裁判所HP 知的財産裁判例集より

「パパイア発酵食品」事件

大阪地裁平成19.9.13平成18(ワ)7458損害賠償等請求事件PDF

大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田知司
裁判官     西理香
裁判官     村上誠子



■事案

原告が、被告の販売するパパイア発酵食品(健康食品)に使用
されている標章が原告の販売するパパイア発酵食品の周知な商
品等表示である「PS−501」ないし「PS501」と類似するとして、
被告に対し、不正競争防止法2条1項1号等に基づき、被告の標
章の使用差止等及び損害賠償金の支払を求めた事案


原告:パパイア発酵食品販売会社
被告:食品販売代理店(元原告販売代理店)


■結論

請求棄却


■争点

条文 不正競争防止法2条1項1号、商標法37条1号

1 本件表示と被告標章の類似性
2 PPC広告の商標権侵害性(予備的請求)


■判決内容

<争点>

1 本件表示と被告標章の類似性


(1)外観

原告表示「PS-501」「PS501」
被告標章「Papain PS-501」「Bio-86 PS-501」

結論:非類似

(2)称呼・観念

原告表示「ピーエス501」
被告標章「パパインピーエス501」「バイオ86ピーエス501」

結論:非類似


取引の実情を前提とすると、被告標章の要部が「PS-501」のみ
とは認められず、その点を勘案して両者の類似性は否定の判断
となっています。
(35頁以下参照)


2 PPC広告の商標権侵害性(予備的請求)

なお、原告は予備的に商標法36条、37条1号に基づく差止と損害
賠償を主張していましたが、容れられていません。

原告は,被告が広告を表示しているインターネット検索結果ページの広告スペースは,原告商品の名称及び原告商標をキーワードとして表示されるスペースであり,原告商品の名称及び原告商標と同一である。したがって,原告商品の名称及び原告商標を構成する文字を入力した結果表示されるインターネット上の検索エンジンの検索結果ページ内の広告スペースに被告が自社の広告を掲載することは,商標法37条1号に該当すると主張する。
 しかしながら,原告商品の名称及び原告商標をキーワードとして検索した検索結果ページに被告が広告を掲載することがなぜ原告商標の使用に該当するのか,原告は明らかにしない。のみならず,上記の被告の行為は,商標法2条3項各号に記載された標章の「使用」のいずれの場合にも該当するとは認め難いから,本件における商標法に基づく原告の主張は失当である。

(41頁以下)


原告の登録商標
「SAIDO―PS501」(第4566777号 指定区分29)


■コメント

予備的請求の部分ですが、最近グーグルなどを相手に提起
されている海外の訴訟が念頭にでも原告にはあったのでし
ょうか。


2007年08月18日 - ITmedia News
「Googleが商標侵害」-American Airlinesが訴え

2007年09月05日- ITmedia News
Google、American Blindとの商標侵害訴訟で勝利

2007/04/26- CNET Japan
「広告文での商標利用は権利の侵害」--検索キーワードの商標侵害訴訟で米地裁が判決

PPC広告と商標について、過去の記事のストックが
パテントサロンにあります。 

パテントサロン トピック Google 検索広告商標問題



■参考ブログ

Matimulog
jugement:検索連動型広告が商標法違反となるかどうかが争われた事例


■参考文献

ネットと商標権について、

青木博通「インターネットと商標権の侵害」第二東京弁護士会編『新商標法の論点』(2007)323頁以下(バナー広告について347頁)参照