裁判所HP 知的財産裁判例集より
「ピーターラビットマルシーマーク」事件(控訴審)
★大阪高裁平成19.10.2平成19(ネ)713等著作権に基づく差止請求権不存在確認請求控訴事件,同附帯控訴事件PDF
大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官 若林諒
裁判官 小野洋一
裁判官 菊地浩明
★原審
大阪地裁平成19.1.30平成17(ワ)12138著作権に基づく差止請求権不存在確認請求事件著作権民事訴訟
■事案
著作権保護期間を満了したベアトリクス・ポター作「ピーターラビット
のおはなし」の絵柄の一部を利用しようとした原告が、著作権管理会社
を被告として提起した差止請求権不存在確認の訴えの控訴審
原告(控訴人/附帯被控訴人):子供衣料品製造販売会社
被告(被控訴人/附帯控訴人):知財管理会社
■結論
控訴/附帯控訴棄却
■争点
条文 不正競争防止法2条1項13号、民法709条
1 確認の訴えの利益の有無
2 質量等誤認惹起行為の成否(不正競争防止法2条1項13号)
3 一般不法行為の成否(民法709条)
■判決内容
<争点>
1 確認の訴えの利益の有無
原審同様、差止請求権不存在確認の訴えの利益について、これを
肯定しています。
(11頁以下)
2 質量等誤認惹起行為の成否(不正競争防止法2条1項13号)
この点についても、被告ライセンス商品に被告表示を付することが
その商品の品質・内容を誤認させるものではないこと、役務の質・
内容の誤認の点においても原告と被告はそもそも競争関係に立たず
被告の行為により原告の営業上の利益が侵害されるおそれはないこ
となど、原審の判断を維持しています。
(13頁以下)
3 一般不法行為の成否(民法709条)
この点についても、結論的に原審同様、一般不法行為性を否定して
います。
(19頁)
結局、原審同様、原告の訴えの利益(著作権に基づく差止請求権の
不存在の確認)だけ認容されて、そのほかの部分は容れられません
でした。
■コメント
パブリックドメインとなった著作物をキャラクター商品化した際に
その商品に付すライセンス表示を巡り争われた事案の控訴審です。
控訴審も原審維持の判断です。
控訴審でも万国著作権条約との関係でパブリックドメインとなった
著作物に著作権表示を表示しても品質等誤認惹起行為とは言えない
とされています。
(17頁以下)
また、著作者名や最初の発行年が付されていない単なるマルシーマ
ーク記号「(C)」の表示が持つ著作権表示機能について検討が加え
られていますが(14頁)、原審同様積極的に捉えられるに至っていま
せん。
■参考
被告表示(添付別紙1)PDF
原審別紙1PDF
■過去のブログ記事
2007年02月05日
「ピーターラビット」マルシーマーク事件〜著作権に基づく差止請求権不存在確認請求事件判決(知的財産裁判例集)〜
■追記(07.10.04)
Matimulog
ピーターラビット著作権不存在確認請求事件
■追記(08.02.10)
坂田均「ピーターラビット著作権表示事件」『知財管理』58巻1号67頁以下(2008)
「ピーターラビットマルシーマーク」事件(控訴審)
★大阪高裁平成19.10.2平成19(ネ)713等著作権に基づく差止請求権不存在確認請求控訴事件,同附帯控訴事件PDF
大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官 若林諒
裁判官 小野洋一
裁判官 菊地浩明
★原審
大阪地裁平成19.1.30平成17(ワ)12138著作権に基づく差止請求権不存在確認請求事件著作権民事訴訟
■事案
著作権保護期間を満了したベアトリクス・ポター作「ピーターラビット
のおはなし」の絵柄の一部を利用しようとした原告が、著作権管理会社
を被告として提起した差止請求権不存在確認の訴えの控訴審
原告(控訴人/附帯被控訴人):子供衣料品製造販売会社
被告(被控訴人/附帯控訴人):知財管理会社
■結論
控訴/附帯控訴棄却
■争点
条文 不正競争防止法2条1項13号、民法709条
1 確認の訴えの利益の有無
2 質量等誤認惹起行為の成否(不正競争防止法2条1項13号)
3 一般不法行為の成否(民法709条)
■判決内容
<争点>
1 確認の訴えの利益の有無
原審同様、差止請求権不存在確認の訴えの利益について、これを
肯定しています。
(11頁以下)
2 質量等誤認惹起行為の成否(不正競争防止法2条1項13号)
この点についても、被告ライセンス商品に被告表示を付することが
その商品の品質・内容を誤認させるものではないこと、役務の質・
内容の誤認の点においても原告と被告はそもそも競争関係に立たず
被告の行為により原告の営業上の利益が侵害されるおそれはないこ
となど、原審の判断を維持しています。
(13頁以下)
3 一般不法行為の成否(民法709条)
この点についても、結論的に原審同様、一般不法行為性を否定して
います。
(19頁)
結局、原審同様、原告の訴えの利益(著作権に基づく差止請求権の
不存在の確認)だけ認容されて、そのほかの部分は容れられません
でした。
■コメント
パブリックドメインとなった著作物をキャラクター商品化した際に
その商品に付すライセンス表示を巡り争われた事案の控訴審です。
控訴審も原審維持の判断です。
控訴審でも万国著作権条約との関係でパブリックドメインとなった
著作物に著作権表示を表示しても品質等誤認惹起行為とは言えない
とされています。
(17頁以下)
また、著作者名や最初の発行年が付されていない単なるマルシーマ
ーク記号「(C)」の表示が持つ著作権表示機能について検討が加え
られていますが(14頁)、原審同様積極的に捉えられるに至っていま
せん。
■参考
被告表示(添付別紙1)PDF
原審別紙1PDF
■過去のブログ記事
2007年02月05日
「ピーターラビット」マルシーマーク事件〜著作権に基づく差止請求権不存在確認請求事件判決(知的財産裁判例集)〜
■追記(07.10.04)
Matimulog
ピーターラビット著作権不存在確認請求事件
■追記(08.02.10)
坂田均「ピーターラビット著作権表示事件」『知財管理』58巻1号67頁以下(2008)