裁判所HP 知的財産裁判例集より
「里見学園八剣伝」事件
★東京地裁平成19.1.31平成18(ワ)13706損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官 山田真紀
裁判官 佐野信
■事案
PBW(プレイ・バイ・ウエブ=webで演じる)形式の参加型
ウエブサイトをめぐって、著作権侵害性が争われた事案
原告:里見学園八剣伝サイト管理者
被告:パロディサイト管理者
■結論
請求棄却
■争点
条文 著作権法第2条1項1号、民法709条
1 複製権侵害性の肯否
2 一般不法行為性の肯否
■判決内容
1 複製権侵害性の肯否
原告のサイト上の著作物(単語)の創作性自体が
問題となり、
『本件原告記載(「里見学園八剣伝」,「里見学園」,「スクエア」及び「空き教室」)の創作性の有無について検討するに,本件原告記載は,いずれも,一単語又は二,三の単語を組み合わせたごく短い表現であり,かつ,平凡で,ありふれた表現であるから,創作性が認められないことは明らかである。』
また、被告は原告から事前にパロディサイト開設について
承諾を得ていました。
『なお,仮に,本件原告記載中の「里見学園八剣伝」及び「里見学園」の各記載に何らかの創作性があるものと解しても,原告は,前記1(2)で認定したとおり,被告らに対し,「里見学園八剣伝」という名称の原告サイトのパロディ・イベント(サイト)の開設を許諾したものであるから,被告サイトにおける上記各記載の使用が,複製権の侵害となるものでないことも明らかである。』
(10頁)
裁判所は、創作性がなく、あるいはあったとしても許諾があったと
して著作権侵害性を否定しました。
2 一般不法行為性の肯否
原告は、サイトの構造(掲示板や各種チャットルームの設置など)が
模倣されたなどを理由として被告の一般不法行為性を主張しています。
『被告らが,被告サイトにおいて,上記構造を採用したのは,原告の許諾を受けて,原告サイトのパロディ版という趣旨で被告サイトを開設したためである。
そうすると,原告サイト上の具体的表現と同一ないし類似の表現を使用する場合には別途著作権などの侵害が考え得るとしても,そうではなく,単に,原告サイトの上記のような構造と同様の構造のウェブサイトを開設することは,ことさら原告に損害を与えることを目的としたり,そのような態様で行うといった特段の事情が存在しない限り,不法行為を構成するものではないというべきである。そして,本件においては,被告らが原告サイトの上記構造と同様の構造の被告サイトを開設することが不法行為を構成するといえるまでの特段の事情の存在を認めることはできない。』
(11頁)
結論として、一般不法行為性は認められませんでした。
■コメント
【経緯】
17年4月原告サイト開設
17年 原告は被告にパロディサイト開設を許諾
18年5月被告サイト開設
6月被告へサイト閉鎖申入れ
8月本件提訴後サイト閉鎖
原告サイトはロールプレイングゲームの一種のようです。
本人訴訟ということもあって、著作権に関する争点に
ついての主張は根拠が薄いものとなっています。
今回、一般不法行為の点については、社会的相当性を
逸脱するような特段の事情がない限り不法行為とまでは
いえないと判断されました。
明確な内容を持ったものではないものの、原告側と
知人関係にある被告に対してパロディサイト開設に
関する承諾をうかつにも出していたというのは
大きな点だったかもしれません。
なお、原告側の本件訴訟に関するまとめサイトが
あります。
まとめサイトを読む限り、原告側は、逆に被告に対する
名誉毀損的言辞について注意を払う必要があるかもしれません。
■参考サイト
まとめサイト
里見学園八剣伝・盗作事件について
里見学園八剣伝
里見学園八剣伝
「里見学園八剣伝」事件
★東京地裁平成19.1.31平成18(ワ)13706損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官 山田真紀
裁判官 佐野信
■事案
PBW(プレイ・バイ・ウエブ=webで演じる)形式の参加型
ウエブサイトをめぐって、著作権侵害性が争われた事案
原告:里見学園八剣伝サイト管理者
被告:パロディサイト管理者
■結論
請求棄却
■争点
条文 著作権法第2条1項1号、民法709条
1 複製権侵害性の肯否
2 一般不法行為性の肯否
■判決内容
1 複製権侵害性の肯否
原告のサイト上の著作物(単語)の創作性自体が
問題となり、
『本件原告記載(「里見学園八剣伝」,「里見学園」,「スクエア」及び「空き教室」)の創作性の有無について検討するに,本件原告記載は,いずれも,一単語又は二,三の単語を組み合わせたごく短い表現であり,かつ,平凡で,ありふれた表現であるから,創作性が認められないことは明らかである。』
また、被告は原告から事前にパロディサイト開設について
承諾を得ていました。
『なお,仮に,本件原告記載中の「里見学園八剣伝」及び「里見学園」の各記載に何らかの創作性があるものと解しても,原告は,前記1(2)で認定したとおり,被告らに対し,「里見学園八剣伝」という名称の原告サイトのパロディ・イベント(サイト)の開設を許諾したものであるから,被告サイトにおける上記各記載の使用が,複製権の侵害となるものでないことも明らかである。』
(10頁)
裁判所は、創作性がなく、あるいはあったとしても許諾があったと
して著作権侵害性を否定しました。
2 一般不法行為性の肯否
原告は、サイトの構造(掲示板や各種チャットルームの設置など)が
模倣されたなどを理由として被告の一般不法行為性を主張しています。
『被告らが,被告サイトにおいて,上記構造を採用したのは,原告の許諾を受けて,原告サイトのパロディ版という趣旨で被告サイトを開設したためである。
そうすると,原告サイト上の具体的表現と同一ないし類似の表現を使用する場合には別途著作権などの侵害が考え得るとしても,そうではなく,単に,原告サイトの上記のような構造と同様の構造のウェブサイトを開設することは,ことさら原告に損害を与えることを目的としたり,そのような態様で行うといった特段の事情が存在しない限り,不法行為を構成するものではないというべきである。そして,本件においては,被告らが原告サイトの上記構造と同様の構造の被告サイトを開設することが不法行為を構成するといえるまでの特段の事情の存在を認めることはできない。』
(11頁)
結論として、一般不法行為性は認められませんでした。
■コメント
【経緯】
17年4月原告サイト開設
17年 原告は被告にパロディサイト開設を許諾
18年5月被告サイト開設
6月被告へサイト閉鎖申入れ
8月本件提訴後サイト閉鎖
原告サイトはロールプレイングゲームの一種のようです。
本人訴訟ということもあって、著作権に関する争点に
ついての主張は根拠が薄いものとなっています。
今回、一般不法行為の点については、社会的相当性を
逸脱するような特段の事情がない限り不法行為とまでは
いえないと判断されました。
明確な内容を持ったものではないものの、原告側と
知人関係にある被告に対してパロディサイト開設に
関する承諾をうかつにも出していたというのは
大きな点だったかもしれません。
なお、原告側の本件訴訟に関するまとめサイトが
あります。
まとめサイトを読む限り、原告側は、逆に被告に対する
名誉毀損的言辞について注意を払う必要があるかもしれません。
■参考サイト
まとめサイト
里見学園八剣伝・盗作事件について
里見学園八剣伝
里見学園八剣伝