知財判決速報2012
2012年05月14日
「縁切り・縁結び碑」石碑事件−著作権 著作権侵害差止請求事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「縁切り・縁結び碑」石碑事件
大阪地裁平成24.4.26平成23(ワ)12933著作権侵害差止請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官 西田昌吾
裁判官 達野ゆき
*裁判所サイト公表 2012.5.8
*キーワード:同一性保持権、題号、展示権、所有権
--------------------
■事案
金比羅宮の境内に設置された縁切り祈願の石碑の題号を無断で改変したなどとして、同一性保持権侵害の成否等が争点とされた事案
原告:石碑制作業者
被告:宗教法人
--------------------
■結論
請求棄却
--------------------
■争点
条文 著作権法20条、25条、45条
1 本件碑の題号は、「断叶の碑」であるか
2 被告は、本件碑の所有権を有するか
3 本件札の題号は、「神札」であるか
4 本件被告札の作成・頒布による同一性保持権侵害の成否
5 被告の行為は原告の名誉、声望を毀損するものであるか
6 原告は、本件印鑑等の所有権を有するか
--------------------
■事案の概要
『原告は,被告の行為により本件碑及び本件原告札に関する著作権,著作者人格権を侵害されたとして,被告に対し,(1)本件碑に関する同一性保持権(著作権法20条)に基づき,本件碑の題号として,「縁切り・縁結び碑」の名称を使用することの差止めを,(2)本件碑に関する展示権(同法25条)に基づき,本件碑を展示することの差止めを,(3)本件原告札に関する同一性保持権に基づき,本件札の題号として「形代」の名称を使用することの差止めを,(4)本件原告札に関する同一性保持権に基づき,本件札を頒布することの差止めを,(5)原告の名誉,声望が毀損されたことを理由に,上記(1)ないし(4)の各差止めを,(6)所有権に基づき,本件印鑑等の引渡しを,それぞれ求めている』事案(3頁)
<経緯>
S55 被告が原告に石碑の製作を依頼
H23 被告が原告に紛争解決金として100万円を送金
--------------------
■判決内容
<争点>
1 本件碑の題号は、「断叶の碑」であるか
原告は、製作した石碑の題号は、「断叶の碑」であって、被告が無断で「縁切り・縁結びの碑」に改変したとして、同一性保持権侵害を理由に本件碑の題号として「縁切り・縁結びの碑」の名称を使用することの差止めを主張しました。
しかし、裁判所は、本件碑の題号が「断叶の碑」であるとの証拠がないとしてこれを認めていません(8頁以下)。
--------------------
2 被告は、本件碑の所有権を有するか
原告は、本件碑の展示権(25条)に基づき本件碑の展示の差止めを主張しましたが、裁判所は、本件碑の所有権は原告に帰属するとして、所有者による展示あるいは経緯などから原告の許諾があったとして(45条1項)、原告の主張を認めていません(9頁以下)。
--------------------
3 本件札の題号は、「神札」であるか
原告製作による御幣(幣束)を描いた護符である本件札の題号について、原告は題号は「神札」であって、被告が無断で「形代」に改変したとして、同一性保持権侵害を理由に本件札の題号として「形代」の名称を使用することの差止めも主張しました。
しかし、裁判所は、本件札の題号が「神札」であることを裏付ける証拠が全くなく、また「神札」は一般名称であるとして、原告の主張を認めていません(10頁以下)。
--------------------
4 本件被告札の作成・頒布による同一性保持権侵害の成否
本件札の御幣の重なりが、本来、向かって右重ね(左前)であるに、それを被告が左重ね(右前)に改変して頒布しているとして原告は本件札の頒布の差止めを求めましたが、裁判所は、本件札の表現の実質的同一性が損なわれているとはいえないこと、また差止めの必要もないとして、原告の主張を認めていません(11頁以下)。
--------------------
5 被告の行為は原告の名誉、声望を毀損するものであるか
本件碑の題号として「縁切り・縁結びの碑」の名称を使用すること、本件碑を公に展示すること、本件札の題号として「形代」の名称を使用すること、本件札を頒布すること、といった被告の行為が、原告の名誉、声望を毀損すると原告は主張しましたが、裁判所は認めていません(12頁)。
--------------------
6 原告は、本件印鑑等の所有権を有するか
札に押印された印影に係る印鑑の所有権について、裁判所は、製造請負契約に基づき本件印鑑等の引渡しを受けることにより被告が所有権を取得したとして、原告の本件印鑑等の引渡し請求を認めていません(12頁)。
--------------------
■コメント
30年前の石碑や護符の製作を巡って争われた事案ですが、発注者である金比羅宮も、紛争解決金として100万円を原告に送金するなどしていて、双方で過去、どのような経緯があったのか、前宮司との約定について本当のところがよく分からない事案です。

石碑(別紙1)

被告札(別紙2)
「縁切り・縁結び碑」石碑事件
大阪地裁平成24.4.26平成23(ワ)12933著作権侵害差止請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官 西田昌吾
裁判官 達野ゆき
*裁判所サイト公表 2012.5.8
*キーワード:同一性保持権、題号、展示権、所有権
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■事案
金比羅宮の境内に設置された縁切り祈願の石碑の題号を無断で改変したなどとして、同一性保持権侵害の成否等が争点とされた事案
原告:石碑制作業者
被告:宗教法人
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法20条、25条、45条
1 本件碑の題号は、「断叶の碑」であるか
2 被告は、本件碑の所有権を有するか
3 本件札の題号は、「神札」であるか
4 本件被告札の作成・頒布による同一性保持権侵害の成否
5 被告の行為は原告の名誉、声望を毀損するものであるか
6 原告は、本件印鑑等の所有権を有するか
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■事案の概要
『原告は,被告の行為により本件碑及び本件原告札に関する著作権,著作者人格権を侵害されたとして,被告に対し,(1)本件碑に関する同一性保持権(著作権法20条)に基づき,本件碑の題号として,「縁切り・縁結び碑」の名称を使用することの差止めを,(2)本件碑に関する展示権(同法25条)に基づき,本件碑を展示することの差止めを,(3)本件原告札に関する同一性保持権に基づき,本件札の題号として「形代」の名称を使用することの差止めを,(4)本件原告札に関する同一性保持権に基づき,本件札を頒布することの差止めを,(5)原告の名誉,声望が毀損されたことを理由に,上記(1)ないし(4)の各差止めを,(6)所有権に基づき,本件印鑑等の引渡しを,それぞれ求めている』事案(3頁)
<経緯>
S55 被告が原告に石碑の製作を依頼
H23 被告が原告に紛争解決金として100万円を送金
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■判決内容
<争点>
1 本件碑の題号は、「断叶の碑」であるか
原告は、製作した石碑の題号は、「断叶の碑」であって、被告が無断で「縁切り・縁結びの碑」に改変したとして、同一性保持権侵害を理由に本件碑の題号として「縁切り・縁結びの碑」の名称を使用することの差止めを主張しました。
しかし、裁判所は、本件碑の題号が「断叶の碑」であるとの証拠がないとしてこれを認めていません(8頁以下)。
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2 被告は、本件碑の所有権を有するか
原告は、本件碑の展示権(25条)に基づき本件碑の展示の差止めを主張しましたが、裁判所は、本件碑の所有権は原告に帰属するとして、所有者による展示あるいは経緯などから原告の許諾があったとして(45条1項)、原告の主張を認めていません(9頁以下)。
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3 本件札の題号は、「神札」であるか
原告製作による御幣(幣束)を描いた護符である本件札の題号について、原告は題号は「神札」であって、被告が無断で「形代」に改変したとして、同一性保持権侵害を理由に本件札の題号として「形代」の名称を使用することの差止めも主張しました。
しかし、裁判所は、本件札の題号が「神札」であることを裏付ける証拠が全くなく、また「神札」は一般名称であるとして、原告の主張を認めていません(10頁以下)。
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4 本件被告札の作成・頒布による同一性保持権侵害の成否
本件札の御幣の重なりが、本来、向かって右重ね(左前)であるに、それを被告が左重ね(右前)に改変して頒布しているとして原告は本件札の頒布の差止めを求めましたが、裁判所は、本件札の表現の実質的同一性が損なわれているとはいえないこと、また差止めの必要もないとして、原告の主張を認めていません(11頁以下)。
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5 被告の行為は原告の名誉、声望を毀損するものであるか
本件碑の題号として「縁切り・縁結びの碑」の名称を使用すること、本件碑を公に展示すること、本件札の題号として「形代」の名称を使用すること、本件札を頒布すること、といった被告の行為が、原告の名誉、声望を毀損すると原告は主張しましたが、裁判所は認めていません(12頁)。
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6 原告は、本件印鑑等の所有権を有するか
札に押印された印影に係る印鑑の所有権について、裁判所は、製造請負契約に基づき本件印鑑等の引渡しを受けることにより被告が所有権を取得したとして、原告の本件印鑑等の引渡し請求を認めていません(12頁)。
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■コメント
30年前の石碑や護符の製作を巡って争われた事案ですが、発注者である金比羅宮も、紛争解決金として100万円を原告に送金するなどしていて、双方で過去、どのような経緯があったのか、前宮司との約定について本当のところがよく分からない事案です。

石碑(別紙1)

被告札(別紙2)
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2012年05月02日
女性用ボレロ編み物編み図事件(控訴審)−著作権 損害賠償等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
女性用ボレロ編み物編み図事件(控訴審)
知財高裁平成24.4.25平成24(ネ)10004損害賠償等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 塩月秀平
裁判官 真辺朋子
裁判官 田邉 実
*裁判所サイト公表 2012.4.27
*キーワード:著作物性、アイデア
--------------------
■事案
女性用ボレロの毛糸編み物や編み図の著作物性が争点となった事案の控訴審
控訴人 (一審原告):手編み物作家
被控訴人(一審被告):毛糸等繊維会社、編物教室主宰者
--------------------
■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号
1 原告編み物及び原告編み図の著作物性
--------------------
■事案の概要
『 控訴人は,原判決別紙原告作品目録記載1及び2の原告編み物,同目録記載3及び4の原告編み図の制作者である。被控訴人Yは被控訴人会社に原判決別紙被告作品目録記載1の被告編み物及び同目録記載2の被告編み図を納入し,被控訴人会社は被告編み物を下請業者に製作させて展示,販売し,被告編み物を写真撮影して雑誌等に掲載して使用し,かつ,被告編み図を複製して顧客や販売店等に頒布するなどした。
控訴人は,被告編み物及び編み図は原告編み物又は原告編み図を複製,翻案したものであり,被控訴人会社撮影に係る原判決別紙被告作品目録記載3の写真は原告編み物又は原告編み図を翻案したものであり,被告編み物及び被告編み図の展示は展示権を侵害するなどと主張し,被告編み物,被告編み図及び上記写真の展示,販売,販売の申出の差止め,侵害品の廃棄を求めるとともに,被控訴人らは,故意又は過失により,共同して上記各行為に及んだものであるとして,著作権及び著作者人格権侵害の共同不法行為責任に基づき,損害賠償金合計660万円及び遅延損害金の連帯支払を求め,さらに,著作権法115条に基づき,謝罪広告の掲載を求めた。
原審は,原告編み物及び原告編み図に著作物性を認めることはできないとして,原告の請求をいずれも棄却した。』(2頁)
--------------------
■判決内容
<争点>
1 原告編み物及び原告編み図の著作物性
手編みによって作成された女性用のベストである原告編み物及びその編み図の著作物性(著作権法2条1項1号)について、控訴審においても、『「形の最小単位は直角三角形であり,この三角形二つの各最大辺を線対称的に合わせて四角形を構成し,この四角形五つを円環的につなげた形二つをさらにつなげた形」と表現される原判決最末尾別紙図面記載の構成は,表現ではなく,そのような構成を有する衣服を作成する抽象的な構想又はアイデアにとどまるものと解されるから,上記構成を根拠として原告編み物に著作物性を認めることはできず,原告編み図についても著作物性を認めることはできない』(5頁以下)と判断されています。
--------------------
■コメント
毛糸編み物とその編み図の著作物性について、原審の判断が維持されていて、控訴審でも否定されました。
なお、原審が「念のため」検討した本件構成を含む編み図全体(各2枚目)の美術の著作物性あるいは図面の著作物性については、控訴審は判断していません。
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■過去のブログ記事
2012年1月30日記事 原審
女性用ボレロ編み物編み図事件(控訴審)
知財高裁平成24.4.25平成24(ネ)10004損害賠償等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 塩月秀平
裁判官 真辺朋子
裁判官 田邉 実
*裁判所サイト公表 2012.4.27
*キーワード:著作物性、アイデア
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■事案
女性用ボレロの毛糸編み物や編み図の著作物性が争点となった事案の控訴審
控訴人 (一審原告):手編み物作家
被控訴人(一審被告):毛糸等繊維会社、編物教室主宰者
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号
1 原告編み物及び原告編み図の著作物性
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■事案の概要
『 控訴人は,原判決別紙原告作品目録記載1及び2の原告編み物,同目録記載3及び4の原告編み図の制作者である。被控訴人Yは被控訴人会社に原判決別紙被告作品目録記載1の被告編み物及び同目録記載2の被告編み図を納入し,被控訴人会社は被告編み物を下請業者に製作させて展示,販売し,被告編み物を写真撮影して雑誌等に掲載して使用し,かつ,被告編み図を複製して顧客や販売店等に頒布するなどした。
控訴人は,被告編み物及び編み図は原告編み物又は原告編み図を複製,翻案したものであり,被控訴人会社撮影に係る原判決別紙被告作品目録記載3の写真は原告編み物又は原告編み図を翻案したものであり,被告編み物及び被告編み図の展示は展示権を侵害するなどと主張し,被告編み物,被告編み図及び上記写真の展示,販売,販売の申出の差止め,侵害品の廃棄を求めるとともに,被控訴人らは,故意又は過失により,共同して上記各行為に及んだものであるとして,著作権及び著作者人格権侵害の共同不法行為責任に基づき,損害賠償金合計660万円及び遅延損害金の連帯支払を求め,さらに,著作権法115条に基づき,謝罪広告の掲載を求めた。
原審は,原告編み物及び原告編み図に著作物性を認めることはできないとして,原告の請求をいずれも棄却した。』(2頁)
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■判決内容
<争点>
1 原告編み物及び原告編み図の著作物性
手編みによって作成された女性用のベストである原告編み物及びその編み図の著作物性(著作権法2条1項1号)について、控訴審においても、『「形の最小単位は直角三角形であり,この三角形二つの各最大辺を線対称的に合わせて四角形を構成し,この四角形五つを円環的につなげた形二つをさらにつなげた形」と表現される原判決最末尾別紙図面記載の構成は,表現ではなく,そのような構成を有する衣服を作成する抽象的な構想又はアイデアにとどまるものと解されるから,上記構成を根拠として原告編み物に著作物性を認めることはできず,原告編み図についても著作物性を認めることはできない』(5頁以下)と判断されています。
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■コメント
毛糸編み物とその編み図の著作物性について、原審の判断が維持されていて、控訴審でも否定されました。
なお、原審が「念のため」検討した本件構成を含む編み図全体(各2枚目)の美術の著作物性あるいは図面の著作物性については、控訴審は判断していません。
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■過去のブログ記事
2012年1月30日記事 原審
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2012年04月16日
幼児教育教材絵本事件−著作権 出版差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
幼児教育教材絵本事件
東京地裁平成24.3.29平成23(ワ)8228出版差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 山門 優
裁判官 志賀 勝
*裁判所サイト公表 2012.04.12
*キーワード:黙示的譲渡、買取り、出版、挿絵、増刷
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■事案
幼児教育教材絵本の挿絵として使用された原画の著作権の帰属が争点となった事案
原告:画家ら
被告:教育教材等製造販売会社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法21条、112条1項、114条3項
1 被告は原告らから本件原画の著作権を譲渡されたか
2 原告らの損害
--------------------
■事案の概要
『原告らは,いずれも画家であり,被告が平成17年に発行した別紙第1書籍目録記載の書籍(以下「本件第1書籍」という。)の挿絵に用いられている別紙第1著作物目録記載の絵画(以下「本件第1原画」という。),及び,被告が平成20年に発行した別紙第2書籍目録記載の書籍(以下「本件第2書籍」といい,本件第1書籍と併せて「本件書籍」という。)の挿絵に用いられている別紙第2著作物目録記載の絵画(以下「本件第2原画」といい,本件第1原画と併せて「本件原画」という。)の著作者である。
本件は,原告らが,(1)被告は,原告らに無断で本件第1書籍を増刷し,増刷した書籍を販売しており,本件第1原画に係る原告らの著作権(複製権及び譲渡権)を侵害している,(2)上記のような被告の態度に照らすと,被告は,本件第2書籍についても,今後,原告らに無断でこれを増刷し,本件第2原画に係る原告らの著作権(複製権)を侵害するおそれがある,と主張して,被告に対し,著作権(複製権ないし譲渡権)に基づき,本件第1書籍の印刷,出版,販売又は頒布の差止め及び本件第2書籍の印刷,出版の差止め(著作権法112条1項)を求めるとともに,不法行為に基づく損害賠償として,前記「第1 請求」記載の金員の支払を求める事案である。』(5頁)
<経緯>
H16.11 原被告らが絵本出版企画会合開催
H17 被告が幼児向け教育絵本を1万部出版
H19 原告の一部が原画を再制作
H20.04 第1書籍の増刷
H22.03 原告が増刷を認識、被告に禁止通告
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■判決内容
<争点>
1 被告は原告らから本件原画の著作権を譲渡されたか
幼児向け教育教材絵本のために制作された原告らの挿絵原画について、被告は、本件原画の引渡しを受けた際、原告らから本件原画の著作権及び同原画の所有権を黙示的に譲受けたものであり、原告らは、本件書籍の増刷について被告の随意に委ねていた、また、本件画料は、譲渡の対価として被告から原告に支払われたものであると主張しました(13頁以下)。
しかし、裁判所は、増刷に至る経緯を検討した上で、原告らが被告に対して原画の著作権を黙示的に譲渡したと認めることはできないと判断。本件第1原画の著作権者である原告らの許諾を得ることなく本件第1書籍を増刷し、これを販売したことは、原告らの著作権(複製権及び譲渡権)を侵害するものであるとして、結論として第1書籍の印刷、出版、販売、頒布の差止め、第2書籍の印刷又は出版の差止めが認められています。
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2 原告らの損害
裁判所は被告の過失を認めた上で、第1書籍が合計26万9000冊増刷されていることを前提に、本件第1原画の制作に至るまでの経緯、石井式漢字教育における絵本(漢字仮名交じり絵本)の役割(絵本の文章部分の重要性)、本件第1書籍の販売価格(430円)、本件第1書籍における本件第1原画の重要性、本件画料には原画の制作料の意味合いも含まれているとうかがえること等の事情を総合的に考慮して、1冊あたりの著作権料相当額を30円として、原告14名の複製権侵害についての損害額を算定しています。また、弁護士費用についても、その損害額の1割に相当するものとして算定しています。
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■コメント
絵本向けの原画制作発注の際の著作者と発注元との間で著作権の取り扱いや書籍増刷の際の取り決めがないまま、増刷などが重ねられてしまった結果、紛争が生じた事案となります。社内に出版に詳しい人材がいなくて、外部の出版エージェントを介したものの、権利処理をしっかりしなかったという内容です。
被告サイト(後掲)を拝見すると、幼児の漢字教育のために絵本に「本物の美術作品の手触りを感じてもらえるような原画」を使用しているということで、原画が単なる挿絵ではなく、書籍において重要な地位を占めるものであることが分かります。
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■参考サイト
被告サイト:石井式の幼児教育『石井式国語教育研究会』
幼児教育教材絵本事件
東京地裁平成24.3.29平成23(ワ)8228出版差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 山門 優
裁判官 志賀 勝
*裁判所サイト公表 2012.04.12
*キーワード:黙示的譲渡、買取り、出版、挿絵、増刷
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■事案
幼児教育教材絵本の挿絵として使用された原画の著作権の帰属が争点となった事案
原告:画家ら
被告:教育教材等製造販売会社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法21条、112条1項、114条3項
1 被告は原告らから本件原画の著作権を譲渡されたか
2 原告らの損害
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■事案の概要
『原告らは,いずれも画家であり,被告が平成17年に発行した別紙第1書籍目録記載の書籍(以下「本件第1書籍」という。)の挿絵に用いられている別紙第1著作物目録記載の絵画(以下「本件第1原画」という。),及び,被告が平成20年に発行した別紙第2書籍目録記載の書籍(以下「本件第2書籍」といい,本件第1書籍と併せて「本件書籍」という。)の挿絵に用いられている別紙第2著作物目録記載の絵画(以下「本件第2原画」といい,本件第1原画と併せて「本件原画」という。)の著作者である。
本件は,原告らが,(1)被告は,原告らに無断で本件第1書籍を増刷し,増刷した書籍を販売しており,本件第1原画に係る原告らの著作権(複製権及び譲渡権)を侵害している,(2)上記のような被告の態度に照らすと,被告は,本件第2書籍についても,今後,原告らに無断でこれを増刷し,本件第2原画に係る原告らの著作権(複製権)を侵害するおそれがある,と主張して,被告に対し,著作権(複製権ないし譲渡権)に基づき,本件第1書籍の印刷,出版,販売又は頒布の差止め及び本件第2書籍の印刷,出版の差止め(著作権法112条1項)を求めるとともに,不法行為に基づく損害賠償として,前記「第1 請求」記載の金員の支払を求める事案である。』(5頁)
<経緯>
H16.11 原被告らが絵本出版企画会合開催
H17 被告が幼児向け教育絵本を1万部出版
H19 原告の一部が原画を再制作
H20.04 第1書籍の増刷
H22.03 原告が増刷を認識、被告に禁止通告
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■判決内容
<争点>
1 被告は原告らから本件原画の著作権を譲渡されたか
幼児向け教育教材絵本のために制作された原告らの挿絵原画について、被告は、本件原画の引渡しを受けた際、原告らから本件原画の著作権及び同原画の所有権を黙示的に譲受けたものであり、原告らは、本件書籍の増刷について被告の随意に委ねていた、また、本件画料は、譲渡の対価として被告から原告に支払われたものであると主張しました(13頁以下)。
しかし、裁判所は、増刷に至る経緯を検討した上で、原告らが被告に対して原画の著作権を黙示的に譲渡したと認めることはできないと判断。本件第1原画の著作権者である原告らの許諾を得ることなく本件第1書籍を増刷し、これを販売したことは、原告らの著作権(複製権及び譲渡権)を侵害するものであるとして、結論として第1書籍の印刷、出版、販売、頒布の差止め、第2書籍の印刷又は出版の差止めが認められています。
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2 原告らの損害
裁判所は被告の過失を認めた上で、第1書籍が合計26万9000冊増刷されていることを前提に、本件第1原画の制作に至るまでの経緯、石井式漢字教育における絵本(漢字仮名交じり絵本)の役割(絵本の文章部分の重要性)、本件第1書籍の販売価格(430円)、本件第1書籍における本件第1原画の重要性、本件画料には原画の制作料の意味合いも含まれているとうかがえること等の事情を総合的に考慮して、1冊あたりの著作権料相当額を30円として、原告14名の複製権侵害についての損害額を算定しています。また、弁護士費用についても、その損害額の1割に相当するものとして算定しています。
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■コメント
絵本向けの原画制作発注の際の著作者と発注元との間で著作権の取り扱いや書籍増刷の際の取り決めがないまま、増刷などが重ねられてしまった結果、紛争が生じた事案となります。社内に出版に詳しい人材がいなくて、外部の出版エージェントを介したものの、権利処理をしっかりしなかったという内容です。
