田村先生が「知財管理」56巻9号(2006)1307頁以下に
最近話題にあがった(横浜市ネット競売事件などがありました)
ネット上のオークションサイトへの
絵画作品画像の紹介掲載と著作権法とのかかわりについて
論文を書かれておいでです。
オークションサイトへの絵画画像掲載行為が
複製権侵害、公衆送信権侵害となりうることを前提として
著作権法32条1項の「引用」要件を充足するかどうかについて
検討されています。
マッドアマノ・パロディ写真事件(フォトモンタージュ事件)
最高裁判例(S55.3.28)の射程と近時の下級審判例の動向や
学説状況から、新しいネットでの著作物の使われ方と
「引用」のありかたについて
32条1項の文言解釈論からアプローチをされています。
結論として、32条1項「引用」に該当する可能性を
肯定されています。
そのほか、画像の部分拡大の際の同一性保持権との
関係についても触れられています(1315頁以下)。
はなしは少し逸れますが、
今年4月頃に話題となったオークションサイトに
SBIアートフォリオ株式会社のものがあります。
SBIアートフォリオ株式会社
いまこのサイトを見てみると、「幻想美術」の項目に
ハンス・ベルメールの作品が2点掲載されています。
ここのサイトの美術品画像はたとえばAJCオークションの
オンラインカタログなどと比較するとかなり高画質ですが、
それでもベルメールのよさを伝えるにはまったく及びません。
(よさが伝わってしまうと、32条の要件をトータルでは
充足しなくなるかもしれませんが。)
現物に触れていない限りよほど価格が安いであるとか
投資目的でざっくりお買い上げするとか遠隔地だとか
なにかメリットがないとなかなかネットだけで美術品を
購入するというのは難しいかもしれません。
AJCオークション [AJC AUCTION] 美術品オークションハウス
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★なお、
「企業法務戦士の雑感」さんが「知財管理」掲載の別の論文
大友信秀「著作権侵害行為の幇助的行為と刑罰規定(その1)(その2)
−いわゆるWinny事件を契機として−」
「知財管理」56巻7号971頁以下、同8号1119頁以下
についてブログに書かれています。
■[企業法務][知財] Winny事件の判決が出る前に読んでおきたい論稿