裁判所HP 知的財産裁判例集より
「ジャスラック対デサフィナード」事件
★大坂地裁平成19.1.30平成17(ワ)10324著作権侵害差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第２１民事部
裁判長裁判官 田中俊次
裁判官 西理香
裁判官 西森みゆき
★参考：企業法務戦士の雑感
■[企業法務][知財] JASRAC叩けばメディアが儲かる？
■事案
ジャスラック管理楽曲について無許諾で演奏をしていた
レストラン経営者に対して演奏の差止などを求めた事案
原告：ジャスラック（日本音楽著作権協会）
被告：レストランカフェ経営者
■結論
請求一部認容
■争点
条文 著作権法第112条など
１ 請求の特定の有無
２ 店舗における演奏の態様、状況
３ 管理著作物の利用主体性
４ 法38条1項の適否
５ 差止の必要性
６ 損害額・不当利得額
７ 消滅時効の成否
■判決内容
１ 請求の特定の有無
『被告は，請求の趣旨第１項が請求の特定を欠く旨主張するが，同請求の趣旨には，具体的な演奏態様が例示的に列挙されるとともに，本件店舗におけるあらゆる演奏態様による管理著作物の使用を営業時間の内外を問わず差し止めることを求める趣旨であることは明らかであるから請求の趣旨としての特定に欠けるところはないというべきである』
（34頁）
２ 店舗における演奏の態様、状況
平成13年から18年までのピアノ演奏、ライブ演奏、
貸切演奏などの各態様での管理楽曲の利用状況が
認定されています。
（34頁以下）
３ 管理著作物の利用主体性
（1）ピアノ演奏について
『被告が管理し，かつこれにより利益を上げることを意図し，現にこれによる利益を享受しているものということができる』
（52頁）
（2）ライブ演奏について
（ア）店主催のライブ
『本件店舗が最終的に企画し，客からライブチャージを徴収した上で，演奏者等に演奏料を支払うのであるから，その演奏は本件店舗の管理の下に行われるものと評価でき，またそれによる損益は本件店舗に帰属するものであったといえる。』
（52頁）
（イ）演奏者主催のライブ
『被告がライブ主催者に対して，原告からの管理著作物の利用許諾を得たか否かを確認もせずに，本件店舗で原告からの管理著作物の利用許諾を得ないままライブを行うことを黙認して，著作権侵害行為をする場を提供することは，いわば，ライブ主催者による著作権侵害行為を利用して，自らの営業上の利益を得ることを図るものであるから，著作権法の規律の観点からは，ライブ主催者である演奏者等と共同して管理著作物の著作権を侵害する行為に該当するというべきである。また，主催者である演奏者等と共同して管理著作物の著作権侵害行為を行うことについて過失も認められる。』
（54頁以下）
（3）貸切営業での演奏について
貸切営業での演奏行為への店舗の管理性は低いとして
利用主体性を否定。
（55頁以下）
以上のように、（1）、（2）の演奏態様について店舗の
ジャスラック管理楽曲の利用主体性が肯定されました。
４ 法38条1項の適否
営利目的性が認定されて、38条1項の適用は認められませんでした。
（57頁以下）
５ 差止の必要性
ピアノなどの楽器演奏・歌唱による楽曲の使用禁止、また
ピアノ撤去、ピアノ等の搬入禁止の必要性が認められました。
（58頁以下）
６ 損害額・不当利得額
楽曲使用料相当額が166万円余、弁護士費用が25万円
損害額として認定されました。
（65頁以下）
７ 消滅時効の成否
仮差押による時効中断効により平成14年7月13日以前の
損害賠償請求権について時効消滅が認められるにとどまりました。
（63頁以下）
■コメント
本件については、とても読み易くまとめられている
「企業法務戦士の雑感」さんのブログ記事を
ご一読いただけたらと思います。
なお、ピアノの撤去が認められた点については、
先例として「パブクラブまはらじゃ事件」
（高松地裁H3.1.29判決）があります。
田村先生は、高松地裁判決についてピアノの撤去は
「勇み足を踏んだもの」との評価ですが
（田村善之「著作権法概説第二版」（2001）
307頁以下）、
岡本先生は、肯定的な評価です。
（岡本哲「パブクラブまはらじゃ事件」
『判例著作権法 村林�楼貔萓幻典�記念』（2001）
107頁以下参照）
今回の裁判は、ジャスラック相手に訴訟をするなら
こうした争点を店側は検討していかなくてはならないという、
典型のような事例でした。
■参考ブログ
★企業法務戦士の雑感
■[企業法務][知財] JASRAC叩けばメディアが儲かる？
----------------------------------------
■追記（07.02.17）
benli
デサフィナード事件
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■追記（08.9.29）
控訴審について（08/9/26記事）
デサフィナード事件（控訴審）
