最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
馬券予想情報顧客名簿事件
★東京地裁平成20.7.30平成19(ワ)28949損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官 國分隆文
裁判官 間明宏充
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■事案
競馬情報提供業者の元従業員らの顧客名簿持ち出しが
営業秘密侵害行為になるかどうかが争われた事案
原告:馬券予想情報提供会社
被告:原告元従業員ら
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項4号、2条1項14号、民法709条
1 顧客名簿は営業秘密に該当するか
2 被告による虚偽告知流布行為の有無
3 被告による備品窃取行為の有無
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■判決内容
<争点>
1 顧客名簿は営業秘密に該当するか
名簿販売業者から購入した名簿(一般名簿)と原告の会員と
なった者の名簿(会員名簿)の2種類(あわせて顧客名簿)の
営業秘密性がまず争点となっています。
営業秘密(不正競争防止法2条6項)の要件について、裁判所は、
「秘密として管理されている」(秘密管理性)というためには、
(1)当該情報にアクセスした者が、当該情報は営業秘密であると客観的に認識できること
(2)当該情報にアクセスする者が制限されていること
(3)組織的な管理が行われていること
が必要であると示したうえで、この事案では、
・新しい一般名簿をその都度コピーして被告らに渡していた
・会員名簿は金庫等に保管されているわけではない
・パソコンから誰でも名簿を取ることができた
などの顧客名簿の管理状況から秘密管理性を認めることはで
きず、名簿が営業秘密に該当するとはいえないと判断しました。
(11頁以下)
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2 被告による虚偽告知流布行為の有無
原告は、被告らがそれらの顧客に対して、
「原告の予想は絶対に当たらない。悪徳予想屋である」
「一度,原告の会員になると,脱会しようとすると脅迫される」
(7頁)
など、原告の信用を毀損する虚偽の情報を電話で告知したとして
虚偽告知流布行為性(2条1項14号)を争点としています。
しかし、結論としては、告知事実の存在が認定されるに至って
いません。
(13頁以下)
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3 被告による備品窃取行為の有無
原告は、被告らがプリンター用トナーやコピー用紙などの備品を窃
取したと主張しましたが、窃取行為の事実は認定されていません。
(15頁)
結論として、原告の主張は容れられず棄却判断となりました。
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■コメント
退職従業員が退職前後から競業する会社の設立を準備、
営業活動を始めたことから、顧客名簿や備品の持ち出し
などの不法行為性が問題となりました。
なお、原告会社の以前の商号は「株式会社農林水産投資
協会」でしたが、この商号についてはJRA(日本中央競馬会)
が注意喚起しています。
JRAニュース
ご注意!『関東厩務員組合』、『(株)農林水産投資協会』
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後記:
競馬というと、小学生の頃まで府中競馬場のそばに
住んでいまして、うちのお隣も厩務員さんでした。
美浦トレーニングセンター(茨城)が開設されてたく
さんの同級生が引っ越していったのを思い出します。