裁判所HP 知的財産裁判例集より

「金属管継手意匠」事件(控訴審)

大阪高裁平成19.9.11平成19(ネ)790意匠権侵害差止等請求控訴事件PDF

大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官 若林諒
裁判官     小野洋一
裁判官     冨田一彦


★原審(裁判所サイト不掲載)

大阪地裁平成17(ワ)11765〜11768
大阪地裁平成17(ワ)12094


■事案

原告(控訴人)が意匠権者である金属管継手の登録意匠と類似する
意匠の金属管継手を販売する被告(被控訴人)の行為の意匠権侵害
性、不正競争行為性が争われれた事案


原告(控訴人) :電気工事配管製造販売会社
被告(被控訴人):仮設機材開発製造販売会社


■結論

控訴棄却


■争点

条文 意匠法23条、不正競争防止法2条1項3号

1 意匠の類否
2 不正競争防止法2条1項3号の成否


■判決内容


<争点>

1 意匠の類否

原告登録意匠1〜3と被告意匠1〜3の類似性について、

(1)構成態様の認定
(2)要部の認定
(3)類似性の認定(共通点及び相違点、意匠の類否)

という流れにそって検討、いずれの意匠も非類似とされました。


2 不正競争防止法2条1項3号の成否

商品形態模倣行為に関する不正競争防止法2条1項3号の「模倣」性
について、その判断要素としては(1)他人の商品にアクセスすること、
(2)結果の実質的同一性があること、と一般的にされていますが、
(小松一雄編著「不正競業訴訟の実務」(2005)290頁以下参照)

本件の商品形態の模倣性について、控訴審裁判所は原告商品(1〜11)
と被告商品(1〜11)に実質的同一性はないとして被告の商品販売行
為に関する不正競争防止法2条1項3号上の不正競争行為性を否定して
います。
(18頁以下)


■コメント

不正競争防止法の争点は控訴審もおおむね原審維持なのですが、
原審に当たれていないため判断内容が判然としません。


■参考ブログ

最近の意匠法に関するブログ記事について

「知」的ユウレイ屋敷
[意匠]意匠類比判断基準へのニーズを探ってみた


■参考文献

牧野利秋他編「知的財産法の理論と実務4」(2007)397頁以下