知財判決速報2017

2018年01月22日

ゴーストライター問題イベントキャンセル事件(控訴審)−著作権 損害賠償等請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

ゴーストライター問題イベントキャンセル事件(控訴審)

大阪高裁平成29.12.28平成29(ネ)233等損害賠償 著作権使用料請求控訴事件,同附帯控訴事件PDF

大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官    高橋文
裁判官    中尾 彰

*裁判所サイト公表 2018.1.15
*キーワード:ゴーストライター、告知義務違反、不当利得、損害論

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■事案

全ろう聴覚障害であることやゴーストライターによる作曲など虚偽事情によってイベント公演が中止された際の損害などが争われた事案の控訴審

控訴人兼附帯被控訴人(一審本訴被告兼反訴原告):音楽家
被控訴人兼附帯控訴人(一審本訴原告兼反訴被告):イベントプロモーター

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■結論

原判決本訴請求一部変更、附帯控訴棄却

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■争点

条文 著作権法121条、民法709条、704条

1 控訴人による不法行為の成否
2 被控訴人の損害額
3 控訴人には本件楽曲に係る損失があるか
4 被控訴人の利得額

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■事案の概要

『本訴請求事件は,被控訴人が,控訴人が全ろうであるにもかかわらず絶対音感を頼りに作曲したとして発表した楽曲につき,控訴人の説明が真実であると誤信して,控訴人から本件楽曲を演奏する全国公演の実施の許可を受けたところ,控訴人がその説明が虚偽であることを隠して多数回の公演の実施を強く申し入れたことから,被控訴人は,多数の全国公演を企画して各種の手配をしたが,控訴人の前記説明等が虚偽であることが公となって,上記公演を実施できなくなったことにより多額の損害を被ったと主張し,不法行為に基づく損害賠償請求として,6131万0956円及びこれに対する不法行為の日の後である平成26年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。
 反訴請求事件は,被控訴人が,企画,実施した全国公演において控訴人が著作権を有する本件楽曲を利用したのであるから,その利用の対価を控訴人に支払う義務があることを知りながらこれを支払わず,被控訴人はその使用料相当額の利益を受け,そのために著作権者である控訴人が同額の損失を受けたとして,控訴人が,被控訴人に対し,民法704条に基づく不当利得返還請求として,使用料相当額730万8955円の返還及びこれに対する平成26年2月3日(最終公演日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。
 原審が,本訴請求及び反訴請求のいずれについてもその一部のみを認めたため,控訴人が控訴し,被控訴人が附帯控訴した。』
(2頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 控訴人による不法行為の成否

原審同様、控訴審でも控訴人の行為は不法行為を構成すると判断されています(12頁以下)。

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2 被控訴人の損害額

・本件公演中止自体による逸失利益 3003万4702円
・本件交響曲公演のプログラムの販売不能による逸失利益 143万2800円
・返金したチケット返送料などの経費 原審通り
  小計3858万5351円
・弁護士費用相当額損害 380万円
  合計4238万5351円(16頁以下)

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3 控訴人には本件楽曲に係る損失があるか

原審同様、控訴審でも控訴人には本件楽曲に係る損失があり、被控訴人は法律上の原因なく本件楽曲の利用利益を利得したと判断されています(27頁以下)。

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4 被控訴人の利得額

原審同様、控訴審でも被控訴人は控訴人に対して不当利得に基づいて410万6459円の支払い義務があると認定されています(28頁以下)。

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■コメント

興業イベントで中止された14公演の損害額の認定について、逸失利益の計算に関して売上予定額や経費の認定が減額方向で修正されており、全体として損害額が減額の認定となっています。

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■過去のブログ記事

2017年01月26日
原審記事

written by ootsukahoumu at 07:02|この記事のURL

2017年12月30日

空手団体選挙公約文書事件−著作権 発信者情報開示請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

空手団体選挙公約文書事件

東京地裁平成29.10.2平成29(ワ)21232発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部

裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官    天野研司
裁判官    西山芳樹

*裁判所サイト公表 2017.11.9
*キーワード:著作物性、複製権、公衆送信権、プロバイダ責任制限法

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■事案

空手団体の代表選挙立候補公約文書が無断でネット掲示板に掲載されたとして発信者情報開示請求がされた事案

原告:個人
被告:経由プロバイダ

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、21条、23条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 著作権又は著作者人格権の侵害が明らかであるか
2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか

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■事案の概要

『本件は,別紙3著作物目録記載の文書(以下「本件文書」という。)の著作権者であると主張する原告が,被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上の掲示板「2ちゃんねる」(以下「本件掲示板」という。)に投稿された別紙2投稿記事目録記載の各投稿記事(以下「本件各記事」という。)により,原告の著作者人格権(公表権,氏名表示権)及び著作権(送信可能化権)が侵害されたことは明らかであると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,被告に対し,本件各記事に係る別紙1発信者情報目録記載の情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。』
(1頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 著作権又は著作者人格権の侵害が明らかであるか

被告は、本件文書は空手団体の代表選挙における原告の公約文であり、本件文書を構成する個々の表現は公約としてありふれた表現であるとして、著作物性(著作権法2条1項1号)を争いました。
この点について、裁判所は、選挙公約には様々な内容のものがあり得、本件文書には空手団体の代表選挙における原告の19個もの公約や信条に係る記載があり、全体として40以上の文章からなるまとまりのある文書であると認められることから、その内容や記載順序等において原告の個性が表出されていると判断。
本件文書は原告の思想又は感情を創作的に表現したものであると認められ、言語の著作物として著作物性を有し、原告はその作成者としてその著作権を有すると認定されています(4頁以下)。
その上で、氏名不詳者において本件文書を分割して転載されており、被告の提供するインターネット接続サービスを経由して本件掲示板に投稿されたことにより公衆の求めに応じて自動的に公衆送信が行われる状態におかれていることから、原告が有する本件文書の著作権(送信可能化権)が侵害されたことは明らかであると判断されています。

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2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか

被告は本件発信者情報を保有しており、原告は本件文書の著作権(送信可能化権)が侵害されたことなどを原因として、本件各記事の投稿者に対して不法行為による損害賠償請求権を行使するため本件発信者情報の開示を求めているものと認められるところ、原告が著作権侵害を原因として不法行為による損害賠償請求権を行使するためには、本件各記事の投稿者を特定する必要があることから、原告にはそのために本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると裁判所は判断(5頁)。

結論として、発信者情報開示請求が認容されています。

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■コメント

別紙3に選挙公約の内容が掲載されているので、言語の著作物の判断事例として参考になります。

written by ootsukahoumu at 13:16|この記事のURL

「子連れ狼」独占的利用許諾契約事件(控訴審)−著作権 損害賠償請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「子連れ狼」独占的利用許諾契約事件(控訴審)

知財高裁平成29.9.28平成27(ネ)10057等損害賠償請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 森 義之
裁判官    佐藤達文
裁判官    森岡礼子

*裁判所サイト公表 2017.11.2
*キーワード:漫画、独占的利用許諾契約、公序良俗、一部無効、信頼関係破壊、解除、不当利得

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■事案

漫画原作作品の独占的利用許諾契約に関連して紛争となった事案の控訴審

控訴人・被控訴人・附帯控訴人・附帯被控訴人(1審原告):コンテンツマネジメント会社
控訴人・附帯被控訴人(1審被告):漫画原作者Y1ら
一審被告Y1補助参加人:漫画制作会社
被控訴人(1審被告):1審被告元取締役ら

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■結論

原判決変更

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■争点

条文 民法90条、709条、719条

1 一審被告小池書院及び一審被告Y1の共同不法行為に基づく請求
2 一審被告小池書院及び一審被告Y3の共同不法行為に基づく請求
3 一審被告Y1、一審被告Y3、一審被告普及会及び一審被告Y4の共同不法行為に基づく請求
4 一審被告Y1の債務不履行等に基づく請求
5 一審被告Y1に対する金銭消費貸借契約に基づく請求
6 一審被告Y1に対する不当利得返還請求

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■事案の概要

『本件は,漫画原作者である一審被告Y1から著作物の独占的利用権の設定を受けたと主張する一審原告(旧商号:平成19年6月5日まで「ウクソンジャパン株式会社」,平成21年1月29日まで「小池一夫劇画村塾株式会社」,同年3月30日まで「劇画村塾株式会社」。同日以降現商号。甲1,25)による次の各請求,すなわち,(1)一審被告小池書院及び一審被告Y1に対し,不法行為(独占的利用権の侵害)に基づく損害賠償を求める請求,(2)一審被告小池書院及び一審被告Y3に対し,不法行為(独占的利用権の侵害)に基づく損害賠償を求める請求,(3)主位的に,一審被告Y1,一審被告Y3,一審被告普及会及び一審被告Y4に対し,不法行為(独占的利用権の侵害)に基づく損害賠償を求めるとともに,予備的に,一審被告Y4に対し,取締役の任務懈怠責任に基づく損害賠償を求める請求,(4)一審被告Y1,一審被告Y3及び一審被告普及会に対し,不法行為(独占的利用権の侵害)に基づく損害賠償を求める請求,(5)一審被告Y1に対し,主位的に債務不履行,予備的に取締役の任務懈怠責任に基づく損害賠償を求める請求,(6)一審被告Y₁に対し,主位的に貸金の返還,予備的に不当利得の返還を求める請求,(7)一審被告Y1に対し,上記(1)〜(5)の予備的請求として,不当利得の返還を求める請求から成る事案である。このうち,上記(2)の請求は,当審において拡張されており(前記第1の1(3)イ),上記(5)の予備的請求(同(6)の予備的請求)は,当審において追加されたものである。
 原判決は,上記(6)の主位的請求を全部認容し,上記(1),(2)及び(7)の請求を一部認容し,その余の請求を棄却したため,一審原告が敗訴部分について控訴及び附帯控訴をするとともに(控訴及び附帯控訴を併せて一審原告敗訴部分全部の取消しを求めることとなる。),一審被告小池書院及び一審被告Y1がそれぞれその敗訴部分について控訴し,一審被告Y3がその敗訴部分について附帯控訴した。』
(6頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 一審被告小池書院及び一審被告Y1の共同不法行為に基づく請求

(1)本件独占的利用許諾契約の成立について(61頁以下)

本件著作物利用契約書から一審原告主張の本件独占的利用許諾契約の成立が認定されています。

(2)本件独占的利用許諾契約の公序良俗違反性について(67頁以下)

一審被告Y1は、本件独占的利用許諾契約は一審被告Y1に著しく不利であり、公序良俗に反すると主張しましたが、控訴審は、本件独占的利用許諾契約はその対象に同契約後に制作される著作物を含み、その期間が長期にわたるとしても、公序良俗に反して無効であるということはできないと判断。原告の主張を認めていません。

