最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
遮熱断熱材写真事件
★東京地裁平成20.6.26平成19(ワ)17832不正競争行為差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官 関根澄子
裁判官 杉浦正典
--------------------
■事案
住宅用遮熱断熱材などの写真、図面の書籍やウェブサイトでの
無断使用が不正競争防止法、著作権法に違反するかどうかが
争われた事案
原告:遮熱材販売会社
被告:木造注文住宅建築会社ら
被告会社代表取締役
--------------------
■結論
請求一部認容
--------------------
■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号、著作権法2条1項1号、15条、21条、
19条、20条
1 本件写真の書籍、HPでの使用が不正競争行為にあたるか
2 本件写真の著作物性
--------------------
■判決内容
<経緯>
H15.4.24 原告が米国法人リフレクティックス社と独占販売契約締結
原告代表者が本件写真1(リ社工場風景)を撮影
H18.5.15 被告代表取締役が本件書籍を発行
H19.2. 6 被告せらら工房がHPに本件写真1を掲載
被告近代ホームがHPに本件書籍の表表紙を掲載
H19.4. 5 被告ウイッシュホームがHPに本件写真2(製品写真)を掲載
--------------------
<争点>
1 本件写真の書籍、HPでの使用が不正競争行為にあたるか
【1】被告代表取締役に対する請求
被告代表取締役は著書「新・外断熱住宅はもう古い!」
(エール出版)に無断で本件写真1(リ社工場風景)と
本件写真2-1(製品写真)を掲載していました。
この行為についてリ社製品の表示又は原告の営業表示
として周知の商品等表示(不正競争防止法2条1項1号)
にあたると原告は主張しました。
しかし、裁判所は、
1.工場内を撮影した写真からは、リ社であることが伺われない
2.原告説明文と相まってリ社工場内写真であることが理解できる
3.原告は、リ社製品に工場内写真を付して使用していない
といった点から、本件写真1(リ社工場内写真)は他社
商品識別、営業主体識別表示としては認識されず、
原告の商品等表示にはあたらないとされました。
本件写真2-1の製品写真についても、リ社製品の形状
や機能を説明するために用いられているもので、他者
製品識別表示又は営業主体識別表示として用いられ
ているわけではない。また、周知性にも欠けるとし
ています。
(22頁以下)
結論として、被告代表取締役による不正競争行為は
認められませんでした。
--------------------
【2】被告せらら工房に対する請求
被告せらら工房が自社のHPに本件写真1を掲載した行
為について、被告代表取締役での認定と同様、被告
せらら工房による不正競争行為性は否定されています。
(33頁以下)
--------------------
2 本件写真の著作物性
【1】被告代表取締役に対する請求
(1)本件写真1(リ社工場内写真)の著作物性
工場内の天井、側壁面などを主な被写体とした本件写
真1の著作物性について、被告は印象の平凡性などか
ら独自性がないとして著作物性が認められないと反論
しましたが、裁判所は、
『(1)本件写真1は,原告代表者が,リフレクティックス社の工場内の天井,左側壁面及び前方奥の壁面を主な被写体として,これらを写真全体の3分の2程度に大きく取り入れた構図とし,低いアングルから工場内全体を撮影したものであること,(2)原告代表者は,上記工場内の天井及び壁面にリフレクティックス製品が使用されている状況並びに同工場内にエアコンが設置されていない状況などを表現するために,上記構図及びアングルを選択したことに照らすならば,本件写真1は,被写体の構図及びアングルの選択において,撮影者である原告代表者の創作性が認められ,原告代表者の思想又は感情を創作的に表現したものと認められるから,著作物(著作権法2条1項1号)に当たるものと認められる。』
と著作物性を肯定しています。
(26頁以下)
そのうえで本件写真1は、原告代表者によって撮影され
ており、職務著作(15条1項)として原告会社が著作者、
著作権者であると判断されています。
--------------------
(2)本件写真2(製品写真)と製品図面の著作権の帰属
本件写真2(製品写真)と製品図面の著作権の帰属につ
いては、原告がリ社から複製権の譲渡を受けるなどの
事実が認定されるに至っていません。
(29頁以下)
--------------------
(3)差止、廃棄請求の要否
本件写真1(リ社工場内写真)に対する複製権侵害として
原告は本件書籍の増刷、販売又は頒布の差止め及び未販
売の本件書籍の廃棄を求めましたが、裁判所は必要性を
認めませんでした。
(30頁以下)
--------------------
(4)損害論
氏名表示権侵害による慰謝料として20万円が損害として
認定されています。
(31頁以下)
なお、説明文が写真と一致しない点については、本件写
真1の改変にはあたらないとして、同一性保持権侵害性は
否定されています。
--------------------
【2】被告せらら工房に対する請求
被告せらら工房は、自社のHPに本件写真1を無断で掲載の
うえ、原告の著作者表示をしていなかったことから、原告
の氏名表示権を侵害しているとして、10万円の損害額が認
定されています。
(33頁以下)
結論として、被告代表取締役と被告せらら工房に対して
のみ、損害賠償請求が認められました。
--------------------
■コメント
住宅用遮熱断熱材の写真や構造図の著作物性については、
判断されるまでに至りませんでしたが、製品写真の著作
物性という点では、松本肇さんが提訴したスメルゲット事件
(知財高裁平成18年3月29日判決平成17(ネ)10094請負代金
請求控訴事件)を想起するところです。
--------------------
■過去のブログ記事
2006年4月3日記事(スメルゲット事件)
「ホームページ著作権侵害」事件控訴審
--------------------
■本件書籍
松本祐「新・外断熱住宅はもう古い!」(エール出版)