被告サイト(後掲)を拝見すると、幼児の漢字教育のために絵本に「本物の美術作品の手触りを感じてもらえるような原画」を使用しているということで、原画が単なる挿絵ではなく、書籍において重要な地位を占めるものであることが分かります。
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■参考サイト
被告サイト:石井式の幼児教育『石井式国語教育研究会』
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2012年04月12日
ホームページ制作不正競業事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ホームページ制作不正競業事件
東京地裁平成24.3.28損害賠償請求事件平成21(ワ)5848PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 岡本 岳
裁判官 坂本康博
裁判官 寺田利彦
*裁判所サイト公表 2012.04.02
*キーワード:営業秘密、秘密保持契約、著作物性
--------------------
■事案
銀行融資の際の事業計画書などの著作物性が争点となった事案
原告:経営コンサルティング会社、原告代表取締役
被告:原告元従業員、元従業員親族、元アルバイト、外国為替取引業会社
--------------------
■結論
請求棄却
--------------------
■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、27条、不正競争防止法2条1項4号、7号、8号、9号、6項
1 不正競業、兼職
2 横領、背任
3 営業妨害、業務懈怠
4 情報管理義務違反
5 著作権侵害
6 営業秘密の侵害
7 原告らの被害回復に対する妨害行為
8 契約の不当破棄に該当する行為
9 無形損害
--------------------
■事案の概要
『本件は,被告らが,(1)不正競業,兼職,(2)横領,背任,(3)営業妨害,業務懈怠,(4)情報管理義務違反,(5)著作権侵害,(6)営業秘密の侵害,(7)原告らの被害回復に対する妨害行為,(8)契約の不当破棄に該当する行為を行ったとして,
(1)原告らが,被告Y1(以下「被告Y1」という。),被告Y3(以下「被告Y3」という。),被告Y4(以下「被告Y4」という。),被告マネースクウェア・ジャパン(以下「被告会社」という。)に対し,上記(1),(3),(4),(7)の行為が同被告らの共同不法行為に当たるとして,不法行為に基づく損害賠償金,
(2)原告イーグルワンエンタープライズ(以下「原告会社」という。)が,被告Y1,被告Y4に対し,上記(2)の行為が同被告らの共同不法行為に当たるとして,不法行為に基づく損害賠償金,
(3)原告会社が,被告Y1,被告Y4に対し,上記(1),(2),(3),(4),(7)の行為が債務不履行に当たるとして,債務不履行に基づく損害賠償金(この請求と上記(1),(2)の被告Y1,被告Y4に対する請求は選択的併合の関係にある。),
(4)原告会社が,被告会社に対し,上記(8)の行為が不法行為又は債務不履行に当たるとして,不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償金(両請求は選択的併合の関係にある。),
(5)原告会社が,被告Y1,被告Y3,被告Y4,被告会社に対し,上記(5),(6)の行為が不法行為に当たるとして,不法行為に基づく損害賠償金,
(6)原告会社が,被告Y2(以下「被告Y2」という。)に対し,身元保証契約に基づく保証債務の履行としての損害賠償金,
及び上記(1)−(6)の各損害賠償金に対する平成20年7月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める事案』(4頁以下)
<経緯>
H18.5 被告Y4が焼肉店でアルバイト
H18.6 被告Y1が原告会社の業務に従事
H19.12原告会社と被告会社がコンサル契約
--------------------
■判決内容
<争点>
1 不正競業、兼職
ホームページ制作業務などに係わる不正競業や兼職禁止違反に関して、まず、被告Y1については、裁判所は、(1)原告会社との間の本件秘密保持の合意違反の有無が問題となるのは平成18年6月頃より後の行為であり、(2)競業避止義務違反、兼職禁止義務違反の有無が問題となるのは、原告会社との雇用契約締結(平成19年12月21日頃)後の行為であると認定した上で、結論的には不法行為又は債務不履行を構成する具体的な事実が明らかではないと判断されています。
また、アルバイトに係る業務とは別に個別の請負契約に基づいて原告会社が経営する飲食店の制作物やホームページ制作を行っていた被告Y4についても、原告会社に対して競業避止義務、兼職禁止義務、秘密保持義務を負うと認めることはできず、原告らの被告Y4の不正競業行為、兼職行為に基づく請求は、いずれもその前提を欠き、理由がないと判断されています(31頁以下)。
------------------------------------
2 横領、背任
被告Y1、Y4の横領、背任の事実は認められていません(35頁以下)。
------------------------------------
3 営業妨害、業務懈怠
原告らは、被告Y1が原告会社が経営する飲食店が利用する「ぐるなび」の上位検索PRキャンペーンについて、営業妨害を行ったなどと主張しましたが、いずれも認められていません(36頁以下)。
------------------------------------
4 情報管理義務違反
被告Y1が被告Y4に原告会社のウェブに関する管理IDとパスワードを教えたことなどが本件秘密保持の合意に反するものと認められたものの、具体的な損害が生じたと認められず、その他の点も含め情報管理義務違反に基づく不法行為責任、債務不履行責任の成立は認められていません(41頁以下)。
------------------------------------
5 著作権侵害
原告らは、原告X2らが作成した文書の無断複製、翻案による著作権侵害性を争点としました。しかし、裁判所は、
・原告会社のウェブサイトのリニューアル作業に係るプレゼン資料の被告会社への提供については、複製、翻案について原告会社の包括的な合意があった。
・無料ディレクトリ登録サイト、携帯サイト向け検索エンジン、キーワード等をリスト化文書の被告会社への提供については、それが表現上の創作性を有するものとも、素材の選択、配列に創作性を有するものとも認めることはできない。また、情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものということもできないため、データベースの著作物に当たるということもできないとして、著作物性を否定。
・業務上の課題、改善事項等を箇条書きした文書については、一般的な表現で箇条書きしたものにすぎない。文書の表現と同一性、類似性を有するのは、「経営面」、「運営面」、「季節飾りつけ」、「ビラ撒きマニュアル」等の項目やタイトルなどであって、事実やアイデアなど表現それ自体ではない部分又は表現上の創作性がない部分で共通するにすぎない。
・ディレクトリ登録向けの単語、キーワード、キーワードを使用して一定の文字制限内でまとめられた一般的な紹介文案、対象店舗のURLやメールアドレスなどについては、一般的な表現で箇条書きされたものにすぎない。また、文書の表現と同一性、類似性を有するのは、「タイトル」、「15文字まで」、「長文(150まで)〜中文(80文字)」、「キーワード」等の項目やタイトル、キーワードを使用して一定の文字制限内でまとめられた一般的な紹介文案などであって、事実やアイデアなど表現それ自体ではない部分又は表現上の創作性がない部分で共通するにすぎない。
・銀行への融資のために作成された事業計画書については、一般的な事業計画書にすぎず、表現上の創作性を有するものということはできない。また、文書の表現と同一性、類似性を有するのは、「基本事項」、「計画因子」、「客単価」、「売上」、「初期投資内訳」等の項目やタイトル、表の形式や書式などであって、事実やアイデアなど表現それ自体ではない部分又は表現上の創作性がない部分で共通するにすぎない。
・店舗の開業までにやるべきことを箇条書きでまとめたリストについては、一般的なリストにすぎず、表現上の創作性を有するものということはできない。また、文書の表現と同一性、類似性を有するのは、「やること」、「コンセプト」、「メニュー確定」、「仕入先の選定」等の項目やタイトルの一部、店舗の所在地や営業時間のみであって、事実やアイデアなど表現それ自体ではない部分又は表現上の創作性がない部分で共通するにすぎない。
などとして、著作権侵害に基づく原告らの主張を認めていません(43頁以下)。
------------------------------------
6 営業秘密の侵害
別紙D記載の各情報の営業秘密性を前提に、これを被告Y1、被告Y4が不正に取得した、又は図利加害目的で利用、開示したと原告らは主張しました。
しかし、営業秘密性その他の要件を認めるに足りる的確な証拠はないとして、裁判所は営業秘密侵害性を否定しています(49頁以下)。
------------------------------------
7 原告らの被害回復に対する妨害行為
原告らは、被告Y1、被告Y4、被告Y3、被告会社の代表者等が、被告らが行った不正行為に係る事実関係や責任を否定し、原告X2を愚弄して原告らの被害回復を拒否したことが不法行為に当たると主張しましたが、裁判所はこうした主張を容れていません(50頁)。
------------------------------------
8 契約の不当破棄に該当する行為
被告会社が、被告Y1が業務を担当することができなくなったことを理由に申し出た本件業務委託契約の解消には、正当な理由があるとして、契約の不当破棄との原告らの主張を容れていません(50頁以下)。
------------------------------------
9 無形損害
原告らの精神的損害に関する主張についても裁判所は認めていません(51頁)。
--------------------
■コメント
HPリニューアル業務やWebマーケティングに関するアドバイザリー業務に能力がある人材を巡っての紛争となります。
主要な論点は、秘密保持契約や営業秘密管理ですが、事業計画書の著作物性などに言及されている点が参考になります。
--------------------
■参考サイト
被告会社IR情報
株式会社 マネースクウェア・ジャパン 平成23年3月期決算短信(10頁以下)
ホームページ制作不正競業事件
東京地裁平成24.3.28損害賠償請求事件平成21(ワ)5848PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 岡本 岳
裁判官 坂本康博
裁判官 寺田利彦
*裁判所サイト公表 2012.04.02
*キーワード:営業秘密、秘密保持契約、著作物性
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■事案
銀行融資の際の事業計画書などの著作物性が争点となった事案
原告:経営コンサルティング会社、原告代表取締役
被告:原告元従業員、元従業員親族、元アルバイト、外国為替取引業会社
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、27条、不正競争防止法2条1項4号、7号、8号、9号、6項
1 不正競業、兼職
2 横領、背任
3 営業妨害、業務懈怠
4 情報管理義務違反
5 著作権侵害
6 営業秘密の侵害
7 原告らの被害回復に対する妨害行為
8 契約の不当破棄に該当する行為
9 無形損害
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■事案の概要
『本件は,被告らが,(1)不正競業,兼職,(2)横領,背任,(3)営業妨害,業務懈怠,(4)情報管理義務違反,(5)著作権侵害,(6)営業秘密の侵害,(7)原告らの被害回復に対する妨害行為,(8)契約の不当破棄に該当する行為を行ったとして,
(1)原告らが,被告Y1(以下「被告Y1」という。),被告Y3(以下「被告Y3」という。),被告Y4(以下「被告Y4」という。),被告マネースクウェア・ジャパン(以下「被告会社」という。)に対し,上記(1),(3),(4),(7)の行為が同被告らの共同不法行為に当たるとして,不法行為に基づく損害賠償金,
(2)原告イーグルワンエンタープライズ(以下「原告会社」という。)が,被告Y1,被告Y4に対し,上記(2)の行為が同被告らの共同不法行為に当たるとして,不法行為に基づく損害賠償金,
(3)原告会社が,被告Y1,被告Y4に対し,上記(1),(2),(3),(4),(7)の行為が債務不履行に当たるとして,債務不履行に基づく損害賠償金(この請求と上記(1),(2)の被告Y1,被告Y4に対する請求は選択的併合の関係にある。),
(4)原告会社が,被告会社に対し,上記(8)の行為が不法行為又は債務不履行に当たるとして,不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償金(両請求は選択的併合の関係にある。),
(5)原告会社が,被告Y1,被告Y3,被告Y4,被告会社に対し,上記(5),(6)の行為が不法行為に当たるとして,不法行為に基づく損害賠償金,
(6)原告会社が,被告Y2(以下「被告Y2」という。)に対し,身元保証契約に基づく保証債務の履行としての損害賠償金,
及び上記(1)−(6)の各損害賠償金に対する平成20年7月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める事案』(4頁以下)
<経緯>
H18.5 被告Y4が焼肉店でアルバイト
H18.6 被告Y1が原告会社の業務に従事
H19.12原告会社と被告会社がコンサル契約
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■判決内容
<争点>
1 不正競業、兼職
ホームページ制作業務などに係わる不正競業や兼職禁止違反に関して、まず、被告Y1については、裁判所は、(1)原告会社との間の本件秘密保持の合意違反の有無が問題となるのは平成18年6月頃より後の行為であり、(2)競業避止義務違反、兼職禁止義務違反の有無が問題となるのは、原告会社との雇用契約締結(平成19年12月21日頃)後の行為であると認定した上で、結論的には不法行為又は債務不履行を構成する具体的な事実が明らかではないと判断されています。
また、アルバイトに係る業務とは別に個別の請負契約に基づいて原告会社が経営する飲食店の制作物やホームページ制作を行っていた被告Y4についても、原告会社に対して競業避止義務、兼職禁止義務、秘密保持義務を負うと認めることはできず、原告らの被告Y4の不正競業行為、兼職行為に基づく請求は、いずれもその前提を欠き、理由がないと判断されています(31頁以下)。
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2 横領、背任
被告Y1、Y4の横領、背任の事実は認められていません(35頁以下)。
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3 営業妨害、業務懈怠
原告らは、被告Y1が原告会社が経営する飲食店が利用する「ぐるなび」の上位検索PRキャンペーンについて、営業妨害を行ったなどと主張しましたが、いずれも認められていません(36頁以下)。
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4 情報管理義務違反
被告Y1が被告Y4に原告会社のウェブに関する管理IDとパスワードを教えたことなどが本件秘密保持の合意に反するものと認められたものの、具体的な損害が生じたと認められず、その他の点も含め情報管理義務違反に基づく不法行為責任、債務不履行責任の成立は認められていません(41頁以下)。
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5 著作権侵害
原告らは、原告X2らが作成した文書の無断複製、翻案による著作権侵害性を争点としました。しかし、裁判所は、
・原告会社のウェブサイトのリニューアル作業に係るプレゼン資料の被告会社への提供については、複製、翻案について原告会社の包括的な合意があった。
・無料ディレクトリ登録サイト、携帯サイト向け検索エンジン、キーワード等をリスト化文書の被告会社への提供については、それが表現上の創作性を有するものとも、素材の選択、配列に創作性を有するものとも認めることはできない。また、情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものということもできないため、データベースの著作物に当たるということもできないとして、著作物性を否定。
・業務上の課題、改善事項等を箇条書きした文書については、一般的な表現で箇条書きしたものにすぎない。文書の表現と同一性、類似性を有するのは、「経営面」、「運営面」、「季節飾りつけ」、「ビラ撒きマニュアル」等の項目やタイトルなどであって、事実やアイデアなど表現それ自体ではない部分又は表現上の創作性がない部分で共通するにすぎない。
・ディレクトリ登録向けの単語、キーワード、キーワードを使用して一定の文字制限内でまとめられた一般的な紹介文案、対象店舗のURLやメールアドレスなどについては、一般的な表現で箇条書きされたものにすぎない。また、文書の表現と同一性、類似性を有するのは、「タイトル」、「15文字まで」、「長文(150まで)〜中文(80文字)」、「キーワード」等の項目やタイトル、キーワードを使用して一定の文字制限内でまとめられた一般的な紹介文案などであって、事実やアイデアなど表現それ自体ではない部分又は表現上の創作性がない部分で共通するにすぎない。
・銀行への融資のために作成された事業計画書については、一般的な事業計画書にすぎず、表現上の創作性を有するものということはできない。また、文書の表現と同一性、類似性を有するのは、「基本事項」、「計画因子」、「客単価」、「売上」、「初期投資内訳」等の項目やタイトル、表の形式や書式などであって、事実やアイデアなど表現それ自体ではない部分又は表現上の創作性がない部分で共通するにすぎない。
・店舗の開業までにやるべきことを箇条書きでまとめたリストについては、一般的なリストにすぎず、表現上の創作性を有するものということはできない。また、文書の表現と同一性、類似性を有するのは、「やること」、「コンセプト」、「メニュー確定」、「仕入先の選定」等の項目やタイトルの一部、店舗の所在地や営業時間のみであって、事実やアイデアなど表現それ自体ではない部分又は表現上の創作性がない部分で共通するにすぎない。
などとして、著作権侵害に基づく原告らの主張を認めていません(43頁以下)。
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6 営業秘密の侵害
別紙D記載の各情報の営業秘密性を前提に、これを被告Y1、被告Y4が不正に取得した、又は図利加害目的で利用、開示したと原告らは主張しました。
しかし、営業秘密性その他の要件を認めるに足りる的確な証拠はないとして、裁判所は営業秘密侵害性を否定しています(49頁以下)。
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7 原告らの被害回復に対する妨害行為
原告らは、被告Y1、被告Y4、被告Y3、被告会社の代表者等が、被告らが行った不正行為に係る事実関係や責任を否定し、原告X2を愚弄して原告らの被害回復を拒否したことが不法行為に当たると主張しましたが、裁判所はこうした主張を容れていません(50頁)。
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8 契約の不当破棄に該当する行為
被告会社が、被告Y1が業務を担当することができなくなったことを理由に申し出た本件業務委託契約の解消には、正当な理由があるとして、契約の不当破棄との原告らの主張を容れていません(50頁以下)。
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9 無形損害
原告らの精神的損害に関する主張についても裁判所は認めていません(51頁)。
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■コメント
HPリニューアル業務やWebマーケティングに関するアドバイザリー業務に能力がある人材を巡っての紛争となります。
主要な論点は、秘密保持契約や営業秘密管理ですが、事業計画書の著作物性などに言及されている点が参考になります。
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■参考サイト
被告会社IR情報
株式会社 マネースクウェア・ジャパン 平成23年3月期決算短信(10頁以下)
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2012年04月09日
SL映像テレビ番組事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
SL映像テレビ番組事件
東京地裁平成24.3.22平成22(ワ)34705損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 山門 優
裁判官 志賀 勝
*裁判所サイト公表 2012.3.27
*キーワード:テレビ放送、映像制作、黙示の許諾、複製権、氏名表示権、過失相殺、使用料相当額
--------------------
■事案
蒸気機関車(SL)を撮影したビデオ映像放映の著作権侵害性などが争われた事案
原告:紀行作家
被告:テレビ番組制作会社、前代表取締役ら
--------------------
■結論
請求一部認容
--------------------
■争点
条文 著作権法21条、23条、26条、18条、19条、20条、114条3項
1 原告は被告らに対し本件ビデオ映像を編集して放送番組を制作すること及びテレビ局を通じて同番組を放送することを黙示に許諾したか
2 被告らは、本件テレビ番組に原告の氏名表示を省略すること(著作権法19条3項)ができるか
3 被告らの故意又は過失の有無
4 過失相殺の成否
5 原告の損害
--------------------
■事案の概要
『世界各地の蒸気機関車(SL)を撮影したビデオ映像の著作者及び著作権者である原告が,上記ビデオ映像が被告らによってテレビ放送用の番組に編集され,テレビ局に販売されてテレビで放映されたことにより,同ビデオ映像に係る原告の著作権(複製権,頒布権及び公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権及び公表権)が侵害されたと主張して,被告らに対し,不法行為に基づく損害賠償金の内金として,各自2000万円及びこれに対する不法行為の後である平成22年10月12日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案』(2頁以下)
<経緯>
H12 原告が世界各地でSLを撮影
H16 被告らが本件ビデオ映像を利用したテレビ番組制作を企画、制作、放送
H19 百円ショップでDVD販売
H22 別件訴訟に被告会社が補助参加、控訴審確定
--------------------
■判決内容
<争点>
1 原告は被告らに対し本件ビデオ映像を編集して放送番組を制作すること及びテレビ局を通じて同番組を放送することを黙示に許諾したか
原告撮影の本件ビデオ映像が編集されて放送番組が制作されること及び同番組がテレビ局を通じて放送されることについて、原告が被告に対して黙示の許諾を与えていたかどうかが争点となっています。
この点、原告が平成16年5月28日に被告企画会社の専属映像ディレクターCから本件ビデオ映像の説明書の作成を依頼された際、被告らにおいて本件ビデオ映像を利用した放送番組を制作するという企画を検討中であることが伝えられており、その時点では同企画及び本件説明書を作成することについて原告は特段異議を述べず、むしろCに対して、本件説明書を作成するために必要であるとして本件ビデオ映像のコピーを渡して欲しいと求めるなど、本件説明書の作成に応じるかのような対応をとっていたことが認められています。
しかし、裁判所は、Cが原告に対し本件ビデオ映像を利用した放送番組制作の企画を検討していることを伝えた段階では、本件ビデオ映像を使用して実際に放送番組を制作することができるか否かは、まだ判断ができない状態であって、当該企画自体が明確に確定していたわけではなく、当然、被告らにおいて、どのような方針で本件ビデオ映像を編集し、具体的にどのような内容の番組を制作するのかという点や、制作された番組を誰に対してどのような条件で販売し、いつどのような形で放送されるのかという点についても確定していなかったものであり、これらの事項について、被告らから原告に対して説明したり、原告の許諾を求めたりしたことはなく、原告においてこれらの事項を認識していたものでもなかったこと、その後に別件訴訟が提起されるまでの間に、被告らがこれらの事項を原告に説明するなどして許諾を求めたことはないと判断。
原告による黙示の許諾は認められず、結論として、被告らが原告の意に反して本件ビデオ映像を編集し、本件ビデオ映像の一部を利用して本件テレビ番組を制作したことにより、本件ビデオ映像に係る原告の著作権(複製権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害したこと、また、本件テレビ番組がテレビで放送されることを目的として同番組をテレビ局に販売され、その後同番組がテレビで放送されたことにより本件ビデオ映像に係る原告の著作権(頒布権及び公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権及び公表権)を侵害したことが認められています(22頁以下)。
--------------------
2 被告らは、本件テレビ番組に原告の氏名表示を省略すること(著作権法19条3項)ができるか
被告らは、本件ビデオ映像と本件テレビ番組の作品としての質的相違などを根拠に氏名表示省略の正当性(著作権法19条3項)を主張しましたが、裁判所は容れていません(31頁以下)。
--------------------
3 被告らの故意又は過失の有無
被告らの故意又は過失について、裁判所は、被告らが本件テレビ番組を制作したことや本件テレビ番組を販売したことにつき、少なくとも過失があったと認定しています(32頁以下)。
--------------------
4 過失相殺の成否
被告らは、原告の対応に問題があったとして過失相殺を主張しましたが、裁判所は容れていません(32頁以下)。
--------------------
5 原告の損害
原告の損害額について、使用料相当額として50万円(114条3項)、著作者人格権を侵害したことに対する慰謝料として50万円、弁護士費用相当額として10万円の合計110万円が認定されています(34頁以下)。
--------------------
■コメント
著作権侵害性が認められたものの、原告の思うような損害額が認定されない結果となっています。
--------------------
■過去のブログ記事
2010年11月15日記事 「SL世界の車窓」DVD事件(控訴審)
2010年5月14日記事 原審
SL映像テレビ番組事件
東京地裁平成24.3.22平成22(ワ)34705損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 山門 優
裁判官 志賀 勝
*裁判所サイト公表 2012.3.27
*キーワード:テレビ放送、映像制作、黙示の許諾、複製権、氏名表示権、過失相殺、使用料相当額
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■事案
蒸気機関車(SL)を撮影したビデオ映像放映の著作権侵害性などが争われた事案
原告:紀行作家
被告:テレビ番組制作会社、前代表取締役ら
--------------------
■結論
請求一部認容
--------------------
■争点
条文 著作権法21条、23条、26条、18条、19条、20条、114条3項