(3)本件独占的利用許諾契約の解除について(70頁以下)

結論として解除は認められていません。

(4)一審被告小池書院による本件書籍1の出版について(75頁以下)

一審被告小池書院は、一審原告に無断で書籍を出版したとして、一審原告はこれにより本件独占的利用権を侵害されたものと判断されています。

(5)一審被告小池書院の故意(77頁以下)

一審被告小池書院の故意が認定されています。

(6)一審原告の得べかりし印税相当額について(78頁以下)

一審被告小池書院の本件独占的利用権を侵害する本件書籍1の無断出版によって、一審原告は一審被告小池書院から得べかりし印税相当額の損害を被ったとして、損害額2899万0448円が認定されています。

(7)一審被告Y1の責任(79頁)

一審被告小池書院の代表取締役である一審被告Y1は、一審被告小池書院と連帯して共同不法行為責任を負うと認定されています。

(8)消滅時効(79頁以下)

一審被告Y1との関係では、本件書籍1−1〜1−77についての損害賠償請求権が時効により消滅し、一審被告小池書院との関係では、本件書籍1−1〜1−75についての損害賠償請求権が時効により消滅していると認定されています。

結論として、一審被告小池書院及び一審被告Y1に対して、本件書籍1を一審原告に無断で出版して本件独占的利用権を侵害したことについて、民法709条、719条に基づいて521万9280円の損害が認定されています。

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2 一審被告小池書院及び一審被告Y3の共同不法行為に基づく請求

平成23年5月30日以降、一審被告Y1から代表取締役を交替した一審被告Y3及び一審被告小池書院の責任について、民法709条、719条に基づき連帯して損害額1421万4940円が認定されています(81頁以下)。

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3 一審被告Y1、一審被告Y3、一審被告普及会及び一審被告Y4の共同不法行為に基づく請求

連帯して35万米ドルの損害額が認定されています(88頁以下)。

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4 一審被告Y1の債務不履行等に基づく請求

一審被告Y1の債務不履行に基づく請求原因(4)に係る請求(主位的請求)は理由がないと判断されています(98頁以下)。

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5 一審被告Y1に対する金銭消費貸借契約に基づく請求

貸金返還請求として4723万7979円が認定されています(102頁以下)。

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6 一審被告Y1に対する不当利得返還請求

一審原告の一審被告Y1に対する2億円の不当利得返還請求は認められていません(107頁)。

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■コメント

劇画原作家小池一夫氏を被告とする事案の控訴審です。原審と事実認定で異なる部分があり、金額の算定も異なっています。

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■過去のブログ記事

東京地裁平成27.3.25平成24(ワ)19125損害賠償請求事件
2015年05月18日原審記事


written by ootsukahoumu at 12:01|この記事のURL

JASRAC放送包括許諾契約行政訴訟事件−著作権 是正処置命令義務付け請求事件及び法律構成の矛盾等是正事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

JASRAC放送包括許諾契約行政訴訟事件

東京地裁平成29.10.11平成29(行ウ)165是正処置命令義務付け請求事件及び法律構成の矛盾等是正事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官    天野研司
裁判官    西山芳樹

*裁判所サイト公表 2017.11.09
*キーワード:義務付け訴訟、処分性

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■事案

放送事業者とJASRACの間の包括許諾契約に関する行政庁の行政行為の処分性の有無が争点となった事案

原告:個人
被告:国

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■結論

請求却下

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■争点

条文 行政事件訴訟法3条6項1号

1 行政行為の処分性の有無

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■事案の概要

『本件各訴えの請求の趣旨及び原因は,別紙訴状(平成29年4月14日受付)及び訴状訂正申立書(同年5月31日受付)の各写し記載のとおりであり,その趣旨は必ずしも明確でないが,いずれも行政事件訴訟法3条6項1号(同法37条の2)の義務付けの訴えとして提起されていること,補正の促し兼回答書(同月12日受付)において,請求の趣旨第1項及び同第2項記載の各是正処置命令を発令する主体は国の機関としての法務大臣及び法務省であるとされていることを踏まえて善解すると,原告は,放送事業者と一般社団法人日本音楽著作権協会(以下「JASRAC」という。)との間の包括的な許諾による利用許諾契約(以下「包括許諾契約」という。)に基づく音楽著作物の使用料の徴収方法に多大な誤りがあり,その誤りの要因が著作権法の条文の誤りにあるなどと主張して,被告に対し,法務大臣を処分行政庁として,法務省,文化庁,公正取引委員会及びJASRACに対する包括許諾契約に基づく徴収方法の是正処置命令を発することの義務付け(請求の趣旨第1項)を求めるとともに,法務省を処分行政庁として,公正取引委員会及びJASRACに対する包括許諾契約に基づく徴収方法の排除,除去,及び著作権法改正の是正処置命令を発することの義務付け(同第2項)を求めるものと解される(なお,原告が原告準備書面機癖神29年5月8日受付)以降に提出した準備書面の中には,「被告(乙)一般社団法人日本音楽著作権協会JASRAC」,「被告(丁)公正取引委員会」などと記載されているものがあるが,これらの者に対する請求の趣旨及び原因が具体的に明示されているとはいえず,これらの者が被告として表示されているとは認められない。)。
 これに対し,被告は,本件各訴えは,行政庁に法的に権限のない処分を求めるものであり,また,原告適格及び救済の必要性に関する要件(行政事件訴訟法37条の2第1項)を欠き,不適法であるから,いずれも却下されるべきである旨主張する。』
(2頁)

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■判決内容

<争点>

1 行政行為の処分性の有無

『本件各訴えは,いずれも行政事件訴訟法3条6項1号の義務付けの訴えとして提起されているところ,同号の義務付けの訴えは,「行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき」に,「行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟」であるから,義務付けを求める行政庁の行為に処分性が認められることを当然の前提とするものと解される。
 本件について見ると,法務大臣において,法務省,文化庁,公正取引委員会及びJASRACに対する包括許諾契約に基づく徴収方法の是正処置命令を発する法令上の根拠規定は認められず,また,法務省において,公正取引委員会及びJASRAC対する包括許諾契約に基づく徴収方法の排除,除去,著作権法改正の是正処置命令を発する法令上の根拠規定も認められないから,原告の主張する これらの是正処置命令は,いずれも行政処分ということができず,処分性を欠くものであり,本件各訴えは不適法である。
 よって,その余の訴訟要件について検討するまでもなく,本件各訴えはいずれも不適法であるから,これらを却下することとし,主文のとおり判決する。』
(2頁以下)

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■コメント

事案の内容がよく分からず、結論としても、行政行為が処分性を欠くとして、不適法却下となっています。
written by ootsukahoumu at 10:13|この記事のURL

ソーシャルゲーム「白猫プロジェクト」発信者情報開示請求事件−著作権 発信者情報開示請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

ソーシャルゲーム「白猫プロジェクト」発信者情報開示請求事件

東京地裁平成29.12.12平成29(ワ)27352発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官    萩原孝基
裁判官    林 雅子

*裁判所サイト公表 2017.12.20
*キーワード:発信者情報開示請求、ゲーム、イラスト

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■事案

ゲーム攻略ブログに無断でゲームのキャラクターのイラストが掲載されたとして発信者情報開示請求がされた事案

原告:モバイルゲームサービス事業者
被告:電気通信事業会社

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法21条、23条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 権利侵害の明白性
2 被告の「開示関係役務提供者」該当性
3 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

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■事案の概要

『本件は,原告が被告に対し,氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを経由して,インターネット上のブログに原告が著作権を有するイラスト画像を複製して作成したイラスト画像を含む記事を投稿した行為により,原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたと主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

H29.05 本件ブログに本件記事1、2(本件イラスト画像1、2など)が投稿

本件ブログ:「しろそく!白猫まとめ!攻略速報!」

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■判決内容

<争点>

1 権利侵害の明白性

原告は、ソーシャルゲームである「白猫プロジェクト」の開発及び運営を行っていましたが、裁判所は、そのゲームに係るキャラクタのイラスト画像の原画の著作権は原告に帰属し、本件イラスト画像を含む各記事が本件ブログに投稿されたことによって原告の複製権及び公衆送信権が侵害されていると判断しています(5頁以下)。

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2 被告の「開示関係役務提供者」該当性

裁判所は、本件記事1及び本件記事2の投稿のプロバイダ責任制限法2条1号「特定電気通信」該当性を認定。また、被告は本件氏名不詳者らにインターネット接続サービスを提供していたことから、被告の本件記事1及び本件記事2の投稿に関して、同法4条1項に規定する「開示関係役務提供者」該当性を肯定しています(6頁)。

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3 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

原告が本件氏名不詳者らに対して複製権及び公衆送信権侵害を理由とする損害賠償請求権等を行使する際に、原告がこれらの者の氏名や住所等を覚知することは困難であるとして、原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると裁判所は認定しています(6頁)。


結論として、裁判所は発信者情報開示請求を認容しています。

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■コメント

本件ブログは6月には閉鎖されたようですが、類似のブログからすると、本件ブログはゲームの攻略を内容とするブログだったようです。
written by ootsukahoumu at 06:49|この記事のURL

2017年12月25日

消防支援車警告シール事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

消防支援車警告シール事件

東京地裁平成29.11.16平成28(ワ)19080損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官    萩原孝基
裁判官    林 雅子

*裁判所サイト公表 2017.12.19
*キーワード:プログラム、説明書、ステッカー、シール、著作物性、編集著作物性、一般不法行為論

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■事案

消防支援車のプログラムやタッチパネル画面、説明書、警告シールなどの著作物性が争点となった事案

原告:自動車部品製造会社
被告:自動車部品製造会社、電子機器製造会社

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、12条1項、民法709条

1 不当な価格での入札による原告の利益の侵害の有無
2 資料流用による原告の利益の侵害の有無
3 原告車両の形態等の模倣による原告の利益の侵害
4 原告タッチパネル画面、原告説明書又は原告警告シールの利用による原告の利益の侵害
5 原告プログラム(1)についての著作権侵害の有無
6 原告プログラム(2)についての著作権侵害の有無
7 原告タッチパネル画面についての著作権侵害の有無
8 原告説明書についての著作権侵害の有無
9 原告警告シールについての著作権侵害の有無
10 被告らの故意過失及び関連共同の有無
11 原告の損害額

