読売新聞記事

株式会社美術著作権センターが著作権管理している洋画家の作品について、横浜市が公売にかけてネットオークションに出品。
その際作品の画像がネット上に無断掲載されたことから、美術著作権センターが掲載差止、損害賠償を求めて提訴したというものです。
複製権公衆送信権侵害をめぐる争いとなるわけですが、裁判所はどう判断するか。

音楽著作権と同じレベルでのネット上の権利保護を純粋美術作品などにも求めるのが美術品取引現場の実際として適当かどうか。
美術作品のネット流通、ネットでの作品紹介は今まで以上に盛んになるでしょうから問題は大きいものとなります。


ある美術品専門オークション会社では、オークションでは値崩れ防止のため若手作家の作品は扱わない、物故者を扱う、知名度の高い値崩れしない現存作家を例外的に扱う等それなりの配慮のもとで運営されているそうです。美術品をオークションにかけること自体からして大変な配慮を行っているわけです。

美術作品をネットオークションにかけることを一般的に制限する権利は作家にはありませんが、ネットオークションにかけられることに反感を覚える作家のかたとしては、せめて著作権法で対応できる部分についてははっきりした対応をとろうと思われるかもしれません。
今回の洋画家の方もあるいはそのような動機のもとの提訴だったのかもしれません。

なお、横浜市会議員大滝正雄氏のブログ記事では、作家のかたが横浜市にゆかりのあるかたであることを伝えています。


株式会社美術著作権センター

横浜市市長定例記者会見質疑要旨(平成17年1月19日)

ビッダーズ:横浜市公売オークション

横浜市財政局主税部よこはま市税のページ

横浜市会議員大滝まさお氏のブログ記事(10月12日付)

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■追記(05.12.17)
伝聞ですが、訴えは取り下げられたようです。

ライトナウ」2006.2月号3頁

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■追記(07.06.04)

新聞記事「公売サイト 著作権法違反?」
2007年5月31日日経新聞東京版★13版38頁

国税庁がネットオークションを6月から始めるに当たり
文化庁と著作権の取扱を巡り見解が相違しているようです。

この記事には、横浜市の事例では著作権管理団体の原告適格性に
問題があったこと、また、その後横浜市は許諾を得る運用をして
いるということに触れられています。

神奈川県でもピカソの絵画公売告知の際に、海外の管理団体に
43500円を許諾料として支払った旨報道しています。

オークションと著作権の関係については、
田村善之「絵画のオークション・サイトへの画像の掲載と著作権法」
      『知財管理』56巻9号(2006)1307頁以下
同   「技術環境の変化に対応した著作権の制限の可能性について」
      『ジュリスト』1255号(2003.11.1)124頁以下
同   「著作権法32条1項の『引用』法理の現代的意義」
      『コピライト』554号(2007)2頁以下

参照。

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■追記08/11/7

企業法務戦士の雑感(2008-11-05記事)
[企業法務][知財]オークションと著作権