1 原告は被告らに対し本件ビデオ映像を編集して放送番組を制作すること及びテレビ局を通じて同番組を放送することを黙示に許諾したか
2 被告らは、本件テレビ番組に原告の氏名表示を省略すること(著作権法19条3項)ができるか
3 被告らの故意又は過失の有無
4 過失相殺の成否
5 原告の損害
--------------------
■事案の概要
『世界各地の蒸気機関車(SL)を撮影したビデオ映像の著作者及び著作権者である原告が,上記ビデオ映像が被告らによってテレビ放送用の番組に編集され,テレビ局に販売されてテレビで放映されたことにより,同ビデオ映像に係る原告の著作権(複製権,頒布権及び公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権及び公表権)が侵害されたと主張して,被告らに対し,不法行為に基づく損害賠償金の内金として,各自2000万円及びこれに対する不法行為の後である平成22年10月12日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案』(2頁以下)
<経緯>
H12 原告が世界各地でSLを撮影
H16 被告らが本件ビデオ映像を利用したテレビ番組制作を企画、制作、放送
H19 百円ショップでDVD販売
H22 別件訴訟に被告会社が補助参加、控訴審確定
--------------------
■判決内容
<争点>
1 原告は被告らに対し本件ビデオ映像を編集して放送番組を制作すること及びテレビ局を通じて同番組を放送することを黙示に許諾したか
原告撮影の本件ビデオ映像が編集されて放送番組が制作されること及び同番組がテレビ局を通じて放送されることについて、原告が被告に対して黙示の許諾を与えていたかどうかが争点となっています。
この点、原告が平成16年5月28日に被告企画会社の専属映像ディレクターCから本件ビデオ映像の説明書の作成を依頼された際、被告らにおいて本件ビデオ映像を利用した放送番組を制作するという企画を検討中であることが伝えられており、その時点では同企画及び本件説明書を作成することについて原告は特段異議を述べず、むしろCに対して、本件説明書を作成するために必要であるとして本件ビデオ映像のコピーを渡して欲しいと求めるなど、本件説明書の作成に応じるかのような対応をとっていたことが認められています。
しかし、裁判所は、Cが原告に対し本件ビデオ映像を利用した放送番組制作の企画を検討していることを伝えた段階では、本件ビデオ映像を使用して実際に放送番組を制作することができるか否かは、まだ判断ができない状態であって、当該企画自体が明確に確定していたわけではなく、当然、被告らにおいて、どのような方針で本件ビデオ映像を編集し、具体的にどのような内容の番組を制作するのかという点や、制作された番組を誰に対してどのような条件で販売し、いつどのような形で放送されるのかという点についても確定していなかったものであり、これらの事項について、被告らから原告に対して説明したり、原告の許諾を求めたりしたことはなく、原告においてこれらの事項を認識していたものでもなかったこと、その後に別件訴訟が提起されるまでの間に、被告らがこれらの事項を原告に説明するなどして許諾を求めたことはないと判断。
原告による黙示の許諾は認められず、結論として、被告らが原告の意に反して本件ビデオ映像を編集し、本件ビデオ映像の一部を利用して本件テレビ番組を制作したことにより、本件ビデオ映像に係る原告の著作権(複製権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害したこと、また、本件テレビ番組がテレビで放送されることを目的として同番組をテレビ局に販売され、その後同番組がテレビで放送されたことにより本件ビデオ映像に係る原告の著作権(頒布権及び公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権及び公表権)を侵害したことが認められています(22頁以下)。
--------------------
2 被告らは、本件テレビ番組に原告の氏名表示を省略すること(著作権法19条3項)ができるか
被告らは、本件ビデオ映像と本件テレビ番組の作品としての質的相違などを根拠に氏名表示省略の正当性(著作権法19条3項)を主張しましたが、裁判所は容れていません(31頁以下)。
--------------------
3 被告らの故意又は過失の有無
被告らの故意又は過失について、裁判所は、被告らが本件テレビ番組を制作したことや本件テレビ番組を販売したことにつき、少なくとも過失があったと認定しています(32頁以下)。
--------------------
4 過失相殺の成否
被告らは、原告の対応に問題があったとして過失相殺を主張しましたが、裁判所は容れていません(32頁以下)。
--------------------
5 原告の損害
原告の損害額について、使用料相当額として50万円(114条3項)、著作者人格権を侵害したことに対する慰謝料として50万円、弁護士費用相当額として10万円の合計110万円が認定されています(34頁以下)。
--------------------
■コメント
著作権侵害性が認められたものの、原告の思うような損害額が認定されない結果となっています。
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■過去のブログ記事
2010年11月15日記事 「SL世界の車窓」DVD事件(控訴審)
2010年5月14日記事 原審
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2012年04月05日
片手鍋握り部デザイン事件−著作権 損害賠償請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
片手鍋握り部デザイン事件
知財高裁平成24.3.22平成23(ネ)10062損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 池下 朗
裁判官 武宮英子
*裁判所サイト公表 2012.3.27
*キーワード:実用品、著作物性、応用美術、美術工芸品、意匠、設計図、商品化実施契約
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■事案
片手鍋の握り部のデザインの著作物性が争点となった事案
控訴人 (一審原告):デザイナー
被控訴人(一審被告):商品企画製造販売会社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、2項、民法709条
1 本件商品化実施契約に基づく請求
2 本件鍋シリーズに係るデザイナー表示に関連した請求
3 著作権侵害に基づく請求
4 本件三徳包丁等への本件デザイン1の使用行為が不法行為を構成することを理由とする請求
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■事案の概要
『控訴人は被控訴人に対し,被控訴人が控訴人の提案したデザインを使用した本件三徳包丁等を製造,販売した行為に関して,本件三徳包丁等が,控訴人及び被控訴人間で締結した本件商品化実施契約に係る対象商品に含まれると主張して,ロイヤルティ相当額である損害金364万8000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成22年1月15日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め』るなどした事案(1頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件商品化実施契約に基づく請求
控訴人(一審原告)提案のデザインを使用した本件三徳包丁等を被控訴人が製造、販売した行為に関して、本件三徳包丁等が、控訴人及び被控訴人間で締結した本件商品化実施契約に係る対象商品に含まれると主張して、ロイヤルティ相当額である損害金364万8000円等を控訴人は請求しました。また、被控訴人が、本件三徳包丁等のデザイナーとして、控訴人ではなく第三者(A)を表示した上でグッドデザイン賞に応募等をしたことが本件商品化実施契約の付随債務に違反すると主張して、損害金100万円等を請求しました。
結論としては、控訴審は原審の判断を維持して控訴人の主張を認めていません(8頁)。
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2 本件鍋シリーズに係るデザイナー表示に関連した請求
被控訴人が、控訴人提案のデザインを使用して商品化し販売した本件鍋シリーズについて、デザイナーとして控訴人及び被控訴人担当者(B)の両名を表示した上でデザイナー協会のコンテストに応募等をしたことは、本件業務委託契約の付随債務の不履行に当たると主張して、控訴人が損害金100万円等の請求をした点についても、原審の判断を維持して否定しています(8頁以下)。
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3 著作権侵害に基づく請求
著作権侵害に基づく請求として、控訴人は、
(1)本件三徳包丁等を製造、販売した被控訴人の行為は、本件デザイン1(片手鍋用のデザイン)について控訴人が有する複製権、翻案権(なお、控訴審では、譲渡権を追加)を侵害する
(2)被控訴人が、本件三徳包丁等のデザイナーとして、控訴人ではなく、第三者(A)を表示した上でグッドデザイン賞に応募等をしたことは、本件デザイン1について控訴人が有する氏名表示権(著作権法19条)を侵害する
(3)被控訴人が、控訴人提案のデザインを使用して商品化し販売した本件鍋シリーズについて、デザイナーとして控訴人及び被控訴人担当者(B)の両名を表示した上でデザイナー協会のコンテストに応募等をしたことは、本件デザイン1について控訴人が有する氏名表示権(著作権法19条)を侵害する
以上の諸点を主張しました(9頁以下)。
この点について、裁判所は、
『著作権法は,著作物について,「思想又は感情を創作的に表現したものであつて,・・・美術・・・の範囲に属するものをいう。」と規定するが,さらに「この法律にいう『美術の著作物』には,美術工芸品を含むものとする。」と重ねて規定する(2条1項1号,2項)。また,意匠法は,「この法律で『意匠』とは,物品・・・の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて,視覚を通じて美感を起こさせるものをいう」と規定する(2条1項)。上記の規定振りなどに照らすならば,産業上利用されることを予定して製作される商品等について,その形状,模様又は色彩の選択により,美的な価値を高める効果がある場合,そのような効果があるからといって,その形状,模様又は色彩の選択は,当然には,著作権法による保護の対象となる美術の著作物に当たると解すべきではなく,その製品の目的,性質等の諸要素を総合して,美術工芸品と同視できるような美的な効果を有する限りにおいて,著作権法の保護の対象となる美術の著作物となると解すべきである。』
と説示した上で、
実用品である鍋の持ち手のデザインである本件デザイン1は、美的な観点から選択された面もあるが、実用品である鍋等の取っ手としての持ちやすさ、安定性など、機能的な観点から選択されたものであって、そのような点を勘案すると、本件デザイン1は、美術工芸品と同視できるような美的な効果を有するものとまではいえず、著作権法の保護の対象となる美術の著作物に当たるとすることはできないと判断。
本件デザイン1が著作権法による保護の対象となるとは認められないとしています(なお、立体のデザインモデルについても同様の理由により否定)。
また、別紙原立体図面、別紙原デザイン図面、平面の製作図面についても、美術工芸品と同視できるような美的な効果を有するものとはいえないから、著作権法の保護の対象となる美術の著作物に当たるとすることはできないなどとして原告の主張を容れていません。
結論として、原告主張の制作物に基づく著作権、著作者人格権侵害性はすべて否定されています。
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4 本件三徳包丁等への本件デザイン1の使用行為が不法行為を構成することを理由とする請求
控訴人は、「被控訴人のした本件三徳包丁等への本件デザイン1の使用行為」及び「被控訴人のした三徳包丁等のデザイナーとして第三者の名を表示した行為」がいわゆる一般不法行為(民法709条)を構成すると主張しました。
しかし、裁判所は、特段の事情のない限り不法行為を構成しないとして、特段の事情に関する主張立証のない本件での一般不法行為の成立を否定しています(12頁)。
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■コメント
片手鍋のグリップ部分のデザインが、三徳包丁等のグリップのデザインに流用されているとして著作権侵害性などが争点となった事案です。
原審の判断が最高裁判所サイトに掲載されていないので、事案の経緯の詳細が分かりませんが、原審の棄却の判断が維持される結果となっています。
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■最近の応用美術に関連する判例
スペースチューブ事件(控訴審)
片手鍋握り部デザイン事件
知財高裁平成24.3.22平成23(ネ)10062損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 池下 朗
裁判官 武宮英子
*裁判所サイト公表 2012.3.27
*キーワード:実用品、著作物性、応用美術、美術工芸品、意匠、設計図、商品化実施契約
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■事案
片手鍋の握り部のデザインの著作物性が争点となった事案
控訴人 (一審原告):デザイナー
被控訴人(一審被告):商品企画製造販売会社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、2項、民法709条
1 本件商品化実施契約に基づく請求
2 本件鍋シリーズに係るデザイナー表示に関連した請求
3 著作権侵害に基づく請求
4 本件三徳包丁等への本件デザイン1の使用行為が不法行為を構成することを理由とする請求
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■事案の概要
『控訴人は被控訴人に対し,被控訴人が控訴人の提案したデザインを使用した本件三徳包丁等を製造,販売した行為に関して,本件三徳包丁等が,控訴人及び被控訴人間で締結した本件商品化実施契約に係る対象商品に含まれると主張して,ロイヤルティ相当額である損害金364万8000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成22年1月15日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め』るなどした事案(1頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件商品化実施契約に基づく請求
控訴人(一審原告)提案のデザインを使用した本件三徳包丁等を被控訴人が製造、販売した行為に関して、本件三徳包丁等が、控訴人及び被控訴人間で締結した本件商品化実施契約に係る対象商品に含まれると主張して、ロイヤルティ相当額である損害金364万8000円等を控訴人は請求しました。また、被控訴人が、本件三徳包丁等のデザイナーとして、控訴人ではなく第三者(A)を表示した上でグッドデザイン賞に応募等をしたことが本件商品化実施契約の付随債務に違反すると主張して、損害金100万円等を請求しました。
結論としては、控訴審は原審の判断を維持して控訴人の主張を認めていません(8頁)。
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2 本件鍋シリーズに係るデザイナー表示に関連した請求
被控訴人が、控訴人提案のデザインを使用して商品化し販売した本件鍋シリーズについて、デザイナーとして控訴人及び被控訴人担当者(B)の両名を表示した上でデザイナー協会のコンテストに応募等をしたことは、本件業務委託契約の付随債務の不履行に当たると主張して、控訴人が損害金100万円等の請求をした点についても、原審の判断を維持して否定しています(8頁以下)。
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3 著作権侵害に基づく請求
著作権侵害に基づく請求として、控訴人は、
(1)本件三徳包丁等を製造、販売した被控訴人の行為は、本件デザイン1(片手鍋用のデザイン)について控訴人が有する複製権、翻案権(なお、控訴審では、譲渡権を追加)を侵害する
(2)被控訴人が、本件三徳包丁等のデザイナーとして、控訴人ではなく、第三者(A)を表示した上でグッドデザイン賞に応募等をしたことは、本件デザイン1について控訴人が有する氏名表示権(著作権法19条)を侵害する
(3)被控訴人が、控訴人提案のデザインを使用して商品化し販売した本件鍋シリーズについて、デザイナーとして控訴人及び被控訴人担当者(B)の両名を表示した上でデザイナー協会のコンテストに応募等をしたことは、本件デザイン1について控訴人が有する氏名表示権(著作権法19条)を侵害する
以上の諸点を主張しました(9頁以下)。
この点について、裁判所は、
『著作権法は,著作物について,「思想又は感情を創作的に表現したものであつて,・・・美術・・・の範囲に属するものをいう。」と規定するが,さらに「この法律にいう『美術の著作物』には,美術工芸品を含むものとする。」と重ねて規定する(2条1項1号,2項)。また,意匠法は,「この法律で『意匠』とは,物品・・・の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて,視覚を通じて美感を起こさせるものをいう」と規定する(2条1項)。上記の規定振りなどに照らすならば,産業上利用されることを予定して製作される商品等について,その形状,模様又は色彩の選択により,美的な価値を高める効果がある場合,そのような効果があるからといって,その形状,模様又は色彩の選択は,当然には,著作権法による保護の対象となる美術の著作物に当たると解すべきではなく,その製品の目的,性質等の諸要素を総合して,美術工芸品と同視できるような美的な効果を有する限りにおいて,著作権法の保護の対象となる美術の著作物となると解すべきである。』
と説示した上で、
実用品である鍋の持ち手のデザインである本件デザイン1は、美的な観点から選択された面もあるが、実用品である鍋等の取っ手としての持ちやすさ、安定性など、機能的な観点から選択されたものであって、そのような点を勘案すると、本件デザイン1は、美術工芸品と同視できるような美的な効果を有するものとまではいえず、著作権法の保護の対象となる美術の著作物に当たるとすることはできないと判断。
本件デザイン1が著作権法による保護の対象となるとは認められないとしています(なお、立体のデザインモデルについても同様の理由により否定)。
また、別紙原立体図面、別紙原デザイン図面、平面の製作図面についても、美術工芸品と同視できるような美的な効果を有するものとはいえないから、著作権法の保護の対象となる美術の著作物に当たるとすることはできないなどとして原告の主張を容れていません。
結論として、原告主張の制作物に基づく著作権、著作者人格権侵害性はすべて否定されています。
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4 本件三徳包丁等への本件デザイン1の使用行為が不法行為を構成することを理由とする請求
控訴人は、「被控訴人のした本件三徳包丁等への本件デザイン1の使用行為」及び「被控訴人のした三徳包丁等のデザイナーとして第三者の名を表示した行為」がいわゆる一般不法行為(民法709条)を構成すると主張しました。
しかし、裁判所は、特段の事情のない限り不法行為を構成しないとして、特段の事情に関する主張立証のない本件での一般不法行為の成立を否定しています(12頁)。
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■コメント
片手鍋のグリップ部分のデザインが、三徳包丁等のグリップのデザインに流用されているとして著作権侵害性などが争点となった事案です。
原審の判断が最高裁判所サイトに掲載されていないので、事案の経緯の詳細が分かりませんが、原審の棄却の判断が維持される結果となっています。
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■最近の応用美術に関連する判例
スペースチューブ事件(控訴審)
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2012年04月04日
クレジットカード決済承認用ソフト事件−著作権 損害賠償等請求事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
クレジットカード決済承認用ソフト事件
東京地裁24.3.23平成22(ワ)30222損害賠償等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 岡本 岳
裁判官 鈴木和典
裁判官 坂本康博
*裁判所サイト公表 2012.3.26
*キーワード:譲渡権、公衆性、業務委託契約
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■事案
ソフトをインストールしたサーバを無断譲渡したとして著作権(譲渡権)侵害が争点となった事案
原告:通信機器開発製造販売会社
被告:電気通信事業会社、システム開発会社、クレジットカード決済情報配信会社
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法26条の2第1項
1 譲渡権侵害の成否
2 本件プログラムが「DSL回線対応クレジットカード決済システムの製品評価・機能評価のために一時的に使用させる目的」で本件サーバにインストールされたか
3 詐欺による不法行為の成否
--------------------
■事案の概要
『本件は,原告が,被告らの構築するクレジットカード決済システム(DSL回線対応クレジットカード決済システム)の製品評価,機能評価のために一時的に使用させる目的で,被告エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社(以下「被告NTTコム」という。)が運営するデータセンター内のサーバ(ターミナルゲートウェイ〈T−GW〉サーバ)用コンピュータ(以下「本件サーバ」という。)2台にプログラム(サーバとクレジットカードの決済端末の認証を行い,TCP/IPプロトコル対応の決済端末からDSL回線経由で送られてきた暗号化された電文を復号化し,既存のレガシーシステムが電文を受け付けられるようにソケット変換して,決済認証用のホストコンピュータに送信するアプリケーションソフト。以下「本件プログラム」という。)をインストールしたにもかかわらず,被告NTTコムが被告株式会社ジー・ピー・ネット(以下「被告GPネット」という。)に本件プログラムがインストールされた本件サーバ2台を無許諾で譲渡し(被告アイエヌエス・ソリューション株式会社〈以下「被告INSソリューション」という。〉は,これを知りながら原告に告知せず,当該譲渡を幇助した。),被告らにおいて上記目的が終了した後(平成20年9月4日以降)も本件プログラムを継続的に使用していることが不法行為,債務不履行又は不当利得に該当すると主張して,被告らに対し,次の請求をする事案である。』(2頁以下)
<経緯>
H17.05 東京ソフトと原告がカード決済端末事業基本契約書締結
H17.08 被告がソフトをインストールしたサーバを納品
H17.10 被告らが本件協業スキームの商用化に向けた覚書を作成
H17.11 被告らがSSL−VPNサーバセグメント設計・建設委託契約締結
H18.03 被告NTTコムが被告GPネットに対し本件サーバ2台を引き渡し
H19.03 原告がターミナルゲートウェイ(T−GW)サーバー納入仕様書交付
H19.07 「OCNクレジット加盟店パック」販売開始
H20.09 協業各社がサービスの終了に向け協力することを合意
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■判決内容
<争点>
1 譲渡権侵害の成否
原告は、被告NTTコムが被告GPネットに対して本件プログラムがインストールされた本件サーバ2台を譲渡したことが、本件プログラムに係る原告又は韓国KDEの譲渡権(著作権法26条の2第1項)を侵害する旨主張しました。
しかし、裁判所は、『譲渡権は,著作物(映画の著作物を除く。)をその原作品又は複製物の譲渡により公衆に提供する権利をいい,「公衆」には「特定かつ多数の者」も含まれるが(同法2条5項),特定少数の者に対する譲渡について譲渡権は及ばない』と判示した上で、本件において、被告NTTコムは本件プログラムがインストールされた本件サーバを被告GPネットに譲渡したにすぎず、同譲渡は公衆に提供する行為には該当せず、本件プログラムに係る譲渡権を侵害するものということはできないと判断しています(42頁以下)。
また、裁判所は、原告が、被告NTTコムから被告GPネットに対して本件プログラムがインストールされた本件サーバが譲渡され、被告GPネットにおいて使用していることを認識し、これを了承していたことや本件プログラムの使用許諾の対価が支払われていたことなどを併せて認定しています。
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2 本件プログラムが「DSL回線対応クレジットカード決済システムの製品評価・機能評価のために一時的に使用させる目的」で本件サーバにインストールされたか
原告は、債務不履行の成否、みなし著作権侵害(著作権法113条2項)の成否、不当利得の成否の各争点において、いずれも本件プログラムが、「DSL回線対応クレジットカード決済システムの製品評価・機能評価のために一時的に使用させる目的」で本件サーバにインストールされたことを前提とする主張をしました。
しかし、裁判所は、原告の見積もりやターミナルゲートウェイ(T−GW)サーバー納入仕様書などで使用条件の制限等に関する事項の提示がないと判断。原告各争点はいずれもその前提を欠くとして原告の主張を認めていません(44頁以下)。
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3 詐欺による不法行為の成否
原告は、被告らが実際には被告GPネット独自の決済認証サービスに本件プログラムを使用する意思を有していたにもかかわらず、その意思を秘匿し、あたかも本件プログラムが本件協業スキームにおいてKDE製端末を大量導入する前提でその性能等を検証する目的で使用されるものであり、本件協業スキームが商用化された場合にはKDE製端末が被告INSソリューションや東京ソフトを介して被告NTTコムから原告に大量発注されるものと騙した旨主張しました(45頁以下)。
しかし、裁判所は、被告GPネットが本件プログラムを使用することについて、目的や期限の制限を受けるものではなく、また、原告は、KDE製端末の販売の対価のほか、同端末に関連して多額の金員を取得しているなどとして、原告の詐欺の成立の主張を認めていません。
--------------------
■コメント
サーバとクレジットカードの決済端末の認証などを行うアプリケーションソフトの使用許諾契約を巡って争われた事案となります。原告側の認識としては、期間限定の試験評価のみの使用許諾でしたが、裁判所はそうした限定を認めませんでした。
事案の概要については、後掲原告サイトに詳しいです。
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■参考サイト
原告サイト
原告2010年8月9日付配付資料
クレジットカード決済承認用ソフト事件
東京地裁24.3.23平成22(ワ)30222損害賠償等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 岡本 岳
裁判官 鈴木和典
裁判官 坂本康博
*裁判所サイト公表 2012.3.26
*キーワード:譲渡権、公衆性、業務委託契約