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■事案の概要

『本件は,消防支援車1型(以下「支援車1型」という。)の製造等を行っている原告が,一般競争入札で支援車1型17台を落札して製造した被告トノックス及びその製造に関与した被告マルチデバイスに対し,被告トノックスは不当に安い金額で支援車1型を落札したほか,支援車1型の製造に当たり原告が提供した資料を流用するなどし,また,被告らは原告が著作権を有する支援車1型の制御プログラム,タッチパネル画面,取扱説明書及び警告用のシールの複製権又は翻案権を侵害したと主張して,主位的には上記一連の行為による不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条,719条1項前段)として,予備的には上記各著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条,719条1項前段,著作権法114条1項又は3項)として,損害金4億6750万円及びこれに対する不法行為の日又はその後の日である平成25年2月13日(被告トノックスによる支援車儀燭稜室崙)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。』
(2頁以下)

<経緯>

H19.03 原告が拡幅機能を備える支援車1型を製造し神奈川県相模原市消防局等に納品
H22.02 一般競争入札で第一実業が47台製造落札。原告が受託
    原告が被告マルチデバイスに電機部分を委託
H24.02 一般競争入札で被告トノックスが17台製造落札
H24.07  被告トノックスが被告マルチデバイスに電気部分を委託
    第一実業が被告トノックスに17台製造について営業、見積書提出
    原告が被告トノックスへ部品購入見積書提出
H25.01 原告が被告トノックスに提供資料の返却を要求
H25.02  被告トノックスが消防庁に納品

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■判決内容

<争点>

1 不当な価格での入札による原告の利益の侵害の有無

原告は、被告トノックスは支援車1型17台を製造する能力がないことを認識していたにもかかわらず、平成24年入札において不当に安い価格で入札をして原告の営業上の利益を侵害したと主張しましたが、原告の主張を裁判所は認めていません。(34頁以下)。

   --------------------


2 資料流用による原告の利益の侵害の有無

原告は、被告トノックスは原告に支援車1型17台の製造を発注する旨原告を誤信させた上で、平成24年4月17日にシャシ関係図等の提供を依頼し、原告は当該誤信に基づいて最大安定傾斜角度計算書等を提供したところ、被告トノックスが当該資料を流用して被告車両を製造したと主張しました。
この点について、裁判所は、原告の主張を認めていません(35頁以下)。

   --------------------

3 原告車両の形態等の模倣による原告の利益の侵害

原告は、被告トノックスが原告車両の形態等を模倣して被告車両を製造したと主張しましたが、裁判所は原告の主張を認めていません(37頁以下)。

   --------------------

4 原告タッチパネル画面、原告説明書又は原告警告シールの利用による原告の利益の侵害


原告は、被告トノックスによる被告タッチパネル、被告説明書及び被告警告シールの作成行為は、原告タッチパネル、原告説明書及び原告警告シールに関する一般不法行為(民法709条)を構成すると主張しましたが、裁判所は原告の主張を認めていません(39頁以下)。

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5 原告プログラム(1)についての著作権侵害の有無

原告は、被告マルチデバイスは原告が著作権を有する著作物である原告プログラム(1)の拡幅操作部分を複製又は翻案したと主張しました。これに対して、被告らは、原告プログラム(1)は著作物ではないなどと反論しました(40頁以下)。
この点について、裁判所は、被告プログラムには原告プログラム(1)と回路構成が一致するブロックがあるものの、その各ブロックの表現については創作性を認めることができず、それらを著作物と認めることはできないと判断。結論として、被告プログラムが原告プログラム(1)を複製又は翻案していると認められず、著作権侵害性は否定されています。

   --------------------

6 原告プログラム(2)についての著作権侵害の有無

裁判所は、原告プログラム(2)が原告プログラム(1)を翻案したものであると認めることはできず、原告プログラム(2)について、原告が原著作者として著作権を有するとは認められないなどとして、原告の主張を認めていません(46頁以下)。

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7 原告タッチパネル画面についての著作権侵害の有無

相模原市消防局車両向けタッチパネルの各画面は、支援車1型を操作するためのボタンや表示画面、ボタンにより行われる動作の説明の表示を組み合わせたものでした。
その各ボタンのデザインは、楕円や長方形を基礎とするありふれたものであり、各ボタンの配置も上下、左右に同種のボタンを並べるなど単純なもので、ボタンにおける説明の表示も通常の表示であると裁判所は認定。
各画面には作成者の個性が発揮されておらず、これらの画面に創作性を認めることはできないと判断。裁判所は原告の主張を認めていません(48頁以下)。

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8 原告説明書についての著作権侵害の有無

原告説明書は、配電盤や発電機、キャブチルトの取扱方法等、支援車1型の装備や機器の機能、操作方法等の客観的な事項を簡潔な表現で説明しているものであり、いずれも個別の表現に作成者の個性が発揮されているものとはいえないと裁判所は判断。結論として、編集著作物性も含め原告の主張は認められていません(51頁以下)。

   --------------------

9 原告警告シールについての著作権侵害の有無

車両のキャブルーフ部に立ち入ってはならない旨を示すためのシールについて、原告警告シールは、図柄と「NO STEP」との文字を組み合わせた縦長の長方形状のもので、上記図柄は黒色で縁取られた黄色の略正方形状の四角の中に、白い足形のマークと対角線状の×印を描いたものでした。
裁判所は、必ずしもありふれた表現であるとはいえないとして、原告警告シールの著作物性を肯定。原告警告シールの著作権は原告に帰属するとした上で、被告警告シールは原告警告シールを複製したものであるとして、原告警告シールの複製権を侵害すると判断しています(52頁以下)。

   --------------------

10 被告らの故意過失及び関連共同の有無

過失が認定されて被告トノックスによる被告警告シールの作成は原告警告シールの複製権を侵害すると判断されていますが、被告マルチデバイスとの共同不法行為性は否定されています(55頁以下)。

   --------------------

11 原告の損害額

被告トノックスは、原告警告シールの複製権を侵害し、これにより被った原告の損害を賠償する義務を負うところ、被告車両17台分計17枚×販売価格相当額1万円×利益率60%で10万2000円が損害額として認定されています。
そのほか、弁護士等費用相当損害額として2万5000円が認定されて、損害額合計12万7000円となっています(56頁以下)。

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■コメント

消防車両向け操作タッチパネルなどの著作物性が争点となった事案です。争点は多岐に亘りますが、警告シールについてだけ著作権侵害性が肯定されています。
著作権や営業秘密の取扱いが原被告間の契約で明確にされていなかった事案で、原告は不正競争防止法上の争点を正面から争っていません。

警告シールのデザインについて、別紙の添付がないためよく分かりませんが、比較的単純なシールのデザインでも著作物性が肯定された点は参考になります。

なお、原告サイトには、消防支援1型の車両画像があるので、どのような車両かよく分かりますが(支援車1型:右拡幅仕様)、シールの図柄までは分かりませんでした。
47台出荷途中で311大震災があり、この消防支援車が大活躍したことは想像に難くありません。

written by ootsukahoumu at 06:07|この記事のURL

2017年12月20日

アダルトビデオ「FC2動画」無断配信事件−著作権 発信者情報開示請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

アダルトビデオ「FC2動画」無断配信事件

東京地裁平成29.11.30平成29(ワ)21046発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 沖中康人
裁判官    矢口俊哉
裁判官    廣鹵人

*裁判所サイト公表 2017.12.11
*キーワード:複製権、公衆送信権、発信者情報開示請求

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■事案

アダルトビデオを「FC2動画」サイトで無断配信した者の情報開示請求をプロバイダに求めた事案

原告:アダルトビデオ会社
被告:プロバイダ

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法21条、23条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 原告の権利が侵害されたことが明らかであるか
2 被告が開示関係役務提供者に当たるか
3 本件アップロード行為を行ったのは本件契約者であるか
4 原告が本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか

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■事案の概要

『本件は,原告が,別紙2著作物目録記載の著作物(以下「本件著作物」という。)の著作権を有しており,被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト「FC2動画」(以下「本件サイト」という。)に別紙3動画目録記載の動画(以下「本件動画」という。)がアップロードされた行為により原告の上記著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかであり,上記行為についての損害賠償請求権等の行使のために,被告とのインターネット接続サービスに係る契約に基づき被告から上記アップロード行為に係るIPアドレスを割り当てられていた者(以下「本件契約者」という。)に関する別紙1発信者情報目録記載の情報(以下「本件発信者情報」と総称する。)の開示を受ける必要があると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,被告に対し,本件発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)

本件著作物:「エスカレートするドしろーと娘 235」

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■判決内容

<争点>

1 原告の権利が侵害されたことが明らかであるか

まず、裁判所は、原告が本件著作物の著作者・著作権者であることを認定。そして、本件動画は本件サイトにアップロードされ、公衆の求めに応じて自動的に公衆送信が行われる状態におかれたものであり、この本件アップロード行為により原告が有する本件著作物の著作権(公衆送信権)が侵害されたことは明らかであると判断しています(6頁以下)。

   --------------------

2 被告が開示関係役務提供者に当たるか

発信者とコンテンツプロバイダとの間の通信を媒介する経由プロバイダは,プロバイダ責任制限法2条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に該当することを前提に、被告は法4条1項所定の「開示関係役務提供者」に該当すると裁判所は認定しています(7頁)。

   --------------------

3 本件アップロード行為を行ったのは本件契約者であるか

本件アップロード行為を行った者は本件契約者であると推認されています(7頁以下)。

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4 原告が本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか

原告は、原告が有する本件著作物の著作権(公衆送信権)が侵害されたことに基づき、本件契約者に対して損害賠償等を請求するため、本件発信者情報の開示を求めているところ、損害賠償等を請求するためには本件アップロード行為を行った者を特定する必要があることから、原告は同特定のために本件発信者情報の開示を受ける必要があり、開示について正当な理由があると裁判所は認めています(8頁以下)。

結論として、原告の請求が認容されています。

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■コメント

アダルトビデオ会社プレステージの無断動画配信に関する発信者情報開示請求事案となります。
プレステージによる発信者情報開示請求事案は別作品でも今年いくつかありました。

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■過去のブログ記事

「FC2動画」アダルトビデオ無断配信発信者情報開示請求事件(プレステージ)
2017年07月03日記事
written by ootsukahoumu at 06:20|この記事のURL

