裁判所HP 知的財産裁判例集より

「学習塾テスト無断複製」事件

東京地裁平成19.2.28平成16(ワ)27086損害賠償等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官    山田真紀
裁判官    佐野信



■事案

原告が作成した小中学生を対象とした学力テスト問題、
解答用紙等について、被告による複製利用にあたって
原告の許諾があったかどうかが争われた事案

原告:教育図書出版会社
被告:進学教室・学習塾経営会社



■結論

請求一部認容


■争点

条文 著作権法第21条

1 複製の範囲(略)
2 許諾の有無
3 損害額(略)


■判決内容


2 許諾の有無

見本品のようなカタチで提供されたテスト問題について
複製して使用することが原告により許諾されていたかどうかが
事実認定として問題となりました。

結論的には、学力テストの教材が営業上重要な販売物で
あることから被告への無償での複製使用の許諾は
不合理であるとして、原告側の許諾は無かったと
されました(26頁以下)。

なお、損害額については、テスト用紙代の掛けで算定されて
います(42頁)。


■コメント

被告に営業をかけていた原告側の立場、人的な関係などが
紛争の背景にあるのでしょう。
いずれにしても損害額が841万円と認定(原告の請求額の1/10)
されていますし、原告としても目をつぶっていられる
複製使用状況ではなかったようです。


■参考ブログ

企業法務戦士の雑感
■[企業法務][知財] 貧すれば鈍する