消された判例

FACTA online
「消えた判例」の怪 最高裁HPの浅知恵

Matimulog(町村教授)
「消えた判例」の怪 最高裁HPの浅知恵

blog of Dr. Makoto Ibusuki(指宿教授)
最高裁サイトから消えた「判例」と、判例公開問題



2006年4月27日にあった判決がいったんは最高裁HPに
掲載されたものの、最高裁事務局の判断で削除された
不正競争防止法、著作権法の争点に関する事案が
ありました。

東京地裁平成18年4月27日
平成15年(ワ)第12130号不正競争行為差止等請求事件

現在でもキャッシュでプリントアウトすることが
できますので、興味のある方はご覧いただけたらと
思います(全184ページ)。

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東京地裁平成18年4月27日
平成15年(ワ)第12130号不正競争行為等請求事件(第1事件)
平成15年(ワ)第11159号賃金請求事件(第2事件)



東京地裁民事第46部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官    古河謙一
裁判官    吉川泉


第1事件原告・第2事件被告 (株)ニューチャーイノベーション
第1事件原告        (株)ニューチャーディスカバリー          
第1事件原告        (株)ニューチャーポジショニング

第1事件被告        カタナニューヨーク、インク
第1事件被告・第2事件原告 B
第1事件被告        C
第1事件被告        D


【主文】

1第1事件被告らは第1事件原告株式会社ニューチャーイノベーションに対し
別紙被告テキスト目録1及び2記載のテキストの印刷、出版、販売又は頒布
(インターネットホームページにおけるものを含む)をしてはならない。

2第1事件被告らは第1事件原告株式会社ニューチャーイノベーションに対し
別紙被告テキスト目録1及び2記載のテキスト並びに同各テキストの記載内容が
記録されたコンピュータ内の記録媒体、若しくはPCカード、CDロム、フロッピー
ディスク等の電磁的記録等の記録媒体から同記録内容を抹消せよ。

3第1事件被告Cは第1事件原告株式会社ニューチャーイノベーションに対し
50万円及びこれに対する平成18年1月18日から支払済みまで年5分の割合による
金員を支払え。


4第2事件被告株式会社ニューチャーイノベーションは第2事件原告Bに対し
108万4535円及びこれに対する平成17年9月21日から支払済みまで年5分の割合による
金員を支払え。

5第1事件原告らのその余の請求を棄却する。

6第2事件原告Bのその余の請求を棄却する。

7訴訟費用は,これを2分し,その1を第1事件被告・第2事件原告B及びその
余の第1事件被告らの負担とし,その余を第1事件原告・第2事件被告
(株)ニューチャーイノベーション及びその余の第1原告らの負担とする。

8この判決は,第3項及び第4項に限り仮に執行することができる。


【事案の概要】

(株)ニューチャーイノベーションの代表取締役であった被告Bらが退職後
カタナニューヨーク、インクを設立した事実関係の下で、
原告らは、被告らが在職中に作成したテキストについてその著作権に基づき
被告テキスト等の販売差止、不正競争防止法(営業秘密)に基づく使用差止、
不当利得返還等を請求した事案。
あわせて未払い役員報酬支払いの請求(第2事件)。


【争点】

1 著作権侵害性

1 著作権の帰属
2 類似性
3 人格権侵害の有無
4 損害額

2 不正競争防止法

 営業秘密性

3 不当利得返還請求


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最高裁HP掲載後、数日で削除されたということなので
当時はフォローしきれませんでした。

なお、現在でも著作権の争点が含まれる平成18年01月31日付知財判決
里見学園八剣伝事件、放電焼結装置事件)が判決本文はサイトに
掲載されているものの、
最近の知的財産裁判例一覧表示」頁には掲載されていないという
最新判例を見落としかねない危なっかしい状況もあるので、
町村先生のブログや裁判所判例Watchなどのシステムを利用して
注意して行くほかないと思っています。


裁判所判例Watch


■追記(07.02.09)

営業秘密にかかわる部分などは黒塗りにされていて
その部分が多いと公開が遅くなる場合があります。
黒塗り部分について、技術的な問題があるとは
思いませんでした。

Flight-test of darupen
■[知的財産権] 黒塗り判決、だが

Matimulog
判決書きの一部を黒塗りにした例



■追記(07.03.12)

2007.02.10【御報告】カタナニューヨークインク裁判状況

News Release|KATANA NewYork,Inc.,