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■事案
ソフトをインストールしたサーバを無断譲渡したとして著作権(譲渡権)侵害が争点となった事案
原告:通信機器開発製造販売会社
被告:電気通信事業会社、システム開発会社、クレジットカード決済情報配信会社
--------------------
■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法26条の2第1項
1 譲渡権侵害の成否
2 本件プログラムが「DSL回線対応クレジットカード決済システムの製品評価・機能評価のために一時的に使用させる目的」で本件サーバにインストールされたか
3 詐欺による不法行為の成否
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■事案の概要
『本件は,原告が,被告らの構築するクレジットカード決済システム(DSL回線対応クレジットカード決済システム)の製品評価,機能評価のために一時的に使用させる目的で,被告エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社(以下「被告NTTコム」という。)が運営するデータセンター内のサーバ(ターミナルゲートウェイ〈T−GW〉サーバ)用コンピュータ(以下「本件サーバ」という。)2台にプログラム(サーバとクレジットカードの決済端末の認証を行い,TCP/IPプロトコル対応の決済端末からDSL回線経由で送られてきた暗号化された電文を復号化し,既存のレガシーシステムが電文を受け付けられるようにソケット変換して,決済認証用のホストコンピュータに送信するアプリケーションソフト。以下「本件プログラム」という。)をインストールしたにもかかわらず,被告NTTコムが被告株式会社ジー・ピー・ネット(以下「被告GPネット」という。)に本件プログラムがインストールされた本件サーバ2台を無許諾で譲渡し(被告アイエヌエス・ソリューション株式会社〈以下「被告INSソリューション」という。〉は,これを知りながら原告に告知せず,当該譲渡を幇助した。),被告らにおいて上記目的が終了した後(平成20年9月4日以降)も本件プログラムを継続的に使用していることが不法行為,債務不履行又は不当利得に該当すると主張して,被告らに対し,次の請求をする事案である。』(2頁以下)
<経緯>
H17.05 東京ソフトと原告がカード決済端末事業基本契約書締結
H17.08 被告がソフトをインストールしたサーバを納品
H17.10 被告らが本件協業スキームの商用化に向けた覚書を作成
H17.11 被告らがSSL−VPNサーバセグメント設計・建設委託契約締結
H18.03 被告NTTコムが被告GPネットに対し本件サーバ2台を引き渡し
H19.03 原告がターミナルゲートウェイ(T−GW)サーバー納入仕様書交付
H19.07 「OCNクレジット加盟店パック」販売開始
H20.09 協業各社がサービスの終了に向け協力することを合意
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■判決内容
<争点>
1 譲渡権侵害の成否
原告は、被告NTTコムが被告GPネットに対して本件プログラムがインストールされた本件サーバ2台を譲渡したことが、本件プログラムに係る原告又は韓国KDEの譲渡権(著作権法26条の2第1項)を侵害する旨主張しました。
しかし、裁判所は、『譲渡権は,著作物(映画の著作物を除く。)をその原作品又は複製物の譲渡により公衆に提供する権利をいい,「公衆」には「特定かつ多数の者」も含まれるが(同法2条5項),特定少数の者に対する譲渡について譲渡権は及ばない』と判示した上で、本件において、被告NTTコムは本件プログラムがインストールされた本件サーバを被告GPネットに譲渡したにすぎず、同譲渡は公衆に提供する行為には該当せず、本件プログラムに係る譲渡権を侵害するものということはできないと判断しています(42頁以下)。
また、裁判所は、原告が、被告NTTコムから被告GPネットに対して本件プログラムがインストールされた本件サーバが譲渡され、被告GPネットにおいて使用していることを認識し、これを了承していたことや本件プログラムの使用許諾の対価が支払われていたことなどを併せて認定しています。
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2 本件プログラムが「DSL回線対応クレジットカード決済システムの製品評価・機能評価のために一時的に使用させる目的」で本件サーバにインストールされたか
原告は、債務不履行の成否、みなし著作権侵害(著作権法113条2項)の成否、不当利得の成否の各争点において、いずれも本件プログラムが、「DSL回線対応クレジットカード決済システムの製品評価・機能評価のために一時的に使用させる目的」で本件サーバにインストールされたことを前提とする主張をしました。
しかし、裁判所は、原告の見積もりやターミナルゲートウェイ(T−GW)サーバー納入仕様書などで使用条件の制限等に関する事項の提示がないと判断。原告各争点はいずれもその前提を欠くとして原告の主張を認めていません(44頁以下)。
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3 詐欺による不法行為の成否
原告は、被告らが実際には被告GPネット独自の決済認証サービスに本件プログラムを使用する意思を有していたにもかかわらず、その意思を秘匿し、あたかも本件プログラムが本件協業スキームにおいてKDE製端末を大量導入する前提でその性能等を検証する目的で使用されるものであり、本件協業スキームが商用化された場合にはKDE製端末が被告INSソリューションや東京ソフトを介して被告NTTコムから原告に大量発注されるものと騙した旨主張しました(45頁以下)。
しかし、裁判所は、被告GPネットが本件プログラムを使用することについて、目的や期限の制限を受けるものではなく、また、原告は、KDE製端末の販売の対価のほか、同端末に関連して多額の金員を取得しているなどとして、原告の詐欺の成立の主張を認めていません。
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■コメント
サーバとクレジットカードの決済端末の認証などを行うアプリケーションソフトの使用許諾契約を巡って争われた事案となります。原告側の認識としては、期間限定の試験評価のみの使用許諾でしたが、裁判所はそうした限定を認めませんでした。
事案の概要については、後掲原告サイトに詳しいです。
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■参考サイト
原告サイト
原告2010年8月9日付配付資料
written by ootsukahoumu at 06:48|この記事のURL│TrackBack(0)
2012年03月30日
「Shall we ダンス?」振り付け事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「Shall we ダンス?」振り付け事件
東京地裁平成24.2.28平成20(ワ)9300損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 山門 優
裁判官 小川卓逸
*裁判所サイト公表 2012.3.15
*キーワード:ダンス、振り付け、舞踏、著作物性
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■事案
映画「Shall we ダンス?」のダンスシーンで用いられたダンスの振り付けの著作物性が争点となった事案
原告:ダンス振付け師
被告:映画会社
被告補助参加人:映画制作会社
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、10条1項3号
1 本件映画のダンスの振り付けに著作物性が認められ、同振り付けが本件映画に複製されているといえるか
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■事案の概要
『映画「Shall we ダンス?」のダンスシーンで用いられたダンスの振り付けを創作したと主張する原告が,被告による上記映画のビデオグラムの販売・貸与,テレビでの放映等の二次利用によって,原告の有する上記ダンスの振り付けに係る著作権(複製権,上映権,公衆送信権及び頒布権)が侵害されたと主張して,被告に対し,主位的に民法709条に基づく損害賠償を請求し,予備的に民法703条に基づく不当利得の返還を請求する事案』(2頁)
<経緯>
H8.01 映画の劇場公開
H8.09 レンタル開始
H8.12 レーザーディスク販売開始
H9.01 ビデオ販売開始
H9.03 地上波放送
H20.04本件訴訟提起
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■判決内容
<争点>
1 本件映画のダンスの振り付けに著作物性が認められ、同振り付けが本件映画に複製されているといえるか
アマチュアの社交ダンスを題材とした劇場映画「Shall we ダンス?」(本件映画)において原告が考案し指導した振り付けについて、原告はその著作物性を前提として著作権を主張しました(25頁以下)。
社交ダンスの振り付けの著作物性(著作権法2条1項1号、10条1項3号)について、裁判所は、既存のステップの著作物性をごく短いものでありかつ、ごくありふれたものであるとして否定した上で、
『社交ダンスの振り付けとは,基本ステップやPVのステップ等の既存のステップを組み合わせ,これに適宜アレンジを加えるなどして一つの流れのあるダンスを作り出すことである。このような既存のステップの組合せを基本とする社交ダンスの振り付けが著作物に該当するというためには,それが単なる既存のステップの組合せにとどまらない顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であると解するのが相当である。なぜなら,社交ダンスは,そもそも既存のステップを適宜自由に組み合わせて踊られることが前提とされているものであり,競技者のみならず一般の愛好家にも広く踊られていることにかんがみると,振り付けについての独創性を緩和し,組合せに何らかの特徴があれば著作物性が認められるとすると,わずかな差異を有するにすぎない無数の振り付けについて著作権が成立し,特定の者の独占が許されることになる結果,振り付けの自由度が過度に制約されることになりかねないからである。このことは,既存のステップの組合せに加えて,アレンジを加えたステップや,既存のステップにはない新たなステップや身体の動きを組み合わせた場合であっても同様であるというべきである。』(28頁)
と判示。そして、原告の振り付け(21点)を詳細に検討した上で、そのうちの本件映画に再製されていないもの(1点)のほかは、いずれも独創性がなく著作物性が認められないとしています。
また、原告はダンス同士の組合せに関して、いくつかの振り付けの組合せ等についての著作権を主張しましたが、裁判所は、振り付け自体などにおいて原告が主張するそれぞれの振り付けの印象が表現されているとは認められず、著作物性の認められない振り付けや著作物性が認められない振り付けの一部分の組合せや配列によって、独創性が認められるほどの顕著な特徴を有することになるということも困難であるとして、原告の主張を容れていません。
--------------------
■コメント
バレエ作品の振付師を著作者と認定した事案としては、後掲ベジャール「アダージェット」事件がありますが、より身近な舞踏である社交ダンスの振付けの著作物性を争点とした事案として先例的価値があるものと思われます。
--------------------
■参考判例
振り付けの創作性にかかわる過去の判例としては、以下のようなものがあります。
・バレエ作品振付け著作権事件(ベジャール「アダージェット」事件)
東京地裁平成10.11.20平成8(ワ)19539損害賠償等請求事件
・日本舞踊家元事件
福岡高裁平成14.12.26平成11(ネ)358著作権確認等請求控訴事件
判決文
福岡地裁小倉支部平成11.3.23平成7(ワ)240、1126
・手あそび歌出版差止事件
東京地裁平成21.8.28平成20(ワ)4692出版差止等請求事件
判決文
--------------------
■参考文献
田村善之「上演権侵害の主体―バレエ作品振付け著作権事件」『著作権判例百選3』(2001)130頁以下
著作権法令研究会編『著作権関係法令実務提要1』265頁以下
知的所有権問題研究会編「最新著作権関係判例と実務」(2007)533頁以下[團 潤子]
下記の論文では、著作権法第10条1項3号の立法趣旨や「固定」と「演劇性」の要件性、舞踏のアイデアと創作性、「パ」(バレエのステップ)の著作物性について述べられています。
藤本 寧「「舞踊の著作物」の立法経緯とバレエの創作性について」『大学院研究年報 法学研究科篇』(中央大学 2006.2)35号337頁以下
「Shall we ダンス?」振り付け事件
東京地裁平成24.2.28平成20(ワ)9300損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 山門 優
裁判官 小川卓逸
*裁判所サイト公表 2012.3.15
*キーワード:ダンス、振り付け、舞踏、著作物性
--------------------
■事案
映画「Shall we ダンス?」のダンスシーンで用いられたダンスの振り付けの著作物性が争点となった事案
原告:ダンス振付け師
被告:映画会社
被告補助参加人:映画制作会社
--------------------
■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、10条1項3号
1 本件映画のダンスの振り付けに著作物性が認められ、同振り付けが本件映画に複製されているといえるか
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■事案の概要
『映画「Shall we ダンス?」のダンスシーンで用いられたダンスの振り付けを創作したと主張する原告が,被告による上記映画のビデオグラムの販売・貸与,テレビでの放映等の二次利用によって,原告の有する上記ダンスの振り付けに係る著作権(複製権,上映権,公衆送信権及び頒布権)が侵害されたと主張して,被告に対し,主位的に民法709条に基づく損害賠償を請求し,予備的に民法703条に基づく不当利得の返還を請求する事案』(2頁)
<経緯>
H8.01 映画の劇場公開
H8.09 レンタル開始
H8.12 レーザーディスク販売開始
H9.01 ビデオ販売開始
H9.03 地上波放送
H20.04本件訴訟提起
--------------------
■判決内容
<争点>
1 本件映画のダンスの振り付けに著作物性が認められ、同振り付けが本件映画に複製されているといえるか
アマチュアの社交ダンスを題材とした劇場映画「Shall we ダンス?」(本件映画)において原告が考案し指導した振り付けについて、原告はその著作物性を前提として著作権を主張しました(25頁以下)。
社交ダンスの振り付けの著作物性(著作権法2条1項1号、10条1項3号)について、裁判所は、既存のステップの著作物性をごく短いものでありかつ、ごくありふれたものであるとして否定した上で、
『社交ダンスの振り付けとは,基本ステップやPVのステップ等の既存のステップを組み合わせ,これに適宜アレンジを加えるなどして一つの流れのあるダンスを作り出すことである。このような既存のステップの組合せを基本とする社交ダンスの振り付けが著作物に該当するというためには,それが単なる既存のステップの組合せにとどまらない顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であると解するのが相当である。なぜなら,社交ダンスは,そもそも既存のステップを適宜自由に組み合わせて踊られることが前提とされているものであり,競技者のみならず一般の愛好家にも広く踊られていることにかんがみると,振り付けについての独創性を緩和し,組合せに何らかの特徴があれば著作物性が認められるとすると,わずかな差異を有するにすぎない無数の振り付けについて著作権が成立し,特定の者の独占が許されることになる結果,振り付けの自由度が過度に制約されることになりかねないからである。このことは,既存のステップの組合せに加えて,アレンジを加えたステップや,既存のステップにはない新たなステップや身体の動きを組み合わせた場合であっても同様であるというべきである。』(28頁)
と判示。そして、原告の振り付け(21点)を詳細に検討した上で、そのうちの本件映画に再製されていないもの(1点)のほかは、いずれも独創性がなく著作物性が認められないとしています。
また、原告はダンス同士の組合せに関して、いくつかの振り付けの組合せ等についての著作権を主張しましたが、裁判所は、振り付け自体などにおいて原告が主張するそれぞれの振り付けの印象が表現されているとは認められず、著作物性の認められない振り付けや著作物性が認められない振り付けの一部分の組合せや配列によって、独創性が認められるほどの顕著な特徴を有することになるということも困難であるとして、原告の主張を容れていません。
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■コメント
バレエ作品の振付師を著作者と認定した事案としては、後掲ベジャール「アダージェット」事件がありますが、より身近な舞踏である社交ダンスの振付けの著作物性を争点とした事案として先例的価値があるものと思われます。
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■参考判例
振り付けの創作性にかかわる過去の判例としては、以下のようなものがあります。
・バレエ作品振付け著作権事件(ベジャール「アダージェット」事件)
東京地裁平成10.11.20平成8(ワ)19539損害賠償等請求事件
・日本舞踊家元事件
福岡高裁平成14.12.26平成11(ネ)358著作権確認等請求控訴事件
判決文
福岡地裁小倉支部平成11.3.23平成7(ワ)240、1126
・手あそび歌出版差止事件
東京地裁平成21.8.28平成20(ワ)4692出版差止等請求事件
判決文
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■参考文献
田村善之「上演権侵害の主体―バレエ作品振付け著作権事件」『著作権判例百選3』(2001)130頁以下
著作権法令研究会編『著作権関係法令実務提要1』265頁以下
知的所有権問題研究会編「最新著作権関係判例と実務」(2007)533頁以下[團 潤子]
下記の論文では、著作権法第10条1項3号の立法趣旨や「固定」と「演劇性」の要件性、舞踏のアイデアと創作性、「パ」(バレエのステップ)の著作物性について述べられています。
藤本 寧「「舞踊の著作物」の立法経緯とバレエの創作性について」『大学院研究年報 法学研究科篇』(中央大学 2006.2)35号337頁以下
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2012年03月29日
「釣りゲータウン2」事件−著作権 著作権侵害差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「釣りゲータウン2」事件
東京地裁平成24.2.23平成21(ワ)34012著作権侵害差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 山門 優
裁判官 志賀 勝
*裁判所サイト公表 2012.03.14
*キーワード:創作性、編集著作物、商品等表示性、一般不法行為論
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■事案
携帯電話向けインターネット釣りゲームの類否や誤認混同惹起行為性が争点となった事案
原告:インターネット情報提供会社
被告:インターネット情報提供会社、システム開発会社
--------------------
■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、12条1項、21条、23条、114条2項、不正競争防止法2条1項1号、民法709条
1 被告作品における「魚の引き寄せ画面」は、原告作品における「魚の引き寄せ画面」に係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものか
2 被告作品における主要画面の変遷は、原告作品における主要画面の変遷に係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものか
3 被告らのウェブページに被告作品の魚の引き寄せ画面を掲載する行為は、他人の商品等表示として周知のものと同一又は類似の商品等表示を電気通信回線を通じて提供し、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為(不競法2条1項1号)に当たるか
4 被告作品を製作し公衆に送信する行為は、原告の法的保護に値する利益を侵害する不法行為に当たるか
5 原告の損害
6 被告らによる謝罪広告の要否
--------------------
■事案の概要
『本件は,原告が,被告らに対し,(1)被告らが共同で製作し公衆に送信している携帯電話機用インターネット・ゲームソフト「釣りゲータウン2」(以下「被告作品」という。)は,原告が製作し公衆に送信している携帯電話機用インターネット・ゲームソフト「釣り★スタ」(以下「原告作品」という。)と,魚を引き寄せる動作を行う画面の影像及びその変化の態様や,ユーザーがゲームを行う際に必ずたどる画面(主要画面)の選択及び配列並びに各主要画面での素材の選択及び配列の点等において類似するので,被告作品を製作してこれを公衆送信する行為は,原告の原告作品に係る著作権(翻案権,公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害する,(2)被告らが,別紙影像目録1及び2記載の影像を被告らのウェブページに掲載し,被告作品の自他を識別する商品等表示として用いる行為は,不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号の「混同惹起行為」に当たる,(3)被告らが,原告に無断で原告作品に依拠して被告作品を製作し,これを配信した行為は,原告作品の価値にただ乗り(フリー・ライド)するものであり,原告の法的保護に値する利益を違法に侵害する(民法709条,719条1項),と主張して,(1)著作権及び著作者人格権侵害を理由とする被告作品の公衆送信等の差止め及び被告作品の影像の抹消(上記請求1),(2)不競法2条1項1号違反を理由とする別紙影像目録1及び2記載の影像の抹消(請求2,3),(3)著作権侵害,不競法2条1項1号違反及び共同不法行為に基づく損害賠償として,被告作品の配信開始日である平成21年2月25日から本件第9回弁論準備手続期日である平成23年7月7日までの損害金9億4020万円及びこれに対する同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払(請求4),及び(4)著作権法115条,不競法14条又は民法723条に基づく謝罪広告の掲載(請求5,6)を求める事案』(3頁以下)
<経緯>
H19.05 原告作品のGREEでの配信開始
H20.08 被告旧作品のモバゲータウンでの配信開始
H21.02 被告作品のモバゲータウンでの配信開始
--------------------
■判決内容
<争点>
1 被告作品における「魚の引き寄せ画面」は、原告作品における「魚の引き寄せ画面」に係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものか
原告作品と被告作品の「魚の引き寄せ画面」の類否について裁判所は、
(1)水面及びその上の様子は画面から捨象され、水中のみが真横から水平方向の視点で描かれている
(2)水中の画像には、中心からほぼ等間隔である三重の同心円が描かれ、同心円の中心が画面のほぼ中央に位置し、最も外側の円の大きさは、水中の画像の約半分を占める
(3)水中の画像の背景は、水の色を含め全体的に薄暗い青で、水底の左右両端付近に、上記同心円に沿うような形で岩陰が描かれ、水草、他の生物、気泡等は描かれていない
(4)水中の画像には、一匹の黒色の魚影が描かれており、魚の口から画像上部に向かって黒い直線の糸(釣り糸)が伸びている
(5)釣り針にかかった魚影は、頻繁に向きを変えながら水中全体を動き回り、その際、背景画像は静止しており(ただし、被告作品では、同心円の大きさや配色、中心の円の画像が変化する。)、ユーザーの視点は固定されている
(6)上記同心円中の一定の位置に魚影がある場合にユーザーが決定キーを押すと、魚を引き寄せやすくなっている
といった諸点などにおいて共通すると判断。
また、原告作品以前に公表された携帯電話機用釣りゲームにおいて、上記共通点をいずれも備えるゲームは存在しなかったと認めています。
これに対して、相違点として、
(1)被告作品では、同心円が表示される前に、水中の画面を魚影が移動する場面が存在する
(2)同心円の配色
(3)魚影の描き方及び魚影と同心円との前後関係
(4)魚影が動き回っている間、被告作品では、同心円の大きさ、配色及び中央の円の部分の画像が変化する
(5)同心円のどの位置に魚影がある際に決定キーを押すと魚を引き寄せやすくなっている
(6)被告作品では、中央の円の部分に魚影がある際に決定キーを押すと、円の中心部分の表示に応じてアニメーションが表示され、その後の表示も異なってくる
などにおいて相違することが認められると判断。
共通点である(2)と(6)に原告作品の製作者の個性が強く表れているとした上で、原告作品の魚の引き寄せ画面の表現上の本質的な特徴といえる、(1)(2)(3)(6)についての同一性は、被告作品の中に維持されていると判断。被告作品は、原告作品に依拠して翻案され公衆送信されたものと認めています(86頁以下)。
結論として、著作権(翻案権、公衆送信権)侵害、著作者人格権(同一性保持権)侵害を認め、複製及び公衆送信の差止め(112条1項)と記録媒体の廃棄(112条2項)を認めています。
--------------------
2 被告作品における主要画面の変遷は、原告作品における主要画面の変遷に係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものか
ゲームの画面と画面とをどのように遷移させるか、主要画面の選択と配列などの類似性についても争点とされています(94頁以下)。
この点について、裁判所は類似点はあるものの相違点もある上、5つの場面を設け、配列したこと自体は、ありふれたものであるとして、その点での創作性を否定。被告作品が原告作品の翻案物であることを否定しています。
また、主要画面に用いられている素材の選択や配列の類似性について、利用者によるリンクの発見や閲覧の容易性、操作性等の利便性の観点からの制約があることなどを勘案した上で、アイデアないし表現上の創作性のない部分での類似にすぎないと判断しています。
--------------------
3 被告らのウェブページに被告作品の魚の引き寄せ画面を掲載する行為は、他人の商品等表示として周知のものと同一又は類似の商品等表示を電気通信回線を通じて提供し、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為(不競法2条1項1号)に当たるか
原告は、原告作品の引き寄せ画面は原告の商品等表示として周知性を有するとして、被告作品の利用について、混同惹起行為(不正競争防止法2条1項1号)にあたると主張しました。
しかし、裁判所は、原告による電車内広告やテレビコマーシャル、新聞・雑誌等の宣伝広告によって、魚の引き寄せ画面が周知の商品等表示性を獲得したと認めることはできないと判断。不正競争行為性を否定しています(101頁以下)。
--------------------
4 被告作品を製作し公衆に送信する行為は、原告の法的保護に値する利益を侵害する不法行為に当たるか