2017年12月19日

食品包装デザイン使用改変許諾事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

食品包装デザイン使用改変許諾事件

東京地裁平成29.11.30平成28(ワ)23604損害賠償請求事件PDF
別紙

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官    萩原孝基
裁判官    大下良仁

*裁判所サイト公表 2017.12.11
*キーワード:デザイン、使用改変許諾、裁判手続等における複製

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■事案

食品パッケージデザインの使用許諾関係について争点となった事案

原告:デザイナー
被告:軟包装資材製造販売会社

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法21条、26条の2、42条

1 原告デザインの被告による使用又は改変に対する原告の承諾の有無
2 原告絵画の複製の裁判手続における必要性及び相当性

   --------------------

■事案の概要

『本件は,(1)別紙原告デザイン目録記載1〜26の商品包装デザイン(以下,「原告デザイン」と総称し,個別のデザインを同目録記載の名称に付された番号〔1〜22〕に従い「原告デザイン1」などという。)を製作した原告が,原告デザインを被告が改変して別紙被告デザイン目録記載1〜25の商品包装デザイン(以下,「被告デザイン」と総称し,個別のデザインを同目録記載の名称に付された番号〔1〜22の2〕に従い「被告デザイン1」などという。)を作成した行為及び食品メーカーに対して納入した行為が原告の著作権(複製権,翻案権及び譲渡権)及び著作者人格権(同一性保持権)の侵害に当たる,(2)別紙原告絵画目録記載1及び2の筆及びレモンの各絵画(以下,「原告絵画」と総称し,同目録記載1の絵画を「原告筆絵画」,2の絵画を「原告レモン絵画」という。)を製作した原告が,本件訴訟手続において被告が当該絵画を複製して作成した文書を証拠として提出した行為が原告の著作権(複製権)を侵害すると主張して,被告に対し,民法709条,著作権法114条3項に基づき,損害賠償金1111万7277円(上記(1)につき1069万1217円,上記(2)につき42万6060円)及びこれに対する不法行為の後の日(上記(1)につき訴状送達の日の翌日である平成28年7月27日,上記(2)につき請求の拡張申立書送達の日の翌日である平成29年8月24日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

   原告が筆及びレモンの絵画を製作
H24 原告が被告から依頼を受けて食品包装デザインを製作
H26  原告が被告にデザイン料改定要望通知
H28  本件訴訟提起

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■判決内容

<争点>

1 原告デザインの被告による使用又は改変に対する原告の承諾の有無

裁判所は、原告が作成し被告に提出していた包装デザインについて、その提出後に顧客の指示等により修正が必要となることが当然にあり得るというものであったこと、かつ、原告はこのことを認識し、また、原告以外の者が上記デザインの修正をすることができることも認識していたと判断。
さらに、原被告間で原告が被告にデザインを提出した後の顧客の指示等による上記修正について、何らかの話がされたり合意がされたりしたことを認めるに足りる証拠はないと認定。
結論として、原告は、被告からの依頼に基づいて作成された原告デザインについて、被告による使用及び改変を当初から包括的に承諾していたと認められています(8頁以下)。

   --------------------

2 原告絵画の複製の裁判手続における必要性及び相当性

原告は、原告が作成したデザインが相互に類似することは当然のことであり、被告が原告のデザインを裁判手続において複製する必要性は全くないと主張しました。
この点について、裁判所は、著作権法42条1項(裁判手続等における複製)の要件を充足するとして原告の主張を認めていません(15頁以下)。

結論として、原告デザインや原告絵画の著作権侵害性は否定されています。

   --------------------

■コメント

デザイナーとデザイン発注会社との間での食品包装パッケージデザインの使用や改変の許諾の有無について、両者の取引状況から包括的な使用や改変の許諾があったと認定されています。
包装パッケージデザインなど様子は、別紙が添付されているため、どのような種類のデザインか良く分かります。
written by ootsukahoumu at 06:20|この記事のURL

2017年12月18日

タレント宣材写真チラシ使用事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

タレント宣材写真チラシ使用事件

東京地裁平成29.11.29平成28(ワ)35002損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官    天野研司
裁判官    西山芳樹

*裁判所サイト公表 2017.12.08
*キーワード:写真、使用許諾、プロダクション、移籍

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■事案

タレントの宣材写真の使用にプロダクションが関与していたかどうかが争点となった事案

原告:芸能プロダクション
被告:芸能プロダクション、タレント

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法21条

1 被告Aは本件宣材写真の著作権(複製権、譲渡権)が侵害されることを知りながら本件宣材写真を被告会社に提供したか
2 被告会社は本件宣材写真の著作権(複製権、譲渡権)が侵害されることを知りながら本件宣材写真をSBSプロモーションに提供したか

   --------------------

■事案の概要

『本件は,別紙1の写真(以下「本件宣材写真」という。)の著作権者であると主張する原告が,ホテルセンチュリー静岡が頒布した別紙2のイベント広告用チラシ(以下「本件チラシ」という。)に掲載された写真(以下「本件プロフィール写真」という。)は,本件宣材写真の複製物であるから,ホテルセンチュリー静岡ないしその委託先において本件チラシを作成し,頒布したことは,原告が有する本件宣材写真の著作権(複製権,譲渡権)の侵害に当たるところ,同著作権侵害行為は,被告らがホテルセンチュリー静岡ないしその委託先をして行わせた共同不法行為であると主張して,著作権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき,損害賠償金330万円及びこれに対する不法行為後の日である平成26年7月16日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

H17 被告タレントが原告に所属
H21 原告が被告タレントを撮影
H26 SBSプロモーションが本件チラシを制作
   本件イベント開催、被告タレントが出演

   --------------------

■判決内容

<争点>

1 被告Aは本件宣材写真の著作権(複製権、譲渡権)が侵害されることを知りながら本件宣材写真を被告会社に提供したか
2 被告会社は本件宣材写真の著作権(複製権、譲渡権)が侵害されることを知りながら本件宣材写真をSBSプロモーションに提供したか

原告は、タレントである被告Aから被告会社へ、そして被告会社からSBSプロモーションへ本件宣材写真を提供したと主張しました。
この点について、裁判所は、本件チラシに掲載された本件プロフィール写真は、SBSプロモーションから本件チラシの制作を依頼されたデザイナーが、SBSプロモーションの担当者Cから伝えられたインターネット上のウェブサイトから取得したものであり、被告Aが被告会社代表者Bに提供して、BがCに提供した本件宣材写真を利用して本件チラシが制作されたとの原告主張に係る事実関係は存在しないと認定。

原告の主張は認められていません(5頁以下)。

   --------------------

■コメント

以前に所属していたプロダクションで撮影されたタレントの宣材写真について、移籍先プロダクションが無断使用に関与しているかどうかが争点となりましたが、関与の事実が認定されませんでした。

なお、原告は本件訴訟に先立って原告が権利を有する宣材写真をタレントAが無断で利用したことなどを原因として、Aに対して損害賠償等を求めた訴訟が提起されていましたが、棄却判決が確定しています。
written by ootsukahoumu at 07:00|この記事のURL

2017年12月11日

生長の家「万物調和六章経」書籍事件−著作権 著作権侵害差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

生長の家「万物調和六章経」書籍事件

東京地裁平成29.11.29平成27(ワ)29705著作権侵害差止等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官    遠山敦士
裁判官    勝又来未子

*裁判所サイト公表 2017.12.06
*キーワード:著作権譲渡、黙示の承諾、解除の有効性

   --------------------

■事案

生長の家創始者谷口雅春氏(故人)の著作「大調和の神示」の使用許諾の成否などが争点となった事案

原告:公益財団法人、出版社
被告:宗教法人、宗教法人代表者

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法21条

1 本件著作物の著作権の帰属
2 黙示の許諾の有無
3 解約の有効性

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■事案の概要

『本件は,(1)原告事業団が,別紙著作物目録記載の言語の著作物である「大調和の神示」(「『七つの燈薹の點燈者』の神示」あるいは「『七つの灯台の点灯者』の神示」という題号のときもある。以下「本件著作物」という。)の著作権を有するところ,別紙書籍目録記載1及び2記載の各書籍(以下,各書籍を「本件書籍1」などといい,両者を併せて「本件各書籍」という。)の出版は,本件著作物に係る原告事業団の著作権(複製権)を侵害する旨主張して,被告らに対し,本件著作物の著作権に基づき,本件各書籍の複製,頒布又は販売の申出の差止め及び廃棄(世界聖典普及協会,日本教文社及び教化部の保管するものを含む。)を求め,不法行為による損害賠償請求権に基づき,160万円及びこれに対する不法行為の後の日である訴状送達日の翌日(被告生長の家につき平成27年11月19日,被告Aにつき平成27年11月15日)から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払,(2)原告光明思想社が,本件著作物につき,出版権を有するところ,被告らによる本件各書籍の出版は,本件著作物に係る原告光明思想社の出版権を侵害する旨主張して,被告らに対し,本件著作物の出版権に基づき,本件各書籍の複製の差止めを求め,不法行為による損害賠償請求権に基づき,100万円及びこれに対する不法行為の後の日である訴状送達日の翌日(被告生長の家につき平成27年11月19日,被告Aにつき平成27年11月15日)から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(2頁以下)

<経緯>

S06 創始者Bが機関誌に本件著作物を発表
S07 「生命の實相」出版
S11 「甘露の法雨」出版
S21 Bが原告事業団を設立
H21 原告事業団が日本教文社を提訴(東京地裁平成21(ワ)6368)
   被告生長の家が原告事業団及び原告光明思想社を提訴(東京地裁平成21(ワ)17073)
   日本教文社が原告事業団を提訴(東京地裁平成21(ワ)41398)
H25 原告事業団及び原告光明思想社が日本教文社を提訴(東京地裁平成25(ワ)28342)
H27 本件各書籍発行

本件著作物:「大調和の神示」
本件各書籍:「万物調和六章経」(発行所 生長の家)

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■判決内容

<争点>

1 本件著作物の著作権の帰属

(1)本件著作物の単独著作物性

原告らは、本件著作物は独立したものではなく、原告事業団が著作権を有する「生命の實相」及び「甘露の法雨」の一部を構成するものであると主張しました。
この点について、裁判所は、本件著作物は「生命の實相」や「甘露の法雨」の発行に先立って単独の著作物として発表されたものであり、また、「生命の實相」に掲載される際は、目次やはしがきの前の巻頭に掲載されており、本編の一部を構成していなかったこと、さらに、「生命の實相」や「甘露の法雨」以外の複数の著作物にも本件著作物が掲載されている点などから、本件著作物は単独の著作物であると判断しています(21頁以下)。

(2)寄付行為の対象

原告事業団の設立に際して、Bがその著作物を寄附行為として出捐していましたが、裁判所は、Bはその著作物の著作権を全て原告事業団に寄附行為として譲渡したものであって、その中には本件著作物も含まれていたと認めるのが相当であると判断しています(22頁以下)。

結論として、本件著作物の著作権は、原告事業団に帰属すると認定されています。

   --------------------

2 黙示の許諾の有無

原被告両法人の設立の趣旨、経緯に照らせば、生長の家の布教・伝道に必要なBの著作物については、寄附行為として原告事業団に譲渡された後も被告生長の家に無償で使用させることが当初から想定されていたと認めるのが相当であると裁判所は判断。
そして、原告事業団は、遅くとも本件著作物の著作権の譲渡後に初めて本件著作物を掲載した著作物が発行された日である昭和28年1月1日には、被告生長の家に対して本件著作物を無償で個別の承諾なく利用することについて、黙示に許諾したというべきであると認定しています(23頁以下)。

