携帯電話に不具合があって本体無償交換などの措置をとる場合がありますが、その場合有料コンテンツ(ダウンロードした着うたや待ちうけ画像など)はバックアップされず金銭的補償もないというのが現状でした。
こうした利用者の不利益には合理性がないとして、今回国民生活センターは携帯会社(キャリア)の措置は不合理であるとして損害賠償責任を負うと判断しています。
以下は国センの提言です。

・キャリア・コンテンツ配信会社双方は利用者に損害を負わせないための方策を講じなければならない。
・約款上、不具合無償交換でも有料コンテンツに関する損害を賠償しない旨規定されているが、当該規定は消費者契約法違反で無効である。約款の改定が必要。
・キャリアによる有料コンテンツの引継ぎについては著作権法上複製権(21条)侵害の余地があるため著作権法の改正が必要である。

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著作権法との関係でいいますと、利用者の便宜のためとはいえキャリアが独自にコンテンツのバックアップをとると有料コンテンツ配信会社の著作権(複製権や公衆送信権)を侵害する可能性があります。
国センでは「私的使用」の規定(30条)での適法解釈論も検討していますが、なかなか難しいところです。

まずはキャリア、有料コンテンツ配信会社双方が利用約款を改定してキャリアは利用者の損害を填補する、コンテンツ配信会社はキャリアでの複製の余地を認めるということが法律関係整序の上では必要ではないかと思われます。