原告はさらに被告らの行為が原告作品の価値にフリーライドするものであるとして一般不法行為論の成立を主張しましたが、裁判所は、著作権侵害が認められる部分を超えて被告らの行為が自由競争の範囲を逸脱し原告の法的に保護された利益を侵害する違法な行為であるということはできないとして、民法の一般不法行為の成立を否定しています(105頁以下)。
--------------------
5 原告の損害
損害額の算定については、著作権法114条2項(侵害者利益推定)の適用を認めた上で、被告作品による被告らの限界利益を7億1200万円と認定。被告製品の売上げに対する被告作品の魚の引き寄せ画面の寄与度を30%として、被告らが被告作品の配信により受けた利益の額は2億1360万円(7億1200万円×0.3)と判断しています(106頁以下)。そのほか弁護士費用相当額として、2100万円が認定されています。
--------------------
6 被告らによる謝罪広告の要否
被告らが被告作品を製作し配信したことによる原告作品の魚の引き寄せ画面に係る原告の著作権の侵害の内容、態様等に照らし、差止め及び損害に対する賠償金に加えて原告の名誉、声望を回復するために適当な措置として、原告の請求する謝罪広告を掲載する必要性はないと判断されています(113頁)。
--------------------
■コメント
ソーシャルゲームとして人気のある携帯電話端末向けゲーム作品が争点となって注目を集めた事案です。
映画著作物としてのゲームやゲームのプログラム部分ではなくて、画面デザインやゲームの流れにおける著作権侵害性などが争点となっています。
著作権侵害が肯定された魚の引き寄せ画面のデザインですが、上が原告サイトで下が被告サイトとなります(7頁)。

また、たとえば画面トップのデザインは、このような対比になりますが(23頁)、

(原告作品)

(被告作品)
全体として類似の印象を与えるものの、同心円でのターゲットでタイミングを図る部分の具体的な表現についてだけ類似性が肯定されるにとどまりました。
ゲーム業界はクリエーターの移動が多いので、あるいは原告作品の制作担当者が、被告会社に転職して被告作品の制作担当をしていた可能性もあるのかな、とも思いましたが、その点についての言及はありませんでした。いずれにしても、ゲームの新規性・独創性をどう保護するかやアイデアと表現の区別の難しさが伝わる事案で、知財高裁の判断が注目されます。
「釣りゲータウン2」事件
東京地裁平成24.2.23平成21(ワ)34012著作権侵害差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 山門 優
裁判官 志賀 勝
*裁判所サイト公表 2012.03.14
*キーワード:創作性、編集著作物、商品等表示性、一般不法行為論
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■事案
携帯電話向けインターネット釣りゲームの類否や誤認混同惹起行為性が争点となった事案
原告:インターネット情報提供会社
被告:インターネット情報提供会社、システム開発会社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、12条1項、21条、23条、114条2項、不正競争防止法2条1項1号、民法709条
1 被告作品における「魚の引き寄せ画面」は、原告作品における「魚の引き寄せ画面」に係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものか
2 被告作品における主要画面の変遷は、原告作品における主要画面の変遷に係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものか
3 被告らのウェブページに被告作品の魚の引き寄せ画面を掲載する行為は、他人の商品等表示として周知のものと同一又は類似の商品等表示を電気通信回線を通じて提供し、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為(不競法2条1項1号)に当たるか
4 被告作品を製作し公衆に送信する行為は、原告の法的保護に値する利益を侵害する不法行為に当たるか
5 原告の損害
6 被告らによる謝罪広告の要否
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■事案の概要
『本件は,原告が,被告らに対し,(1)被告らが共同で製作し公衆に送信している携帯電話機用インターネット・ゲームソフト「釣りゲータウン2」(以下「被告作品」という。)は,原告が製作し公衆に送信している携帯電話機用インターネット・ゲームソフト「釣り★スタ」(以下「原告作品」という。)と,魚を引き寄せる動作を行う画面の影像及びその変化の態様や,ユーザーがゲームを行う際に必ずたどる画面(主要画面)の選択及び配列並びに各主要画面での素材の選択及び配列の点等において類似するので,被告作品を製作してこれを公衆送信する行為は,原告の原告作品に係る著作権(翻案権,公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害する,(2)被告らが,別紙影像目録1及び2記載の影像を被告らのウェブページに掲載し,被告作品の自他を識別する商品等表示として用いる行為は,不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号の「混同惹起行為」に当たる,(3)被告らが,原告に無断で原告作品に依拠して被告作品を製作し,これを配信した行為は,原告作品の価値にただ乗り(フリー・ライド)するものであり,原告の法的保護に値する利益を違法に侵害する(民法709条,719条1項),と主張して,(1)著作権及び著作者人格権侵害を理由とする被告作品の公衆送信等の差止め及び被告作品の影像の抹消(上記請求1),(2)不競法2条1項1号違反を理由とする別紙影像目録1及び2記載の影像の抹消(請求2,3),(3)著作権侵害,不競法2条1項1号違反及び共同不法行為に基づく損害賠償として,被告作品の配信開始日である平成21年2月25日から本件第9回弁論準備手続期日である平成23年7月7日までの損害金9億4020万円及びこれに対する同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払(請求4),及び(4)著作権法115条,不競法14条又は民法723条に基づく謝罪広告の掲載(請求5,6)を求める事案』(3頁以下)
<経緯>
H19.05 原告作品のGREEでの配信開始
H20.08 被告旧作品のモバゲータウンでの配信開始
H21.02 被告作品のモバゲータウンでの配信開始
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■判決内容
<争点>
1 被告作品における「魚の引き寄せ画面」は、原告作品における「魚の引き寄せ画面」に係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものか
原告作品と被告作品の「魚の引き寄せ画面」の類否について裁判所は、
(1)水面及びその上の様子は画面から捨象され、水中のみが真横から水平方向の視点で描かれている
(2)水中の画像には、中心からほぼ等間隔である三重の同心円が描かれ、同心円の中心が画面のほぼ中央に位置し、最も外側の円の大きさは、水中の画像の約半分を占める
(3)水中の画像の背景は、水の色を含め全体的に薄暗い青で、水底の左右両端付近に、上記同心円に沿うような形で岩陰が描かれ、水草、他の生物、気泡等は描かれていない
(4)水中の画像には、一匹の黒色の魚影が描かれており、魚の口から画像上部に向かって黒い直線の糸(釣り糸)が伸びている
(5)釣り針にかかった魚影は、頻繁に向きを変えながら水中全体を動き回り、その際、背景画像は静止しており(ただし、被告作品では、同心円の大きさや配色、中心の円の画像が変化する。)、ユーザーの視点は固定されている
(6)上記同心円中の一定の位置に魚影がある場合にユーザーが決定キーを押すと、魚を引き寄せやすくなっている
といった諸点などにおいて共通すると判断。
また、原告作品以前に公表された携帯電話機用釣りゲームにおいて、上記共通点をいずれも備えるゲームは存在しなかったと認めています。
これに対して、相違点として、
(1)被告作品では、同心円が表示される前に、水中の画面を魚影が移動する場面が存在する
(2)同心円の配色
(3)魚影の描き方及び魚影と同心円との前後関係
(4)魚影が動き回っている間、被告作品では、同心円の大きさ、配色及び中央の円の部分の画像が変化する
(5)同心円のどの位置に魚影がある際に決定キーを押すと魚を引き寄せやすくなっている
(6)被告作品では、中央の円の部分に魚影がある際に決定キーを押すと、円の中心部分の表示に応じてアニメーションが表示され、その後の表示も異なってくる
などにおいて相違することが認められると判断。
共通点である(2)と(6)に原告作品の製作者の個性が強く表れているとした上で、原告作品の魚の引き寄せ画面の表現上の本質的な特徴といえる、(1)(2)(3)(6)についての同一性は、被告作品の中に維持されていると判断。被告作品は、原告作品に依拠して翻案され公衆送信されたものと認めています(86頁以下)。
結論として、著作権(翻案権、公衆送信権)侵害、著作者人格権(同一性保持権)侵害を認め、複製及び公衆送信の差止め(112条1項)と記録媒体の廃棄(112条2項)を認めています。
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2 被告作品における主要画面の変遷は、原告作品における主要画面の変遷に係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものか
ゲームの画面と画面とをどのように遷移させるか、主要画面の選択と配列などの類似性についても争点とされています(94頁以下)。
この点について、裁判所は類似点はあるものの相違点もある上、5つの場面を設け、配列したこと自体は、ありふれたものであるとして、その点での創作性を否定。被告作品が原告作品の翻案物であることを否定しています。
また、主要画面に用いられている素材の選択や配列の類似性について、利用者によるリンクの発見や閲覧の容易性、操作性等の利便性の観点からの制約があることなどを勘案した上で、アイデアないし表現上の創作性のない部分での類似にすぎないと判断しています。
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3 被告らのウェブページに被告作品の魚の引き寄せ画面を掲載する行為は、他人の商品等表示として周知のものと同一又は類似の商品等表示を電気通信回線を通じて提供し、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為(不競法2条1項1号)に当たるか
原告は、原告作品の引き寄せ画面は原告の商品等表示として周知性を有するとして、被告作品の利用について、混同惹起行為(不正競争防止法2条1項1号)にあたると主張しました。
しかし、裁判所は、原告による電車内広告やテレビコマーシャル、新聞・雑誌等の宣伝広告によって、魚の引き寄せ画面が周知の商品等表示性を獲得したと認めることはできないと判断。不正競争行為性を否定しています(101頁以下)。
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4 被告作品を製作し公衆に送信する行為は、原告の法的保護に値する利益を侵害する不法行為に当たるか
原告はさらに被告らの行為が原告作品の価値にフリーライドするものであるとして一般不法行為論の成立を主張しましたが、裁判所は、著作権侵害が認められる部分を超えて被告らの行為が自由競争の範囲を逸脱し原告の法的に保護された利益を侵害する違法な行為であるということはできないとして、民法の一般不法行為の成立を否定しています(105頁以下)。
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5 原告の損害
損害額の算定については、著作権法114条2項(侵害者利益推定)の適用を認めた上で、被告作品による被告らの限界利益を7億1200万円と認定。被告製品の売上げに対する被告作品の魚の引き寄せ画面の寄与度を30%として、被告らが被告作品の配信により受けた利益の額は2億1360万円(7億1200万円×0.3)と判断しています(106頁以下)。そのほか弁護士費用相当額として、2100万円が認定されています。
--------------------
6 被告らによる謝罪広告の要否
被告らが被告作品を製作し配信したことによる原告作品の魚の引き寄せ画面に係る原告の著作権の侵害の内容、態様等に照らし、差止め及び損害に対する賠償金に加えて原告の名誉、声望を回復するために適当な措置として、原告の請求する謝罪広告を掲載する必要性はないと判断されています(113頁)。
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■コメント
ソーシャルゲームとして人気のある携帯電話端末向けゲーム作品が争点となって注目を集めた事案です。
映画著作物としてのゲームやゲームのプログラム部分ではなくて、画面デザインやゲームの流れにおける著作権侵害性などが争点となっています。
著作権侵害が肯定された魚の引き寄せ画面のデザインですが、上が原告サイトで下が被告サイトとなります(7頁)。

また、たとえば画面トップのデザインは、このような対比になりますが(23頁)、

(原告作品)

(被告作品)
全体として類似の印象を与えるものの、同心円でのターゲットでタイミングを図る部分の具体的な表現についてだけ類似性が肯定されるにとどまりました。
ゲーム業界はクリエーターの移動が多いので、あるいは原告作品の制作担当者が、被告会社に転職して被告作品の制作担当をしていた可能性もあるのかな、とも思いましたが、その点についての言及はありませんでした。いずれにしても、ゲームの新規性・独創性をどう保護するかやアイデアと表現の区別の難しさが伝わる事案で、知財高裁の判断が注目されます。
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2012年03月24日
マンション設計図書事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
マンション設計図書事件
東京地裁平成24.2.28平成23(ワ)29828損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 志賀 勝
裁判官 小川卓逸
*裁判所サイト公表 2012.3.13
*キーワード:工事請負契約、解除、設計図書、完成予想パース、複製、創作性
--------------------
■事案
マンション工事請負契約が解除されたにも関わらず無断で設計図書などが複製されたとして不法行為の成否が争点とされた事案
原告:建築請負工事会社
被告:運送事業会社
--------------------
■結論
請求棄却
--------------------
■争点
条文 民法709条、民事訴訟法114条1項
1 不法行為の成否
--------------------
■事案の概要
『本件は,建築の設計,請負工事及び工事監理等を業とする原告が,被告から店舗付きマンションの設計,建築工事及び監理を請け負い,設計図書や完成予想パースを完成させた上で,これらを被告に引き渡して着工したところ,被告が設計・監理の報酬を支払わないため,原告が請負契約を解除したにもかかわらず,被告が設計図書や完成予想パースを複製するなどして使い続けるとともに,各種検査申請書に原告の氏名・印影を使い,原告の著作権,著作者人格権,所有権及び名誉権が侵害されたとして,被告に対し,不法行為に基づき,損害賠償を求める事案である。』(1頁以下)
<経緯>
H21後半 原被告間でマンション工事請負契約締結
H21.12 1050万円支払い
H22.02 2205万円支払い
H22.04 工事着手
H22.04 9350万円支払い
H22.11 4185万5971円支払い
H23.02 原告が解除の意思表示
H23.09 請負代金請求事件(東京地裁平成23(ワ)5172)で原告敗訴
--------------------
■判決内容
<争点>
1 不法行為の成否
原告は、マンション建設工事請負契約において設計・監理相当の報酬額が支払われておらず、請負契約を解除したとして、解除の効果が生じた後の被告による本件建物の設計図書・完成予想パースを複製する行為などの著作権侵害性等の不法行為性を争点としました。
しかし、裁判所は、別訴となる請負代金請求事件訴訟で請負契約における3億2550万円の報酬に設計・監理料等の代金が含まれるとの判断が確定しており、後訴となる本件訴訟で設計・監理料の請負代金請求権を有している旨再度原告が主張することは確定判決の既判力(民事訴訟法114条1項)に抵触する上、前訴での請求及び主張を実質的に蒸し返すものであり許されないと判断。設計・監理料の未払いがあることを前提とする原告の主張を容れていません(6頁以下)。
--------------------
■コメント
マンション工事請負契約の際の報酬内容の判断で終わってしまっており、設計図書や完成予想パースの著作物性(著作権法2条1項1号)などが争点となるまでに至っておらず残念です。
--------------------
■参考文献
高部眞規子『実務詳説著作権訴訟』(2012)317頁以下
三山裕三『著作権法詳説第8版』(2010)81頁以下
マンション設計図書事件
東京地裁平成24.2.28平成23(ワ)29828損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 志賀 勝
裁判官 小川卓逸
*裁判所サイト公表 2012.3.13
*キーワード:工事請負契約、解除、設計図書、完成予想パース、複製、創作性
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■事案
マンション工事請負契約が解除されたにも関わらず無断で設計図書などが複製されたとして不法行為の成否が争点とされた事案
原告:建築請負工事会社
被告:運送事業会社
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 民法709条、民事訴訟法114条1項
1 不法行為の成否
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■事案の概要
『本件は,建築の設計,請負工事及び工事監理等を業とする原告が,被告から店舗付きマンションの設計,建築工事及び監理を請け負い,設計図書や完成予想パースを完成させた上で,これらを被告に引き渡して着工したところ,被告が設計・監理の報酬を支払わないため,原告が請負契約を解除したにもかかわらず,被告が設計図書や完成予想パースを複製するなどして使い続けるとともに,各種検査申請書に原告の氏名・印影を使い,原告の著作権,著作者人格権,所有権及び名誉権が侵害されたとして,被告に対し,不法行為に基づき,損害賠償を求める事案である。』(1頁以下)
<経緯>
H21後半 原被告間でマンション工事請負契約締結
H21.12 1050万円支払い
H22.02 2205万円支払い
H22.04 工事着手
H22.04 9350万円支払い
H22.11 4185万5971円支払い
H23.02 原告が解除の意思表示
H23.09 請負代金請求事件(東京地裁平成23(ワ)5172)で原告敗訴
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■判決内容
<争点>
1 不法行為の成否
原告は、マンション建設工事請負契約において設計・監理相当の報酬額が支払われておらず、請負契約を解除したとして、解除の効果が生じた後の被告による本件建物の設計図書・完成予想パースを複製する行為などの著作権侵害性等の不法行為性を争点としました。
しかし、裁判所は、別訴となる請負代金請求事件訴訟で請負契約における3億2550万円の報酬に設計・監理料等の代金が含まれるとの判断が確定しており、後訴となる本件訴訟で設計・監理料の請負代金請求権を有している旨再度原告が主張することは確定判決の既判力(民事訴訟法114条1項)に抵触する上、前訴での請求及び主張を実質的に蒸し返すものであり許されないと判断。設計・監理料の未払いがあることを前提とする原告の主張を容れていません(6頁以下)。
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■コメント
マンション工事請負契約の際の報酬内容の判断で終わってしまっており、設計図書や完成予想パースの著作物性(著作権法2条1項1号)などが争点となるまでに至っておらず残念です。
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■参考文献
高部眞規子『実務詳説著作権訴訟』(2012)317頁以下
三山裕三『著作権法詳説第8版』(2010)81頁以下
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2012年03月23日
「冬のソナタ」主題歌著作権管理事件(控訴審)−著作権 損害賠償請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「冬のソナタ」主題歌著作権管理事件(控訴審)
知財高裁平成24.2.14平成22(ネ)10024損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所 第1部
裁判長裁判官 中野哲弘
裁判官 東海林保
裁判官 矢口俊哉
*裁判所サイト公表 2012.3.8
*キーワード:信託譲渡、信託契約、使用料規程、カラオケ、注意義務
--------------------
■事案
韓国楽曲の著作権管理に関して、著作権等管理事業法に基づく文化庁届出使用料規程の合理性やカラオケ事業者の注意義務違反性が争点となった事案の控訴審
A事件控訴人・B事件被控訴人(一審原告):音楽著作権管理団体
A事件被控訴人・B事件控訴人(一審被告):通信カラオケ事業者
--------------------
■結論
A事件:控訴棄却
B事件:原判決変更
--------------------
■争点
条文 著作権法21条、23条、114条3項、著作権等管理事業法13条、旧信託法63条
1 一審原告による本件著作権の管理権限の有無
2 損害論
--------------------
■事案の概要
『1 本件は,平成14年4月15日に設立され同年6月28日に文化庁長官から著作権等管理事業者の登録を受けた一審原告が,日本において通信カラオケ業を営む一審被告に対し,原著作権者(以下「原権利者」という。)である韓国内の作詞家・作曲家・音楽出版社等が権利を有する音楽著作物に関し,韓国法人である「株式会社ザ・ミュージックアジア」(日本語訳)・「The Music Asia」(英語訳)(以下「TMA社」という。ただし,平成18年10月4日に解散決議がなされ,平成19年3月28日に清算結了登記済み)を通じ又は原権利者から直接に,著作権の信託譲渡を受けた等として,平成14年6月28日から平成16年7月31日までの著作権(複製権,公衆送信権)侵害に基づく損害賠償金又は不当利得金9億7578万6000円及びこれに対する平成16年9月9日(訴状送達の翌日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
これに対し一審被告は,一審原告が譲り受けた楽曲の範囲を争うほか,韓国法人で原権利者から信託譲渡を受けて更に一審原告に上記信託譲渡をしたTMA社は本件訴訟係属中の平成18年7月に一審原告に対する信託譲渡契約を解除し,平成18年10月4日に解散決議をして平成19年3月28日に清算結了登記もしているから,一審原告は本件訴訟を追行する権限を有しない等と,争った。
2 平成22年2月10日になされた原判決(一審判決)は,原権利者らが一審原告に対し信託の清算事務として訴訟を追行することを認めるとの意思を表明している場合に限って一審原告の原告適格が認められる等として,その表明をしない原権利者に係る請求部分につき訴えを却下し,本件訴訟係属中の平成19年4月から6月にかけて書面(確認書B)によりその表明がなされた部分及び直接契約に係る部分に関しては,JASRAC規程の個別課金方式によって一審原告の損害額を算定して,一審被告に対し2300万5495円及び遅延損害金の支払を命じたものである(詳細は原判決のとおり)。
3 当事者双方は,上記一審判決にいずれも不服であったため,本件各控訴(A事件,B事件)を提起した。ただし,一審原告のなした控訴は,本訴請求の一部である2億2500万5495円と遅延損害金の支払を求める限度でなした一部控訴である。
なお,一審原告は,当審係属中の平成22年7月6日に至り,前記確認書Bと同様の趣旨で別の原権利者からの確認書D(甲145の1の1等)を提出した。』(2頁以下)
--------------------
■判決内容
<争点>
1 一審原告による本件著作権の管理権限の有無
一審原告の本訴請求は、(1)韓国内の原権利者から韓国法人であるTMA社を通じて信託譲渡を受けた著作権及び(2)原権利者から直接に信託譲渡を受けた著作権に基づき、日本法人である一審原告が同じく日本法人である一審被告に対して著作権侵害に基づく損害賠償金9億7578万6000円と平成16年9月9日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を求めるものでした。
控訴審裁判所は、原判決同様、上記(2)は概ね理由があるものの、原判決と異なり、上記(1)のTMA・原告契約によるものは、本件著作権の管理権限について本件訴訟の対象たる損害賠償請求権も含め、一審原告はこれを一切有しないとして理由がないものと判断しています(101頁以下)。
2 損害論
一審原告が著作権の管理権限を有すると認められる直接契約に関する楽曲は、作詩37楽曲、作曲123楽曲と判断した上で日本の法律(民法、著作権法)に基づき損害額を算定。
通信カラオケ事業に関しては、JASRAC規程が合理性も担保されているとして、個別課金方式よる損害額算定が行われています。
1楽曲当たり作詩、作曲それぞれにつき、基本使用料は月額各100円、利用単位使用料を各20円として作詩37曲、作曲123曲。アクセス回数を勘案した上で基本使用料相当損害金、利用単位使用料相当損害金の合計として642万6464円と認定しています(112頁以下)。
結論として、一審原告の本訴請求のうち、直接契約に係る部分については、直接契約の締結が認められた部分につき請求を認容し、TMA社を介した部分については、一審原告が対象楽曲の著作権の管理権限を失ったものと認められるため、この部分に関する請求を棄却しています。
--------------------
■コメント
TMA社を介した部分について一審原告が対象楽曲の著作権の管理権限を失ったものと認められたため、原審と比べると損害額が減少する結果となっています。
一審原告は、本件では、残存信託財産中に未収財産のある原信託の受益者が帰属権利者に該当するから訴訟係属中か否かを問わず、本件での各信託契約が終了した後の法定信託は「復帰信託」ではなく「原信託の延長」となり、その場合、受託者の職務権限は、通常の信託契約とほぼ同様である旨主張しましたが、控訴審裁判所は、一審原告は、契約が終了した平成19年3月31日以降、TMA・原告契約に基づく本件著作権と一審被告に対する損害賠償債権(請求権)の管理権限を全て失ったと認めるのが相当であり、信託契約が終了した後の法定信託の性質をどのように解するかによって、上記結論に直ちに影響が及ぶものとは解されないと判断しています。
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■過去のブログ記事
2010年03月17日
原審記事
「冬のソナタ」主題歌著作権管理事件(控訴審)
知財高裁平成24.2.14平成22(ネ)10024損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所 第1部
裁判長裁判官 中野哲弘
裁判官 東海林保
裁判官 矢口俊哉
*裁判所サイト公表 2012.3.8
*キーワード:信託譲渡、信託契約、使用料規程、カラオケ、注意義務
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■事案
