裁判所HP 知的財産裁判例集より

「ジムニーアフターパーツ営業誹謗」事件

大阪地裁平成19.6.11平成18(ワ)5437信用回復措置等請求事件PDF

大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田知司
裁判官     高松宏之
裁判官     村上誠子



■事案

スズキの軽自動車「ジムニー」のアフターパーツを巡って
雑誌掲載広告の営業誹謗行為性が争われた事案


原告:ジムニーアフターパーツ開発製造販売会社
被告:ジムニーアフターパーツ開発製造販売会社



■結論

請求一部認容


■争点

条文 不正競争防止法2条1項14号 

1 虚偽事実の告知性
2 違法性の有無
3 過失の有無
4 損害の有無
5 信用回復措置の要否


■判決内容

経緯

被告は平成9年以来ジムニー用の後付け交換部品(アフターパーツ)
であるサスペンションの本件重ね板バネ製品を販売。
これに対して、原告製品は平成18年から販売が開始されています。


争点

1 虚偽事実の告知性

(1)告知内容

「タニグチさんも認めた!○○懸架は小バネの入れ方がそっくりです!」
「大メーカーに真似されました。」

「あのタ○グチさんも認めた高性能!」
「大メーカーに真似されました。」



雑誌2誌に合計4回上記のような文言を含んだ記載のある広告を被告は
掲載していました。


これらの広告の内容について裁判所は、

原告製品のリアリーフは,被告製品のリアリーフの形態に依拠して,これと同一ないし類似の形態とした商品であるという事実を告知するものと認められる。
と認定。(10頁以下)


(2)被告製品と原告製品の形態の相違

結論的には、製品形態の基本的構成態様となる重ね板バネ部分、非対称
配置、また、具体的構成態様となる部分では板バネ数が5枚である点など
が一致していると認定。
(14頁以下)


(3)形態の模倣性

非対称重ね板バネの形態はすでに1920年代から自動車に用いられていた
ことなどから、製品の形態が共通する部分については、
周知慣用の技術であり,かつ,ありふれた形態であった
(17頁)とされました。

結果、ありふれた形態部分での類似性ということから模倣性が否定され
ました。


以上から、被告の広告は原告による模倣(真似)がないにもかかわらず
あるとの内容であったことから虚偽事実を告知するものと判断されました。


2 違法性の有無

原告が被告製品と類似の形態をもつ製品を販売する行為は被告のブランド
にフリーライドする行為であり、それに対抗するための被告による広告
掲載は社会的に許容される範囲のもので違法性はないと主張していました。

しかし、裁判所はこの主張を容れませんでした。
(21頁以下)


3 過失の有無

被告の過失が認定されています。
(22頁以下)


4 損害の有無

売上減少による逸失利益は認定されませんでしたが、無形損害として信用
毀損部分で150万円、その他弁護士費用20万円が認められています。
(23頁以下)


5 信用回復措置の要否

原告の営業上の信用回復のため必要な措置として雑誌2誌への謝罪広告
掲載が認められました。
(26頁)



■コメント

自動車雑誌をみるといろいろな業者がアフターパーツを出しています。
スズキ車の場合、スズキ関連会社がアフターパーツを多数販売している
くらいこの市場にはニーズがあります。

ジムニーは軽四駆として人気がある車種でジムニー専門誌が年刊誌1誌、
隔月誌が2誌あるということで愛好者が多いことがわかります。


■参考サイト

原告サイト
++ OFF ROAD SERVICE TANIGUCHI ++ オフロードサービス タニグチ 4WDパーツ・オリジナルパーツの製造・販売。JIMNY PAJERO MINI Jr. 4WD

被告サイト
4x4KITAGAWA

SUZUKI SPORT
jimny