東京地裁平成18.8.4決定
H18(ヨ)22022著作隣接権仮処分命令申立事件
まねきTVプレスリリースより
H18(ヨ)22022著作隣接権仮処分命令申立事件 決定文PDF
東京地裁民事47部
裁判長裁判官 高部眞規子
裁判官 中島基至
裁判官 田邉 実
■事案
ソニーの既製機器を利用したインターネット回線での
テレビ番組視聴サービスを提供している業者が
テレビ局の送信可能化権を侵害しているかどうかが争われた事案。
原告(債権者)はフジテレビ、被告(債務者)は
海外在住者向けテレビ番組ネット転送サービス運営会社。
なお、フジテレビのほかに5社のテレビ放送局が
本件と同様の仮処分命令申立を行っています。
■結論
申立却下(債権者フジテレビ側敗訴)
■争点
条文 著作権法第2条1項9号の5
1 債務者の送信可能化行為の有無
送受信の主体は利用者か業者か、「公衆」の意義
■判決内容
1 債務者の送信可能化行為の有無
ソニーはネットでテレビ番組を視聴できる
「ロケーションフリー」というシステムについて
サービスを行っています。
ソニーが提供しているこのサービス(設定作業代行もあり)の適否については
テレビ局側は争っていません。
(33頁)
こうしたソニーのネット転送システムを基礎として債務者は
新サービスを提供していました。
裁判所は、ソニーのサービスの内容、本件サービスにおける
債務者の役割などを詳細に検討、送受信の主体はあくまで
サービスの利用者であると判断しました。
そして、放送データの送信は、1主体(利用者)から特定の1主体
(当該利用者自身)に対してされたものであり、
不特定又は特定多数の者に対する送信とはいえず
「公衆」に対する送信とはいえない。
よって、本件サービスにおける機器は著作権法第2条1項9号の5
「自動公衆送信装置」にあたらないとしました。
(38頁以下)
「自動公衆送信装置」にあたらない以上、債務者の行為は
送信可能化行為とはならないことになります。
■コメント
弁護士小倉先生のブログや朝日新聞系報道(赤田康和記者記事)で
紹介されていたTV番組のネット送信にかかわる新ビジネスを巡る争いです。
小倉先生は、本件債務者側の訴訟代理人に就かれておいでで、
クロムサイズ社のテレビ番組の視聴、録画システムサービス
「選撮見録(よりどりみどり)」にかかわる紛争の
被告代理人でもあります。
下記のサイトで今回の決定についてわかりやすく解説をされています。
BENLI
まねきTV事件地裁決定の肝
ソニーのような大企業がサービスを提供すれば
問題視されず、ベンチャー企業提供だと違法視されるようでは
筋がとおりません。
海外在住者、放送区域外居住者向け転送サービスに関する
ビジネスモデルとしては、テレビ局側もこのあたりを
落としどころにしないと
テレビ番組視聴に対する社会的なニーズに対応するサービスを
封殺することになりかねません。
■参考サイト
まねきTV
まねきTV プレスリリース
弁護士落合先生「日々是好日」
[インターネット事件]番組ネット転送「適法」東京地裁、TV局中止申請却下
津田大介さん「音楽配信メモ」
東京地裁の高部眞規子裁判長が著作物流通を促進(?)する画期的な判断を下す
録画ネット
録画ネット事件 裁判関連資料
録画ネット和解へ(06.1.25)
録画ネットサービス終了のお知らせ
■追記(06.8.7)
裁判所サイトにPDFがアップされました。
平成18年(ヨ)第22022号著作隣接権仮処分命令申立事件
添付資料PDF
■追記(06.8.8)
小倉先生が準備書面の一部を転載されています。
BENLI
技術革新の成果を市民が享受することへの配慮について
■追記(06.8.19)
ソニーの「ロケーションフリー」開発の経緯について
「ライトナウ」2006年10月号86頁以下に紹介があります。
1998年当時社長だった出井さんの
「通信を使った新しいテレビを作れ」という
指示が開発のきっかけだったそうです。
■追記(06.8.26)
「企業法務戦士の雑感」さんの記事
[企業法務][知財] 「まねきTV」事件決定
