日本の著作権制度の黎明期に活躍した人々のひととなり・時代背景を紹介する本書は、大きく分けると「西洋事情」を記した福澤諭吉、旧著作権法を立案した水野錬太郎、著作権使用料取立業を始めたプラーゲ博士、の3部内容に分かれています。「西洋事情(外編巻之三)」でコピライト(版権)の解説がすでに行われていたこと、福澤が「西洋事情」の海賊版に悩まされていたというのは面白い話です。水野らは箱根塔の沢の温泉宿に篭って旧著作権法を立案したそうですが、当時日本が新興国としてベルヌ条約に加盟することの国益如何が大いに議論されたことは想像に難くないことです。プラーゲ旋風は有名な話ですが、著作権使用料取立てで双眼鏡を持って音楽会に出かけ無断使用だと楽譜まで取り上げたというからすごい実行力です。
さて、裁判所の執行力を以って権利を実現しようとすらしたプラーゲ博士から70余年。まだまだ現状では著作権に対する権利意識が低いのではないかというのが実感です。
著作権を確立した人々―福沢諭吉先生、水野錬太郎博士、プラーゲ博士…