洋々社が刊行している「宮沢賢治」研究書は
2001年16号が発行されていて
17号発行もそろそろ、というところです。

叔父の佐々木桔梗(プレスビブリオマーヌ)は、
16号での論考に引き続いて
新たに表記の論文を17号に掲載予定です。

宮沢賢治〈16号〉賢治の愛した植物



17号では、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」のモチーフとなった
岩手軽便鉄道で当時使われていたボルドウィン社製機関車に
関する論考が掲載されます。

特筆すべきは、「全国機関車要覧」(昭和5年刊)から
ボルドウィン社製機関車の図面が転載されていること。
また、大正4年に岩手軽便鉄道が発行した事業案内書に
掲載された走行する同機関車の画像もあわせて
取上げられている点です。

この二つは戦後としては初公表となるものと思われます。


叔父としては、「銀河鉄道の夜」装丁本によくある
作家ものの挿絵の中に大きな車体の機関車や客車が出てくることに
どうにも違和感があるようです。

急勾配の路線を登り切る岩手軽便鉄道では、
ロングシートの小柄な客車を曳いていて、けっして
向かい合わせの座席があるような客車を使っていません。
D51のような機関車はむろん範疇外。

そんなことをきっかけに、叔父は賢治が実際にみたであろう
機関車の研究を始めたようです。

なお、昭和16年刊行の新潮社版銀河鉄道の夜初版本
挿絵には、客車内の様子がロングシートで描かれており
当時の挿絵画家が客車などをしっかり取材したで
あろうことが伺えます。

また、1980年代刊行の漫画版「銀河鉄道の夜」に
出てくる機関車が3気筒シエイギヤード機関車で
あることなどもHOゲージを示しながら予定稿の話とともに
解説してもらいました。

初版







hoほ2



(画像は、3気筒シエイギヤード機関車と狭軌ハイスラー機関車)




■追記(06.11.04)

「宮沢賢治」17号が10月に刊行されました。
叔父の論考は134頁以下に掲載されています。

洋々社1890円

宮沢賢治 (第17号)