裁判所HP 知的財産裁判例集より
「カーテンランナー形態模倣」事件
★大阪地裁平成19.12.11平成18(ワ)14144意匠権侵害差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 田中俊次
裁判官 高松宏之
裁判官 西理香
■事案
カーテンランナー(カーテンレールのランナー部分)の形態の類似性が
争われた事案
原告:カーテンレール製造販売会社
被告:インテリアファブリック開発輸入販売会社
原告登録意匠 1218001号(カーテンランナー)
■結論
請求棄却
■争点
条文 意匠法37条、不正競争防止法2条1項1号、3号
1 登録意匠との類否(意匠権侵害性)
2 不正競争行為性(技術的形態と商品等表示の調整)
■判決内容
<争点>
1 登録意匠との類否(意匠権侵害性)
原告登録意匠と被告製品意匠の類否について、構成態様を認定のうえ
(22頁以下)、要部を検討。
本件登録意匠のうちのランナー部及び支軸部の構成は、要部とはいえず
要部はランナー部とフック部とを組合わせるうえでの具体的構成の点に
あると判断しています。
(24頁以下)
そのうえで、登録意匠と被告意匠の共通点と相違点を検討。
結論として、共通点はありふれた構成で、相違点は本件登録意匠の特徴
点に関するもので、全体として相違点が共通点を凌駕し、被告意匠は本
件登録意匠とは美感を異にすると判断しています。
(25頁以下)
原告の意匠権に基づく請求は認められませんでした。
2 不正競争行為性(技術的形態と商品等表示の調整)
(1)商品等表示性(1号該当性)
商品形態自体の「商品等表示」性要件具備の可能性を前提として原告商品
の形態の「商品等表示」性を検討。
結論的には、「商品等表示」に該当しないと判断しています。
1.基本的形態と商品等表示性
ランナー部とフック部の組み合わせは従来のカーテンランナーにはない
新規な形態的特徴を有しているとされましたが、
『ランナー部とフック部とを組み合わせた基本的形態とすることは,カーテンランナーが,カーテンをカーテンレールにS字状フックを用いることなくワンタッチで装着できるという機能や効用を有するものとするために不可避的な形態であるといえる。そして,このように同種の商品の機能や効用を発揮するために不可避の形態をもって不正競争防止法2条1項1号の周知な商品表示とする場合には,同号が保護の目的とする出所表示機能の保護を超えて,当該種類の商品の機能や効用を独占することを認めることとなるから,そのような同種の商品の機能や効用を発揮するために不可避の形態については,同号にいう「商品等表示」に該当しないと解するべきである。』
(32頁)
として、ランナー部とフック部の組み合わせといった基本的形態の点に
ついては「商品等表示」性が否定されています。
2.具体的形態と商品等表示性
フック部の形態についてなお独自の形態的特徴から「商品等表示」性が
認められる余地を肯定していますが、原告商品はその販売・宣伝広告の
状況などから商品出所性を獲得しておらず、結論的には「商品等表示」性
が具体的形態の点においても否定されています。
(32頁以下)
(2)周知性
周知性についても認められていません。
(33頁以下)
(3)類似性
「なお念のため」として、原告商品の形態が周知な商品等表示性を具備
していると仮定しての判断が行われています。
(34頁以下)
技術的形態であって不可避の形態部分以外の部分での類否が判断されて
いて、結論的には原告各商品と被告各商品の類似性が否定されています。
(4)模倣性(3号該当性)
原告商品と被告商品とは実質的同一性がないとして、3号該当性も否定
されています。
(35頁以下)
■コメント
原告登録意匠(1218001号)をみてみると、フック部分に登山用具で
よく目にするカラビナ風の器具が利用されていて、カーテン取付の際
にS字状の金属フック金具(Sカン)を使わないで済む点で作業場など
では便利そうな商品であることがわかります。
■参考文献
小松一雄編著「不正競業訴訟の実務」(2005)194頁以下
■関連サイト
原告商品「ワンタッチランナー」
岡田装飾金物株式会社|商品紹介|大型機能レール・間仕切ポール