   --------------------

3 解約の有効性

原告らは、本件使用許諾の合意が認められるとしても、無償であることから正当な理由の有無にかかわらず、同合意を解約することができると主張しました(25頁以下)。
この点について、裁判所は、生長の家の布教・伝道に支障が生じる可能性や原告事業団の設立の趣旨や経緯、また、被告生長の家が60年以上に亘って無償で本件著作物を利用して布教・伝道に利用してきた事実などを踏まえ、本件使用許諾の合意を解約するためには、これを是認するに足りる正当な理由が必要であると説示。
そして、両者の信頼関係の破壊といった対立状況や関係修復の可能性、また、本件使用許諾の期間、本件著作物の使用目的・態様、本件著作物が利用できなくなった場合に被告生長の家が受ける不利益の程度等を総合考慮し、解約の正当理由の有無を判断。
結論として、本件では同合意の解約を是認するに足りる正当な理由があるということはできないと判断しています。

最終的に、原告事業団と被告生長の家との間には本件著作物の使用に関する許諾が存在することから、被告生長の家の本件各書籍における本件著作物の掲載は、原告事業団の複製権及び原告光明思想社の出版権を侵害するものとはいえず、また、被告Aの行為が違法であるということもできないと判断されています。

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■コメント

生長の家創始者である谷口雅春氏の著作「大調和の神示」(本件著作物)の著作権は原告事業団にあるものの、宗教法人生長の家との間で黙示の使用許諾が成立しており、解約の合理的理由もないとして、本件著作物の使用許諾関係が是認されました。
生長の家関係の訴訟はいくつもありますが、疑義についてはこうして訴訟をすることで判決内容が公開されて経緯が明らかにされることから、信者さんにとっても、また、社会にとってもかえって良いことなのかもしれません。

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■過去のブログ記事

「生命の實相」収録論文事件
2015年04月06日記事

「生命の實相」著作物利用権確認請求事件(控訴審)
2014年11月04日記事

「生命の實相」書籍著作権事件(控訴審)
2012年02月17日記事

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■参考サイト

2017年12月2日宗教法人「生長の家」プレスリリース

『万物調和六章経』に係る訴訟に全面勝訴!
サイト
プレスリリースPDF
written by ootsukahoumu at 07:17|この記事のURL

2017年12月05日

明日花キララアダルト動画無断配信事件−著作権 発信者情報開示請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

明日花キララアダルト動画無断配信事件

東京地裁平成29.11.16平成29(ワ)16883発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官    林 雅子
裁判官    大下良仁

*裁判所サイト公表 2017.11.30
*キーワード:動画共有サイト、発信者情報開示、プロバイダ責任制限法

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■事案

アダルト映像作品が無断で動画共有サイトに掲載されたとして発信者情報開示請求がされた事案

原告:会社
被告:インターネット接続サービス事業者

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法21条、23条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 権利の帰属
2 権利侵害の明白性
3 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

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■事案の概要

『本件は,原告が,被告に対し,氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して,インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する映像作品を複製して作成した動画のデータをアップロードした行為により 原告の公衆送信権(著作権法23条1項)が侵害されたと主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である。』
(2頁)

本件著作物:映像作品「KIRAKIRA COLLECTION キラ★コレ 明日花キララ」

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■判決内容

<争点>

1 権利の帰属

映像作品である本件著作物の著作権について、メディア・ジャック社が映画製作者として本件著作物の著作権を取得し(著作権法29条1項)、その後、メディア・ジャック社がパートナーズ社に吸収合併された。パートナーズ社はメディア・ジャック社を吸収合併したことにより本件著作物の著作権を取得したこととなるが、その後、パートナーズ社が原告に対して製作販売に属する事業と共に本件著作物の著作権を譲渡したと裁判所は認定しています(3頁以下)。

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2 権利侵害の明白性

本件発信者が別紙動画目録の「投稿日時」欄記載の日時に本件IPアドレスを利用して、本件著作物の一部を複製した本件動画をアップロードしたことは明らかである、と裁判所は認定(4頁以下)。
さらに、本件発信者は、原告が著作権を有する本件著作物の一部を複製して作成した本件動画を多数の者に対して送信可能な状態に置いたものであるとして、本件発信者が原告の本件著作物に係る公衆送信権(23条1項)を侵害したことが明らかであると認定しています。

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3 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

本件発信者は、被告が提供するインターネット接続サービスを経由して本件動画をアップロードしており(当事者間に争いがない)、被告がプロバイダ責任制限法4条1項の「開示関係役務提供者」に当たると認定した上で、原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると裁判所は判断しています(5頁)。

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■コメント

アダルト映像のネットでの無断配信が行われたため、プロバイダに対して権利保有者が発信者情報開示を請求した事案となります。
written by ootsukahoumu at 08:04|この記事のURL

2017年11月20日

「高円寺ラブサイン」CD製作事件(控訴審)−著作権 著作権確認等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「高円寺ラブサイン」CD製作事件(控訴審)

知財高裁平成29.10.26平成29(ネ)10065著作権確認等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 森 義之
裁判官    永田早苗
裁判官    森岡礼子

*裁判所サイト公表 2017.11.08
*キーワード:楽曲制作契約、原盤制作契約、著作権譲渡契約

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■事案

音楽CD製作にあたって、発注者側の契約内容の認識が問題となった事案の控訴審

控訴人(1審原告) :カラオケクラブ経営者A
被控訴人(1審被告):レコード製作会社

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法61条

1 被控訴人は控訴人との間で本件CD制作契約を締結するに際して本件著作権を控訴人に取得させる旨を約したか
2 被控訴人が控訴人に本件著作権を取得できると誤信させた上で本件CD制作契約を締結したことが控訴人に対する不法行為に当たるか
3 被控訴人が著作権信託契約の仕組みを説明しなかったことが控訴人に対する不法行為及び債務不履行に当たるか
4 被控訴人がJASRACに本件作品届を提出しこの事実を控訴人に秘していたことが控訴人に対する不法行為に当たるか


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■事案の概要

『本件は,本件各作品の実演を収録したCDの制作を被控訴人に依頼した控訴人が,控訴人と被控訴人との間には,被控訴人が控訴人に対して本件各作品の本件著作権を帰属させる旨の合意(以下「本件合意」という。)が成立していたと主張して,被控訴人に対し,主位的請求として,控訴人が本件著作権を有することの確認を求め,予備的請求1として,被控訴人の責めに帰すべき事由により,本件著作権を控訴人に帰属させる債務が履行不能になったと主張して,債務不履行による損害賠償金580万9650円及びこれに対する請求後の日である平成28年4月15日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまでの商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,予備的請求2として,(1)被控訴人が,本件著作権を取得することができると控訴人に誤信させてCDの制作に関する契約を締結したことが詐欺の不法行為に当たる,(2)被控訴人が,控訴人に対して,著作権信託契約の仕組みを説明することなく,JASRACへの申請費用を支払わせたことは,信義則上の説明義務に違反する不法行為に当たる,(3)被控訴人が,本件各作品についてJASRACに作品届を提出し,この事実を控訴人に秘していたことは,控訴人に対する不法行為に当たる,と主張して,不法行為による損害賠償金580万9650円及びこれに対する不法行為後の日である平成28年4月15日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
 原審は,本件合意の成立は認められないとするとともに,上記(1)〜(3)の不法行為の成立はいずれも認められないとして,控訴人の請求をいずれも棄却したので,控訴人が本件控訴を提起し,当審において,上記(2)の行為が債務不履行に当たるとの請求を追加した。』
(2頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 被控訴人は控訴人との間で本件CD制作契約を締結するに際して本件著作権を控訴人に取得させる旨を約したか
2 被控訴人が控訴人に本件著作権を取得できると誤信させた上で本件CD制作契約を締結したことが控訴人に対する不法行為に当たるか
3 被控訴人が著作権信託契約の仕組みを説明しなかったことが控訴人に対する不法行為及び債務不履行に当たるか
4 被控訴人がJASRACに本件作品届を提出しこの事実を控訴人に秘していたことが控訴人に対する不法行為に当たるか


控訴審は、各争点について原審の判断を維持しています(6頁以下)。
なお、控訴人は、被控訴人が控訴人に対してJASRACとの著作権信託契約やその権利関係を全く説明しなかったことは控訴人に対する債務不履行にも当たると控訴審で主張しましたが、控訴審は認めていません。

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■コメント

原審の判断が控訴審でも維持されています。

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■過去のブログ記事

2017年06月12日原審記事
written by ootsukahoumu at 07:35|この記事のURL

2017年11月06日

交通事故相談会広告事件(控訴審)−著作権 損害賠償請求控訴事件等判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

交通事故相談会広告事件(控訴審)

知財高裁平成29.10.5平成29(ネ)10042損害賠償請求控訴事件(本訴)、著作権侵害差止等請求控訴事件(反訴)PDF

知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 森 義之
裁判官    永田早苗
裁判官    森岡礼子

*裁判所サイト公表 2017.10.26
*キーワード:広告、黙示的承諾、複製権、編集著作物、一般不法行為論

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■事案

交通事故相談会向けに作成されたチラシ広告の利用許諾の有無、著作物性などが争点になった事案の控訴審

控訴人兼被控訴人(1審本訴原告兼反訴被告):弁護士
被控訴人兼控訴人(1審本訴被告兼反訴原告):行政書士

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■結論

各控訴棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、12条、22条、民法709条

1 利用許諾の抗弁の成否
2 改変許諾の抗弁の成否
3 一般不法行為の成否
4 1審原告追加部分の著作物性及び複製権侵害の成否
5 本件1審被告ファイルの編集著作物性の有無

