最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ガボールシルバーアクセサリー事件(第2事件)
★東京地裁平成20.6.18平成19(ワ)4876商標権侵害差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官 中村恭
裁判官 宮崎雅子
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■事案
シルバーアクセサリー「Gabor」ブランドの創設者ガボール・ナギー
没後の事業承継を巡って、販売代理店による不正競争行為性が
争われた事案
原告:ガボラトリー インク(米国法人)
:ガボール・ナギーの妻 マリア・ナギー
被告:株式会社トムスジャパン
--------------------
■結論
請求一部認容
--------------------
■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号、19条1項3号
商標法4条1項10号、32条
1 シルバーアクセサリーの立体的形状の商品等表示としての周知性
2 登録商標の無効の肯否 (略)
3 類似商標の使用と商標権の行使 (略)
4 商標の先使用の可否 (略)
5 商品等表示の先使用の可否
6 故意過失
7 損害論
--------------------
■判決内容
<経緯>
S63〜 ガボール・ナギーがアトリエ「ガボラトリー」でシルバーアクセを
製造、販売
H6 原告会社設立、ガボール・ナギーの事業を承継
H8 原告会社が日本に輸出、販売
H11.1.16 ガボール・ナギー死去 妻が相続
H13.5.29 原告会社元職人Eがガボラトリーインターナショナルインク
(インター社)を設立
H14.7 原告会社は有限会社ムーンワークスを通じて日本へ輸出、販売
H15.9.3 米国投資グループCDM社とインター社間で米国商標等譲渡契約
締結
H16.8.17 原告会社が米国商標等に関する紛争で和解契約締結
H16.11 被告会社がCDM社と独占販売元契約締結
H17.6.1 インター社解散
「Gaboratory」商標登録番号第4245432号(権利者:ガボラトリーインク)
「GABOR」 商標登録番号第4962301号 (権利者:マリア・ナギー)
--------------------
*H16.8.17締結の米国商標等に関する紛争の極秘和解契約(一部)
・E、インター社は今後「GABOR」「GABORATORY」商標を使用しない
・E、インター社は原告会社の商品と同一の商品を製造、販売しない
・E、インター社はオリジナル金型を原告会社に引き渡す
--------------------
<争点>
1 シルバーアクセサリーの立体的形状の商品等表示としての周知性
(1)原告商品の周知性
本件シルバーアクセサリーの立体的形状(『パンサー,ブルドック,
ライオンの顔を模した立体形状部,スカルやスネークを模した
立体形状部,十字架をデザインした立体形状部等』8頁)について、
ガボール・ナギーの生前、また没後は事業が一時中断した事情が
あっても日本国内で需要者、取引者に広く認識されていたと認定
されています。
(29頁以下)
--------------------
(2)被告商品の周知性
被告のライセンサー先となるガボラトリーインターナショナル社
(インター社)又はCDM社の商品等表示としての周知性があるかど
うかも検討されていますが、被告商品は周知性を獲得していると
は判断されませんでした。
(30頁)
--------------------
(3)事業承継の有無
被告は、インター社が原告会社の事業を承継していると反論しま
したが、ガボール・ナギーの遺言書やガボール・ナギー署名の譲
渡契約書など乙号証が証拠として採用されませんでした。
(30頁以下)
--------------------
5 商品等表示の先使用の可否
インター社又はCDM社が原告商品の周知性獲得以前に日本国内に商
品を輸出、販売した事実が認められず、被告の商品等表示の先使用
(不正競争防止法19条1項3号)の主張は容れられていません。
(35頁以下)
--------------------
6 故意過失
原告会社の周知な商品等表示である本件立体的形状と同一の形状を
有する本件商品を販売することが原告会社の営業上の利益を侵害す
るものと判断され、この点について原告会社とインター社間で紛争の
あることが知られた状況下で被告がインター社の権原を調査した形跡
が認められないとして、少なくとも被告に過失があるとされています。
(36頁)
--------------------
7 損害論
(1)原告会社
商標権侵害に基づく損害として使用料率8%相当額、さらに不正
