最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
メルク合意書閲覧等制限申立事件
★知財高裁平成20.12.16平成20(行タ)10007訴訟記録閲覧等制限申立事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 齊木教朗
裁判官 嶋末和秀
基本事件:知財高裁平成20.10.30平成20(行ケ)10308審決取消請求事件
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★知財高裁平成20.12.16平成20(行タ)10008訴訟記録閲覧等制限申立事件PDF
基本事件:知財高裁平成20.10.30平成20(行ケ)10314審決取消請求事件
*裁判所サイト公表 12/24
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■事案
訴訟記録中に営業秘密(不正競争防止法2条6項)が含まれるとして、
その部分の閲覧謄写等の制限を求めた行政訴訟
申立人:製薬会社
登録商標:「メルク萬有」(第642075号)
「日本メルク萬有」(第640192号)
--------------------
■結論
申立て却下
--------------------
■争点
条文 不正競争防止法2条6項、民訴92条1項2号
1 合意内容の営業秘密性
--------------------
■判決内容
<争点>
1 合意内容の営業秘密性
(1)米独メルクの独立と名称使用合意の経緯
独メルクと米メルクは、第一次世界大戦を経て独立した医薬品企業と
なり、「メルク」の名称の使用については地域ごとに異なる取扱いをす
る合意をしている経緯がありました。
申立人(基本事件被告)は、その親会社である米メルクと基本事件原
告の親会社である独メルクのこの合意の内容が営業秘密にあたること
から、基本事件の訴訟記録中の当該情報記載部分の閲覧謄写等の
制限を申立てました。
しかし、基本事件原告の日本子会社のウェブサイトやウィキペディア、
米メルクのオーストラリア子会社のウェブサイト、WIPO仲裁調停セン
ターのドメインネーム裁定等からこうした合意事項については既に公
然と知られているものであって、申立人保有の営業秘密であるとは
認められないと判断されています(2頁以下)。
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(2)守秘義務の有無
甲号証のなかには、本件合意に係る契約書や書簡がありましたが、独
メルクが契約書上守秘義務を負っているとはいえないこと、別件審判
の訴訟記録中の本件契約書の写しは、既に1年近く閲覧謄写できる状
態であったこと、合意内容に有用性が認められないこと、などからこの
点についても申立人保有の営業秘密であるとは認められないと裁判所
は判断しています(5頁以下)。
結論として、本件合意が申立人保有の営業秘密であることの疎明がない
として申立てが却下されています。
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■コメント
民事訴訟法には、秘密保護のための閲覧謄写等の制限規定があります
(92条)。
訴訟記録中に当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法2条6項)が
記載されているとの疎明がある場合、当事者の申立てにより裁判所は
決定で営業秘密記載部分の閲覧謄写等の請求をすることができる者を
当事者に制限することができます(民訴法92条1項2号)。
基本事件である審決取消請求事件の訴訟記録中に営業秘密の記載が含
まれると被告は申立てたわけですが、非公知性、有用性が認められな
いとしてその記載部分の営業秘密性が否定されました。
申立人は商標権審決取消請求事件では訴訟対応していなくて擬制自白
が成立しています。
秘密としておきたかった部分がどのような事項だったのか、本当のところ
はよく分からない印象です。
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■関連ブログ記事
Matimulog(2008/12/24記事)
arret:訴訟記録閲覧制限請求却下決定
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■参考文献
新民事訴訟法と営業秘密について、
大阪弁護士会友新会編『最新不正競争関係判例と実務第2版』(2003)64頁以下
営業秘密事件の審理の現状と非公開審理について、
牧野利秋監修、飯村敏明編『座談会 不正競争防止法をめぐる実務的課題と理論』(2005)221頁以下
山本庸幸「要説不正競争防止法第4版」(2006)334頁以下
小野昌延編「新注解不正競争防止法新版」(下)(2007)787頁以下
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メルク合意書閲覧等制限申立事件
★知財高裁平成20.12.16平成20(行タ)10007訴訟記録閲覧等制限申立事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 齊木教朗
裁判官 嶋末和秀
基本事件:知財高裁平成20.10.30平成20(行ケ)10308審決取消請求事件
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★知財高裁平成20.12.16平成20(行タ)10008訴訟記録閲覧等制限申立事件PDF
基本事件:知財高裁平成20.10.30平成20(行ケ)10314審決取消請求事件
*裁判所サイト公表 12/24
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■事案
訴訟記録中に営業秘密(不正競争防止法2条6項)が含まれるとして、
その部分の閲覧謄写等の制限を求めた行政訴訟
申立人:製薬会社
登録商標:「メルク萬有」(第642075号)
「日本メルク萬有」(第640192号)
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■結論
申立て却下
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■争点
条文 不正競争防止法2条6項、民訴92条1項2号
1 合意内容の営業秘密性
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■判決内容
<争点>
1 合意内容の営業秘密性
(1)米独メルクの独立と名称使用合意の経緯
独メルクと米メルクは、第一次世界大戦を経て独立した医薬品企業と
なり、「メルク」の名称の使用については地域ごとに異なる取扱いをす
る合意をしている経緯がありました。
申立人(基本事件被告)は、その親会社である米メルクと基本事件原
告の親会社である独メルクのこの合意の内容が営業秘密にあたること
から、基本事件の訴訟記録中の当該情報記載部分の閲覧謄写等の
制限を申立てました。
しかし、基本事件原告の日本子会社のウェブサイトやウィキペディア、
米メルクのオーストラリア子会社のウェブサイト、WIPO仲裁調停セン
ターのドメインネーム裁定等からこうした合意事項については既に公
然と知られているものであって、申立人保有の営業秘密であるとは
認められないと判断されています(2頁以下)。
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(2)守秘義務の有無
甲号証のなかには、本件合意に係る契約書や書簡がありましたが、独
メルクが契約書上守秘義務を負っているとはいえないこと、別件審判
の訴訟記録中の本件契約書の写しは、既に1年近く閲覧謄写できる状
態であったこと、合意内容に有用性が認められないこと、などからこの
点についても申立人保有の営業秘密であるとは認められないと裁判所
は判断しています(5頁以下)。
結論として、本件合意が申立人保有の営業秘密であることの疎明がない
として申立てが却下されています。
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■コメント
民事訴訟法には、秘密保護のための閲覧謄写等の制限規定があります
(92条)。
訴訟記録中に当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法2条6項)が
記載されているとの疎明がある場合、当事者の申立てにより裁判所は
決定で営業秘密記載部分の閲覧謄写等の請求をすることができる者を
当事者に制限することができます(民訴法92条1項2号)。
基本事件である審決取消請求事件の訴訟記録中に営業秘密の記載が含
まれると被告は申立てたわけですが、非公知性、有用性が認められな
いとしてその記載部分の営業秘密性が否定されました。
申立人は商標権審決取消請求事件では訴訟対応していなくて擬制自白
が成立しています。
秘密としておきたかった部分がどのような事項だったのか、本当のところ
はよく分からない印象です。
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■関連ブログ記事
Matimulog(2008/12/24記事)
arret:訴訟記録閲覧制限請求却下決定
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■参考文献
新民事訴訟法と営業秘密について、
大阪弁護士会友新会編『最新不正競争関係判例と実務第2版』(2003)64頁以下
営業秘密事件の審理の現状と非公開審理について、
牧野利秋監修、飯村敏明編『座談会 不正競争防止法をめぐる実務的課題と理論』(2005)221頁以下
山本庸幸「要説不正競争防止法第4版」(2006)334頁以下
小野昌延編「新注解不正競争防止法新版」(下)(2007)787頁以下
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