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■事案の概要

『本件は,1審原告が1審被告に対し,以下の(1)の本訴請求をし,1審被告が1審原告に対し,以下の(2)の反訴請求をする事案である。原審は,いずれの請求も棄却したので,1審原告と1審被告の双方が控訴を提起した。
(1)本訴請求
 ア 1審原告が,1審被告が別紙5及び6の各広告(以下,順次,「1審被告広告1」及び「1審被告広告2」という。)を頒布する行為が,別紙1の広告(以下「1審原告広告」という)について1審原告が有する著作権(複製権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害することによって作成された物を頒布する行為,又は1審原告に対する一般不法行為に該当するとして,1審被告に対し,著作権侵害又は一般不法行為に基づく財産的損害に係る損害賠償金5万円,著作者人格権侵害又は一般不法行為に基づく精神的損害に係る損害賠償金30万円及びこれらに対する不法行為後の日である平成28年4月26日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求。
 イ 1審原告が,1審被告が1審原告広告を複製し,又は頒布する行為は,1審原告が有する1審原告広告についての著作権(複製権)を侵害し,その侵害行為によって作成された物を頒布する行為であるとして,1審被告に対し,著作権法112条1項に基づき,1審原告広告の複製又は頒布の各差止めを求める請求。
 ウ 1審原告が,1審被告が別紙7及び8の各アンケート(以下,順次「1審被告アンケート1」,「1審被告アンケート2」という。)を作成し,頒布する行為は,1審原告が作成した別紙4記載2の表(以下「本件1審原告ファイル」という。)のうち別紙2の赤枠内の記載に相当する部分(以下「1審原告追加部分」という。なお,別紙2の書面全体は1審被告アンケート1である。)についての1審原告の著作権(複製権)を侵害し,その侵害行為によって作成された物を頒布する行為であるとして,1審被告に対し,著作権法112条1項に基づき,1審原告追加部分の複製又は頒布の各差止めを求める請求。
(2)反訴請求
 1審被告が,1審原告が本件1審原告ファイルの記載された宣伝広告チラシを作成し,頒布する行為は,別紙3の表(以下「本件1審被告ファイル」という。)についての1審被告の著作権(複製権又は翻案権)又は著作者人格権(同一性保持権)を侵害し,その侵害行為によって作成された物を頒布する行為であるとして,1審原告に対し,著作権法112条1項,2項に基づき,本件1審被告ファイルの複製又は頒布の各差止め並びに本件1審原告ファイルが記載された宣伝広告チラシの頒布の差止め及び廃棄を求めるとともに,著作者人格権侵害に基づく精神的損害に係る損害賠償金33万円及びこれに対する不法行為後の日である平成28年7月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求。』
(2頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 利用許諾の抗弁の成否

1審原告が、1審被告らに対して1審原告広告の利用を包括的に許諾していたかどうかについて、1審原告の主張する事実が認められず、1審原告による包括的許諾が認定されており、1審被告が1審原告広告についての著作権を侵害する行為を行ったと認めることはできないと控訴審は判断しています(15頁以下)。

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2 改変許諾の抗弁の成否

控訴審は、1審原告は1審原告広告を本件NPO法人の地方相談会で使用するのに必要な範囲で改変することを許諾していたと認定。また、1審被告広告1及び2がその範囲を超えて改変されたとは認められないと判断しています(21頁)。

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3 一般不法行為の成否

一般不法行為論について、控訴審は、1審原告の主張する利益が著作権や著作者人格権とは別個の法的に保護されるべき利益にあたるとはいえず、また、1審原告が1審原告広告の複製及び改変を許諾したものと認められるとして、1審被告が1審原告広告を無断で模倣したという1審原告の主張は主張の前提を欠くものであって失当であると判断しています(21頁)。

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4 1審原告追加部分の著作物性及び複製権侵害の成否

1審原告追加部分と1審被告アンケート1及び2の共通する部分は、いずれも一般的にみられるありふれた表現であり、著作権法によって保護される思想又は感情の創作的な表現(著作権法2条1項1号)には当たらないとして、1審被告アンケート1及び2は1審原告追加部分の複製には該当しないと判断しています(21頁以下)。

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5 本件1審被告ファイルの編集著作物性の有無

反訴請求について、本件1審被告ファイルの事項は、本件1審被告ファイルの性質上、当然に設けられるべき項目であって、その順番もそれぞれの必要項目を適宜並べたに過ぎないというほかないとして、これらの項目を設けたことによって素材の選択又は配列による創作性(12条1項)があるということはできないと控訴審は判断しています(23頁以下)。

結論として、1審原告の本訴請求及び1審被告の反訴請求はいずれも理由がなく、これらを棄却した原判決は相当であるとして、控訴審は本件各控訴をいずれも棄却しています。

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■コメント

控訴審でも原審の結論が維持されています。
無料相談会のチラシやアンケートの内容については、原審の別紙をご覧頂けたらと思います。

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■過去のブログ記事

2017年06月19日 原審記事
written by ootsukahoumu at 07:18|この記事のURL

2017年10月27日

「ステラマッカートニー青山」店舗設計事件(控訴審)−著作権 著作者人格権侵害差止等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「ステラマッカートニー青山」店舗設計事件(控訴審)

知財高裁平成29.10.13平成29(ネ)10061著作者人格権侵害差止等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 鶴岡稔彦
裁判官    寺田利彦
裁判官    大西勝滋

*裁判所サイト公表 2017.10.24
*キーワード:建築、設計、共同著作者性、氏名表示権

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■事案

日本空間デザイン賞2015などに入賞した「ステラマッカートニー青山」ブティック店舗の外観設計について共同著作者性などが争点となった事案の控訴審

控訴人 (1審原告):建築設計会社
被控訴人(1審被告):建築会社、出版社

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項2号、19条、115条

1 1審原告が共同著作者であるか
2 1審原告が原著作者であるか

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■事案の概要

『本件は,建築設計等を目的とする株式会社である控訴人(一審原告)が,原判決別紙物件目録記載の建物(本件建物)について,自らがその共同著作者(主位的主張)又は本件建物を二次的著作物とする原著作物(控訴人設計資料〔甲7,7の2〕及び控訴人模型〔甲8〕に基づく控訴人代表者の提案内容)の著作者(予備的主張)であるにもかかわらず,(1)被控訴人竹中工務店が,本件建物の著作者を同被控訴人のみであると表示してデザイン賞に応募し,同表示に基づいて賞を受賞したこと(本件各受賞)や,(2)被控訴人竹中工務店の上記表示を受けて,被控訴人彰国社が,そのように表示された書籍(本件書籍)を発行,販売してこれを継続していることが,それぞれ,控訴人の有する著作者人格権(氏名表示権)を侵害すると主張して,被控訴人らに対し,次の各請求を行う事案である。』
『原判決は,控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却したため,控訴人がこれを不服として控訴した。』
(2頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 1審原告が共同著作者であるか
2 1審原告が原著作者であるか

控訴審は、原判決の棄却の判断を維持しています。
控訴審は、控訴人の控訴理由に関して付加判断を5頁以下で示していますが、『結局のところ,外装スクリーン部分に関し本件建物外観と控訴人代表者の提案とで共通するのは,ほぼ2層3方向の連続的な立体格子構造(組亀甲柄)を採用した点に尽きるのであって,それ自体はアイデアにすぎない』などとして、控訴人代表者が本件建物外観について創作的に関与した点、また、控訴人代表者の提案が本件建物の原著作物に当たる点のいずれも否定しています。

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■コメント

原審同様、原告の主張が認められていません。

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■過去のブログ記事

2017年05月22日
原審記事

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■追記(2017.11.10)

原告代理人のコメント
水野祐(@TasukuMizuno)のブログ

「2017-11-09 ステラ・マッカートニー事件判決について原告代理人が思うこと」

原告のコメント
日経アーキテクチュア

「竹中工務店を訴えた監修者、敗戦の弁
照井信三氏「まるで発明特許のような審理だった」2017/11/08」

■論文

高瀬亜富『「STELLA McCartney青山」店舗設計事件』(コピライト2017年11月号(679号)32頁以下)
written by ootsukahoumu at 06:22|この記事のURL

2017年09月13日

「ツェッペリン飛行船と黙想」独立当事者参加事件−著作権 独立当事者参加事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「ツェッペリン飛行船と黙想」独立当事者参加事件

知財高裁平成29.9.5平成29(ネ)10067独立当事者参加事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 高部眞規子
裁判官    山門 優
裁判官    片瀬 亮

*裁判所サイト公表 2017.9.11
*キーワード:再審、訴訟係属、独立当事者参加

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■事案

参加人の独立当事者参加申出の適法性が争点となった事案

参加人 :個人
控訴人 (1審原告):私小説作家の遺族
被控訴人(1審被告):出版社

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■結論

申出却下

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■争点

条文 民訴法348条1項

1 参加人の本件独立当事者参加申出の適法性について

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■事案の概要

『参加の趣旨及び理由は,参加人作成に係る別紙「独立当事者参加申出書」,「再審訴状」,「再審訴状訂正申立書」及び「再審訴状再訂正申立書」のとおりであり,要するに,本件は,控訴人及び被控訴人間の当庁平成27年(ネ)第10022号損害賠償等請求控訴事件(以下「基本事件」という。)について,当庁が平成28年1月27日に言い渡した確定判決(以下「本件判決」という。)に対し,参加人が,再審の訴えを提起するとともに,再審開始の決定が確定した場合の訴訟に独立当事者参加をする旨申し出た事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

H22.11 東京地裁平成25(ワ)22541請求棄却
H28.01 控訴棄却(基本事件 本件判決)
H28.06 上告不受理、本件判決確定
H29.05 参加人が本件再審の訴え提起
    基本事件について独立当事者参加申出
H29.07 本件再審の訴え却下

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■判決内容

<争点>

1 参加人の本件独立当事者参加申出の適法性について

『独立当事者参加の申出は,参加人が参加を申し出た訴訟が係属していることが必要であると解すべきである。また,再審開始の決定が確定すれば本案の再審理が行われることからすれば(民訴法348条1項),再審の訴えを提起するとともに独立当事者参加の申出がされた場合には,参加を申し出た訴訟について潜在的な訴訟係属があると解することができるが,かかる申出後に,再審の訴えを却下する決定,再審請求を棄却する決定等が確定した場合には,もはや上記訴訟について潜在的な訴訟係属があるということはできなくなり,同申出は不適法なものとなる。
 本件独立当事者参加の申出は,参加人が,本件再審の訴えを提起するとともに,再審開始の決定が確定した場合の訴訟に独立当事者参加をする旨申し出た事案であるところ,前記1(5)のとおり,本件再審訴状を却下する命令が発せられ,同命令が確定したことにより,もはや上記訴訟について潜在的な訴訟係属があるということはできなくなったものである。
 したがって,参加人の本件独立当事者参加の申出は不適法である。』
(3頁以下)

裁判所は、参加人の本件独立当事者参加の申出を不適法であるとして却下しています。

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■コメント

基本事件は、故人の作品125編などを収録した書籍の編集著作者性などが争点となった事案ですが、参加人の属性が不明で、また民訴法の争点のみの判断となります。

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■過去のブログ記事

「ツェッペリン飛行船と黙想」事件(控訴審)
2016年02月12日記事

written by ootsukahoumu at 06:34|この記事のURL

2017年08月14日

JASRAC作品届誤記事件−著作権 著作権確認等請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

JASRAC作品届誤記事件

東京地裁平成29.7.27平成29(ワ)2694著作権確認等請求事件PDF
別紙PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 沖中康人
裁判官    矢口俊哉
裁判官    島田美喜子