「カーテンランナー形態模倣」事件
★大阪地裁平成19.12.11平成18(ワ)14144意匠権侵害差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 田中俊次
裁判官 高松宏之
裁判官 西理香
■事案
カーテンランナー(カーテンレールのランナー部分)の形態の類似性が
争われた事案
原告:カーテンレール製造販売会社
被告:インテリアファブリック開発輸入販売会社
原告登録意匠 1218001号(カーテンランナー)
■結論
請求棄却
■争点
条文 意匠法37条、不正競争防止法2条1項1号、3号
1 登録意匠との類否(意匠権侵害性)
2 不正競争行為性(技術的形態と商品等表示の調整)
■判決内容
<争点>
1 登録意匠との類否(意匠権侵害性)
原告登録意匠と被告製品意匠の類否について、構成態様を認定のうえ
(22頁以下)、要部を検討。
本件登録意匠のうちのランナー部及び支軸部の構成は、要部とはいえず
要部はランナー部とフック部とを組合わせるうえでの具体的構成の点に
あると判断しています。
(24頁以下)
そのうえで、登録意匠と被告意匠の共通点と相違点を検討。
結論として、共通点はありふれた構成で、相違点は本件登録意匠の特徴
点に関するもので、全体として相違点が共通点を凌駕し、被告意匠は本
件登録意匠とは美感を異にすると判断しています。
(25頁以下)
原告の意匠権に基づく請求は認められませんでした。
2 不正競争行為性(技術的形態と商品等表示の調整)
(1)商品等表示性(1号該当性)
商品形態自体の「商品等表示」性要件具備の可能性を前提として原告商品
の形態の「商品等表示」性を検討。
結論的には、「商品等表示」に該当しないと判断しています。
1.基本的形態と商品等表示性
ランナー部とフック部の組み合わせは従来のカーテンランナーにはない
新規な形態的特徴を有しているとされましたが、
『ランナー部とフック部とを組み合わせた基本的形態とすることは,カーテンランナーが,カーテンをカーテンレールにS字状フックを用いることなくワンタッチで装着できるという機能や効用を有するものとするために不可避的な形態であるといえる。そして,このように同種の商品の機能や効用を発揮するために不可避の形態をもって不正競争防止法2条1項1号の周知な商品表示とする場合には,同号が保護の目的とする出所表示機能の保護を超えて,当該種類の商品の機能や効用を独占することを認めることとなるから,そのような同種の商品の機能や効用を発揮するために不可避の形態については,同号にいう「商品等表示」に該当しないと解するべきである。』
(32頁)
として、ランナー部とフック部の組み合わせといった基本的形態の点に
ついては「商品等表示」性が否定されています。
2.具体的形態と商品等表示性
フック部の形態についてなお独自の形態的特徴から「商品等表示」性が
認められる余地を肯定していますが、原告商品はその販売・宣伝広告の
状況などから商品出所性を獲得しておらず、結論的には「商品等表示」性
が具体的形態の点においても否定されています。
(32頁以下)
(2)周知性
周知性についても認められていません。
(33頁以下)
(3)類似性
「なお念のため」として、原告商品の形態が周知な商品等表示性を具備
していると仮定しての判断が行われています。
(34頁以下)
技術的形態であって不可避の形態部分以外の部分での類否が判断されて
いて、結論的には原告各商品と被告各商品の類似性が否定されています。
(4)模倣性(3号該当性)
原告商品と被告商品とは実質的同一性がないとして、3号該当性も否定
されています。
(35頁以下)
■コメント
原告登録意匠(1218001号)をみてみると、フック部分に登山用具で
よく目にするカラビナ風の器具が利用されていて、カーテン取付の際
にS字状の金属フック金具(Sカン)を使わないで済む点で作業場など
では便利そうな商品であることがわかります。
■参考文献
小松一雄編著「不正競業訴訟の実務」(2005)194頁以下
■関連サイト
原告商品「ワンタッチランナー」
岡田装飾金物株式会社|商品紹介|大型機能レール・間仕切ポール