「ジャスラック対デサフィナード」事件
★大坂地裁平成19.1.30平成17(ワ)10324著作権侵害差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第２１民事部
裁判長裁判官 田中俊次
裁判官 西理香
裁判官 西森みゆき
★参考：企業法務戦士の雑感
■[企業法務][知財] JASRAC叩けばメディアが儲かる？
■事案
ジャスラック管理楽曲について無許諾で演奏をしていた
レストラン経営者に対して演奏の差止などを求めた事案
原告：ジャスラック（日本音楽著作権協会）
被告：レストランカフェ経営者
■結論
請求一部認容
■争点
条文 著作権法第112条など
１ 請求の特定の有無
２ 店舗における演奏の態様、状況
３ 管理著作物の利用主体性
４ 法38条1項の適否
５ 差止の必要性
６ 損害額・不当利得額
７ 消滅時効の成否
■判決内容
１ 請求の特定の有無
『被告は，請求の趣旨第１項が請求の特定を欠く旨主張するが，同請求の趣旨には，具体的な演奏態様が例示的に列挙されるとともに，本件店舗におけるあらゆる演奏態様による管理著作物の使用を営業時間の内外を問わず差し止めることを求める趣旨であることは明らかであるから請求の趣旨としての特定に欠けるところはないというべきである』
（34頁）
２ 店舗における演奏の態様、状況
平成13年から18年までのピアノ演奏、ライブ演奏、
貸切演奏などの各態様での管理楽曲の利用状況が
認定されています。
（34頁以下）
３ 管理著作物の利用主体性
（1）ピアノ演奏について
『被告が管理し，かつこれにより利益を上げることを意図し，現にこれによる利益を享受しているものということができる』
（52頁）
（2）ライブ演奏について
（ア）店主催のライブ
『本件店舗が最終的に企画し，客からライブチャージを徴収した上で，演奏者等に演奏料を支払うのであるから，その演奏は本件店舗の管理の下に行われるものと評価でき，またそれによる損益は本件店舗に帰属するものであったといえる。』
（52頁）
（イ）演奏者主催のライブ
『被告がライブ主催者に対して，原告からの管理著作物の利用許諾を得たか否かを確認もせずに，本件店舗で原告からの管理著作物の利用許諾を得ないままライブを行うことを黙認して，著作権侵害行為をする場を提供することは，いわば，ライブ主催者による著作権侵害行為を利用して，自らの営業上の利益を得ることを図るものであるから，著作権法の規律の観点からは，ライブ主催者である演奏者等と共同して管理著作物の著作権を侵害する行為に該当するというべきである。また，主催者である演奏者等と共同して管理著作物の著作権侵害行為を行うことについて過失も認められる。』
（54頁以下）
（3）貸切営業での演奏について
貸切営業での演奏行為への店舗の管理性は低いとして
利用主体性を否定。
（55頁以下）
以上のように、（1）、（2）の演奏態様について店舗の
ジャスラック管理楽曲の利用主体性が肯定されました。
４ 法38条1項の適否
営利目的性が認定されて、38条1項の適用は認められませんでした。
（57頁以下）
５ 差止の必要性
ピアノなどの楽器演奏・歌唱による楽曲の使用禁止、また
ピアノ撤去、ピアノ等の搬入禁止の必要性が認められました。
（58頁以下）
６ 損害額・不当利得額
楽曲使用料相当額が166万円余、弁護士費用が25万円
損害額として認定されました。
（65頁以下）
７ 消滅時効の成否
仮差押による時効中断効により平成14年7月13日以前の
損害賠償請求権について時効消滅が認められるにとどまりました。
（63頁以下）
■コメント
本件については、とても読み易くまとめられている
「企業法務戦士の雑感」さんのブログ記事を
ご一読いただけたらと思います。
なお、ピアノの撤去が認められた点については、
先例として「パブクラブまはらじゃ事件」
（高松地裁H3.1.29判決）があります。
田村先生は、高松地裁判決についてピアノの撤去は
「勇み足を踏んだもの」との評価ですが
（田村善之「著作権法概説第二版」（2001）
307頁以下）、
岡本先生は、肯定的な評価です。
（岡本哲「パブクラブまはらじゃ事件」
『判例著作権法 村林�楼貔萓幻典�記念』（2001）
107頁以下参照）
今回の裁判は、ジャスラック相手に訴訟をするなら
こうした争点を店側は検討していかなくてはならないという、
典型のような事例でした。
■参考ブログ
★企業法務戦士の雑感
■[企業法務][知財] JASRAC叩けばメディアが儲かる？
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■追記（07.02.17）
benli
デサフィナード事件
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■追記（08.9.29）
控訴審について（08/9/26記事）
デサフィナード事件（控訴審）
