裁判所HP 知的財産裁判例集より
「ポット型電解水生成器形態模倣」事件
★大阪地裁平成19.4.26平成18(ワ)1806損害賠償請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田知司
裁判官 高松宏之
裁判官 村上誠子
■事案
ポット型電解水生成器の商品形態が模倣(デッドコピー)
されたかどうかが争われた事案
原告:発明品製造販売会社
被告:電解水生成器製造販売会社
■結論
請求棄却
■争点
条文 不正競争防止法2条1項3号(平17法律75号改正前)、民法709条
1 商品形態の実質的同一性
■判決内容
1 商品形態の実質的同一性
従来の電解水生成器(同種商品)と比較すると原告、被告
製品ともにポット型を採用している点で新規なものとなって
いました。
ただ、この点について裁判所は、ポット型自体はよくある
形態でポットとしては「通常有する形態」であること、
そして、
(ポット型ではない)『上記同種商品が通常有する形態を除いた原告商品と被告商品の共通点は,その形態について他の選択肢がないとはいえないにせよ,しばしば見られる一般的な形態で,普通に想定される形態の選択肢の中の一つにすぎないというべきもの,細部にわたる小さいもの,目立たないものが多いことを考慮すると,これら共通点が,両商品の相違点を圧倒して無視できるほどのものとまでいうことはできないから,原告商品と被告商品が実質的に同一であるとすることはできない。換言すれば,被告商品も,通常有する形態や一般的で普通に想定される形態の選択肢の中の一つにすぎない形態以外の点では,相当程度に原告商品とは異なる選択をしており,開発・商品化に当たりそれなりに資金・労力を投下したものと認められるから,これを原告商品のデッドコピー(実質的に同一のもの)とすることはできないのである。』
(42頁)
両商品の共通点について、そのほとんどが「通常有する形態」
かあるいは実質的同一性判断において重要視されるべき点では
ない(「さほど大きく評価するべきものではない」)として、
両商品に実質的同一性はなく「模倣」に当たらず不正競争行為
性がないと判断されました。
また、民法709条の不法行為性も否定しています。
■コメント
デッドコピー商品に関する不正競争行為が問題となった事案
です。
平成17年改正前の不正競争防止法2条1項3号の文言に沿っての
検討となっていますが、現行規定での解釈と齟齬が生じるわけ
ではありません。
残念ながら、ネットでは被告商品を検索することができず、
原告商品が確認できるにとどまりました。
4リットルと大きめのポット型電解水生成器ということで
原告商品に新味があり、被告商品の模倣性が問題となった
わけですが、原告のサイトを見ると、原告は「カラオケの
発明者」として喧伝されており、自社製品には人一倍思い
入れがあるかたなのかもしれません。
■関連サイト
原告サイト
アクアトリオ J-ONE-INOUE
■参考文献
小野昌延編「新注解不正競争防止法新版」(上)
(2007)453頁以下
「ポット型電解水生成器形態模倣」事件
★大阪地裁平成19.4.26平成18(ワ)1806損害賠償請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田知司
裁判官 高松宏之
裁判官 村上誠子
■事案
ポット型電解水生成器の商品形態が模倣(デッドコピー)
されたかどうかが争われた事案
原告:発明品製造販売会社
被告:電解水生成器製造販売会社
■結論
請求棄却
■争点
条文 不正競争防止法2条1項3号(平17法律75号改正前)、民法709条
1 商品形態の実質的同一性
■判決内容
1 商品形態の実質的同一性
従来の電解水生成器(同種商品)と比較すると原告、被告
製品ともにポット型を採用している点で新規なものとなって
いました。
ただ、この点について裁判所は、ポット型自体はよくある
形態でポットとしては「通常有する形態」であること、
そして、
(ポット型ではない)『上記同種商品が通常有する形態を除いた原告商品と被告商品の共通点は,その形態について他の選択肢がないとはいえないにせよ,しばしば見られる一般的な形態で,普通に想定される形態の選択肢の中の一つにすぎないというべきもの,細部にわたる小さいもの,目立たないものが多いことを考慮すると,これら共通点が,両商品の相違点を圧倒して無視できるほどのものとまでいうことはできないから,原告商品と被告商品が実質的に同一であるとすることはできない。換言すれば,被告商品も,通常有する形態や一般的で普通に想定される形態の選択肢の中の一つにすぎない形態以外の点では,相当程度に原告商品とは異なる選択をしており,開発・商品化に当たりそれなりに資金・労力を投下したものと認められるから,これを原告商品のデッドコピー(実質的に同一のもの)とすることはできないのである。』
(42頁)
両商品の共通点について、そのほとんどが「通常有する形態」
かあるいは実質的同一性判断において重要視されるべき点では
ない(「さほど大きく評価するべきものではない」)として、
両商品に実質的同一性はなく「模倣」に当たらず不正競争行為
性がないと判断されました。
また、民法709条の不法行為性も否定しています。
■コメント
デッドコピー商品に関する不正競争行為が問題となった事案
です。
平成17年改正前の不正競争防止法2条1項3号の文言に沿っての
検討となっていますが、現行規定での解釈と齟齬が生じるわけ
ではありません。
残念ながら、ネットでは被告商品を検索することができず、
原告商品が確認できるにとどまりました。
4リットルと大きめのポット型電解水生成器ということで
原告商品に新味があり、被告商品の模倣性が問題となった
わけですが、原告のサイトを見ると、原告は「カラオケの
発明者」として喧伝されており、自社製品には人一倍思い
入れがあるかたなのかもしれません。
■関連サイト
原告サイト
アクアトリオ J-ONE-INOUE
■参考文献
小野昌延編「新注解不正競争防止法新版」(上)
(2007)453頁以下