11.28平成18(ワ)23402等不正競争行為差止等本訴請求事件PDF
平成19(ワ)24141反訴請求事件
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官 大竹優子
裁判官 中村恭
*裁判所サイト公表 09/1/8
--------------------
■事案
自動車部品用のコーティング塗料の入った缶に貼付されたラベルに
記載された商品名について、品質誤認表示性が争われた事案
本訴原告:固体潤滑処理販売会社(反訴被告)
代表取締役Aの訴訟承継人ら
本訴被告:塗料、塗料機械製造販売会社ら(反訴原告)
--------------------
■結論
請求一部認容
--------------------
■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号、13号、14号、民法709条
1 品質誤認表示性(13号)
2 商品・営業混同表示行為性(1号)
3 営業誹謗行為性(14号)
4 文書送付による名誉毀損の成否(略)
5 不当訴訟提起の不法行為性(略)
6 Aらの発言による名誉毀損の成否(略)
7 Y1の発言による名誉毀損の成否(略)
--------------------
■判決内容
<経緯>
S42.3 原告会社設立 B,被告Y1,被告Y2が発起人
H9.3 Bが引退、末弟Aが代表取締役に就任
H14.3 Y1が社長代行を解任される
H14.4 Y1が被告会社を設立
H16 Y1がAを刑事告発
H17.4 Y1がAらの取締役解任訴訟を提起
H20.7.31 Aが死去
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<争点>
1 品質誤認表示性(13号)
原告会社は、取引先に塗料を販売する場合、塗料缶に品名として
「XYLAN 1052」と商品表示していました。ところで、被告会社も同様に
「XYLAN 1052」と塗料缶に商品表示して取引先に販売していましたが、
成分は異なる塗料でした(商品名「ホスタフロン5875」表示についても
同様)。
この点について、裁判所は、「XYLAN 1052」との商品表示は、ザイラン
1052(ウイットフォード社製)を使用し、粘度調整のための溶剤以外の
ものを加えないものであり、ザイラン1052(ケーヒン仕様)を満たして
いる製品であると需要者によって理解されるものであるが、被告会社は、
「XYLAN 1052」と表示してザイラン1052(被告会社製)を販売していた
ことから、品質誤認表示(不正競争防止法2条1項13号)にあたると判断
しています。
(70頁以下)
結論的には、営業上の損害について190万円、弁護士費用20万円の合計
210万円を損害額として認定。差止請求については認めませんでした。
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2 商品・営業混同表示行為性(1号)
被告会社が被告商品に「XYLAN 1052」と表示して販売していた行為が、
原告会社が商標として使用していた「ザイラン1052」について、1号違反
となると原告は主張しましたが、裁判所に容れられていません。
(74頁以下)
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3 営業誹謗行為性(14号)
被告Y1、Y2らが被告会社の業務として「原告会社は潰れる」、「A社長は
横領犯」、「社長の逮捕は近い」などの事実を告知したとして、原告は
被告らの行為の営業誹謗行為性をさらに争点としています。
しかし、結論としては、被告から誹謗する話を直接聞いた者の証人尋問の
申請がなく、証人尋問がないままに原告会社主張の営業誹謗行為があっ
たと認定することはできないとして、裁判所は、14号違反を否定しています。
(75頁以下)
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■コメント
今回の事案は、自動車のスロットルシャフトなどの部品の機能性コーティ
ング加工に使用されるフッ素樹脂塗料を取扱う会社間で争われた不正
競争事案です。
身内の紛争(B,C,Y1,Aは兄弟)で、民事訴訟が濫発されていて、横領や
放火についての刑事告発まである様相となっています。
人命、安全に関わる自動車部品の仕様に関係する事項なので、塗料の
品質に直結する表示については慎重な取扱いが求められるところです
(61頁以下参照)。
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自動車部品コーティング剤品質誤認表示事件
★東京地裁平成20.11.28平成18(ワ)23402等不正競争行為差止等本訴請求事件PDF
平成19(ワ)24141反訴請求事件
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官 大竹優子
裁判官 中村恭
*裁判所サイト公表 09/1/8
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■事案
自動車部品用のコーティング塗料の入った缶に貼付されたラベルに
記載された商品名について、品質誤認表示性が争われた事案
本訴原告:固体潤滑処理販売会社(反訴被告)
代表取締役Aの訴訟承継人ら
本訴被告:塗料、塗料機械製造販売会社ら(反訴原告)
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号、13号、14号、民法709条
1 品質誤認表示性(13号)
2 商品・営業混同表示行為性(1号)
3 営業誹謗行為性(14号)
4 文書送付による名誉毀損の成否(略)
5 不当訴訟提起の不法行為性(略)
6 Aらの発言による名誉毀損の成否(略)
7 Y1の発言による名誉毀損の成否(略)
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■判決内容
<経緯>
S42.3 原告会社設立 B,被告Y1,被告Y2が発起人
H9.3 Bが引退、末弟Aが代表取締役に就任
H14.3 Y1が社長代行を解任される
H14.4 Y1が被告会社を設立
H16 Y1がAを刑事告発
H17.4 Y1がAらの取締役解任訴訟を提起
H20.7.31 Aが死去
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<争点>
1 品質誤認表示性(13号)
原告会社は、取引先に塗料を販売する場合、塗料缶に品名として
「XYLAN 1052」と商品表示していました。ところで、被告会社も同様に
「XYLAN 1052」と塗料缶に商品表示して取引先に販売していましたが、
成分は異なる塗料でした(商品名「ホスタフロン5875」表示についても
同様)。
この点について、裁判所は、「XYLAN 1052」との商品表示は、ザイラン
1052(ウイットフォード社製)を使用し、粘度調整のための溶剤以外の
ものを加えないものであり、ザイラン1052(ケーヒン仕様)を満たして
いる製品であると需要者によって理解されるものであるが、被告会社は、
「XYLAN 1052」と表示してザイラン1052(被告会社製)を販売していた
ことから、品質誤認表示(不正競争防止法2条1項13号)にあたると判断
しています。
(70頁以下)
結論的には、営業上の損害について190万円、弁護士費用20万円の合計
210万円を損害額として認定。差止請求については認めませんでした。
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2 商品・営業混同表示行為性(1号)
被告会社が被告商品に「XYLAN 1052」と表示して販売していた行為が、
原告会社が商標として使用していた「ザイラン1052」について、1号違反
となると原告は主張しましたが、裁判所に容れられていません。
(74頁以下)
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3 営業誹謗行為性(14号)
被告Y1、Y2らが被告会社の業務として「原告会社は潰れる」、「A社長は
横領犯」、「社長の逮捕は近い」などの事実を告知したとして、原告は
被告らの行為の営業誹謗行為性をさらに争点としています。
しかし、結論としては、被告から誹謗する話を直接聞いた者の証人尋問の
申請がなく、証人尋問がないままに原告会社主張の営業誹謗行為があっ
たと認定することはできないとして、裁判所は、14号違反を否定しています。
(75頁以下)
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■コメント
今回の事案は、自動車のスロットルシャフトなどの部品の機能性コーティ
ング加工に使用されるフッ素樹脂塗料を取扱う会社間で争われた不正
競争事案です。
身内の紛争(B,C,Y1,Aは兄弟)で、民事訴訟が濫発されていて、横領や
放火についての刑事告発まである様相となっています。
人命、安全に関わる自動車部品の仕様に関係する事項なので、塗料の
品質に直結する表示については慎重な取扱いが求められるところです
(61頁以下参照)。
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