権利の保護期間というと、皆さんでしたらどんな場面を想像されるでしょう。

たとえば、

飲み屋のツケがそろそろ消滅時効にかかるかな?

など、債権の時効の場面が思い浮かぶかもしれません。

知的財産権については、個人のもの(権利)であると同時に経済や文化の発展に寄与する情報(技術なども含めて)は公共のものという考えがあります。
そのため、特許権や著作権については物権的な権利(排他的独占的な権利)ではありますが、一定の保護期間が経過すればあとは自由に利用できるようにしています。

もっとも、その保護期間をどれくらいにするかは政策的な観点から判断されます。
特許権なら20年ですし、著作権なら50年です。特許権が著作権に比べて短いのはそれだけ産業技術の陳腐化が早いという判断に基づくのでしょう。

ところで、著作権では保護期間をさらに長くするべきであるという議論が強くなっています。
実際、映画については70年に改正されたばかりです(平成16年1月1日施行)。これは日本において芸術輸出品として稼ぎ頭であるアニメを欧米で保護しようという判断にほかなりません。

アメリカではディズニーのキャラクターが保護期間切れに差し掛かると法改正によって保護期間を伸長してきた経緯があります。ですから、改正法を「ミッキーマウス法」とネーミングされたりしています。


昨日、著作権保護期間を満了した洋画DVDの廉価販売についての記事が掲載されていました。

記事

「カザブランカ」DVDが1枚500円だなんて、まるで違法コピー商品並(それ以下?)です(笑)

名作を安価で楽しむことが出来る社会の利益(公益)と、著作権権利者の利益(私益)保護の調和をどこでとるのか。悩ましい問題です。


詳しくは作花文雄著「詳解 著作権法」(第3版)393頁以下、815頁以下参照。



詳解著作権法