新・外断熱住宅はもう古い! (YELL books)
遮熱断熱材写真事件
★東京地裁平成20.6.26平成19(ワ)17832不正競争行為差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官 関根澄子
裁判官 杉浦正典
--------------------
■事案
住宅用遮熱断熱材などの写真、図面の書籍やウェブサイトでの
無断使用が不正競争防止法、著作権法に違反するかどうかが
争われた事案
原告:遮熱材販売会社
被告:木造注文住宅建築会社ら
被告会社代表取締役
--------------------
■結論
請求一部認容
--------------------
■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号、著作権法2条1項1号、15条、21条、
19条、20条
1 本件写真の書籍、HPでの使用が不正競争行為にあたるか
2 本件写真の著作物性
--------------------
■判決内容
<経緯>
H15.4.24 原告が米国法人リフレクティックス社と独占販売契約締結
原告代表者が本件写真1(リ社工場風景)を撮影
H18.5.15 被告代表取締役が本件書籍を発行
H19.2. 6 被告せらら工房がHPに本件写真1を掲載
被告近代ホームがHPに本件書籍の表表紙を掲載
H19.4. 5 被告ウイッシュホームがHPに本件写真2(製品写真)を掲載
--------------------
<争点>
1 本件写真の書籍、HPでの使用が不正競争行為にあたるか
【1】被告代表取締役に対する請求
被告代表取締役は著書「新・外断熱住宅はもう古い!」
(エール出版)に無断で本件写真1(リ社工場風景)と
本件写真2-1(製品写真)を掲載していました。
この行為についてリ社製品の表示又は原告の営業表示
として周知の商品等表示(不正競争防止法2条1項1号)
にあたると原告は主張しました。
しかし、裁判所は、
1.工場内を撮影した写真からは、リ社であることが伺われない
2.原告説明文と相まってリ社工場内写真であることが理解できる
3.原告は、リ社製品に工場内写真を付して使用していない
といった点から、本件写真1(リ社工場内写真)は他社
商品識別、営業主体識別表示としては認識されず、
原告の商品等表示にはあたらないとされました。
本件写真2-1の製品写真についても、リ社製品の形状
や機能を説明するために用いられているもので、他者
製品識別表示又は営業主体識別表示として用いられ
ているわけではない。また、周知性にも欠けるとし
ています。
(22頁以下)
結論として、被告代表取締役による不正競争行為は
認められませんでした。
--------------------
【2】被告せらら工房に対する請求
被告せらら工房が自社のHPに本件写真1を掲載した行
為について、被告代表取締役での認定と同様、被告
せらら工房による不正競争行為性は否定されています。
(33頁以下)
--------------------
2 本件写真の著作物性
【1】被告代表取締役に対する請求
(1)本件写真1(リ社工場内写真)の著作物性
工場内の天井、側壁面などを主な被写体とした本件写
真1の著作物性について、被告は印象の平凡性などか
ら独自性がないとして著作物性が認められないと反論
しましたが、裁判所は、
『(1)本件写真1は,原告代表者が,リフレクティックス社の工場内の天井,左側壁面及び前方奥の壁面を主な被写体として,これらを写真全体の3分の2程度に大きく取り入れた構図とし,低いアングルから工場内全体を撮影したものであること,(2)原告代表者は,上記工場内の天井及び壁面にリフレクティックス製品が使用されている状況並びに同工場内にエアコンが設置されていない状況などを表現するために,上記構図及びアングルを選択したことに照らすならば,本件写真1は,被写体の構図及びアングルの選択において,撮影者である原告代表者の創作性が認められ,原告代表者の思想又は感情を創作的に表現したものと認められるから,著作物(著作権法2条1項1号)に当たるものと認められる。』
と著作物性を肯定しています。
(26頁以下)
そのうえで本件写真1は、原告代表者によって撮影され
ており、職務著作(15条1項)として原告会社が著作者、
著作権者であると判断されています。
--------------------
(2)本件写真2(製品写真)と製品図面の著作権の帰属
本件写真2(製品写真)と製品図面の著作権の帰属につ
いては、原告がリ社から複製権の譲渡を受けるなどの
事実が認定されるに至っていません。
(29頁以下)
--------------------
(3)差止、廃棄請求の要否
本件写真1(リ社工場内写真)に対する複製権侵害として
原告は本件書籍の増刷、販売又は頒布の差止め及び未販
売の本件書籍の廃棄を求めましたが、裁判所は必要性を
認めませんでした。
(30頁以下)
--------------------
(4)損害論
氏名表示権侵害による慰謝料として20万円が損害として
認定されています。
(31頁以下)
なお、説明文が写真と一致しない点については、本件写
真1の改変にはあたらないとして、同一性保持権侵害性は
否定されています。
--------------------
【2】被告せらら工房に対する請求
被告せらら工房は、自社のHPに本件写真1を無断で掲載の
うえ、原告の著作者表示をしていなかったことから、原告
の氏名表示権を侵害しているとして、10万円の損害額が認
定されています。
(33頁以下)
結論として、被告代表取締役と被告せらら工房に対して
のみ、損害賠償請求が認められました。
--------------------
■コメント
住宅用遮熱断熱材の写真や構造図の著作物性については、
判断されるまでに至りませんでしたが、製品写真の著作
物性という点では、松本肇さんが提訴したスメルゲット事件
(知財高裁平成18年3月29日判決平成17(ネ)10094請負代金
請求控訴事件)を想起するところです。
--------------------
■過去のブログ記事
2006年4月3日記事(スメルゲット事件)
「ホームページ著作権侵害」事件控訴審
--------------------
■本件書籍
松本祐「新・外断熱住宅はもう古い!」(エール出版)
新・外断熱住宅はもう古い! (YELL books)