韓国楽曲の著作権管理に関して、著作権等管理事業法に基づく文化庁届出使用料規程の合理性やカラオケ事業者の注意義務違反性が争点となった事案の控訴審
A事件控訴人・B事件被控訴人(一審原告):音楽著作権管理団体
A事件被控訴人・B事件控訴人(一審被告):通信カラオケ事業者
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■結論
A事件:控訴棄却
B事件:原判決変更
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■争点
条文 著作権法21条、23条、114条3項、著作権等管理事業法13条、旧信託法63条
1 一審原告による本件著作権の管理権限の有無
2 損害論
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■事案の概要
『1 本件は,平成14年4月15日に設立され同年6月28日に文化庁長官から著作権等管理事業者の登録を受けた一審原告が,日本において通信カラオケ業を営む一審被告に対し,原著作権者(以下「原権利者」という。)である韓国内の作詞家・作曲家・音楽出版社等が権利を有する音楽著作物に関し,韓国法人である「株式会社ザ・ミュージックアジア」(日本語訳)・「The Music Asia」(英語訳)(以下「TMA社」という。ただし,平成18年10月4日に解散決議がなされ,平成19年3月28日に清算結了登記済み)を通じ又は原権利者から直接に,著作権の信託譲渡を受けた等として,平成14年6月28日から平成16年7月31日までの著作権(複製権,公衆送信権)侵害に基づく損害賠償金又は不当利得金9億7578万6000円及びこれに対する平成16年9月9日(訴状送達の翌日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
これに対し一審被告は,一審原告が譲り受けた楽曲の範囲を争うほか,韓国法人で原権利者から信託譲渡を受けて更に一審原告に上記信託譲渡をしたTMA社は本件訴訟係属中の平成18年7月に一審原告に対する信託譲渡契約を解除し,平成18年10月4日に解散決議をして平成19年3月28日に清算結了登記もしているから,一審原告は本件訴訟を追行する権限を有しない等と,争った。
2 平成22年2月10日になされた原判決(一審判決)は,原権利者らが一審原告に対し信託の清算事務として訴訟を追行することを認めるとの意思を表明している場合に限って一審原告の原告適格が認められる等として,その表明をしない原権利者に係る請求部分につき訴えを却下し,本件訴訟係属中の平成19年4月から6月にかけて書面(確認書B)によりその表明がなされた部分及び直接契約に係る部分に関しては,JASRAC規程の個別課金方式によって一審原告の損害額を算定して,一審被告に対し2300万5495円及び遅延損害金の支払を命じたものである(詳細は原判決のとおり)。
3 当事者双方は,上記一審判決にいずれも不服であったため,本件各控訴(A事件,B事件)を提起した。ただし,一審原告のなした控訴は,本訴請求の一部である2億2500万5495円と遅延損害金の支払を求める限度でなした一部控訴である。
なお,一審原告は,当審係属中の平成22年7月6日に至り,前記確認書Bと同様の趣旨で別の原権利者からの確認書D(甲145の1の1等)を提出した。』(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 一審原告による本件著作権の管理権限の有無
一審原告の本訴請求は、(1)韓国内の原権利者から韓国法人であるTMA社を通じて信託譲渡を受けた著作権及び(2)原権利者から直接に信託譲渡を受けた著作権に基づき、日本法人である一審原告が同じく日本法人である一審被告に対して著作権侵害に基づく損害賠償金9億7578万6000円と平成16年9月9日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を求めるものでした。
控訴審裁判所は、原判決同様、上記(2)は概ね理由があるものの、原判決と異なり、上記(1)のTMA・原告契約によるものは、本件著作権の管理権限について本件訴訟の対象たる損害賠償請求権も含め、一審原告はこれを一切有しないとして理由がないものと判断しています(101頁以下)。
2 損害論
一審原告が著作権の管理権限を有すると認められる直接契約に関する楽曲は、作詩37楽曲、作曲123楽曲と判断した上で日本の法律(民法、著作権法)に基づき損害額を算定。
通信カラオケ事業に関しては、JASRAC規程が合理性も担保されているとして、個別課金方式よる損害額算定が行われています。
1楽曲当たり作詩、作曲それぞれにつき、基本使用料は月額各100円、利用単位使用料を各20円として作詩37曲、作曲123曲。アクセス回数を勘案した上で基本使用料相当損害金、利用単位使用料相当損害金の合計として642万6464円と認定しています(112頁以下)。
結論として、一審原告の本訴請求のうち、直接契約に係る部分については、直接契約の締結が認められた部分につき請求を認容し、TMA社を介した部分については、一審原告が対象楽曲の著作権の管理権限を失ったものと認められるため、この部分に関する請求を棄却しています。
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■コメント
TMA社を介した部分について一審原告が対象楽曲の著作権の管理権限を失ったものと認められたため、原審と比べると損害額が減少する結果となっています。
一審原告は、本件では、残存信託財産中に未収財産のある原信託の受益者が帰属権利者に該当するから訴訟係属中か否かを問わず、本件での各信託契約が終了した後の法定信託は「復帰信託」ではなく「原信託の延長」となり、その場合、受託者の職務権限は、通常の信託契約とほぼ同様である旨主張しましたが、控訴審裁判所は、一審原告は、契約が終了した平成19年3月31日以降、TMA・原告契約に基づく本件著作権と一審被告に対する損害賠償債権(請求権)の管理権限を全て失ったと認めるのが相当であり、信託契約が終了した後の法定信託の性質をどのように解するかによって、上記結論に直ちに影響が及ぶものとは解されないと判断しています。
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2010年03月17日
原審記事
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2012年03月16日
プログラム利用許諾契約違反事件(控訴審)−著作権 プログラム著作権使用料等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
プログラム利用許諾契約違反事件(控訴審)
知財高裁平成24.2.29平成23(ネ)10063プログラム著作権使用料等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 滝澤孝臣
裁判官 高部眞規子
裁判官 齋藤 巌
*裁判所サイト公表 2012.3.8
*キーワード:プログラム著作権、利用許諾契約、解除、損害論
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■事案
プログラム著作権の利用許諾契約解除後の無断使用について損害論が争点となった事案の控訴審
控訴人(一審原告) :サーバ管理会社
被控訴人(一審被告):ホームページ制作会社
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■結論
控訴棄却
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■争点
1 損害論
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■事案の概要
『控訴人が,被控訴人に対し,本件プログラムの著作権を侵害されたとして,(1)著作権法112条1項に基づき,本件プログラムの複製物の譲渡及び公衆送信の差止めを求めるとともに,(2)不法行為に基づき,70万円の損害賠償及びこれに対する最初の不法行為の後である平成22年5月28日から支払済みまで本件契約所定の年14.5%の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
原判決は,(1)被控訴人が本件プログラムに係る控訴人の著作権を侵害するおそれがあると認められるとして,本件プログラムの複製物の譲渡及び公衆送信の差止請求を認容するとともに,(2)不法行為に基づく損害賠償請求については,10万円並びにうち5万円に対する平成22年5月28日から及びうち5万円に対する平成23年3月28日から各支払済みまで年5%の割合による金員の限度で認容したが,その余を棄却したことから,控訴人は,これを不服として控訴した。』事案(1頁以下)
<経緯>
H18.3 控訴人が本件プログラムを作成
H18.5 控訴人被控訴人間で本件プログラム利用許諾契約締結
H22.5 本件契約が控訴人の解除により終了
H22.5 本件プログラムの利用中止等の通告
H23.3 本件プログラムの利用中止等の通告
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■判決内容
<争点>
1 損害論
損害額について、原判決が認容した10万円を超えるものではないとして損害額70万円との控訴人の主張を容れていません(4頁以下)。
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■コメント
控訴審では専ら損害論が争点とされましたが、結論は変わりませんでした。
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■過去のブログ記事
2011年09月01日 原審記事
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■参考サイト
原告サイト プログラム著作権侵害訴訟経緯
プログラム利用許諾契約違反事件(控訴審)
知財高裁平成24.2.29平成23(ネ)10063プログラム著作権使用料等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 滝澤孝臣
裁判官 高部眞規子
裁判官 齋藤 巌
*裁判所サイト公表 2012.3.8
*キーワード:プログラム著作権、利用許諾契約、解除、損害論
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■事案
プログラム著作権の利用許諾契約解除後の無断使用について損害論が争点となった事案の控訴審
控訴人(一審原告) :サーバ管理会社
被控訴人(一審被告):ホームページ制作会社
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■結論
控訴棄却
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■争点
1 損害論
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■事案の概要
『控訴人が,被控訴人に対し,本件プログラムの著作権を侵害されたとして,(1)著作権法112条1項に基づき,本件プログラムの複製物の譲渡及び公衆送信の差止めを求めるとともに,(2)不法行為に基づき,70万円の損害賠償及びこれに対する最初の不法行為の後である平成22年5月28日から支払済みまで本件契約所定の年14.5%の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
原判決は,(1)被控訴人が本件プログラムに係る控訴人の著作権を侵害するおそれがあると認められるとして,本件プログラムの複製物の譲渡及び公衆送信の差止請求を認容するとともに,(2)不法行為に基づく損害賠償請求については,10万円並びにうち5万円に対する平成22年5月28日から及びうち5万円に対する平成23年3月28日から各支払済みまで年5%の割合による金員の限度で認容したが,その余を棄却したことから,控訴人は,これを不服として控訴した。』事案(1頁以下)
<経緯>
H18.3 控訴人が本件プログラムを作成
H18.5 控訴人被控訴人間で本件プログラム利用許諾契約締結
H22.5 本件契約が控訴人の解除により終了
H22.5 本件プログラムの利用中止等の通告
H23.3 本件プログラムの利用中止等の通告
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■判決内容
<争点>
1 損害論
損害額について、原判決が認容した10万円を超えるものではないとして損害額70万円との控訴人の主張を容れていません(4頁以下)。
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■コメント
控訴審では専ら損害論が争点とされましたが、結論は変わりませんでした。
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■過去のブログ記事
2011年09月01日 原審記事
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■参考サイト
原告サイト プログラム著作権侵害訴訟経緯
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2012年03月15日
スペースチューブ事件(控訴審)−著作権 損害賠償等請求反訴控訴、同附帯控訴事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
スペースチューブ事件(控訴審)
知財高裁24.2.22平成23(ネ)10053損害賠償等請求反訴控訴、同附帯控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 滝澤孝臣
裁判官 井上泰人
裁判官 荒井章光
*裁判所サイト公表 2012.3.6
*キーワード:著作物性、創作性、純粋美術、応用美術、複製権、同一性保持権、誤認混同惹起行為性、形態模倣行為性、営業秘密、秘密保持義務、一般不法行為
--------------------
■事案
体験型展示物であるイベント用装置の著作物性が争点となった事案の控訴審
控訴人兼附帯被控訴人(反訴原告):ダンス集団主催者
被控訴人兼附帯控訴人(反訴被告):映像制作会社
--------------------
■結論
被控訴人敗訴部分取消し
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、2条2項、21条、20条、不正競争防止法2条1項1号、3号、7号、14号、民法709条
1 控訴人は控訴人装置につき著作権を有するか
2 被控訴人装置の複製権又は同一性保持権侵害性
3 被控訴人事業の誤認混同惹起行為性
4 被控訴人事業の形態模倣行為性
5 被控訴人事業の営業秘密不正使用行為性
6 本件契約に基づく秘密保持義務違反の成否
7 本件仮処分申立ての違法性の有無
8 被控訴人装置を用いた営業活動による不法行為の成否
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■事案の概要
原判決別紙反訴原告装置目録記載の装置(控訴人装置)の制作者である控訴人が、原判決別紙反訴被告装置目録記載の装置(被控訴人装置)を用いてイベントへの出展等の事業を行っている被控訴人に対し、以下の請求を行った。
(1)控訴人装置について控訴人が著作権を有することの確認を求める請求
(2)被控訴人事業に対する差止め及び被控訴人装置の廃棄請求
(3)金銭請求
原判決の判断としては、
(1)著作権の確認請求について、控訴人が控訴人装置の著作権を有することの確認請求を認容した。
(2)被控訴人事業に対する差止め及び被控訴人装置の廃棄請求については、これを棄却した。
(3)金銭請求についても、これを棄却した。
控訴審における審理の対象
『控訴人は,原判決が控訴人装置に係る控訴人の著作権確認請求を除く控訴人の請求を棄却した点について,これを不服として控訴に及ぶとともに,当審において,被控訴人が被控訴人装置を用いて営業活動を行ったことは,競業相手である控訴人の信用や労力を違法に無断使用する行為であって,不法行為を構成するものであると主張して,民法709条に基づく請求を追加した。
これに対し,被控訴人は,原判決が控訴人装置に係る控訴人の著作権確認請求を認容した点について,これを不服として附帯控訴に及んだ。』(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 控訴人は控訴人装置につき著作権を有するか
控訴人装置の創作性として、控訴人は、
1.「閉じた空間・やわらかい空間」であること
2.「浮遊を可能にする空間(宙吊り)」であること
3.「見た目の日本的美しさをもつ空間」であること
4.軽さや色、大きさ
という諸点を上げていましたが、裁判所は、控訴人装置は『実用に供され,又は産業上利用されることを目的とする応用美術に属するものというべきであるから,それが純粋美術や美術工芸品と同視することができるような美的特性を備えている場合に限り,著作物性を認めることができるものと解すべきである』として応用美術との区別も踏まえて各要素を検討しています(21頁以下)。
そして、1については、空間の性質に関する思想ないしアイデアである、2については、控訴人装置の機能等を示すものにすぎない、3についても、具体的な表現ではなかったり、制作者の個性が表現されたものとはいえない、4についても、素材の性質などであるとして、結論として控訴人装置の創作性を否定しています。
------------------------------------
2 被控訴人装置の複製権又は同一性保持権侵害性
控訴人装置の創作性が否定されたことから、被控訴人装置の複製権又は同一性保持権侵害性の争点はその前提を欠くと判断されました(26頁)。
なお、控訴人装置の著作権に係る確認請求については、訴えの利益がなく不適法却下との判断がされています。
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3 被控訴人事業の誤認混同惹起行為性
被控訴人事業が、控訴人の商品等表示として周知性を有する控訴人装置と同一のものを使用して控訴人の商品又は営業と混同を生じさせる行為(不正競争防止法2条1項1号)に該当するかどうかについて、「需要者」が具体的にどのような者をいうかについて明らかでなく、また「形態」についても体験型装置において機能上不可避の形態であって控訴人の商品等表示であるとまでは認められないと判断。1号該当性を否定しています(27頁以下)。
------------------------------------
4 被控訴人事業の形態模倣行為性
被控訴人事業が、控訴人の商品形態である控訴人装置を模倣した商品である被控訴人装置を譲渡等のために展示する行為(不正競争防止法2条1項3号)に該当するかどうかについて、被控訴人装置の形態は機能上不可避の形態の限度で控訴人装置に類似するものにすぎないというべきであり、当該形態は不正競争防止法2条1項3号かっこ書の「同種の商品が通常有する形態」に該当すると判断。3号該当性も否定しています(29頁以下)。
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5 被控訴人事業の営業秘密不正使用行為性
被控訴人事業が、控訴人の開示した控訴人装置に関する営業秘密を不正の利益を得る目的をもって使用する行為(同法2条1項7号)に該当するかどうかについて、控訴人が営業秘密であると主張する控訴人装置に関する情報(1控訴人装置の長さ及び高さ、2布の強度と伸縮性、3布の張り具合、4二重化構造、5布及びロープの総重量)は、いずれもその性質上、展示されている控訴人製品の中に入り、又はこれに触れ、あるいは外部から観察した者が容易に認識し得る情報であるということができるものであり、非公知性を欠くと判断。7号該当性を否定しています(30頁以下)。
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6 本件契約に基づく秘密保持義務違反の成否
本件契約書6条に定める秘密保持義務について、非公知性を欠く情報などは秘密の対象にならないとして秘密保持義務違反性を否定しています(31頁以下)。
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7 本件仮処分申立ての違法性の有無
本件注意書のアップロードが、被控訴人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知又は流布する行為(不正競争防止法2条1項14号)に該当するかの点について、虚偽の事実を含むものであり被控訴人の営業上の信用を害するものであったとして、14号該当性を肯定しています。結論として、被控訴人の本件仮処分命令の申立てを相当と認め、被控訴人に150万円の担保を立てさせて本件注意書の削除を命じた本件仮処分命令それ自体に違法な点はないと判断しています(32頁以下)。
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8 被控訴人装置を用いた営業活動による不法行為の成否
控訴人は、被控訴人が控訴人との共同事業が破綻するや直ちに控訴人から教えられた技術的手法に基づいて控訴人装置を模倣し、これと少なくとも実質的同一性を有する被控訴人装置を制作し、これを展示する等の営業活動を行ったことは、競業相手である控訴人の信用や労力を違法に無断使用する行為であって、不法行為を構成するものであると主張しました。
しかし、裁判所は、前記各争点で検討されたように著作権法や不正競争防止法で保護されない被控訴人装置を用いて事業を行ったからといって、控訴人装置ないし同装置に関する情報について著作権侵害、不正競争防止法及び本件契約に違反する行為が認められない本件において、それ以外に控訴人の具体的な権利ないし利益が侵害されたと認められない以上、不法行為が成立する余地はないと判断しています(37頁以下)。
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■コメント
体験型イベント構造物が単なる実用品(応用美術)なのか、応用美術作品ではあるが美術工芸品(純粋美術、鑑賞美術)なのか区別が難しい著作物でしたが、著作物性を肯定した原審から一転、控訴審ではその著作物性が否定され著作権法での保護を認めませんでした。
著作権法による保護の必要性は意匠法、商標法、不正競争防止法といった知的財産制度全体を俯瞰して検討されるべきですが(後掲書217頁以下、259頁以下等参照)、本事例についてみれば不競法での保護も否定されており、価値判断的にも著作権法での保護を否定する結論は妥当ではないかと思われます。
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■過去のブログ記事
2011年09月20日 原審記事
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■参考文献
「特集1:応用美術の法的保護」『知財年報2009』(2009)209頁以下
スペースチューブ事件(控訴審)
知財高裁24.2.22平成23(ネ)10053損害賠償等請求反訴控訴、同附帯控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 滝澤孝臣
裁判官 井上泰人
裁判官 荒井章光
*裁判所サイト公表 2012.3.6
*キーワード:著作物性、創作性、純粋美術、応用美術、複製権、同一性保持権、誤認混同惹起行為性、形態模倣行為性、営業秘密、秘密保持義務、一般不法行為
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■事案
体験型展示物であるイベント用装置の著作物性が争点となった事案の控訴審
控訴人兼附帯被控訴人(反訴原告):ダンス集団主催者
被控訴人兼附帯控訴人(反訴被告):映像制作会社
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■結論
被控訴人敗訴部分取消し
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、2条2項、21条、20条、不正競争防止法2条1項1号、3号、7号、14号、民法709条
1 控訴人は控訴人装置につき著作権を有するか
2 被控訴人装置の複製権又は同一性保持権侵害性
3 被控訴人事業の誤認混同惹起行為性
4 被控訴人事業の形態模倣行為性
5 被控訴人事業の営業秘密不正使用行為性
6 本件契約に基づく秘密保持義務違反の成否
7 本件仮処分申立ての違法性の有無
8 被控訴人装置を用いた営業活動による不法行為の成否
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■事案の概要
原判決別紙反訴原告装置目録記載の装置(控訴人装置)の制作者である控訴人が、原判決別紙反訴被告装置目録記載の装置(被控訴人装置)を用いてイベントへの出展等の事業を行っている被控訴人に対し、以下の請求を行った。
(1)控訴人装置について控訴人が著作権を有することの確認を求める請求
(2)被控訴人事業に対する差止め及び被控訴人装置の廃棄請求
(3)金銭請求
原判決の判断としては、
(1)著作権の確認請求について、控訴人が控訴人装置の著作権を有することの確認請求を認容した。
(2)被控訴人事業に対する差止め及び被控訴人装置の廃棄請求については、これを棄却した。
(3)金銭請求についても、これを棄却した。
控訴審における審理の対象
『控訴人は,原判決が控訴人装置に係る控訴人の著作権確認請求を除く控訴人の請求を棄却した点について,これを不服として控訴に及ぶとともに,当審において,被控訴人が被控訴人装置を用いて営業活動を行ったことは,競業相手である控訴人の信用や労力を違法に無断使用する行為であって,不法行為を構成するものであると主張して,民法709条に基づく請求を追加した。
これに対し,被控訴人は,原判決が控訴人装置に係る控訴人の著作権確認請求を認容した点について,これを不服として附帯控訴に及んだ。』(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 控訴人は控訴人装置につき著作権を有するか
控訴人装置の創作性として、控訴人は、
1.「閉じた空間・やわらかい空間」であること
2.「浮遊を可能にする空間(宙吊り)」であること
3.「見た目の日本的美しさをもつ空間」であること
4.軽さや色、大きさ
という諸点を上げていましたが、裁判所は、控訴人装置は『実用に供され,又は産業上利用されることを目的とする応用美術に属するものというべきであるから,それが純粋美術や美術工芸品と同視することができるような美的特性を備えている場合に限り,著作物性を認めることができるものと解すべきである』として応用美術との区別も踏まえて各要素を検討しています(21頁以下)。
そして、1については、空間の性質に関する思想ないしアイデアである、2については、控訴人装置の機能等を示すものにすぎない、3についても、具体的な表現ではなかったり、制作者の個性が表現されたものとはいえない、4についても、素材の性質などであるとして、結論として控訴人装置の創作性を否定しています。
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2 被控訴人装置の複製権又は同一性保持権侵害性
控訴人装置の創作性が否定されたことから、被控訴人装置の複製権又は同一性保持権侵害性の争点はその前提を欠くと判断されました(26頁)。
なお、控訴人装置の著作権に係る確認請求については、訴えの利益がなく不適法却下との判断がされています。
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3 被控訴人事業の誤認混同惹起行為性
被控訴人事業が、控訴人の商品等表示として周知性を有する控訴人装置と同一のものを使用して控訴人の商品又は営業と混同を生じさせる行為(不正競争防止法2条1項1号)に該当するかどうかについて、「需要者」が具体的にどのような者をいうかについて明らかでなく、また「形態」についても体験型装置において機能上不可避の形態であって控訴人の商品等表示であるとまでは認められないと判断。1号該当性を否定しています(27頁以下)。