競争防止法に基づく損害として使用料率8%相当額の合計258万円、
弁護士費用50万円が損害として認定されています。
(37頁以下)
(2)原告妻
ガボール・ナギーのファーストネームを意味する標章の売上に対する
高い寄与を勘案して8%相当額30万円、弁護士費用10万円を損害額
として認定しています。
(38頁以下)
--------------------
結論として、原告登録商標と同一もしくは類似する標章を使用し
ての被告商品の譲渡、引渡し、展示、輸入の差止、在庫や広告物
の廃棄等と損害賠償が認められました。
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■コメント
笑うスカル(骸骨)が印象的なシルバーアクセサリーブランド
「ガボール」の創設者ガボール・ナギー亡き後、同じ工房の職
人が立ち上げた会社とガボール・ナギーのあとを引き継いだ妻
が代表を務める会社との間で事業承継を巡って争いが生じまし
た。いわば、本家と分家の争い(跡目争い)です。
事業の統括交渉については、紆余曲折があったようです
(21頁以下)。
ガボラトリーインクはアメリカの法人で妻のマリア・ナギーも
カリフォルニア在住ですが、いずれも日本での商標権を取得して
いることから、これをあしがかりに日本でも裁判を起こしてい
ます。
今回の訴訟で分家筋の日本国内販売代理店がご本家から商標権
侵害と不正競争行為により販売や輸入の差止、損害賠償を請求
されましたが、米国内での事業承継関係がもともと不明確で、
こうした状況でライセンス契約を締結するにはリスクが大きか
ったといえそうです。
なお、現在ネットで「ガボール インコーポレイテッド USA」
正規代理店としてガボール商品を扱っている業者と
「gaboratory japan inc」(本家筋?)の正規代理店業者が見つけ
られますが、「ガボール インコーポレイテッド USA」(分家筋)
正規代理店は今後対応を迫られる可能性があります。
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■関連判例
対「ガボール インコーポレイテッド USA」訴訟(第1事件)(PDF)
東京地裁平成20.2.27平成19(ワ)19106商標権侵害差止等請求事件
原告会社が、USA社に対して虚偽告知流布行為の差止
(不正競争防止法2条1項14号)を求めた事案。
結論としては、擬制自白により原告ガボラトリーインク
の請求を一部認容。
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■参考サイト
ガボール作品に詳しいサイトです。
2007.06.30記事
ガボールからの伝言 ガボールのラージスカル
2007.02.09記事
ガボールからの伝言 ガボール本物?偽物?
*ガボール製品の真贋論争については、元職人が金型を
持ち出して作成しているわけで、インターナショナル社
製とガボラトリー社製の違いを論難するのはモノや制作
時期によっては難しいかもしれません。
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■追記08/7/4
工芸作家さんと今回の事件について
話題にしました。銀細工について少し
レクチャーしてもらいました。
『 昔(江戸時代頃)は、銀細工というと
彫金といって、鏨などを用いて、金属の素地を
彫ったり打ち出したりして作るのが普通でしたが
ワックスが入ってきてからは、鋳型で作るものが増えてきて、
今は、「シルバーをやっています」という人は、
ほとんどがワックスですね。
ワックスも、1点ものと、型を作っていくつも量産するもの
とあり、その辺りでもクオリティーの違いや値段の差も
出てくるようです。
最近は、ワックスの他に、銀粘土で作られる銀製品も出てきて、
これは、ワックスのように型を作って銀を流し込んでという
作り方ではなく銀と混ぜものがしてある粘土で形を作り、
それを焼成して作る方法(アートクレイシルバー)。
出来上がったものが銀で出来ているものでも
作り方は、いろいろです。
素材もどんどん進化してきています。』
銀細工も奥が深そう。。
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■追記08/7/12
ガボールからの伝言(08.7.12記事)
ガボール裁判の結末
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■追記10/02/11
名古屋の商標亭(2010年02月09日記事)
知財高裁平成22年1月26日平成20年(行ケ)第10091号審決取消請求事件
GABOR 3題うち1題
(2010年02月10日記事)
Gなの?
