裁判所HP 知的財産裁判例集より
「イーグル商号抹消登記請求」事件
★大阪地裁平成19.2.15平成18(ワ)1080不正競争行為差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田知司
裁判官 西理香
裁判官 村上誠子
■事案
同一メーカーの爬虫類皮革製品を取扱う販売会社間での
商号の類似性などをめぐって争われた事案
原告:かばん製造販売会社「イーグル・イトガ」
被告:かばん製造販売会社「イーグル・イチハラ」
■結論
請求認容(商号抹消登記、使用禁止)
■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号
1 商品等表示性
2 本件表示の帰属主体
3 周知性
4 類似性
5 誤認混同のおそれ
■判決内容
1 商品等表示性
「イーグル」および「EAGLE」という表示(本件表示)が
パンフレットやカタログ、原告商品で使用されており
商品等表示性が肯定されています。
(25頁以下)
2 本件表示の帰属主体
そもそも「イーグル」はメーカーの名称に由来することから、
被告は本件表示の帰属主体は原告ではない旨の反論をしました。
しかし、長年にわたって販売は原告が担当しており、
本件表示はメーカーと販売者である原告との「共同の商品表示」として
使用されていたと認定されています(29頁以下)。
3 周知性
ハンドバッグの価格帯が20〜90万円で最終需要者が
中高年富裕層ということから、市場は極めて限定されたもので
「イーグル」ブランドはメーカーと原告の商品表示として
需要者間に広く認識されていたと認定されています(37頁以下)。
なお、営業表示としての周知性は否定されています。
4 類似性
需要者からすると「イーグル」に着目し、
「イチハラ」は氏であるとみて「イーグル」の呼称を
生じるとして、類似性を肯定しています。
(41頁以下)
なお、商標法との関係では不競法上の判断とは必ずしも
一致するものではないと説示しています(43頁)。
商標法上の商標の類否との関係について、
小松一雄編著「不正競業訴訟の実務」(2005)
218頁以下参照。
5 誤認混同のおそれ
本件表示が原告とメーカーの共同の商品表示として
需要者間に広く認識されている以上、
原告の営業と被告の営業との間になんらかの関係があるとの
誤認混同を生じさせるおそれがある、と認定されています
(43頁)。
以上を踏まえ、被告商号の抹消登記手続、被告文字表示の抹消、
使用差止の必要性も認められています。
■コメント
アルパカ、バイソン、オストリッチ、
クロコダイル、シャーク・・・
牛革や豚革ではない特殊皮革素材の婦人用
高級ハンドバッグを販売する会社の商号を巡って
争われたのが本件です。
原告も被告も「イーグル・オサダ」が製造する
かばんを販売する会社で、もともと被告は
原告経由で商品を取扱っていましたが、
その関係を解消して独自に仕入れをするようになります。
メーカーとのライセンス契約は認定されていませんが
(44頁)、被告も「イーグル」ブランドに依拠せずに
メーカーと契約関係を詰めて業務展開ができるわけですから、
新しいブランド構築に努力して欲しいものです。
原告の無店舗型営業方法や日本のかばん製造販売の
業態が分かる興味深い事案でした。
■関連サイト
イーグルオサダ
株式会社 イーグルオサダのホームページ
「イーグル商号抹消登記請求」事件
★大阪地裁平成19.2.15平成18(ワ)1080不正競争行為差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田知司
裁判官 西理香
裁判官 村上誠子
■事案
同一メーカーの爬虫類皮革製品を取扱う販売会社間での
商号の類似性などをめぐって争われた事案
原告:かばん製造販売会社「イーグル・イトガ」
被告:かばん製造販売会社「イーグル・イチハラ」
■結論
請求認容(商号抹消登記、使用禁止)
■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号
1 商品等表示性
2 本件表示の帰属主体
3 周知性
4 類似性
5 誤認混同のおそれ
■判決内容
1 商品等表示性
「イーグル」および「EAGLE」という表示(本件表示)が
パンフレットやカタログ、原告商品で使用されており
商品等表示性が肯定されています。
(25頁以下)
2 本件表示の帰属主体
そもそも「イーグル」はメーカーの名称に由来することから、
被告は本件表示の帰属主体は原告ではない旨の反論をしました。
しかし、長年にわたって販売は原告が担当しており、
本件表示はメーカーと販売者である原告との「共同の商品表示」として
使用されていたと認定されています(29頁以下)。
3 周知性
ハンドバッグの価格帯が20〜90万円で最終需要者が
中高年富裕層ということから、市場は極めて限定されたもので
「イーグル」ブランドはメーカーと原告の商品表示として
需要者間に広く認識されていたと認定されています(37頁以下)。
なお、営業表示としての周知性は否定されています。
4 類似性
需要者からすると「イーグル」に着目し、
「イチハラ」は氏であるとみて「イーグル」の呼称を
生じるとして、類似性を肯定しています。
(41頁以下)
なお、商標法との関係では不競法上の判断とは必ずしも
一致するものではないと説示しています(43頁)。
商標法上の商標の類否との関係について、
小松一雄編著「不正競業訴訟の実務」(2005)
218頁以下参照。
5 誤認混同のおそれ
本件表示が原告とメーカーの共同の商品表示として
需要者間に広く認識されている以上、
原告の営業と被告の営業との間になんらかの関係があるとの
誤認混同を生じさせるおそれがある、と認定されています
(43頁)。
以上を踏まえ、被告商号の抹消登記手続、被告文字表示の抹消、
使用差止の必要性も認められています。
■コメント
アルパカ、バイソン、オストリッチ、
クロコダイル、シャーク・・・
牛革や豚革ではない特殊皮革素材の婦人用
高級ハンドバッグを販売する会社の商号を巡って
争われたのが本件です。
原告も被告も「イーグル・オサダ」が製造する
かばんを販売する会社で、もともと被告は
原告経由で商品を取扱っていましたが、
その関係を解消して独自に仕入れをするようになります。
メーカーとのライセンス契約は認定されていませんが
(44頁)、被告も「イーグル」ブランドに依拠せずに
メーカーと契約関係を詰めて業務展開ができるわけですから、
新しいブランド構築に努力して欲しいものです。
原告の無店舗型営業方法や日本のかばん製造販売の
業態が分かる興味深い事案でした。
■関連サイト
イーグルオサダ
株式会社 イーグルオサダのホームページ