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4 被控訴人事業の形態模倣行為性
被控訴人事業が、控訴人の商品形態である控訴人装置を模倣した商品である被控訴人装置を譲渡等のために展示する行為(不正競争防止法2条1項3号)に該当するかどうかについて、被控訴人装置の形態は機能上不可避の形態の限度で控訴人装置に類似するものにすぎないというべきであり、当該形態は不正競争防止法2条1項3号かっこ書の「同種の商品が通常有する形態」に該当すると判断。3号該当性も否定しています(29頁以下)。
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5 被控訴人事業の営業秘密不正使用行為性
被控訴人事業が、控訴人の開示した控訴人装置に関する営業秘密を不正の利益を得る目的をもって使用する行為(同法2条1項7号)に該当するかどうかについて、控訴人が営業秘密であると主張する控訴人装置に関する情報(1控訴人装置の長さ及び高さ、2布の強度と伸縮性、3布の張り具合、4二重化構造、5布及びロープの総重量)は、いずれもその性質上、展示されている控訴人製品の中に入り、又はこれに触れ、あるいは外部から観察した者が容易に認識し得る情報であるということができるものであり、非公知性を欠くと判断。7号該当性を否定しています(30頁以下)。
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6 本件契約に基づく秘密保持義務違反の成否
本件契約書6条に定める秘密保持義務について、非公知性を欠く情報などは秘密の対象にならないとして秘密保持義務違反性を否定しています(31頁以下)。
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7 本件仮処分申立ての違法性の有無
本件注意書のアップロードが、被控訴人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知又は流布する行為(不正競争防止法2条1項14号)に該当するかの点について、虚偽の事実を含むものであり被控訴人の営業上の信用を害するものであったとして、14号該当性を肯定しています。結論として、被控訴人の本件仮処分命令の申立てを相当と認め、被控訴人に150万円の担保を立てさせて本件注意書の削除を命じた本件仮処分命令それ自体に違法な点はないと判断しています(32頁以下)。
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8 被控訴人装置を用いた営業活動による不法行為の成否
控訴人は、被控訴人が控訴人との共同事業が破綻するや直ちに控訴人から教えられた技術的手法に基づいて控訴人装置を模倣し、これと少なくとも実質的同一性を有する被控訴人装置を制作し、これを展示する等の営業活動を行ったことは、競業相手である控訴人の信用や労力を違法に無断使用する行為であって、不法行為を構成するものであると主張しました。
しかし、裁判所は、前記各争点で検討されたように著作権法や不正競争防止法で保護されない被控訴人装置を用いて事業を行ったからといって、控訴人装置ないし同装置に関する情報について著作権侵害、不正競争防止法及び本件契約に違反する行為が認められない本件において、それ以外に控訴人の具体的な権利ないし利益が侵害されたと認められない以上、不法行為が成立する余地はないと判断しています(37頁以下)。
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■コメント
体験型イベント構造物が単なる実用品(応用美術)なのか、応用美術作品ではあるが美術工芸品(純粋美術、鑑賞美術)なのか区別が難しい著作物でしたが、著作物性を肯定した原審から一転、控訴審ではその著作物性が否定され著作権法での保護を認めませんでした。
著作権法による保護の必要性は意匠法、商標法、不正競争防止法といった知的財産制度全体を俯瞰して検討されるべきですが(後掲書217頁以下、259頁以下等参照)、本事例についてみれば不競法での保護も否定されており、価値判断的にも著作権法での保護を否定する結論は妥当ではないかと思われます。
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■過去のブログ記事
2011年09月20日 原審記事
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■参考文献
「特集1:応用美術の法的保護」『知財年報2009』(2009)209頁以下
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2012年03月08日
「中国の世界遺産」DVD事件(控訴審)−著作権 損害賠償等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「中国の世界遺産」DVD事件(控訴審)
知財高裁平成24.2.28平成23(ネ)10047損害賠償等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 八木貴美子
裁判官 知野 明
*裁判所サイト公表 2012.3.1
*キーワード:原版供給契約、映像利用許諾代理店契約、出版社、過失、翻案、消滅時効、不当利得
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■事案
映像原版供給契約の前提となる利用許諾関係が欠けるとしてDVD制作販売に関して出版社の過失が肯定された事案の控訴審
控訴人兼被控訴人(1審原告):中国中央電視台グループ映像制作会社(中国法人)
被控訴人兼控訴人(1審被告):出版社(日本法人)
--------------------
■結論
原判決変更
--------------------
■争点
条文 著作権法27条、114条3項、民法709条、724条、703条
1 本件各原版の著作権の帰属
2 本件各原版の利用許諾の有無
3 被告の過失の有無
4 消滅時効の成否
5 原告の損害額
6 不当利得返還請求権の存否及び利得額
--------------------
■事案の概要
『中華人民共和国の国営放送であるCCTV(中国中央電視台)のグループ会社で,同国法人である原告は,CCTVの放送用として制作された「中国世界自然文化遺産」と題する記録映画(本件各原版)の著作権を有していること,被告の製作・販売に係る「中国の世界遺産」と題する被告各DVDが上記記録映画を複製又は翻案したものであること等を主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償を請求した。これに対し,被告は,原告が本件各原版に係る著作権を有することを争うとともに,被告は原告から本件各原版の利用許諾を受けていたこと,損害賠償請求権の一部は時効消滅したことなどを主張した。
原審は,(1)本件各原版に係る著作権は原告に帰属すると判断し,(2)被告各DVDは,本件各原版に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しており本件各原版の翻案に当たると判断し,(3)被告は,本件各原版の利用許諾を受けていたとは認められないと判断し,(4)原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の一部については,時効消滅したと判断して,(5)原告の損害賠償請求のうち10万5000円(弁護士費用相当額1万円を含む)の限度で認容し,その余の請求を棄却した。
これに対し,原告及び被告は,原判決のうち各敗訴部分の取消しを求めて,それぞれ控訴を提起した。また,原告は,当審において,新たに不当利得返還請求権に基づく請求原因を追加的に主張した(なお,請求の趣旨に変更はない。)。』事案(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件各原版の著作権の帰属
2 本件各原版の利用許諾の有無
3 被告の過失の有無
4 消滅時効の成否
5 原告の損害額
準拠法の点を含め1から5の各争点について、原審の判断が基本的に維持されており、被告出版社の過失が肯定されています(9頁以下)。
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6 不当利得返還請求権の存否及び利得額
平成16年から平成17年にかけての販売分の不法行為に基づく損害賠償請求については、被告の消滅時効の抗弁が認められましたが、控訴審では当該販売分について被告が使用料相当額の利益を受け、原告に同額の損失を及ぼしていたと判断。被告各DVDの小売価格3800円(税抜)の25%に実販売本数を乗じた額(合計1054万5000円)を利得額として認定しています(14頁以下。なお、訴状送達を受けた日である平成21年7月13日から悪意となったと判断しています)。
結論として、平成18年の販売分に関する不法行為に基づく損害賠償請求(損害金9万5000円。なお、弁護士費用1万円。原審と同様)と不当利得返還請求の合計1065万円が認められています。
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■コメント
被告出版社の不当利得が認められて損害賠償額が増額の結論となりました。
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■過去のブログ記事
2011年09月24日 原審記事
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■参考文献
寒河江孝允監修、永野周志、矢野敏樹編『知的財産権訴訟における損害賠償額算定の実務』(2008)294頁以下
「中国の世界遺産」DVD事件(控訴審)
知財高裁平成24.2.28平成23(ネ)10047損害賠償等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 八木貴美子
裁判官 知野 明
*裁判所サイト公表 2012.3.1
*キーワード:原版供給契約、映像利用許諾代理店契約、出版社、過失、翻案、消滅時効、不当利得
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■事案
映像原版供給契約の前提となる利用許諾関係が欠けるとしてDVD制作販売に関して出版社の過失が肯定された事案の控訴審
控訴人兼被控訴人(1審原告):中国中央電視台グループ映像制作会社(中国法人)
被控訴人兼控訴人(1審被告):出版社(日本法人)
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■結論
原判決変更
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■争点
条文 著作権法27条、114条3項、民法709条、724条、703条
1 本件各原版の著作権の帰属
2 本件各原版の利用許諾の有無
3 被告の過失の有無
4 消滅時効の成否
5 原告の損害額
6 不当利得返還請求権の存否及び利得額
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■事案の概要
『中華人民共和国の国営放送であるCCTV(中国中央電視台)のグループ会社で,同国法人である原告は,CCTVの放送用として制作された「中国世界自然文化遺産」と題する記録映画(本件各原版)の著作権を有していること,被告の製作・販売に係る「中国の世界遺産」と題する被告各DVDが上記記録映画を複製又は翻案したものであること等を主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償を請求した。これに対し,被告は,原告が本件各原版に係る著作権を有することを争うとともに,被告は原告から本件各原版の利用許諾を受けていたこと,損害賠償請求権の一部は時効消滅したことなどを主張した。
原審は,(1)本件各原版に係る著作権は原告に帰属すると判断し,(2)被告各DVDは,本件各原版に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しており本件各原版の翻案に当たると判断し,(3)被告は,本件各原版の利用許諾を受けていたとは認められないと判断し,(4)原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の一部については,時効消滅したと判断して,(5)原告の損害賠償請求のうち10万5000円(弁護士費用相当額1万円を含む)の限度で認容し,その余の請求を棄却した。
これに対し,原告及び被告は,原判決のうち各敗訴部分の取消しを求めて,それぞれ控訴を提起した。また,原告は,当審において,新たに不当利得返還請求権に基づく請求原因を追加的に主張した(なお,請求の趣旨に変更はない。)。』事案(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件各原版の著作権の帰属
2 本件各原版の利用許諾の有無
3 被告の過失の有無
4 消滅時効の成否
5 原告の損害額
準拠法の点を含め1から5の各争点について、原審の判断が基本的に維持されており、被告出版社の過失が肯定されています(9頁以下)。
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6 不当利得返還請求権の存否及び利得額
平成16年から平成17年にかけての販売分の不法行為に基づく損害賠償請求については、被告の消滅時効の抗弁が認められましたが、控訴審では当該販売分について被告が使用料相当額の利益を受け、原告に同額の損失を及ぼしていたと判断。被告各DVDの小売価格3800円(税抜)の25%に実販売本数を乗じた額(合計1054万5000円)を利得額として認定しています(14頁以下。なお、訴状送達を受けた日である平成21年7月13日から悪意となったと判断しています)。
結論として、平成18年の販売分に関する不法行為に基づく損害賠償請求(損害金9万5000円。なお、弁護士費用1万円。原審と同様)と不当利得返還請求の合計1065万円が認められています。
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■コメント
被告出版社の不当利得が認められて損害賠償額が増額の結論となりました。
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■過去のブログ記事
2011年09月24日 原審記事
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■参考文献
寒河江孝允監修、永野周志、矢野敏樹編『知的財産権訴訟における損害賠償額算定の実務』(2008)294頁以下
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2012年03月07日
溶銑運搬列車制御プログラム事件(控訴審)−著作権 著作権確認等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
溶銑運搬列車制御プログラム事件(控訴審)
知財高裁平成24.1.25平成21(ネ)10024著作権確認等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 滝澤孝臣
裁判官 井上泰人
裁判官 荒井章光
*裁判所サイト公表 2012.2.27
*キーワード:プログラム著作物、創作性
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■事案
溶融状態の銑鉄を運搬する列車のブレーキ制御プログラムの著作物性が争われた事案の控訴審
控訴人兼被控訴人(一審原告):通信機器製造販売会社
被控訴人権控訴人(一審被告):鉄鋼会社、物流会社
プログラム目録:
トレックス−PB装置(混銑車自動停留ブレーキ及び連結解放装置)のうち、ディーゼル機関車(DHL車)及び貨車(TC車)の各制御装置に格納されたプログラム一式
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■結論
一審被告敗訴部分取消し
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■争点
条文 著作権法2条1項10号の2
1 本件プログラムの著作物性
2 本件使用料支払契約の成否
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■事案の概要
『本件は,1審原告において,1審被告スチールが使用している「混銑車自動停留ブレーキ及び連結解放装置」(以下「本件装置」という。)に組み込まれた別紙プログラム目録記載のプログラム(以下「本件プログラム」という。)の複製物について,1審原告が湯浅通信機工業株式会社(以下「湯浅通信機」という。)から当該プログラムの著作権を譲渡されるなどして本件プログラムの著作権を取得したところ,1審被告スチールが本件装置を使用するに当たり,1審被告らとの間で,相当額の本件プログラムの使用料を支払う旨の合意があった,仮に合意がなかったとしても,1審被告スチールは本件プログラムの使用により不当に利得しているとして,これを争う1審被告らに対し,(1)本件プログラムの著作権が1審原告に帰属することの確認,(2)本件プログラムの使用料支払契約(1審被告らに対する主位的請求及び1審被告スチールに対する予備的請求1)ないし不当利得(1審被告スチールに対する予備的請求2)に基づき,連帯して,使用料ないし不当利得相当額15億円の支払(平成11年1月1日から平成16年12月31日まで6年間分合計18億円のうちの10億円及び平成17年1月1日から平成20年12月31日までの4年間分合計12億円のうちの5億円の一部請求。なお,遅延損害金は,1審被告スチールについては,平成11年1月1日から平成16年12月31日までの6年間分18億円のうち5億円につき訴状送達の日の翌日である平成17年4月12日から,うち5億円につき平成18年4月13日付け請求の趣旨変更申立書送達の日の翌日である同年3月16日から,平成17年1月1日から平成20年12月31日までの4年間分12億円のうち5億円につき平成21年9月3日付け請求の趣旨変更申立書送達の日の翌日である同年11月19日から,1審被告物流については平成11年1月1日から平成16年12月31日までの6年間分18億円のうち10億円につき平成19年3月16日付け請求の趣旨変更申立書送達の日の翌日である同月17日から,平成17年1月1日から平成20年12月31日までの4年間分12億円のうち5億円につき平成21年9月3日付け請求の趣旨変更申立書送達の日の翌日である同年11月19日から各支払済みまで年5分の割合)を求める事案である。』
『原判決は,本件装置における車両の連結・解放・ブレーキ操作の方法・装置は,特許を取得する程度に新規なものであったことから,これに対応する本件プログラムも新規な内容のものであるということができ,しかも,本件プログラムは,その分量も多く,選択配列の幅が十分にある中から選択配列されたものということができるから,その表現には全体として作成者の個性が表れているものと推認することができるところ,本件プログラムの著作権は,著作権者である湯浅通信機から1審原告に遅くとも平成11年ころまでには譲渡されたものと認められるとして,上記(1)の本件プログラムの著作権に係る確認請求を認容した。
しかし,(2)の本件プログラムの著作権に係る金銭請求については,本件プログラムの使用料支払契約に係る合意が成立したとは認められず,また,1審被告スチールは適法に複製された本件プログラムの複製物を本件装置において使用しているにすぎない以上,1審原告には何らの損失が生じたものということはできないから,不当利得も成立しないとして,これを棄却した。
1審原告及び1審被告らは,原判決を不服として,それぞれ控訴に及んだ』事案(2頁以下)
--------------------
■判決内容
<争点>
1 本件プログラムの著作物性
製鉄所で溶融状態の銑鉄を運搬する列車(動力車、貨車)の「混銑車自動停留ブレーキ及び連結解放装置」(本件装置)に組込まれた制御プログラムの著作物性について、ありふれたものかどうかが争点となりました。
この点について、原審では、『本件プログラムは,DHL車の部分及びTC車の部分を併せた全体として新規な表現であり,しかも,その分量(ソースリストでみると,DHL車の部分は1300行以上,TC車の部分は約1000行)も多く,選択配列の幅が十分にある中から選択配列されたものということができるから,その表現には全体として作成者の個性が表れているものと推認することができる。』(39頁以下)としてその著作物性をソースコード自体の検討をすることなく肯定していました。
しかし、控訴審では、原審では開示されなかった本件プログラム全体のソースコードの検討が必要であることが示された上で、弁論準備手続期日における受命裁判官の求釈明により、本件プログラム全体のソースコードを文書として提出するか否かについて検討し、DHL車側プログラムについては一審原告がソースコードを提出したものの、本件プログラムのいかなる箇所にプログラム制作者の個性が発揮されているのかについて具体的に主張立証していないと判断。
また、TC車側プログラムについても、当該命令部分の相当程度のソースコードが開示されていないなどとして、当該命令部分の存在が、プログラム制作者の個性、すなわち表現上の創作性が発揮されているものであることについて、これを認めるに足りる証拠はないというほかないと判断。
結論として、DHL車及びTC車いずれのプログラムについてもその創作性が否定されています(72頁以下)。
------------------------------------
2 本件使用料支払契約の成否
本件使用料支払契約に係る合意の成立自体についても、契約締結に至る経緯や本件装置の納入代金と使用料額との対比などが検討された上で否定されています(119頁以下)。
--------------------
■コメント
一審では本件プログラムの著作権の確認の限りでは認容されていましたが、控訴審では、その点も含め原告の全面敗訴となりました。
原審では、本件プログラムのフローチャートやソースリストの量などを勘案してプログラムの創作性を判断していましたが、控訴審ではプログラムの創作性判断にあたってはソースコードの検討がその内容の確定を含め要求されるとしてソースコードの開示を厳格に捉えた点が控訴審レベルの判断として参考になります。
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■過去のブログ記事
2009年3月5日 原審
溶銑運搬列車制御プログラム事件(控訴審)
知財高裁平成24.1.25平成21(ネ)10024著作権確認等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 滝澤孝臣
裁判官 井上泰人
裁判官 荒井章光
*裁判所サイト公表 2012.2.27
*キーワード:プログラム著作物、創作性
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■事案
溶融状態の銑鉄を運搬する列車のブレーキ制御プログラムの著作物性が争われた事案の控訴審
控訴人兼被控訴人(一審原告):通信機器製造販売会社
被控訴人権控訴人(一審被告):鉄鋼会社、物流会社
プログラム目録:
トレックス−PB装置(混銑車自動停留ブレーキ及び連結解放装置)のうち、ディーゼル機関車(DHL車)及び貨車(TC車)の各制御装置に格納されたプログラム一式
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■結論
一審被告敗訴部分取消し
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■争点
条文 著作権法2条1項10号の2
1 本件プログラムの著作物性
2 本件使用料支払契約の成否
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■事案の概要
『本件は,1審原告において,1審被告スチールが使用している「混銑車自動停留ブレーキ及び連結解放装置」(以下「本件装置」という。)に組み込まれた別紙プログラム目録記載のプログラム(以下「本件プログラム」という。)の複製物について,1審原告が湯浅通信機工業株式会社(以下「湯浅通信機」という。)から当該プログラムの著作権を譲渡されるなどして本件プログラムの著作権を取得したところ,1審被告スチールが本件装置を使用するに当たり,1審被告らとの間で,相当額の本件プログラムの使用料を支払う旨の合意があった,仮に合意がなかったとしても,1審被告スチールは本件プログラムの使用により不当に利得しているとして,これを争う1審被告らに対し,(1)本件プログラムの著作権が1審原告に帰属することの確認,(2)本件プログラムの使用料支払契約(1審被告らに対する主位的請求及び1審被告スチールに対する予備的請求1)ないし不当利得(1審被告スチールに対する予備的請求2)に基づき,連帯して,使用料ないし不当利得相当額15億円の支払(平成11年1月1日から平成16年12月31日まで6年間分合計18億円のうちの10億円及び平成17年1月1日から平成20年12月31日までの4年間分合計12億円のうちの5億円の一部請求。なお,遅延損害金は,1審被告スチールについては,平成11年1月1日から平成16年12月31日までの6年間分18億円のうち5億円につき訴状送達の日の翌日である平成17年4月12日から,うち5億円につき平成18年4月13日付け請求の趣旨変更申立書送達の日の翌日である同年3月16日から,平成17年1月1日から平成20年12月31日までの4年間分12億円のうち5億円につき平成21年9月3日付け請求の趣旨変更申立書送達の日の翌日である同年11月19日から,1審被告物流については平成11年1月1日から平成16年12月31日までの6年間分18億円のうち10億円につき平成19年3月16日付け請求の趣旨変更申立書送達の日の翌日である同月17日から,平成17年1月1日から平成20年12月31日までの4年間分12億円のうち5億円につき平成21年9月3日付け請求の趣旨変更申立書送達の日の翌日である同年11月19日から各支払済みまで年5分の割合)を求める事案である。』
『原判決は,本件装置における車両の連結・解放・ブレーキ操作の方法・装置は,特許を取得する程度に新規なものであったことから,これに対応する本件プログラムも新規な内容のものであるということができ,しかも,本件プログラムは,その分量も多く,選択配列の幅が十分にある中から選択配列されたものということができるから,その表現には全体として作成者の個性が表れているものと推認することができるところ,本件プログラムの著作権は,著作権者である湯浅通信機から1審原告に遅くとも平成11年ころまでには譲渡されたものと認められるとして,上記(1)の本件プログラムの著作権に係る確認請求を認容した。
しかし,(2)の本件プログラムの著作権に係る金銭請求については,本件プログラムの使用料支払契約に係る合意が成立したとは認められず,また,1審被告スチールは適法に複製された本件プログラムの複製物を本件装置において使用しているにすぎない以上,1審原告には何らの損失が生じたものということはできないから,不当利得も成立しないとして,これを棄却した。
1審原告及び1審被告らは,原判決を不服として,それぞれ控訴に及んだ』事案(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件プログラムの著作物性
製鉄所で溶融状態の銑鉄を運搬する列車(動力車、貨車)の「混銑車自動停留ブレーキ及び連結解放装置」(本件装置)に組込まれた制御プログラムの著作物性について、ありふれたものかどうかが争点となりました。
この点について、原審では、『本件プログラムは,DHL車の部分及びTC車の部分を併せた全体として新規な表現であり,しかも,その分量(ソースリストでみると,DHL車の部分は1300行以上,TC車の部分は約1000行)も多く,選択配列の幅が十分にある中から選択配列されたものということができるから,その表現には全体として作成者の個性が表れているものと推認することができる。』(39頁以下)としてその著作物性をソースコード自体の検討をすることなく肯定していました。
