裁判所HP 下級裁判所判例集より
「フランチャイズ契約解除」事件
★福岡高裁平成19.7.19平成19(ネ)59損害賠償金支払請求控訴事件PDF
福岡高等裁判所第3民事部
裁判長裁判官 西理
裁判官 有吉一郎
裁判官 堂薗幹一郎
★原審
熊本地裁平成16(ワ)1085
■事案
ラーメン店のフランチャイズ契約上の「のれん料」の不払いが
契約解除事由となるかどうかが争われた事案
原告(本訴控訴人):フランチャイザー
被告(反訴原告) :フランチャイジー
■結論
破棄自判(本訴一部認容 反訴棄却)
■争点
条文 民法540条、709条
1 原告による契約解除の有効性
2 損害賠償額予定規定の解釈(略)
■判決内容
<経緯>
H13.9 原告被告間でラーメン店のフランチャイズ契約締結
H15.11 原告による麺の原産地虚偽表示が発覚
H16.2 原告が本店移転等に関する通知を被告にしていないことが発覚
H16.7 被告は6ヶ月分ののれん料を不払い
H16.8 原告が解除の意思表示
被告はのれん料未払い分を弁済
被告が解除の意思表示
H17.2 原告が被告に対して店舗看板撤去を指摘
【フランチャイズ契約概要】
1.商標・システム使用許諾
2.ライセンス料
(1)加盟金(ノウハウ料)150万円(契約時)
(2)のれん料3万円(月額/税別、のちに5万円へ)
(3)原材料ルート使用料50万円(契約時)
3.指導援助義務
4.損害賠償規定
5.契約終了時資材等廃棄規定
<争点>
1 原告による契約解除の有効性
原告フランチャイザーは、麺の原産地について虚偽の指導をしていたり、
新メニューやラーメン価格の変更、本店移転等の事情を被告フランチャ
イジーに通知していないという事情がありました。
こうした事情のもとでフランチャイジーは半年分にあたるのれん料(30万円)
の支払いを遅延していました。
この点について、裁判所はこれらの事情はフランチャイジー側ののれん料
不払いの正当事由とはならないとし、結論として、フランチャイザーの契
約解除を有効と判断しました。
■コメント
フランチャイザーによるラーメン麺の原材料の原産地虚偽表示は、
(社)日本フランチャイズチェーン協会倫理綱領にも反するもので、
ミートホープ事件(北海道)を見るまでもなくのれん料などのライ
センス料の支払いについてはフランチャイジー側において不安の
抗弁権の対象となりうる事由だったでしょう。
原審にあたっていないので正確な判旨は分かりませんが、原審は
控訴審とはまったく逆の結論となっていたようですので、微妙な判
断であったことは間違いがないようです。
■参考文献
大阪弁護士会知的財産法実務研究会編「知的財産契約の理論と実務」(2007)559頁以下
JFA倫理綱領について、西口元ほか編「フランチャイズ契約の法律相談」(2004)349頁以下参照
「フランチャイズ契約解除」事件
★福岡高裁平成19.7.19平成19(ネ)59損害賠償金支払請求控訴事件PDF
福岡高等裁判所第3民事部
裁判長裁判官 西理
裁判官 有吉一郎
裁判官 堂薗幹一郎
★原審
熊本地裁平成16(ワ)1085
■事案
ラーメン店のフランチャイズ契約上の「のれん料」の不払いが
契約解除事由となるかどうかが争われた事案
原告(本訴控訴人):フランチャイザー
被告(反訴原告) :フランチャイジー
■結論
破棄自判(本訴一部認容 反訴棄却)
■争点
条文 民法540条、709条
1 原告による契約解除の有効性
2 損害賠償額予定規定の解釈(略)
■判決内容
<経緯>
H13.9 原告被告間でラーメン店のフランチャイズ契約締結
H15.11 原告による麺の原産地虚偽表示が発覚
H16.2 原告が本店移転等に関する通知を被告にしていないことが発覚
H16.7 被告は6ヶ月分ののれん料を不払い
H16.8 原告が解除の意思表示
被告はのれん料未払い分を弁済
被告が解除の意思表示
H17.2 原告が被告に対して店舗看板撤去を指摘
【フランチャイズ契約概要】
1.商標・システム使用許諾
2.ライセンス料
(1)加盟金(ノウハウ料)150万円(契約時)
(2)のれん料3万円(月額/税別、のちに5万円へ)
(3)原材料ルート使用料50万円(契約時)
3.指導援助義務
4.損害賠償規定
5.契約終了時資材等廃棄規定
<争点>
1 原告による契約解除の有効性
原告フランチャイザーは、麺の原産地について虚偽の指導をしていたり、
新メニューやラーメン価格の変更、本店移転等の事情を被告フランチャ
イジーに通知していないという事情がありました。
こうした事情のもとでフランチャイジーは半年分にあたるのれん料(30万円)
の支払いを遅延していました。
この点について、裁判所はこれらの事情はフランチャイジー側ののれん料
不払いの正当事由とはならないとし、結論として、フランチャイザーの契
約解除を有効と判断しました。
■コメント
フランチャイザーによるラーメン麺の原材料の原産地虚偽表示は、
(社)日本フランチャイズチェーン協会倫理綱領にも反するもので、
ミートホープ事件(北海道)を見るまでもなくのれん料などのライ
センス料の支払いについてはフランチャイジー側において不安の
抗弁権の対象となりうる事由だったでしょう。
原審にあたっていないので正確な判旨は分かりませんが、原審は
控訴審とはまったく逆の結論となっていたようですので、微妙な判
断であったことは間違いがないようです。
■参考文献
大阪弁護士会知的財産法実務研究会編「知的財産契約の理論と実務」(2007)559頁以下
JFA倫理綱領について、西口元ほか編「フランチャイズ契約の法律相談」(2004)349頁以下参照