裁判所HP 知的財産裁判例集より
「皮革人形作品写真集」事件
★知財高裁平成19.7.25平成19(ネ)10022損害賠償等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 大鷹一郎
裁判官 嶋末和秀
★原審
横浜地方裁判所平成16年(ワ)第3460号(後掲追記参照)
■事案
皮革人形作品の写真集の著作権の帰属と写真集制作・出版にあたって
作家の許諾があったかどうかが争われた事案
控訴人 :人形作家(革細工人形師)
被控訴人:おもちゃコレクター
■結論
控訴棄却(一審原告側敗訴)
■争点
条文 著作権法第2条1項2号
1 写真集の著作権者はだれか
2 写真集の制作・出版に許諾があったか
■判決内容
経緯
一審被告(被控訴人)が原告(控訴人)に対して人形作品の写真集に
ついて企画を提示。
何度かのやりとりを経て撮影が開始。原告は、撮影スタジオにも訪れ
小道具などを提供していました。
(5頁以下)
争点
1 写真集の著作権者はだれか
原告の撮影行為に対する対応について、
『控訴人は,構図,カメラアングル,照明,絞り・シャッター速度等の撮影方法について意見を述べたり,希望を出すことはなかった。』
『満足しなかったが,出版の期限が切迫していたため再撮影ができないとの説明を受けたため,本件写真集の掲載写真に対して異議を述べることはなかった。』
(6頁以下)
などの点から、
『控訴人は,本件写真集に掲載された本件各人形の写真の撮影行為を行ったものではないことはもとより,その撮影方法について特段の指示・要請等をしたものでもないから,控訴人が上記写真の著作者であると認めることはできない。』
(8頁)
と裁判所は判断しました。
写真集の著作権の帰属についての具体的な話し合いもなかったとされて
います(10頁)。
結局、原告は著作者ではなく、編集著作物又は二次的著作物としての
著作権も含め、写真集の著作権を取得するものではないとされています。
(9頁)
2 写真集の制作・出版に許諾があったか
人形作品の使用について原告から異議を唱えられることもなく、また写
真集の著作権の帰属に関する被告による欺罔行為もない、として被告の
不法行為性(人形の著作権に対する侵害性)が否定されています。
(10頁以下)
■コメント
原審の横浜地裁の原文に当たることができなかったので(公刊物にするに
は憚られたようです。11頁以下)控訴審の判決文からの推察ですが、
革細工人形師山口孝幸さんとおもちゃコレクターで有名な北原照久さん
(株式会社トーイズ代表取締役)の争いだったようです。
北原さんは横浜に人形博物館も開館されています。
「横浜人形の家」ホームページ
北原照久のおもちゃ博物館
自分の人形作品の写真集でありながら(しかも掲載写真について多少の
アイデアの提供をしていたのに)、写真集には権利を持っていないことが
あとから分かって人形作家さんは頭にきたのでしょうか。
出版社から北原さん側に監修料として380万円支払われていたのに対して、
山口さんには印税として30万円が支払われていたにとどまること、ポスト
カード販売行為などでの双方の認識の食い違いなども今回の紛争の遠因
だったようです。
(7頁参照)
なお余談ですが、皮革人形作品というと、わたしが学生のころ皮革工芸
家の本池秀夫先生に一度お会いしたことを思い出します。
■写真集(参考)
DREAM JOURNEY―夢の旅 山口孝幸の世界 (大型本)
DREAM JOURNEY―夢の旅 山口孝幸の世界
■追記(07.08.01)
企業法務戦士の雑感
■[企業法務][知財] 「補足」の重み
■追記(07.09.01)
原審が8月末にサイトにアップされました。
横浜地裁平成19.1.31平成16(ワ)3460著作権民事訴訟
横浜地方裁判所第1民事部
裁判長裁判官 河村吉晃
裁判官 植村京子
裁判官 高橋心平
■追記(07.09.15)
原告のブログかどうかはっきりしませんが、参考までに。
はじめてのソショウ
*作品を撮影した写真を裏焼きするなど、監修者側の演出とはいえ
こうしたことが許されて良いわけはありません。
