裁判所HP 知的財産裁判例集より
「大阪みたらし類似商標」事件
★大阪地裁平成19.3.22平成18(ワ)140不正競争行為差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田知司
裁判官 高松宏之
裁判官 村上誠子
■事案
和菓子の商標に用いられていた「大阪みたらし小餅」と
「大阪みたらし元祖だんご」の類似性から不正競争行為性が
争われた事案
原告:和菓子製造販売業者
被告:和菓子製造販売会社
■結論
請求棄却
■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号、13号、14号
1 被告商標による混同行為
2 被告商品形態による混同行為
3 「元祖」表示による品質誤認表示行為
4 「元祖」表示による営業誹謗行為
■判決内容
1 被告商標による混同行為
・称呼について
原告商標
『原告商標からは,全体から「おおさかみたらしこもち」,又は書体,大きさ,色が同一である部分から「みたらしこもち」の称呼が生じるものと認められる。他方,同一書体,同大,同色の文字である「みたらし小餅」を「みたらし」と「小餅」に分断し,その一方である「みたらし」に書体も異なり,大きさも小さく,色も異なる「大阪」を加えて読むというのは不自然な読み方であって,原告商標から「おおさかみたらし」の称呼が生じると認めることはできない。』
(12頁以下)
被告商標
『被告商標からは,全体から「がんそおおさかみたらしだんご」,又は,書体,大きさ,色がほぼ同一である部分から「おおさかみたらしだんご」の称呼が生じるものと認められる。』
(13頁)
・観念について
原告商標
『原告商標からは,その全体から「大阪のみたらしのたれを用いた小さな餅」,又は書体,大きさ,色が同一である部分から「みたらしのたれを用いた小さな餅」の観念が生じるものと認められる。』
(13頁)
被告商標
『みたらし団子が普通名詞であることを考慮すれば,被告商標からは,その全体から「元祖の大阪のみたらし団子」,又は書体,大きさ,色が同一である部分から「大阪のみたらし団子」の観念が生じるものと認められる。』
(14頁)
以上から、
『原告商標と被告商標は,称呼及び観念が類似しないものである。また,両者は,外観が類似せず,全体的に観察しても類似しない商標と認められる。』
(14頁)
結論的に非類似としました(不正競争防止法2条1項1号)。
2 被告商品形態による混同行為
商品形態自体による出所表示性も争点となりましたが、
『「ある物質を餅生地で包み込んだ和菓子」の一種である「醤油だれを餅生地で包み込んだ和菓子」について,「ある物質を餅生地で包み込んだ和菓子」におけるごくありふれた形態である「白色の餅生地を球状からやや扁平にし,上面に茶色の焼色を付した形態」としたとしても,これを他の商品と識別し得る独特の特徴とすることは到底できないのであって,これが商品等表示として需要者の間で広く認識されることがあり得るものと認めることはできない。』
(14頁以下)
ごくありふれた形態であるとして商品形態による商品等表示性が
否定されています(2条1項1号)。
3 「元祖」表示による品質誤認表示行為
「元祖」には、「物事を初めてしだした人」という意味と
「一家系の最初の人」という意味があるとしたうえで、
『「元祖」について,「物事を初めてしだした人」の意味に理解する場合には,これを品質についての表示とすることはできない。』
(15頁以下)
また、もう一つの意味(「一家系の最初の人」)の側面から
被告商品が「製造販売を継続している中で最古のもの」かどうか
という点について、
『醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子について,被告よりも早い段階で製造販売を開始した製品を,原告が現在まで継続して販売していると認めるに足りる証拠はない。』
として、この意味からでも虚偽性はないと判断されました(2条1項13号)。
4 「元祖」表示による営業誹謗行為
この点についても、営業誹謗性(2条1項14号)が否定されています。
(22頁以下)
■コメント
「大阪みたらし」で商標検索すると、商標登録の被告商品の
パッケージがどのようなものかがわかります。
「大阪みたらし\だんご∞元祖∞あべこべに\団子の中に\しょうゆだれ\おいし\おまっせ!!」
(【商標登録番号】 第4994783号 )
原告はというと、
「みたらし小餅」(【商標登録番号】 第4821955号 )と
「元祖みたらし小餅」(【商標登録番号】 第4990639号 )という
かたちで登録しています。
----------------------------------------
■追記09.01.09
2008年の年末に大阪へ行った折に、おみやげを買いました。
千鳥屋さんの「大阪みたらし小餅」と奈良の千壽庵吉宗さんの
「みたらしたれうさぎ」。
どちらも美味しかったです。
