ネットの普及、デジタル技術の高度化によって
著作権に対する直接侵害者と
教唆・幇助行為者の区別が
あいまいになってきています。

この点、いわゆる間接侵害論について、
先日潮海先生による講演がありました。

問題の所在、事案類型論、外国法制、
国内特許法との比較の観点などから
論考が加えられました。

この論点については、
最近、高部真規子判事による論文が発表されており
(「著作権侵害の主体について」ジュリスト1306号(2006)114頁以下)
ここに詳しいのですが、
潮海先生は、立法に委ねるべきとの立場に立たれる
高部判事の立場の要点は、

1 文理解釈
2 執行の実効性


にあると指摘されていました。

いずれにしましても間接侵害者を著作権法112条に
取り込むかどうかについて肯否が分かれる裁判例
否定する立場として、「2ちゃんねる事件一審
H16. 3.11 東京地裁 平成15(ワ)15526 著作権 民事訴訟事件
なお、特許法について、「切削オーバーレイ事件
H16. 8.17 東京地裁 平成16(ワ)9208 特許権 民事訴訟事件)、
肯定する立場として、「選撮見録事件
H17.10.24 大阪地裁 平成17(ワ)488 著作権 民事訴訟事件

どちらの立場に立っても
潮海先生曰く、

帯に短し、襷に長し

というところで、
特許法101条1号・3号の専用品に関する規定を参考に
立法によって「みなし侵害規定」(著作権法113条)に
明確に侵害行為を書き込むという立場が穏当なところ、と
先生はお考えのような「口ぶり」でした。



■参考文献

作花文雄「非中央管理型P2Pソフト提供者の間接侵害責任
     ー米国「Grokster」事件際高裁判決(2005.6.27)をめぐる論点ー

     コピライト535号(2005)2頁以下

 同  「非中央管理型P2PとAuthorization法理の適用可能性
     ー豪州「Sharman」事件連邦裁判所(FCA)判決をめぐる間接侵害責任
      法理の論点と考察ー

     (前編)コピライト537号(2006)24頁以下、
     (後編)同 538号(2006)39頁以下