最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
数霊占術書籍事件
★東京地裁平成20.6.11平成19(ワ)31919損害賠償等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官 大竹優子
裁判官 中村恭
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■事案
生年月日から数字を算出して鑑定する「数霊占術」に関する
書籍の著作権侵害性が争われた事案
原告:未来予知学研究家
被告:占者
出版社ら
--------------------
■結論
請求棄却
--------------------
■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、27条、20条
1 複製権・翻案権侵害性の肯否
--------------------
■判決内容
<経緯>
H3.7.28 原告が「数霊占術講義(1)入門初級編(改訂版)」発行
H17.12.5 被告が「激数占い」発行(被告書籍2)
H19.6.19 被告が「運命の激数占い」発行(被告書籍1)
--------------------
<争点>
1 複製権・翻案権侵害性の肯否
以下の部分での原告書籍と被告書籍1との実質的同一性が
検討されました。
(1)旧暦に基づく算定
(2)「命数」の出し方
(3)具体例
(4)「数霊盤」の数の展開
(5)「破壊数」の説明
(6)数字の印の付け方
(7)数霊簡易暦
(8)破壊数一覧表
(9)数霊盤
裁判所は、江差追分事件(最高裁平成13.6.28判決)を前提に、
複製権、翻案権侵害性を検討。
結論としては、表現が全く異なっているとか、アイデアにお
ける同一性にすぎない、あるいはありふれた表現でそもそも
創作性がない、と判断しています。
(18頁以下)
たとえば、(7)数霊簡易暦(旧暦にしたがった各年の月ごと
の「節入(日)」「(生)月数理」「十二支」、「破壊数」
などが記載された縦書き一覧表)の実質的同一性について
裁判所は、
『前提事実(2)イ(キ)によれば,被告書籍1の7は,「節入(日)」,「(生)月数理」,月ごとの「破壊数」の部分で,原告書籍7と同一性を有すると認められるが,占いの方法として旧暦を採用すれば,「節入(日)」が同一となるのは当然の結果であるし,占いの方法として原告と同じ方法を採用すれば,「(生)月数理」,月ごとの「破壊数」の部分で同一となるのは当然の結果であるから,これらの部分での同一性は,「アイデア」などの表現それ自体ではない部分での同一性にすぎないと認められる。
また,月ごとの「破壊数」等を表形式で,時系列に記載することは,ありふれた表現であると認められる。しかも,被告書籍1の7は,各年を旧暦では前年に属する1月を除外して2月から開始し,原告書籍7には存在する「十二支」や年ごとの破壊数等を有しないなどの点で,原告書籍7と異なっていると認められる。』
(20頁)
と判示しています。
なお、被告書籍2との対比についても同様の判断の流れと
なっていて、複製権侵害性を否定しています。
(21頁以下)
--------------------
■コメント
原告書籍は、「万学に通じる超科学としての未来予知学の基礎
を確立する学問」であるところの「数霊学」の理論を活用して
占術に取り入れた「数霊占術」に関するもの(8頁)でしたが、
第三者によるたんなるアイデアの流用については、著作権法で
は保護されない結果となりました。
--------------------
■最近のアイデアに関する判例について
パズル事件
東京地裁平成20.1.31平成18(ワ)13803損害賠償請求事件
「パズル」事件(2008年2月20日記事)
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■参考判例
・万年暦の著作物性が否定された事例について
万年カレンダー事件
大阪地裁昭和59.1.26判決昭和55(ワ)2009損害賠償請求事件
----------
・タロットカードの占い方を解説した折畳みシートに著作物性が
認められるとされた事例について
タロットカード解説書事件
東京地裁平成1.10.6判決昭和58(ワ)7597損害賠償請求事件
----------
・数理解析の解明過程や方程式の著作物性が否定された事例について
野川グループ論文事件(控訴審)
大阪高裁平成6.2.25平成2(ネ)2615損害賠償請求控訴事件
----------
・高島開運暦(運勢暦)書籍の著作者、職務著作の成否、編集
著作物性が争われた事案について
高島易断著作権侵害出版差止事件
東京地裁H17. 9.28平成16(ワ)4697出版差止等請求事件
PDF
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■参考文献
田村善之『著作権法第2版』(2001)18頁以下
中山信弘『著作権法』(2007)36頁以下
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■追記08/11/29
控訴審
知財高裁平成20.11.27平成20(ネ)10058損害賠償等請求控訴事件PDF
数霊占術書籍事件
★東京地裁平成20.6.11平成19(ワ)31919損害賠償等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官 大竹優子