「大阪みたらし類似商標」事件
★大阪地裁平成19.3.22平成18(ワ)140不正競争行為差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田知司
裁判官 高松宏之
裁判官 村上誠子
■事案
和菓子の商標に用いられていた「大阪みたらし小餅」と
「大阪みたらし元祖だんご」の類似性から不正競争行為性が
争われた事案
原告:和菓子製造販売業者
被告:和菓子製造販売会社
■結論
請求棄却
■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号、13号、14号
1 被告商標による混同行為
2 被告商品形態による混同行為
3 「元祖」表示による品質誤認表示行為
4 「元祖」表示による営業誹謗行為
■判決内容
1 被告商標による混同行為
・称呼について
原告商標
『原告商標からは,全体から「おおさかみたらしこもち」,又は書体,大きさ,色が同一である部分から「みたらしこもち」の称呼が生じるものと認められる。他方,同一書体,同大,同色の文字である「みたらし小餅」を「みたらし」と「小餅」に分断し,その一方である「みたらし」に書体も異なり,大きさも小さく,色も異なる「大阪」を加えて読むというのは不自然な読み方であって,原告商標から「おおさかみたらし」の称呼が生じると認めることはできない。』
(12頁以下)
被告商標
『被告商標からは,全体から「がんそおおさかみたらしだんご」,又は,書体,大きさ,色がほぼ同一である部分から「おおさかみたらしだんご」の称呼が生じるものと認められる。』
(13頁)
・観念について
原告商標
『原告商標からは,その全体から「大阪のみたらしのたれを用いた小さな餅」,又は書体,大きさ,色が同一である部分から「みたらしのたれを用いた小さな餅」の観念が生じるものと認められる。』
(13頁)
被告商標
『みたらし団子が普通名詞であることを考慮すれば,被告商標からは,その全体から「元祖の大阪のみたらし団子」,又は書体,大きさ,色が同一である部分から「大阪のみたらし団子」の観念が生じるものと認められる。』
(14頁)
以上から、
『原告商標と被告商標は,称呼及び観念が類似しないものである。また,両者は,外観が類似せず,全体的に観察しても類似しない商標と認められる。』
(14頁)
結論的に非類似としました(不正競争防止法2条1項1号)。
2 被告商品形態による混同行為
商品形態自体による出所表示性も争点となりましたが、
『「ある物質を餅生地で包み込んだ和菓子」の一種である「醤油だれを餅生地で包み込んだ和菓子」について,「ある物質を餅生地で包み込んだ和菓子」におけるごくありふれた形態である「白色の餅生地を球状からやや扁平にし,上面に茶色の焼色を付した形態」としたとしても,これを他の商品と識別し得る独特の特徴とすることは到底できないのであって,これが商品等表示として需要者の間で広く認識されることがあり得るものと認めることはできない。』
(14頁以下)
ごくありふれた形態であるとして商品形態による商品等表示性が
否定されています(2条1項1号)。
3 「元祖」表示による品質誤認表示行為
「元祖」には、「物事を初めてしだした人」という意味と
「一家系の最初の人」という意味があるとしたうえで、
『「元祖」について,「物事を初めてしだした人」の意味に理解する場合には,これを品質についての表示とすることはできない。』
(15頁以下)
また、もう一つの意味(「一家系の最初の人」)の側面から
被告商品が「製造販売を継続している中で最古のもの」かどうか
という点について、
『醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子について,被告よりも早い段階で製造販売を開始した製品を,原告が現在まで継続して販売していると認めるに足りる証拠はない。』
として、この意味からでも虚偽性はないと判断されました(2条1項13号)。
4 「元祖」表示による営業誹謗行為
この点についても、営業誹謗性(2条1項14号)が否定されています。
(22頁以下)
■コメント
「大阪みたらし」で商標検索すると、商標登録の被告商品の
パッケージがどのようなものかがわかります。
「大阪みたらし\だんご∞元祖∞あべこべに\団子の中に\しょうゆだれ\おいし\おまっせ!!」
(【商標登録番号】 第4994783号 )
原告はというと、
「みたらし小餅」(【商標登録番号】 第4821955号 )と
「元祖みたらし小餅」(【商標登録番号】 第4990639号 )という
かたちで登録しています。
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■追記09.01.09
2008年の年末に大阪へ行った折に、おみやげを買いました。
千鳥屋さんの「大阪みたらし小餅」と奈良の千壽庵吉宗さんの
「みたらしたれうさぎ」。
どちらも美味しかったです。