「皮革人形作品写真集」事件
★知財高裁平成19.7.25平成19(ネ)10022損害賠償等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 大鷹一郎
裁判官 嶋末和秀
★原審
横浜地方裁判所平成16年(ワ)第3460号(後掲追記参照)
■事案
皮革人形作品の写真集の著作権の帰属と写真集制作・出版にあたって
作家の許諾があったかどうかが争われた事案
控訴人 :人形作家(革細工人形師)
被控訴人:おもちゃコレクター
■結論
控訴棄却(一審原告側敗訴)
■争点
条文 著作権法第2条1項2号
1 写真集の著作権者はだれか
2 写真集の制作・出版に許諾があったか
■判決内容
経緯
一審被告(被控訴人)が原告(控訴人)に対して人形作品の写真集に
ついて企画を提示。
何度かのやりとりを経て撮影が開始。原告は、撮影スタジオにも訪れ
小道具などを提供していました。
(5頁以下)
争点
1 写真集の著作権者はだれか
原告の撮影行為に対する対応について、
『控訴人は,構図,カメラアングル,照明,絞り・シャッター速度等の撮影方法について意見を述べたり,希望を出すことはなかった。』
『満足しなかったが,出版の期限が切迫していたため再撮影ができないとの説明を受けたため,本件写真集の掲載写真に対して異議を述べることはなかった。』
(6頁以下)
などの点から、
『控訴人は,本件写真集に掲載された本件各人形の写真の撮影行為を行ったものではないことはもとより,その撮影方法について特段の指示・要請等をしたものでもないから,控訴人が上記写真の著作者であると認めることはできない。』
(8頁)
と裁判所は判断しました。
写真集の著作権の帰属についての具体的な話し合いもなかったとされて
います(10頁)。
結局、原告は著作者ではなく、編集著作物又は二次的著作物としての
著作権も含め、写真集の著作権を取得するものではないとされています。
(9頁)
2 写真集の制作・出版に許諾があったか
人形作品の使用について原告から異議を唱えられることもなく、また写
真集の著作権の帰属に関する被告による欺罔行為もない、として被告の
不法行為性(人形の著作権に対する侵害性)が否定されています。
(10頁以下)
■コメント
原審の横浜地裁の原文に当たることができなかったので(公刊物にするに
は憚られたようです。11頁以下)控訴審の判決文からの推察ですが、
革細工人形師山口孝幸さんとおもちゃコレクターで有名な北原照久さん
(株式会社トーイズ代表取締役)の争いだったようです。
北原さんは横浜に人形博物館も開館されています。
「横浜人形の家」ホームページ
北原照久のおもちゃ博物館
自分の人形作品の写真集でありながら(しかも掲載写真について多少の
アイデアの提供をしていたのに)、写真集には権利を持っていないことが
あとから分かって人形作家さんは頭にきたのでしょうか。
出版社から北原さん側に監修料として380万円支払われていたのに対して、
山口さんには印税として30万円が支払われていたにとどまること、ポスト
カード販売行為などでの双方の認識の食い違いなども今回の紛争の遠因
だったようです。
(7頁参照)
なお余談ですが、皮革人形作品というと、わたしが学生のころ皮革工芸
家の本池秀夫先生に一度お会いしたことを思い出します。
■写真集(参考)
DREAM JOURNEY―夢の旅 山口孝幸の世界 (大型本)
DREAM JOURNEY―夢の旅 山口孝幸の世界
■追記(07.08.01)
企業法務戦士の雑感
■[企業法務][知財] 「補足」の重み
■追記(07.09.01)
原審が8月末にサイトにアップされました。
横浜地裁平成19.1.31平成16(ワ)3460著作権民事訴訟
横浜地方裁判所第1民事部
裁判長裁判官 河村吉晃
裁判官 植村京子
裁判官 高橋心平
■追記(07.09.15)
原告のブログかどうかはっきりしませんが、参考までに。
はじめてのソショウ
*作品を撮影した写真を裏焼きするなど、監修者側の演出とはいえ
こうしたことが許されて良いわけはありません。