裁判所HP 知的財産裁判例集より

「スポーツマーケティング会社商号使用差止」事件(控訴審)

知財高裁平成19.6.13平成19(ネ)10001商号使用禁止等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官     大鷹一郎
裁判官     嶋末和秀


★原審
東京地裁平成18.11.29平成18(ワ)9080商号使用禁止等請求事件PDF


■事案

競業関係にあり、しかもいずれも渋谷区内にある会社が商号の
類似性から不正競争行為性を巡って争った事案の控訴審


控訴人 :スポーツマーケティング情報提供サービス会社
被控訴人:スポーツマーケティング・コンサル会社


■結論

控訴棄却(一審、二審原告敗訴)


■争点

条文 会社法8条

1 不正の目的の有無


■判決内容


争点

1 不正の目的の有無

控訴審では「不正の目的」の意義について、

会社法8条(旧商法21条)は,故意に信用のある他人の名称又は商号を自己の商号であるかのように使用して一般公衆を欺くというような反社会的な事象に対処すること等を目的として設けられたものであること,同条は,不正競争防止法2条1項1号のように他人の名称又は商号が「周知」であることを要件とせずに,営業上の損害を受けるおそれのある者に差止請求権を付与していること,後に名称又は商号の使用を行った者が,その名称又は商号の使用を禁止される不利益も少なくないこと等の事情に照らすならば,同条にいう「不正の目的」は,他の会社の営業と誤認させる目的,他の会社と不正に競争する目的,他の会社を害する目的など,特定の目的のみに限定されるものではないが,不正な活動を行う積極的な意思を有することを要するものと解するのが相当である。
(5頁)

として、不正の目的に積極的な意思は不要であるとの原告側主張
に対して、会社法8条においては「不正な活動を行う積極的な意
思」が必要であるとしました。


結論として、不正な活動を行う積極的な意思があったものと認め
られず、「不正の目的」を欠くと判断されました。


■コメント

会社法8条の「不正の目的」について、原審より一歩踏み込んで
内容を厳格に捉える解釈をとっており、解釈上重要な判断になる
ものと思われます。


■過去のブログ記事

「スポーツマーケティング会社商号使用差止」事件〜会社法 商号使用禁止等請求事件判決(2006年12月06日)


■追記(07.06.21)

名古屋の商標亭
他企業の名前と似ていても商号登記できるけど?