H18(ヨ)22022著作隣接権仮処分命令申立事件
まねきTVプレスリリースより
H18(ヨ)22022著作隣接権仮処分命令申立事件 決定文PDF
東京地裁民事47部
裁判長裁判官 高部眞規子
裁判官 中島基至
裁判官 田邉 実
■事案
ソニーの既製機器を利用したインターネット回線での
テレビ番組視聴サービスを提供している業者が
テレビ局の送信可能化権を侵害しているかどうかが争われた事案。
原告(債権者)はフジテレビ、被告(債務者)は
海外在住者向けテレビ番組ネット転送サービス運営会社。
なお、フジテレビのほかに5社のテレビ放送局が
本件と同様の仮処分命令申立を行っています。
■結論
申立却下(債権者フジテレビ側敗訴)
■争点
条文 著作権法第2条1項9号の5
1 債務者の送信可能化行為の有無
送受信の主体は利用者か業者か、「公衆」の意義
■判決内容
1 債務者の送信可能化行為の有無
ソニーはネットでテレビ番組を視聴できる
「ロケーションフリー」というシステムについて
サービスを行っています。
ソニーが提供しているこのサービス(設定作業代行もあり)の適否については
テレビ局側は争っていません。
(33頁)
こうしたソニーのネット転送システムを基礎として債務者は
新サービスを提供していました。
裁判所は、ソニーのサービスの内容、本件サービスにおける
債務者の役割などを詳細に検討、送受信の主体はあくまで
サービスの利用者であると判断しました。
そして、放送データの送信は、1主体(利用者)から特定の1主体
(当該利用者自身)に対してされたものであり、
不特定又は特定多数の者に対する送信とはいえず
「公衆」に対する送信とはいえない。
よって、本件サービスにおける機器は著作権法第2条1項9号の5
「自動公衆送信装置」にあたらないとしました。
(38頁以下)
「自動公衆送信装置」にあたらない以上、債務者の行為は
送信可能化行為とはならないことになります。
■コメント
弁護士小倉先生のブログや朝日新聞系報道(赤田康和記者記事)で
紹介されていたTV番組のネット送信にかかわる新ビジネスを巡る争いです。
小倉先生は、本件債務者側の訴訟代理人に就かれておいでで、
クロムサイズ社のテレビ番組の視聴、録画システムサービス
「選撮見録(よりどりみどり)」にかかわる紛争の
被告代理人でもあります。
下記のサイトで今回の決定についてわかりやすく解説をされています。
BENLI
まねきTV事件地裁決定の肝
ソニーのような大企業がサービスを提供すれば
問題視されず、ベンチャー企業提供だと違法視されるようでは
筋がとおりません。
海外在住者、放送区域外居住者向け転送サービスに関する
ビジネスモデルとしては、テレビ局側もこのあたりを
落としどころにしないと
テレビ番組視聴に対する社会的なニーズに対応するサービスを
封殺することになりかねません。
■参考サイト
まねきTV
まねきTV プレスリリース
弁護士落合先生「日々是好日」
[インターネット事件]番組ネット転送「適法」東京地裁、TV局中止申請却下
津田大介さん「音楽配信メモ」
東京地裁の高部眞規子裁判長が著作物流通を促進(?)する画期的な判断を下す
録画ネット
録画ネット事件 裁判関連資料
録画ネット和解へ(06.1.25)
録画ネットサービス終了のお知らせ
■追記(06.8.7)
裁判所サイトにPDFがアップされました。
平成18年(ヨ)第22022号著作隣接権仮処分命令申立事件
添付資料PDF
■追記(06.8.8)
小倉先生が準備書面の一部を転載されています。
BENLI
技術革新の成果を市民が享受することへの配慮について
■追記(06.8.19)
ソニーの「ロケーションフリー」開発の経緯について
「ライトナウ」2006年10月号86頁以下に紹介があります。
1998年当時社長だった出井さんの
「通信を使った新しいテレビを作れ」という
指示が開発のきっかけだったそうです。
■追記(06.8.26)
「企業法務戦士の雑感」さんの記事
[企業法務][知財] 「まねきTV」事件決定