裁判所HP 知的財産裁判例集より
「東京アウトサイダーズ」事件(控訴審)
知財高裁平成19.5.31平成19(ネ)10003等出版差止等請求控訴事件,同附帯控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 中野哲弘
裁判官 森義之
裁判官 田中孝一
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■事案
家族のスナップ写真の書籍無断掲載をめぐってその写真の創作性や著作権侵害性が争われた事案
控訴人・附帯被控訴人(原審被告):出版社、書籍執筆者
被控訴人・附帯控訴人(原審原告):撮影者
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■結論
控訴棄却、附帯控訴一部認容
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■争点
条文 著作権法第2条1項1号
1 著作権、著作者人格権侵害性
2 過失の有無
3 損害額の算定
------------------------------------
■判決内容
争点
1 著作権、著作者人格権侵害性
原審の判断を維持、スナップ写真の著作物性を認めた上で著作権、著作者人格権侵害を肯定しています。
(16頁以下)
本件写真がスナップ写真であることの特殊性に関する原審被告側の主張について、控訴審でも認められていません。
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2 過失の有無
控訴審裁判所は、
『一審被告らは,本件写真の著作権者が誰であるかを確認し,その者から本件書籍への掲載について許諾を得る活動を全くしていないのであるから,過失があるというべきである。』
(19頁以下)
結論的に、ネガの所在確認など、より積極的な確認作業を怠った点について、出版社、書籍執筆者に過失が認められています。
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3 損害額の算定
複製権侵害について25万円(+20万円アップ)、人格権侵害について50万円(+20万円アップ)、弁護士費用について10万円の合計85万円(合計40万円増額)となっています。
(19頁以下)
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■コメント
原審の判断を基本的に維持しています。
今回の事案では、第三者から提供されたスナップ写真の撮影者、著作権者についての確認は、写真の提供を受けた執筆者がたんに提供者に問い質しただけでした。
撮影者、著作権者がだれであるのか、写真使用の際の著作権処理として出版社側としてもネガの所在確認なども行っていく必要が今後一層厳しく要求されることとなります。
事例判断とはいえ控訴審でも出版社にも過失が認定され、出版業界には厳しい判断の先例となったかもしれません。
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■判例
原審
東京地裁平成18.12.21平成18(ワ)5007出版差止等請求事件PDF
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■過去のブログ
「東京アウトサイダーズ」事件〜著作権 出版差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)2007年01月15日
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■追記(07.06.21)
企業法務戦士の雑感
■[企業法務][知財] イタイ判決(その2)
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■参考文献
「妻が夫を撮影したスナップ写真を書籍に掲載した行為について著作権侵害が認められた事例」『判例時報』1977号144頁以下
桑野雄一郎「家族のスナップ写真に著作物性を肯定――『東京アウトサイダーズ』出版差止請求事件」『コピライト』557号28頁以下
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■追記(11.5.22)
高瀬亜富 「スナップ肖像写真の著作物性と自由利用の可否−東京アウトサイダーズ事件−」『知的財産法政策学研究』(2010)32号285頁以下
論文PDF
「東京アウトサイダーズ」事件(控訴審)
知財高裁平成19.5.31平成19(ネ)10003等出版差止等請求控訴事件,同附帯控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 中野哲弘
裁判官 森義之
裁判官 田中孝一
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■事案
家族のスナップ写真の書籍無断掲載をめぐってその写真の創作性や著作権侵害性が争われた事案
控訴人・附帯被控訴人(原審被告):出版社、書籍執筆者
被控訴人・附帯控訴人(原審原告):撮影者
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■結論
控訴棄却、附帯控訴一部認容
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■争点
条文 著作権法第2条1項1号
1 著作権、著作者人格権侵害性
2 過失の有無
3 損害額の算定
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■判決内容
争点
1 著作権、著作者人格権侵害性
原審の判断を維持、スナップ写真の著作物性を認めた上で著作権、著作者人格権侵害を肯定しています。
(16頁以下)
本件写真がスナップ写真であることの特殊性に関する原審被告側の主張について、控訴審でも認められていません。
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2 過失の有無
控訴審裁判所は、
『一審被告らは,本件写真の著作権者が誰であるかを確認し,その者から本件書籍への掲載について許諾を得る活動を全くしていないのであるから,過失があるというべきである。』
(19頁以下)
結論的に、ネガの所在確認など、より積極的な確認作業を怠った点について、出版社、書籍執筆者に過失が認められています。
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3 損害額の算定
複製権侵害について25万円(+20万円アップ)、人格権侵害について50万円(+20万円アップ)、弁護士費用について10万円の合計85万円(合計40万円増額)となっています。
(19頁以下)
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■コメント
原審の判断を基本的に維持しています。
今回の事案では、第三者から提供されたスナップ写真の撮影者、著作権者についての確認は、写真の提供を受けた執筆者がたんに提供者に問い質しただけでした。
撮影者、著作権者がだれであるのか、写真使用の際の著作権処理として出版社側としてもネガの所在確認なども行っていく必要が今後一層厳しく要求されることとなります。
事例判断とはいえ控訴審でも出版社にも過失が認定され、出版業界には厳しい判断の先例となったかもしれません。
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■判例
原審
東京地裁平成18.12.21平成18(ワ)5007出版差止等請求事件PDF
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■過去のブログ
「東京アウトサイダーズ」事件〜著作権 出版差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)2007年01月15日
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■追記(07.06.21)
企業法務戦士の雑感
■[企業法務][知財] イタイ判決(その2)
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■参考文献
「妻が夫を撮影したスナップ写真を書籍に掲載した行為について著作権侵害が認められた事例」『判例時報』1977号144頁以下
桑野雄一郎「家族のスナップ写真に著作物性を肯定――『東京アウトサイダーズ』出版差止請求事件」『コピライト』557号28頁以下
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■追記(11.5.22)
高瀬亜富 「スナップ肖像写真の著作物性と自由利用の可否−東京アウトサイダーズ事件−」『知的財産法政策学研究』(2010)32号285頁以下
論文PDF