ガボールシルバーアクセサリー事件(第2事件)
★東京地裁平成20.6.18平成19(ワ)4876商標権侵害差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官 中村恭
裁判官 宮崎雅子
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■事案
シルバーアクセサリー「Gabor」ブランドの創設者ガボール・ナギー
没後の事業承継を巡って、販売代理店による不正競争行為性が
争われた事案
原告:ガボラトリー インク(米国法人)
:ガボール・ナギーの妻 マリア・ナギー
被告:株式会社トムスジャパン
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号、19条1項3号
商標法4条1項10号、32条
1 シルバーアクセサリーの立体的形状の商品等表示としての周知性
2 登録商標の無効の肯否 (略)
3 類似商標の使用と商標権の行使 (略)
4 商標の先使用の可否 (略)
5 商品等表示の先使用の可否
6 故意過失
7 損害論
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■判決内容
<経緯>
S63〜 ガボール・ナギーがアトリエ「ガボラトリー」でシルバーアクセを
製造、販売
H6 原告会社設立、ガボール・ナギーの事業を承継
H8 原告会社が日本に輸出、販売
H11.1.16 ガボール・ナギー死去 妻が相続
H13.5.29 原告会社元職人Eがガボラトリーインターナショナルインク
(インター社)を設立
H14.7 原告会社は有限会社ムーンワークスを通じて日本へ輸出、販売
H15.9.3 米国投資グループCDM社とインター社間で米国商標等譲渡契約
締結
H16.8.17 原告会社が米国商標等に関する紛争で和解契約締結
H16.11 被告会社がCDM社と独占販売元契約締結
H17.6.1 インター社解散
「Gaboratory」商標登録番号第4245432号(権利者:ガボラトリーインク)
「GABOR」 商標登録番号第4962301号 (権利者:マリア・ナギー)
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*H16.8.17締結の米国商標等に関する紛争の極秘和解契約(一部)
・E、インター社は今後「GABOR」「GABORATORY」商標を使用しない
・E、インター社は原告会社の商品と同一の商品を製造、販売しない
・E、インター社はオリジナル金型を原告会社に引き渡す
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<争点>
1 シルバーアクセサリーの立体的形状の商品等表示としての周知性
(1)原告商品の周知性
本件シルバーアクセサリーの立体的形状(『パンサー,ブルドック,
ライオンの顔を模した立体形状部,スカルやスネークを模した
立体形状部,十字架をデザインした立体形状部等』8頁)について、
ガボール・ナギーの生前、また没後は事業が一時中断した事情が
あっても日本国内で需要者、取引者に広く認識されていたと認定
されています。
(29頁以下)
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(2)被告商品の周知性
被告のライセンサー先となるガボラトリーインターナショナル社
(インター社)又はCDM社の商品等表示としての周知性があるかど
うかも検討されていますが、被告商品は周知性を獲得していると
は判断されませんでした。
(30頁)
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(3)事業承継の有無
被告は、インター社が原告会社の事業を承継していると反論しま
したが、ガボール・ナギーの遺言書やガボール・ナギー署名の譲
渡契約書など乙号証が証拠として採用されませんでした。
(30頁以下)
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5 商品等表示の先使用の可否
インター社又はCDM社が原告商品の周知性獲得以前に日本国内に商
品を輸出、販売した事実が認められず、被告の商品等表示の先使用
(不正競争防止法19条1項3号)の主張は容れられていません。
(35頁以下)
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6 故意過失
原告会社の周知な商品等表示である本件立体的形状と同一の形状を
有する本件商品を販売することが原告会社の営業上の利益を侵害す
るものと判断され、この点について原告会社とインター社間で紛争の
あることが知られた状況下で被告がインター社の権原を調査した形跡
が認められないとして、少なくとも被告に過失があるとされています。
(36頁)