*裁判所サイト公表 2017.8.9
*キーワード:音楽著作権管理、作品届、氏名表示権

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■事案

JASRACへの作品届を音楽出版社が誤記して提出した点について作曲者が争った事案

原告:作曲者
被告:作詞者、音楽出版社、JASRAC

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■結論

請求却下、棄却

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■争点

条文 著作権法115条

1 確認の利益の有無
2 被告JASRACに対する差止請求の当否
3 被告Bに対する謝罪広告掲載請求の当否

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■事案の概要

『本件は,別紙1著作物目録記載の歌曲(歌詞と音楽の両方を含み,以下「本件歌曲」という。)に係る楽曲(音楽部分のみを指し,以下「本件楽曲」という。)の作曲者でその著作権を有する原告が,本件歌曲に係る歌詞部分(以下「本件歌詞」という。)の作詞者である被告Bにおいて,自らが本件楽曲の作曲者であると偽って本件楽曲を含む本件歌曲の著作権を被告CAP社に譲渡し,被告CAP社において,被告JASRACに対して本件歌曲に係る著作権管理を信託し,被告JASRACにおいて,本件歌曲の著作権を管理し著作物使用料を徴収しているなどと主張して,(1)被告らに対し,原告が本件楽曲の著作権を有することの確認を,(2)被告JASRACに対し,著作権法112条に基づき,本件楽曲が使用された場合における著作物使用料の徴収の差止めを,(3)被告Bに対し,同法115条に基づき,謝罪広告の掲載を,それぞれ求める事案である。
 これに対し,被告らは,原告の確認請求に係る訴えについては確認の利益がないとして却下を求め,その余の請求については理由がないとして棄却を求めている。』
(2頁以下)

<経緯>

H27.08 被告CAP社と被告JASRACが著作権信託契約締結
H28.11 被告Bが被告CAP社と本件歌曲の著作権譲渡契約締結
H28.11 被告CAP社が作品届で誤入力
H29.02 被告CAP社が作品届の撤回手続

楽曲:メランコリーメリーゴーランドガール
作曲:原告
作詞:被告B

   --------------------

■判決内容

<争点>

1 確認の利益の有無

・被告Bは自らが著作者ではない本件楽曲について被告CAP社との間における著作権譲渡契約の対象から外していた
・被告CAP社が本件歌曲についての作品届を被告JASRACに提出する際に担当者において誤って本件楽曲の作曲者も被告Bである旨入力した
・訴訟提起後、被告CAP社は被告JASRACに対して本件歌曲の信託譲渡を撤回する旨の書面を提出
・被告JASRACは本件歌曲を同被告の管理著作物から除外する処理を速やかに行った
・本件訴訟も含めてこれまで一度も原告が本件楽曲の著作権を有する点を争っていない

といった事実認定から、裁判所は、原告が被告らに対して原告が本件楽曲の著作権を有することの確認の利益があるとは認めていません(12頁以下)。
結論として、本件訴えのうち、原告が本件楽曲の著作権を有することの確認を求める請求に係る部分については、確認の利益が認められず不適法として却下されています。

   --------------------

2 被告JASRACに対する差止請求の当否

被告JASRACが今後、原告が著作権を有する本件楽曲についてその著作権者が原告ではないことを前提にこれを管理し、これが利用された場合に著作物使用料を徴収するおそれがあるとは認められず、これに反する原告の主張は採用できないと裁判所は判断。原告の被告JASRACに対する本件楽曲についての著作物使用料の徴収の差止請求は理由がないとしています(14頁)。

   --------------------

3 被告Bに対する謝罪広告掲載請求の当否

被告CAP社の事務処理上の誤りによって本件楽曲が被告JASRACにおいて管理されるに至ったものであり、このことに被告Bが関与したとは認められず、また、このような事態の発生について被告Bに故意・過失があったとも認められないと裁判所は判断。著作者人格権(氏名表示権)の侵害を前提とする同被告に対する謝罪広告掲載請求は理由がないとしています(14頁以下)。
結論として、争点2と3については、棄却されています。

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■コメント

問題となった楽曲は、「メランコリーメリーゴーランドガール」でアイドルグループ「ドリィムアビリティ」への提供楽曲だったようです。
JASRACへの管理楽曲の届出は楽曲管理の根幹を為すものあるため、その届出では正確な記載が求められますが、誤記入があったとしても、すぐに訂正されたり、その間、利用実績がなければ、単なる事務処理上の誤りで、著作者側に具体的な損害が生じたとまではいえない案件といえ、内々での謝罪で済む場面ではないか、とは思われます。

written by ootsukahoumu at 15:48|この記事のURL

2017年07月27日

アダルトビデオ無断配信発信者情報開示請求事件(対ハイホー)−著作権 発信者情報開示請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

アダルトビデオ無断配信発信者情報開示請求事件(対ハイホー)

東京地裁平成29.7.20平成28(ワ)37610発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官    萩原孝基
裁判官    大下良仁

*裁判所サイト公表 2017.7.25
*キーワード:発信者情報開示請求、引用

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■事案

アダルトビデオを「FC2動画」サイトで無断配信した者の情報開示請求をプロバイダに求めた事案

原告:アダルトビデオ制作販売会社
被告:インターネット接続サービス会社

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法23条、32条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 権利侵害の明白性
2 正当な理由の有無

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■事案の概要

『本件は,原告が,被告に対し,氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して,インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権(著作権法23条1項)が侵害されたと主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である。』
(2頁)

本件原告動画:「ギャルハメウィークエンド!!Vol.003」

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■判決内容

<争点>

1 権利侵害の明白性

(1)権利侵害性

氏名不詳の本件発信者は、本件原告動画の一部を複製して作成した約10分間の動画(本件発信者動画)のデータを動画共有サイトである「FC2動画」に無断アップロードして不特定多数の者が閲覧できる状態に置いていました。
裁判所は、本件発信者の投稿行為により原告の公衆送信権が侵害されたと認定しています(6頁)。

(2)引用の成否

被告は、本件発信者動画は本件楽曲の著作権を本件原告動画が侵害していることを示して批評する目的で本件原告動画の一部を引用したものであり、その引用は公正な慣行に合致し、正当な範囲内で行われたものであるとして、本件投稿行為は著作権法32条1項の適法な引用であると主張しました(6頁以下)。
この点について、裁判所は、正当な範囲内での利用であるという余地はないとして、引用の成立を否定しています。

(3)本件投稿行為が正当な行為として違法性が阻却されるか

被告は、本件原告動画のうち本件発信者動画に利用された割合及び本件発信者による本件投稿行為の目的に照らせば、本件投稿行為が正当な行為として違法性が阻却されると主張しました。
この点について、裁判所は、仮に上記目的が認められるとしても、32条1項の適法な引用に該当しない以上、正当な行為として違法性が阻却されるとはいえないと判断。被告の主張を認めていません(7頁)。

結論として、裁判所は、本件投稿行為を正当化する事由は見当らず、本件発信者が原告の本件原告動画に係る公衆送信権を侵害したことが明らかであると判断しています。

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2 正当な理由の有無

原告は、本件発信者に対して本件原告動画に係る著作権侵害に基づき損害賠償請求権等を行使することができるが、本件発信者の氏名、住所等を知る手段が他にあるとうかがわれないことから、原告が本件発信者に対して損害賠償を請求するために本件発信者情報の開示が必要であることは明らかであると裁判所は判断しています(8頁)。

結論として、原告が求めた本件発信者の氏名(名称)、住所、電子メールアドレスの開示が認容されています。

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■コメント

原告の同種別件訴訟のほかにアダルト制作会社の発信者情報開示請求事件がいくつか続いています。今回の事案では、引用の成否が1つの争点となっています。

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■過去のブログ記事

「FC2動画」アダルトビデオ無断配信発信者情報開示請求事件(対プレステージ)
2017年07月03日記事
written by ootsukahoumu at 03:45|この記事のURL

2017年07月15日

チップ選別機プログラム事件−著作権 著作権侵害差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

チップ選別機プログラム事件

東京地裁平成29.6.29平成28(ワ)36924著作権侵害差止等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官    萩原孝基
裁判官    林 雅子

*裁判所サイト公表 2017.7.13
*キーワード:プログラム、著作物性

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■事案

ソフトウェア開発受託業務に関連してプログラムの著作物性が争点となった事案

原告:ソフトウェア開発業者
被告:精密機器製造販売会社

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、10号の2

1 本件プログラムの著作物性

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■事案の概要

『本件は,個人としてソフトウェアの受託開発業を営んでいる原告が,被告は原告の著作物であるプログラムのソースコードを使用してプログラムを作成し,当該プログラムを搭載した機器を取引先に納入することにより,原告の著作権(翻案権,譲渡権及び貸与権)を侵害したと主張して,被告に対し,著作権法112条1項及び2項に基づき,被告が作成したプログラム及びそのソースコードの使用の差止め並びに廃棄を求めるとともに,民法709条及び著作権法114条2項に基づき損害金180万円の支払を求める事案である。』(1頁以下)

<経緯>

H27.08 被告がSEDI社からチップ選別機製造受託
H27.09 原被告間でソフトウェア開発請負契約締結
H28.02 請負契約終了
H28.04 原告が被告に対して別件提訴、60万円認容

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■判決内容

<争点>

1 本件プログラムの著作物性

本件プログラムの著作物性について、被告は、本件プログラムは指令の表現やその組合せ等について作成者の個性が表れたものとはいえず、著作物に当たらないと反論しました(7頁以下)。
この点について、裁判所は、プログラムの著作物性の意義(著作権法2条1項1号、同項10号の2)について言及した上で、原告は本件ソースコードを証拠としてして提出し、また、本件プログラムの処理の内容を述べたのみであり、本件ソースコードの具体的な表現について、その表現自体や表現の組合せ、表現順序からなるプログラムの全体に選択の幅があり、かつ、それがありふれた表現ではなく作成者の個性、表現上の創作性が表れていることを主張立証しなかったと判断。本件プログラムの著作物性を否定しています。

結論として、棄却の判断となっています。

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■コメント

ソフトウェア開発請負案件での発注元と請負側との紛争ですが、本人訴訟ということもあって、プログラムの著作物性について原告側の立証が尽くされていません。
written by ootsukahoumu at 07:21|この記事のURL

2017年07月14日

VAN(Value Added Network)事業営業秘密事件(控訴審)−著作権 不正競争行為等差止請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

VAN(Value Added Network)事業営業秘密事件(控訴審)

知財高裁平成29.6.28平成28(ネ)10110不正競争行為等差止請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 清水 節
裁判官    中島基至
裁判官    岡田慎吾