裁判官 中村恭
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■事案
生年月日から数字を算出して鑑定する「数霊占術」に関する
書籍の著作権侵害性が争われた事案
原告:未来予知学研究家
被告:占者
出版社ら
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、27条、20条
1 複製権・翻案権侵害性の肯否
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■判決内容
<経緯>
H3.7.28 原告が「数霊占術講義(1)入門初級編(改訂版)」発行
H17.12.5 被告が「激数占い」発行(被告書籍2)
H19.6.19 被告が「運命の激数占い」発行(被告書籍1)
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<争点>
1 複製権・翻案権侵害性の肯否
以下の部分での原告書籍と被告書籍1との実質的同一性が
検討されました。
(1)旧暦に基づく算定
(2)「命数」の出し方
(3)具体例
(4)「数霊盤」の数の展開
(5)「破壊数」の説明
(6)数字の印の付け方
(7)数霊簡易暦
(8)破壊数一覧表
(9)数霊盤
裁判所は、江差追分事件(最高裁平成13.6.28判決)を前提に、
複製権、翻案権侵害性を検討。
結論としては、表現が全く異なっているとか、アイデアにお
ける同一性にすぎない、あるいはありふれた表現でそもそも
創作性がない、と判断しています。
(18頁以下)
たとえば、(7)数霊簡易暦(旧暦にしたがった各年の月ごと
の「節入(日)」「(生)月数理」「十二支」、「破壊数」
などが記載された縦書き一覧表)の実質的同一性について
裁判所は、
『前提事実(2)イ(キ)によれば,被告書籍1の7は,「節入(日)」,「(生)月数理」,月ごとの「破壊数」の部分で,原告書籍7と同一性を有すると認められるが,占いの方法として旧暦を採用すれば,「節入(日)」が同一となるのは当然の結果であるし,占いの方法として原告と同じ方法を採用すれば,「(生)月数理」,月ごとの「破壊数」の部分で同一となるのは当然の結果であるから,これらの部分での同一性は,「アイデア」などの表現それ自体ではない部分での同一性にすぎないと認められる。
また,月ごとの「破壊数」等を表形式で,時系列に記載することは,ありふれた表現であると認められる。しかも,被告書籍1の7は,各年を旧暦では前年に属する1月を除外して2月から開始し,原告書籍7には存在する「十二支」や年ごとの破壊数等を有しないなどの点で,原告書籍7と異なっていると認められる。』
(20頁)
と判示しています。
なお、被告書籍2との対比についても同様の判断の流れと
なっていて、複製権侵害性を否定しています。
(21頁以下)
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■コメント
原告書籍は、「万学に通じる超科学としての未来予知学の基礎
を確立する学問」であるところの「数霊学」の理論を活用して
占術に取り入れた「数霊占術」に関するもの(8頁)でしたが、
第三者によるたんなるアイデアの流用については、著作権法で
は保護されない結果となりました。
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■最近のアイデアに関する判例について
パズル事件
東京地裁平成20.1.31平成18(ワ)13803損害賠償請求事件
「パズル」事件(2008年2月20日記事)
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■参考判例
・万年暦の著作物性が否定された事例について
万年カレンダー事件
大阪地裁昭和59.1.26判決昭和55(ワ)2009損害賠償請求事件
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・タロットカードの占い方を解説した折畳みシートに著作物性が
認められるとされた事例について
タロットカード解説書事件
東京地裁平成1.10.6判決昭和58(ワ)7597損害賠償請求事件
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・数理解析の解明過程や方程式の著作物性が否定された事例について
野川グループ論文事件(控訴審)
大阪高裁平成6.2.25平成2(ネ)2615損害賠償請求控訴事件
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・高島開運暦(運勢暦)書籍の著作者、職務著作の成否、編集
著作物性が争われた事案について
高島易断著作権侵害出版差止事件
東京地裁H17. 9.28平成16(ワ)4697出版差止等請求事件
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■参考文献
田村善之『著作権法第2版』(2001)18頁以下
中山信弘『著作権法』(2007)36頁以下
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■追記08/11/29
控訴審
知財高裁平成20.11.27平成20(ネ)10058損害賠償等請求控訴事件PDF