裁判所HP 下級裁判所判例集より
「汎用スタッキングチェア意匠権侵害」事件
★名古屋地裁平成19.8.30平成18(ワ)2709意匠権に基づく差し止め請求権不存在確認請求,同反訴請求PDF
名古屋地方裁判所民事第9部
裁判長裁判官 中村直文
裁判官 前田郁勝
裁判官 片山博仁
■事案
スタッキング(積み重ね)可能なパイプ椅子の製造販売行為が意匠権を
侵害し、また不正競争防止法2条1項1号等の不正競争行為に当たるか
どうかが争われた事案
原告(反訴被告):椅子、机製造販売会社
被告(反訴原告):椅子、机製造販売会社
本訴:被告の警告書通知行為に基づく損害賠償等請求(2条1項14号)
反訴:原告の意匠権侵害行為に基づく差止等請求(2条1項1号等)
■結論
請求棄却
■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号、2号、3号、14号、民法709条
1 意匠権侵害性
2 不正競争防止法2条1項1号、2号、3号該当性
3 不正競争防止法2条1項14号該当性
4 民法709条該当性
■判決内容
<経緯>
H15.10〜 被告は被告登録意匠に基づく製品を製造販売
2003年度グッドデザイン賞受賞
2003年東京国際家具見本市銀賞受賞
H16.01〜 原告が原告製品を製造販売
H16.01.23 被告意匠登録(1199425号、1199085号)
H16.01.23 被告が原告の取引先に対して警告書を通知(本件書面1)
H16.06.09 被告が原告の取引先に対して再度警告書通知(本件書面2)
<争点>
1 意匠権侵害性
被告登録意匠と原告製品の各構成態様、要部、類否判断という流れで
判断しています。
(22頁以下)
結論的には、
『本件登録意匠1・2と原告製品の差異点がいす全体に与える美感の違いは,背もたれの上下辺が上下対称な円弧状に湾曲している等の両意匠の共通点が美感に与える効果を優に超えるものであり,意匠全体として需要者に別異の美感を与えるものと認められるから,原告製品は,本件登録意匠1・2と類似するものとはいえない。』
意匠権侵害性は認められませんでした。
2 不正競争防止法2条1項1号、2号、3号該当性
『被告製品と原告製品の構成の比較,両製品の意匠の類否については,争点(1)アで検討した本件登録意匠1・2と原告製品の意匠の類否についての判断がそのまま当てはまるから,被告製品の形態と原告製品の形態とは類似するものではないというべきである。』(27頁)
という点から、原告製品と被告製品は類似するものでもなくまた、
模倣したものでもないとして2条1項1号ないし3号の不正競争行為性
を否定しました。
3 不正競争防止法2条1項14号該当性
原告の取引先に対して、被告が行った警告行為(書面2通)の営業誹謗
行為性について、いずれも不正競争行為性を否定しています。
(28頁以下)
原告商品と被告商品は類似しないことから、警告内容は虚偽事実となる
わけですが、原告の取引先は原告の製造に係る原告製品を自社製品として
販売するいわゆるOEM供給取引であったことから、
『意匠権を侵害する旨の警告書を発することは,くろがね工作所に対する権利行使の前提として行う交渉行為として社会通念上許容されると解することができる。』
(32頁)
として、警告書の内容も勘案した上で不正競争行為性を否定しています。
4 民法709条該当性
被告による警告書送付行為の一般不法行為性も否定されています。
(33頁)
■コメント
14号の営業誹謗行為性については、いわゆる違法性阻却論による処理と
なっています。
■参考文献
小野昌延編「新注解不正競争防止法新版」(上)(2007)718頁
小松一雄編著「不正競業訴訟の実務」(2005)384頁以下
■参考サイト
2003年度グッドデザイン賞作品
Good Design Award
原告会社製品一覧
商品データー
「汎用スタッキングチェア意匠権侵害」事件
★名古屋地裁平成19.8.30平成18(ワ)2709意匠権に基づく差し止め請求権不存在確認請求,同反訴請求PDF
名古屋地方裁判所民事第9部
裁判長裁判官 中村直文
裁判官 前田郁勝
裁判官 片山博仁
■事案
スタッキング(積み重ね)可能なパイプ椅子の製造販売行為が意匠権を
侵害し、また不正競争防止法2条1項1号等の不正競争行為に当たるか
どうかが争われた事案
原告(反訴被告):椅子、机製造販売会社
被告(反訴原告):椅子、机製造販売会社
本訴:被告の警告書通知行為に基づく損害賠償等請求(2条1項14号)
反訴:原告の意匠権侵害行為に基づく差止等請求(2条1項1号等)
■結論
請求棄却
■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号、2号、3号、14号、民法709条
1 意匠権侵害性
2 不正競争防止法2条1項1号、2号、3号該当性
3 不正競争防止法2条1項14号該当性
4 民法709条該当性
■判決内容
<経緯>
H15.10〜 被告は被告登録意匠に基づく製品を製造販売
2003年度グッドデザイン賞受賞
2003年東京国際家具見本市銀賞受賞
H16.01〜 原告が原告製品を製造販売
H16.01.23 被告意匠登録(1199425号、1199085号)
H16.01.23 被告が原告の取引先に対して警告書を通知(本件書面1)
H16.06.09 被告が原告の取引先に対して再度警告書通知(本件書面2)
<争点>
1 意匠権侵害性
被告登録意匠と原告製品の各構成態様、要部、類否判断という流れで
判断しています。
(22頁以下)
結論的には、
『本件登録意匠1・2と原告製品の差異点がいす全体に与える美感の違いは,背もたれの上下辺が上下対称な円弧状に湾曲している等の両意匠の共通点が美感に与える効果を優に超えるものであり,意匠全体として需要者に別異の美感を与えるものと認められるから,原告製品は,本件登録意匠1・2と類似するものとはいえない。』
意匠権侵害性は認められませんでした。
2 不正競争防止法2条1項1号、2号、3号該当性
『被告製品と原告製品の構成の比較,両製品の意匠の類否については,争点(1)アで検討した本件登録意匠1・2と原告製品の意匠の類否についての判断がそのまま当てはまるから,被告製品の形態と原告製品の形態とは類似するものではないというべきである。』(27頁)
という点から、原告製品と被告製品は類似するものでもなくまた、
模倣したものでもないとして2条1項1号ないし3号の不正競争行為性
を否定しました。
3 不正競争防止法2条1項14号該当性
原告の取引先に対して、被告が行った警告行為(書面2通)の営業誹謗
行為性について、いずれも不正競争行為性を否定しています。
(28頁以下)
原告商品と被告商品は類似しないことから、警告内容は虚偽事実となる
わけですが、原告の取引先は原告の製造に係る原告製品を自社製品として
販売するいわゆるOEM供給取引であったことから、
『意匠権を侵害する旨の警告書を発することは,くろがね工作所に対する権利行使の前提として行う交渉行為として社会通念上許容されると解することができる。』
(32頁)
として、警告書の内容も勘案した上で不正競争行為性を否定しています。
4 民法709条該当性
被告による警告書送付行為の一般不法行為性も否定されています。
(33頁)
■コメント
14号の営業誹謗行為性については、いわゆる違法性阻却論による処理と
なっています。
■参考文献
小野昌延編「新注解不正競争防止法新版」(上)(2007)718頁
小松一雄編著「不正競業訴訟の実務」(2005)384頁以下
■参考サイト
2003年度グッドデザイン賞作品
Good Design Award
原告会社製品一覧
商品データー