*裁判所サイト公表 2017.7.6
*キーワード:ソフトウェア、翻案、競業制限、営業秘密

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■事案

電気通信回線を利用して小売業者からの商品の発注を卸売業者等に取次ぐ事業(VAN)について、ソフトウェアの無断翻案や仕入価格の営業秘密性などが争点となった事案

控訴人(1審原告) :情報処理会社
被告訴人(1審被告):情報処理会社

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法27条、不正競争防止法2条1項7号

1 競業禁止合意違反の有無
2 被控訴人による本件情報の不正使用の有無等
3 被控訴人による本件ソフトウェアの著作権侵害等の有無
4 被控訴人による本件データベースの著作権侵害等の有無

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■事案の概要

『本件は,控訴人が,被控訴人に対し,(1)被控訴人との間で,被控訴人が原判決別紙事業目録記載の事業(以下「本件事業」という。)を行わない旨の競業禁止の合意(以下「本件競業禁止合意」という。)をしたにもかかわらず,被控訴人が本件事業を行うのは,本件競業禁止合意に違反すると主張して,当該合意に基づき,被控訴人が本件事業を行うことの差止めを,(2)控訴人が有する原判決別紙営業秘密目録記載の情報(以下「本件情報」という。)は営業秘密に該当するところ,被控訴人は控訴人から示された本件情報を不正の利益を得る目的で使用しており,被控訴人において本件情報を使用する行為が不正競争防止法2条1項7号に該当すると主張して,同法3条1項及び2項に基づき,本件情報を利用して小売業者に対し仕入効率の良否を判定するための情報が記載された文書を配布することの差止めを求めるとともに,本件情報が記載された書面及び記憶媒体の廃棄を,(3)控訴人は,原判決別紙ソースコード1及び2(以下「本件ソフトウェア」という。)並びに原判決別紙データベース目録記載のデータベース(以下「本件データベース」という。)の著作権を有すると主張し,また,被控訴人との間で,被控訴人が控訴人の本件事業の拡大のために本件ソフトウェア及び本件データベースを利用する旨の合意(以下「本件利用合意」という。)をしたにもかかわらず,被控訴人が本件ソフトウェア及び本件データベースを無断で改変し自らの事業のためにこれらを使用する行為は,控訴人の著作権(翻案権)を侵害するとともに,本件利用合意にも違反すると主張して,著作権法112条1項及び2項並びに本件利用合意に基づき,本件ソフトウェア及び本件データベースの使用の差止めを求めるとともに,本件ソフトウェア及び本件データベースが収納された記憶媒体の廃棄を,それぞれ求める事案である。』

『原審は,本件情報及び本件データベースの各内容が特定されていないため,これらの情報に関する請求は特定を欠くものであって,上記(2)に係る全ての請求及び上記(3)に係る各請求のうち本件データベースに係る請求は不適法であるとして,これらをいずれも却下するとともに,本件競業禁止合意及び本件利用合意が成立したものと認めることができず,また,控訴人は,被控訴人が本件ソフトウェアを翻案したことを具体的に主張立証するものではないから,上記(1)に係る請求及び上記(3)に係る各請求のうち本件ソフトウェアに係る請求をいずれも棄却した。
 控訴人は,これを不服として控訴した。』(2頁以下)

<経緯>

S44.08 1審原告会社(控訴人)設立
H22.04 Aが原告会社の取締役就任
H23.07 Aが1審被告会社(被控訴人)設立検討

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■判決内容

<争点>

1 競業禁止合意違反の有無

本件競業禁止合意及び本件利用合意が成立したことを裏付ける契約書その他の客観的証拠が認められず、控訴人の主張は容れられていません(3頁以下)。

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2 被控訴人による本件情報の不正使用の有無等

原審では、本件情報の特定がされておらず、営業秘密性を欠くなどと判断されていましたが、控訴審でも原審の判断が維持されています。

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3 被控訴人による本件ソフトウェアの著作権侵害等の有無

原審では被控訴人が本件ソフトウェアを翻案したといえるかを控訴人が何ら具体的に主張立証していないと判断されていましたが、控訴審でも原審の判断が維持されています。

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4 被控訴人による本件データベースの著作権侵害等の有無

原審では本件データベースも同様に十分特定されていないなどと判断されていましたが、控訴審でも原審の判断が維持されています。

結論として、原審同様、控訴審でも控訴人(1審原告)の主張は認められていません。

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■コメント

原告会社と被告会社は人的にも密接な関係をもって協力して事業にあたっており、何がきっかけで訴訟にまで至ったか、興味を引くところです。

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■参考判例

東京地裁平成28.10.27平成27(ワ)24340不正競争行為等差止請求事件
原審判決文PDF

written by ootsukahoumu at 06:58|この記事のURL

2017年07月03日

「FC2動画」アダルトビデオ無断配信発信者情報開示請求事件(対プレステージ)−著作権 発信者情報開示請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「FC2動画」アダルトビデオ無断配信発信者情報開示請求事件(対プレステージ)

東京地裁平成29.6.26平成29(ワ)9799発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官    伊藤清隆
裁判官    天野研司

*裁判所サイト公表 2017.6.30
*キーワード:動画、無断配信、発信者情報開示請求

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■事案

アダルトビデオを「FC2動画」サイトで無断配信した者の情報開示請求をプロバイダに求めた事案

原告:アダルトビデオ制作販売会社
被告:プロバイダ

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法14条、17条1項、プロバイダ責任制限法4条

1 原告は本件著作物の著作権者であるか
2 本件動画は本件著作物の複製物であるか
3 被告は「開示関係役務提供者」に当たるか
4 本件発信者情報の開示を受ける必要性は認められるか

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■事案の概要

『本件は,別紙2著作物目録記載の映画の著作物(以下「本件著作物」という。)の著作権者であると主張する原告が,氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト「FC2動画」(以下「本件サイト」という。)にアップロードした別紙3動画目録記載の動画(以下「本件動画」という。)は本件著作物の複製物であるから,本件投稿者による上記アップロード行為により原告の有する本件著作物の著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかであり,本件投稿者に対する損害賠償請求権の行使のために本件動画に係る別紙1発信者情報目録記載の情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を受ける必要があると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下,単に「法」という。)4条1項に基づき,被告に対し,本件発信者情報の開示を求める事案である。』
(2頁)

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■判決内容

<争点>

1 原告は本件著作物の著作権者であるか

裁判所は、本件著作物が公衆に提供されるに際して、DVDパッケージに原告商標が付されているとか、サイトのトップバナーに原告商標が表示されているなど、原告の名称が本件著作物の著作者名として通常の方法により表示されているということができるとして、原告は本件著作物の著作者と推定され(著作権法14条)、同推定を覆すに足りる事情はうかがわれないと判断。
原告は、本件著作物の著作者と認められ、その後著作権が移転した等の事情もうかがわれないとして、原告は本件著作物の著作権者である(17条1項)と認定しています(4頁以下)。

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2 本件動画は本件著作物の複製物であるか

本件著作物は収録時間2時間1分5秒の動画であること、本件動画の総再生時間は48分42秒であること、本件サイトにアップロードされていた本件動画の再生前サムネイル画像と本件著作物の再生時間27分3秒付近のスクリーンショットとが一致すること、本件動画の再生中のスクリーンショットと本件著作物の再生時間2分44秒付近のスクリーンショットとが一致すること、本件動画は本件著作物の再生時間3分頃から51分頃までと一致すると裁判所は判断。
結論として、本件動画は本件著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものとして再製されたもの、すなわち本件著作物の複製物であると認定しています(5頁)。

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3 被告は「開示関係役務提供者」に当たるか

被告がプロバイダ責任制限法2条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に当たり、また、同4条1項にいう「開示関係役務提供者」に当たると裁判所は認定しています(5頁以下)。

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4 本件発信者情報の開示を受ける必要性は認められるか

原告は、原告が有する本件著作物の著作権(公衆送信権)が侵害されたことを原因として、本件投稿者に対して不法行為による損害賠償請求権を行使するために本件発信者情報の開示を求めているものと認められ、損害賠償請求権を行使するためには本件投稿者を特定する必要があることから、原告には同特定のために本件発信者情報の開示を受ける必要があると裁判所は判断しています(6頁)。

結論として、本件投稿者に関する氏名又は名称、住所、電子メールアドレスの情報開示が認められています。

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■コメント

違法にコンテンツが配信された場合、配信者を特定するためにプロバイダに情報開示を求めるステップがありますが、その際、裁判が必要になれば権利者(被害者)は、プロバイダと無断配信者の2回、裁判をする必要があり得、たいへんな手間と労力が掛かることになります。
プロバイダが現状、発信者の情報開示に対してどの程度の事案の場合に訴訟対応しているのか、不明でしたが、先日2017年6月30日開催の第17期文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会第2回を傍聴していた際に、リーチサイトに関する事業者からのヒアリングがあり、その配布資料の中に参考になる数字がありました(「ニフティ株式会社におけるリーチサイトへの対応について」(一社)テレコムサービス協会サービス倫理委員会委員長 丸橋透氏 資料)。
そこでは、ニフティの2016年度権利侵害対応件数として、
訴訟・仮処分17件
任意の請求 382件(ガイドライン書式119件、通報フォーム263件)
合計 399件(発信者情報開示 49件 送信防止措置352件)

また、399件の内訳としては、
著作権侵害 26件(約12%)
名誉毀損などその他 353件(約88%)

とのことでした。

発信者情報開示請求49件のうちの著作権侵害事案での訴訟・仮処分の割合がどの程度か知りたいところですが、著作権侵害事案の割合も勘案すると、さほどの数ではないかとは推察されます。
ただ、そうすると、(いちおう他社案件とはなりますが同じ富士通系列)本事案のように、争点の内容を見る限り、どうして訴訟をしないと開示しないのかいまひとつ判然としないところもあって、発信者情報開示請求訴訟の事案がいつも請求認容をもらっているのをみるにつけ、できるだけ早く社内ガイドラインを精緻化して被害者側に訴訟の手間を掛けさせない対応が求められるのではないかと思うところです。

なお、本事案の裁判所サイト公開と同時に、同種事案となる後掲の対MAXING事件も公開されています。

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■関連判例

「FC2動画」アダルトビデオ無断配信事件(対MAXING)
東京地裁平成29.6.26平成29(ワ)5388発信者情報開示請求事件
判決文PDF

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■追記(2017.07.03)

2017年7月3日公表

ビッグローブ対プレステージ事件(別件)
東京地裁平成29.6.22平成28(ワ)35208発信者情報開示請求事件

動画作品「素人AV体験撮影493」

判決文PDF
written by ootsukahoumu at 06:48|この記事のURL