裁判所HP 知的財産裁判例集より

「愛の流刑地」事件

東京地裁平成19.7.25平成19(ワ)7324損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官     山田真紀
裁判官     佐野信


■事案

渡辺淳一氏の小説「愛の流刑地」をめぐって複製権侵害が争われた事案

原告:小説執筆者
被告:小説家


■結論

請求棄却


■争点

条文 著作権法第2条1項1号

1 被侵害部分の著作物性


■判決内容

経緯

原告は自らが執筆した小説を日経新聞社に送付。その数ヶ月後
日経新聞社から被告が朝刊連載小説として「愛の流刑地」を発表。
原告は被告作品が原告作品から一部抜粋しているとして提訴。


争点

1 被侵害部分の著作物性

被告が侵害されたと主張する部分はアイデアの同一性の主張だったり、
地名や1,2単語の語句といった日常的によく使用されている表現部分
であったことから、そもそも被侵害部分に著作物性がないと裁判所は
判断しました。
(3頁以下)

結論として、原告の複製権侵害に基く損害賠償請求(2000万円)は容れ
られませんでした。


■コメント

本人訴訟で判決文も4頁という事案です。
被告をして「原告小説被侵害主張部分は,大半が名詞,動詞,副詞,形容詞の単語であって,日本人ならば通常使用する,平凡かつありふれた言葉ばかり
というものですから、提訴自体いかがなものだったのでしょうか。


■参考サイト

NIKKEI NET:日本経済新聞ご案内 朝刊小説 渡辺淳一の「愛の流刑地」


■追記(07.09.18)

「知」的ユウレイ屋敷
[つぶやき][著作権]自己の作品への強い愛が生む悲劇:〔愛の流刑地類似表現事件〕に思うこと