萩原朔太郎「純情小曲集」(1925)

こころ


こころをばなににたとへん
こころはあぢさゐの花
ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて。

こころはまた夕闇の園生のふきあげ
音なき音のあゆむひびきに
こころはひとつによりて悲しめども
かなしめどもあるかひなしや
ああこのこころをばなににたとへん。

こころは二人の旅びと
されど道づれのたえて物言ふことなければ
わがこころはいつもかくさびしきなり。



青空文庫より
青空文庫



宮崎吾郎監督作詞の「ゲド戦記」挿入歌「テルーの唄」。
その歌詞部分について宮崎監督は朔太郎の詩を
参考にして作ったそうですが、それに関連して問題点が
別の作家さんから指摘されています。

荒川洋治さんが月刊誌「諸君!」11月号で宮崎監督の作詞について
言及されているそうです。
「ゲド戦記 作詞者 宮崎吾朗氏への疑問」荒川洋治(現代詩作家)


ヤフー記事
Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - <ゲド戦記>挿入歌の歌詞が朔太郎の詩と酷似


宮崎監督の朔太郎作品の取扱いについては
議論がありそうですが、そんなことより
著作権保護期間が満了した作品について
青空文庫で気軽にアクセスして作品に触れることができる。

こうした素敵な作品に出逢えることのうれしさは
他にたとえようがありません。


なお、アニメ映画「ゲド戦記」の原作者のアニメ作品評価について、
こちらをどうぞ(但し、出典の正確性などは不明です)。

ゲド戦記Wiki-ジブリ映画「ゲド戦記」に対する原作者のコメント全文(仮)
http://hiki.cre.jp/Earthsea/?GedoSenkiAuthorResponse


宮崎アニメは好きなのでいくつかは映画館へ
足を運んで見ています。

今回は駿監督の息子が監督の作品ということもあってか
前評判は散々でしたが、
わたしとしては充分楽しめる作品でした。

印象的な挿入歌だった「テルーの唄」。

こんどの話題で朔太郎作品の良さの再認識のきっかけとなる
おまけつきとなりました。

■06.10.25追記

「テルーの唄」問題で
スタジオジブリから公式コメントが出ています。

まあ、これで落着というところでしょうね。

スタジオジブリ - STUDIO GHIBLI -
2006年10月24日
テルーの唄」の歌詞の表記の問題について