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7 損害論
(1)原告会社
商標権侵害に基づく損害として使用料率8%相当額、さらに不正
競争防止法に基づく損害として使用料率8%相当額の合計258万円、
弁護士費用50万円が損害として認定されています。
(37頁以下)
(2)原告妻
ガボール・ナギーのファーストネームを意味する標章の売上に対する
高い寄与を勘案して8%相当額30万円、弁護士費用10万円を損害額
として認定しています。
(38頁以下)
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結論として、原告登録商標と同一もしくは類似する標章を使用し
ての被告商品の譲渡、引渡し、展示、輸入の差止、在庫や広告物
の廃棄等と損害賠償が認められました。
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■コメント
笑うスカル(骸骨)が印象的なシルバーアクセサリーブランド
「ガボール」の創設者ガボール・ナギー亡き後、同じ工房の職
人が立ち上げた会社とガボール・ナギーのあとを引き継いだ妻
が代表を務める会社との間で事業承継を巡って争いが生じまし
た。いわば、本家と分家の争い(跡目争い)です。
事業の統括交渉については、紆余曲折があったようです
(21頁以下)。
ガボラトリーインクはアメリカの法人で妻のマリア・ナギーも
カリフォルニア在住ですが、いずれも日本での商標権を取得して
いることから、これをあしがかりに日本でも裁判を起こしてい
ます。
今回の訴訟で分家筋の日本国内販売代理店がご本家から商標権
侵害と不正競争行為により販売や輸入の差止、損害賠償を請求
されましたが、米国内での事業承継関係がもともと不明確で、
こうした状況でライセンス契約を締結するにはリスクが大きか
ったといえそうです。
なお、現在ネットで「ガボール インコーポレイテッド USA」
正規代理店としてガボール商品を扱っている業者と
「gaboratory japan inc」(本家筋?)の正規代理店業者が見つけ
られますが、「ガボール インコーポレイテッド USA」(分家筋)
正規代理店は今後対応を迫られる可能性があります。
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■関連判例
対「ガボール インコーポレイテッド USA」訴訟(第1事件)(PDF)
東京地裁平成20.2.27平成19(ワ)19106商標権侵害差止等請求事件
原告会社が、USA社に対して虚偽告知流布行為の差止
(不正競争防止法2条1項14号)を求めた事案。
結論としては、擬制自白により原告ガボラトリーインク
の請求を一部認容。
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■参考サイト
ガボール作品に詳しいサイトです。
2007.06.30記事
ガボールからの伝言 ガボールのラージスカル
2007.02.09記事
ガボールからの伝言 ガボール本物?偽物?
*ガボール製品の真贋論争については、元職人が金型を
持ち出して作成しているわけで、インターナショナル社
製とガボラトリー社製の違いを論難するのはモノや制作
時期によっては難しいかもしれません。
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■追記08/7/4
工芸作家さんと今回の事件について
話題にしました。銀細工について少し
レクチャーしてもらいました。
『 昔(江戸時代頃)は、銀細工というと
彫金といって、鏨などを用いて、金属の素地を
彫ったり打ち出したりして作るのが普通でしたが
ワックスが入ってきてからは、鋳型で作るものが増えてきて、
今は、「シルバーをやっています」という人は、
ほとんどがワックスですね。
ワックスも、1点ものと、型を作っていくつも量産するもの
とあり、その辺りでもクオリティーの違いや値段の差も
出てくるようです。
最近は、ワックスの他に、銀粘土で作られる銀製品も出てきて、
これは、ワックスのように型を作って銀を流し込んでという
作り方ではなく銀と混ぜものがしてある粘土で形を作り、
それを焼成して作る方法(アートクレイシルバー)。
出来上がったものが銀で出来ているものでも
作り方は、いろいろです。
素材もどんどん進化してきています。』
銀細工も奥が深そう。。
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■追記08/7/12
ガボールからの伝言(08.7.12記事)
ガボール裁判の結末
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■追記10/02/11
名古屋の商標亭(2010年02月09日記事)
知財高裁平成22年1月26日平成20年(行ケ)第10091号審決取消請求事件
GABOR 3題うち1題
(2010年02月10日記事)
Gなの?