しかし、控訴審では、原審では開示されなかった本件プログラム全体のソースコードの検討が必要であることが示された上で、弁論準備手続期日における受命裁判官の求釈明により、本件プログラム全体のソースコードを文書として提出するか否かについて検討し、DHL車側プログラムについては一審原告がソースコードを提出したものの、本件プログラムのいかなる箇所にプログラム制作者の個性が発揮されているのかについて具体的に主張立証していないと判断。
また、TC車側プログラムについても、当該命令部分の相当程度のソースコードが開示されていないなどとして、当該命令部分の存在が、プログラム制作者の個性、すなわち表現上の創作性が発揮されているものであることについて、これを認めるに足りる証拠はないというほかないと判断。
結論として、DHL車及びTC車いずれのプログラムについてもその創作性が否定されています(72頁以下)。
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2 本件使用料支払契約の成否
本件使用料支払契約に係る合意の成立自体についても、契約締結に至る経緯や本件装置の納入代金と使用料額との対比などが検討された上で否定されています(119頁以下)。
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■コメント
一審では本件プログラムの著作権の確認の限りでは認容されていましたが、控訴審では、その点も含め原告の全面敗訴となりました。
原審では、本件プログラムのフローチャートやソースリストの量などを勘案してプログラムの創作性を判断していましたが、控訴審ではプログラムの創作性判断にあたってはソースコードの検討がその内容の確定を含め要求されるとしてソースコードの開示を厳格に捉えた点が控訴審レベルの判断として参考になります。
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■過去のブログ記事
2009年3月5日 原審
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2012年03月05日
漢字能力検定対策問題集事件−著作権 著作権確認等請求事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
漢字能力検定対策問題集事件
大阪地裁平成24.2.16平成21(ワ)18463著作権確認等請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官 達野ゆき
裁判官 西田昌吾
*裁判所サイト公表 2012.2.24
*キーワード:編集著作権、著作者の推定、法人著作、営業誹謗行為
--------------------
■事案
漢字能力検定対策問題集の編集著作権の帰属や営業誹謗行為性が争点となった事案
原告:漢字検定実施財団法人
被告:教材制作会社、代表者P1
本件書籍1ないし11:過去問題集
本件書籍12ないし21:ステップシリーズ
本件書籍22ないし27:分野別シリーズ
本件書籍28ないし33:ハンディシリーズ
--------------------
■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法12条、14条、15条1項、不正競争防止法2条1項14号
1 本件対策問題集の編集著作権の帰属
2 不正競争防止法に基づく請求
--------------------
■事案の概要
『原告は,本件各書籍の編集著作権は原告に帰属しており,被告らの前記1(7)の各行為は不正競争防止法2条1項14号の営業誹謗行為にあたるとして,被告らに対し,(1)本件書籍12ないし33(以下「本件対策問題集」という。)の編集著作権が原告にあることの確認を求め,(2)不正競争防止法3条1項に基づき,本件各書籍の編集著作権が被告オークに帰属する旨,及び本件各書籍を制作・販売する原告の行為が被告オークの著作権を侵害している旨の告知・流布行為の禁止を求め』た事案(5頁以下)
<経緯>
S50 被告社が日本漢字能力検定を開始
H04.6 被告P1が原告を設立
H16.1 原被告間で商品供給に関する商品売買基本契約を締結
H21.4 被告P1が原告代表を退任
H21.9 被告取締役P2が印刷会社らに侵害警告の告知
H22.4 第3回弁論準備手続期日において過去問の編集著作権認諾
H24.2 被告P1に背任罪有罪判決(京都地裁)
--------------------
■判決内容
<争点>
1 本件対策問題集の編集著作権の帰属
漢字能力検定の対策問題集(本件書籍12ないし33)の編集著作権の帰属について、問題集の制作、編集には原告の従業員、被告社、外部編集プロダクションが係わっていましたが、それらの関わり、経緯を踏まえた上で検討を加えています。
そして、各書籍の奥書には、
編者 被告社の事業部門名
監修 原告名
発行者 P1
発行所 原告名
との記載があることから、編集著作者は被告社であると推定される(14条)ものの、推定を覆す事実として原告に法人著作(15条1項)が成立するかどうかを検討しています。
この点について、ステップ毎の大問(出題形式)や小問(具体的な問題)などの素材の選択、配列について創作性のある作業を行ったのは、原告の編集方針に従い、原告の最終的な決定権限に基づき具体的な関与を行った原告の従業員であるなどとして、本件対策問題集の編集著作者は15条1項により原告であると認められています(13頁以下)。
なお、外部編集プロダクションが独自に編集著作権を取得するかどうかについて、裁判所は、編集プロダクションは原告の方針に反して選択・配列に創作性を発揮することが許されない立場にあり、いわば原告の手足であったと認定。被告社と編集プロダクションとの間で締結された業務委託契約書上の著作権譲渡規定を根拠に被告社が編集著作権を取得することはないと判断されています(29頁以下)。
また、被告社の編集への具体的な関与も認定されていません(32頁以下)。
------------------------------------
2 不正競争防止法に基づく請求
本件対策問題集の編集著作権は原告に帰属し、被告社には帰属しないと認められたことから、被告らが第三者に対してその編集著作権が被告社に帰属する旨及び同書籍を制作販売する原告の行為が、被告社の著作権を侵害している旨を告知、流布することは、教材の制作・販売等において競争関係にあると認められる原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知、流布(2条1項14号)となると判断されています(36頁以下)。
以上から、本件対策問題集の編集著作権の確認と営業誹謗行為の差止めが認められています。
--------------------
■コメント
漢字検定については、理事長らによる協会の私物化が問題になり、平成16年から自身や親族が役員を務める広告会社や調査研究会社に「年間プロモーション企画費」などの名目で計42回、架空の業務を発注し損害を与えたとして刑事事件化、平成24年2月29日に背任罪で元理事長親子に京都地裁で有罪判決が下されています。
事件の発覚後、協会は組織の改革に取り組んでおり、本件はその流れのなかでの提訴の一部と位置付けられます。
--------------------
■参考サイト
平成24年2月29日 財団法人 日本漢字能力検定協会リリース
2012/02/29 弊協会の元理事長・副理事長に対する刑事裁判の判決について
漢字能力検定対策問題集事件
大阪地裁平成24.2.16平成21(ワ)18463著作権確認等請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官 達野ゆき
裁判官 西田昌吾
*裁判所サイト公表 2012.2.24
*キーワード:編集著作権、著作者の推定、法人著作、営業誹謗行為
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■事案
漢字能力検定対策問題集の編集著作権の帰属や営業誹謗行為性が争点となった事案
原告:漢字検定実施財団法人
被告:教材制作会社、代表者P1
本件書籍1ないし11:過去問題集
本件書籍12ないし21:ステップシリーズ
本件書籍22ないし27:分野別シリーズ
本件書籍28ないし33:ハンディシリーズ
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法12条、14条、15条1項、不正競争防止法2条1項14号
1 本件対策問題集の編集著作権の帰属
2 不正競争防止法に基づく請求
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■事案の概要
『原告は,本件各書籍の編集著作権は原告に帰属しており,被告らの前記1(7)の各行為は不正競争防止法2条1項14号の営業誹謗行為にあたるとして,被告らに対し,(1)本件書籍12ないし33(以下「本件対策問題集」という。)の編集著作権が原告にあることの確認を求め,(2)不正競争防止法3条1項に基づき,本件各書籍の編集著作権が被告オークに帰属する旨,及び本件各書籍を制作・販売する原告の行為が被告オークの著作権を侵害している旨の告知・流布行為の禁止を求め』た事案(5頁以下)
<経緯>
S50 被告社が日本漢字能力検定を開始
H04.6 被告P1が原告を設立
H16.1 原被告間で商品供給に関する商品売買基本契約を締結
H21.4 被告P1が原告代表を退任
H21.9 被告取締役P2が印刷会社らに侵害警告の告知
H22.4 第3回弁論準備手続期日において過去問の編集著作権認諾
H24.2 被告P1に背任罪有罪判決(京都地裁)
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■判決内容
<争点>
1 本件対策問題集の編集著作権の帰属
漢字能力検定の対策問題集(本件書籍12ないし33)の編集著作権の帰属について、問題集の制作、編集には原告の従業員、被告社、外部編集プロダクションが係わっていましたが、それらの関わり、経緯を踏まえた上で検討を加えています。
そして、各書籍の奥書には、
編者 被告社の事業部門名
監修 原告名
発行者 P1
発行所 原告名
との記載があることから、編集著作者は被告社であると推定される(14条)ものの、推定を覆す事実として原告に法人著作(15条1項)が成立するかどうかを検討しています。
この点について、ステップ毎の大問(出題形式)や小問(具体的な問題)などの素材の選択、配列について創作性のある作業を行ったのは、原告の編集方針に従い、原告の最終的な決定権限に基づき具体的な関与を行った原告の従業員であるなどとして、本件対策問題集の編集著作者は15条1項により原告であると認められています(13頁以下)。
なお、外部編集プロダクションが独自に編集著作権を取得するかどうかについて、裁判所は、編集プロダクションは原告の方針に反して選択・配列に創作性を発揮することが許されない立場にあり、いわば原告の手足であったと認定。被告社と編集プロダクションとの間で締結された業務委託契約書上の著作権譲渡規定を根拠に被告社が編集著作権を取得することはないと判断されています(29頁以下)。
また、被告社の編集への具体的な関与も認定されていません(32頁以下)。
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2 不正競争防止法に基づく請求
本件対策問題集の編集著作権は原告に帰属し、被告社には帰属しないと認められたことから、被告らが第三者に対してその編集著作権が被告社に帰属する旨及び同書籍を制作販売する原告の行為が、被告社の著作権を侵害している旨を告知、流布することは、教材の制作・販売等において競争関係にあると認められる原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知、流布(2条1項14号)となると判断されています(36頁以下)。
以上から、本件対策問題集の編集著作権の確認と営業誹謗行為の差止めが認められています。
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■コメント
漢字検定については、理事長らによる協会の私物化が問題になり、平成16年から自身や親族が役員を務める広告会社や調査研究会社に「年間プロモーション企画費」などの名目で計42回、架空の業務を発注し損害を与えたとして刑事事件化、平成24年2月29日に背任罪で元理事長親子に京都地裁で有罪判決が下されています。
事件の発覚後、協会は組織の改革に取り組んでおり、本件はその流れのなかでの提訴の一部と位置付けられます。
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■参考サイト
平成24年2月29日 財団法人 日本漢字能力検定協会リリース
2012/02/29 弊協会の元理事長・副理事長に対する刑事裁判の判決について
written by ootsukahoumu at 09:02|この記事のURL│TrackBack(0)
2012年02月23日
「北朝鮮の極秘文書」損害賠償請求事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「北朝鮮の極秘文書」損害賠償請求事件
東京地裁平成24.1.31平成20(ワ)20337損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 山門 優
裁判官 志賀 勝
*裁判所サイト公表 2012.2.15
*キーワード:編集著作物性、複製権、翻案権、譲渡権、消滅時効、名誉毀損
--------------------
■事案
朝鮮史資料集の無断掲載書籍の著作権侵害性や名誉毀損の成否が争点となった事案
原告:作家
被告:出版社、出版社代表取締役ら
--------------------
■結論
本訴一部認容、反訴一部認容
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■争点
条文 著作権法12条1項、27条、26条の2、113条1項2号、民法724条
1 原告書籍収録文書は、編集著作物か
2 韓国書籍解説は、原告書籍解説に係る原告の著作権(翻案権)を侵害するか
3 被告らは、韓国高麗書林と共謀して韓国書籍を製作したか
4 被告らは、韓国書籍が原告書籍に係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものであることの「情を知って」韓国書籍を販売したものか
5 被告らは、韓国書籍を販売することにより原告書籍に係る原告の著作権(譲渡権)を侵害したか
6 消滅時効の成否
7 原告の損害
8 被告らの不当利得の有無
9 本件新聞記事及び本件ビラ等は、被告両名の名誉ないし信用を毀損するものか(反訴)
10 本件新聞記事及び本件ビラ等に掲載された事実は真実か等(反訴)
11 被告両名の損害について(反訴)
12 謝罪広告の要否(反訴)
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■事案の概要
『本訴事件は,後記原告書籍について著作権を有すると主張する原告が,後記韓国書籍は原告に無断で原告書籍の一部を掲載したものであり,同書籍を製作し販売した被告高麗書林は,原告書籍に係る原告の著作権(複製権,翻案権,譲渡権)及び著作者人格権(氏名表示権,同一性保持権)を侵害したなどと主張して,被告高麗書林,上記韓国書籍が出版された当時の同社の代表取締役であった被告B,及び被告Bの子で上記出版の当時から現在まで同社の代表取締役である被告Cに対し,不法行為に基づく損害賠償等として,3687万2000円(著作権侵害の損害として3187万2000円,著作者人格権侵害の損害として500万円)及びこれに対する不法行為の日(上記韓国書籍が出版された日)である平成10年6月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払うよう求める事案である。
反訴事件は,被告高麗書林及び被告B(以下「被告両名」という。)が,被告両名は,原告が執筆し日刊・大阪日日新聞に掲載された後記新聞記事,及び原告が朝鮮史研究会の会場において来場者に配布した後記ビラなどに,被告両名が上記原告書籍を無断で盗用し,著作権侵害の海賊版(上記韓国書籍)を製作・販売したかのような内容が記載されていることによって,被告両名の名誉及び信用を毀損されたと主張して,原告に対し,謝罪広告並びに,不法行為に基づく損害賠償として,それぞれ1375万円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日である平成20年10月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』(3頁以下)
<経緯>
H08.02「米国・国立公文書館所蔵 北朝鮮の極秘文書(1945年8月ー1951年6月)」(原告書籍)出版
H10.06韓国高麗書林が「美國・國立公文書館所蔵 北韓解放直後極秘資料(1945年8月ー1951年6月)」出版
H20.07原告が新聞記事を寄稿
H20.10原告がビラを配布
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■判決内容
<争点>
1 原告書籍収録文書は、編集著作物か
まず、原告書籍収録文書の編集著作物性(著作権法12条1項)が争点となっています(35頁以下)。
被告らは、原告書籍収録文書では米軍押収文書から出版物を作成する場合にとられる標準的な素材の選択又は配列であって、創作性がないと反論しました。
この点について、裁判所は、単に米軍押収文書を時系列に従って並べたり、既に分類されていたものの中から特定の項目のものを選択したりしたというものではなく、原告が、未整理の状態で保存されていた160万ページにも及ぶ米軍押収文書の中から南北朝鮮のどちらが先に朝鮮戦争を仕掛け、戦争を主導したかを明らかにする文書という一定の視点から約1500ページ分を選択し、これを原告の設定したテーマごとに分類して配列したものといえると判断。
原告書籍収録文書は、全体として素材である原資料の選択及び配列に編者の個性が顕れているものと認められるものであり、編集著作物に当たるというべきである、としています。
------------------------------------
2 韓国書籍解説は、原告書籍解説に係る原告の著作権(翻案権)を侵害するか
韓国書籍の冒頭に韓国語(ハングル)で書かれた解説文が、原告書籍解説に係る原告の翻案権を侵害するかどうかについて、裁判所は、収録文書や資料の掲載順序が原告書籍収録文書と同じであることなどから、依拠性と日本語から韓国語への翻訳する変更の翻案行為性が認められています(39頁以下)。
------------------------------------
3 被告らは、韓国高麗書林と共謀して韓国書籍を製作したか
被告らが、韓国高麗書林と共謀して韓国書籍を製作したかどうかについて、結論としては、認められていません(40頁以下)。
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4 被告らは、韓国書籍が原告書籍に係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものであることの「情を知って」韓国書籍を販売したものか
原告は、被告らが韓国高麗書林のDと共謀して原告書籍に基づき韓国書籍を製作し、これを日本で販売していたとして侵害みなし行為(113条1項2号)に該当すると主張しましたが、裁判所は、被告らの製作関与の事実が認められないこと、また、販売の際に侵害の認識を有していたとも認めるに足りる証拠もないとして113条1項2号該当性を否定しています(46頁以下)。
------------------------------------
5 被告らは、韓国書籍を販売することにより原告書籍に係る原告の著作権(譲渡権)を侵害したか
原告の著作権(複製権、翻案権)及び著作者人格権の侵害の事実は認められませんでしたが、さらに譲渡権(26条の2)の侵害性が争点となっています。
この点について、裁判所は、被告Bないし被告高麗書林は、韓国書籍収録文書が原告書籍収録文書を複製したものであること及び韓国書籍解説が原告書籍解説を翻案したものであることを認識し得たにもかかわらず、このような調査を行うことなく韓国書籍を販売したものであるとして、原告が平成14年4月4日に被告高麗書林を訪問して被告Bとやりとりをした後の被告高麗書林による韓国書籍の販売による原告書籍に係る原告の著作権(譲渡権)侵害については、被告高麗書林及び被告Bに過失があったというべきであるとして、両者の譲渡権侵害が認定されています(47頁)。
------------------------------------
6 消滅時効の成否
被告らは、消滅時効の抗弁を主張しましたが(民法724条)、被告高麗書林が平成14年4月4日以降も韓国書籍の販売を継続していたことの認識が原告にあったとは認定できないとして、裁判所は被告らの主張を認めていません(48頁)。
------------------------------------
7 原告の損害
原告書籍に係る原告の著作権(譲渡権)侵害について、逸失利益として27万円(10セットの販売。1セット当たり2万7000円の許諾料として算定)、弁護士費用として3万円の合計30万円が損害額として認定されています(48頁以下)。
------------------------------------
8 被告らの不当利得の有無
被告らによる不当利得の有無について、裁判所は原告の主張を認めていません(51頁)。
------------------------------------
9 本件新聞記事及び本件ビラ等は、被告両名の名誉ないし信用を毀損するものか(反訴)
謝罪広告掲載などを求めた反訴請求について、まず、本件新聞記事やビラに掲載された内容が、被告らの社会的評価を低下させるものであることが認定されています(51頁以下)。
------------------------------------
10 本件新聞記事及び本件ビラ等に掲載された事実は真実か等(反訴)
次に、掲載事実の真実性や真実であると信ずるについて相当の理由があったかどうかが検討されていますが、いずれも認められていません(53頁以下)。
------------------------------------
11 被告両名の損害について(反訴)
被告両名の名誉ないし信用を毀損した行為について、被告高麗書林が受けた無形の損害及び被告Bが受けた精神的損害についてそれぞれ30万円、また、弁護士費用についてはそれぞれ3万円が損害額として認定されています(54頁)。
------------------------------------
12 謝罪広告の要否(反訴)
被告らが求めた新聞への謝罪広告掲載の必要は、認められていません(54頁以下)。
--------------------
■コメント
「北朝鮮の極秘文書」図書館蔵本事件の判決文でも触れられていた別件訴訟である損害賠償請求事件となります。
被告出版社らの韓国語翻訳版侵害書籍製作への直接の関与は認められなかったものの、侵害書籍販売の点で過失が認められています。
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■過去のブログ記事
2009年03月21日記事(不二出版訴訟)
復刻版歴史資料事件
2010年04月10日記事
「北朝鮮の極秘文書」図書館蔵本事件
2010年08月17日記事
「北朝鮮の極秘文書」図書館蔵本事件(控訴審)
「北朝鮮の極秘文書」損害賠償請求事件
東京地裁平成24.1.31平成20(ワ)20337損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 山門 優
裁判官 志賀 勝
*裁判所サイト公表 2012.2.15
*キーワード:編集著作物性、複製権、翻案権、譲渡権、消滅時効、名誉毀損
--------------------
■事案
朝鮮史資料集の無断掲載書籍の著作権侵害性や名誉毀損の成否が争点となった事案
原告:作家
被告:出版社、出版社代表取締役ら
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■結論
本訴一部認容、反訴一部認容
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■争点
条文 著作権法12条1項、27条、26条の2、113条1項2号、民法724条
1 原告書籍収録文書は、編集著作物か
2 韓国書籍解説は、原告書籍解説に係る原告の著作権(翻案権)を侵害するか
3 被告らは、韓国高麗書林と共謀して韓国書籍を製作したか
4 被告らは、韓国書籍が原告書籍に係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものであることの「情を知って」韓国書籍を販売したものか
5 被告らは、韓国書籍を販売することにより原告書籍に係る原告の著作権(譲渡権)を侵害したか
6 消滅時効の成否
7 原告の損害
8 被告らの不当利得の有無
9 本件新聞記事及び本件ビラ等は、被告両名の名誉ないし信用を毀損するものか(反訴)
10 本件新聞記事及び本件ビラ等に掲載された事実は真実か等(反訴)
11 被告両名の損害について(反訴)
12 謝罪広告の要否(反訴)
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■事案の概要
『本訴事件は,後記原告書籍について著作権を有すると主張する原告が,後記韓国書籍は原告に無断で原告書籍の一部を掲載したものであり,同書籍を製作し販売した被告高麗書林は,原告書籍に係る原告の著作権(複製権,翻案権,譲渡権)及び著作者人格権(氏名表示権,同一性保持権)を侵害したなどと主張して,被告高麗書林,上記韓国書籍が出版された当時の同社の代表取締役であった被告B,及び被告Bの子で上記出版の当時から現在まで同社の代表取締役である被告Cに対し,不法行為に基づく損害賠償等として,3687万2000円(著作権侵害の損害として3187万2000円,著作者人格権侵害の損害として500万円)及びこれに対する不法行為の日(上記韓国書籍が出版された日)である平成10年6月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払うよう求める事案である。
反訴事件は,被告高麗書林及び被告B(以下「被告両名」という。)が,被告両名は,原告が執筆し日刊・大阪日日新聞に掲載された後記新聞記事,及び原告が朝鮮史研究会の会場において来場者に配布した後記ビラなどに,被告両名が上記原告書籍を無断で盗用し,著作権侵害の海賊版(上記韓国書籍)を製作・販売したかのような内容が記載されていることによって,被告両名の名誉及び信用を毀損されたと主張して,原告に対し,謝罪広告並びに,不法行為に基づく損害賠償として,それぞれ1375万円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日である平成20年10月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』(3頁以下)
<経緯>
H08.02「米国・国立公文書館所蔵 北朝鮮の極秘文書(1945年8月ー1951年6月)」(原告書籍)出版
H10.06韓国高麗書林が「美國・國立公文書館所蔵 北韓解放直後極秘資料(1945年8月ー1951年6月)」出版
H20.07原告が新聞記事を寄稿
H20.10原告がビラを配布
--------------------
■判決内容
<争点>
1 原告書籍収録文書は、編集著作物か
まず、原告書籍収録文書の編集著作物性(著作権法12条1項)が争点となっています(35頁以下)。
被告らは、原告書籍収録文書では米軍押収文書から出版物を作成する場合にとられる標準的な素材の選択又は配列であって、創作性がないと反論しました。
この点について、裁判所は、単に米軍押収文書を時系列に従って並べたり、既に分類されていたものの中から特定の項目のものを選択したりしたというものではなく、原告が、未整理の状態で保存されていた160万ページにも及ぶ米軍押収文書の中から南北朝鮮のどちらが先に朝鮮戦争を仕掛け、戦争を主導したかを明らかにする文書という一定の視点から約1500ページ分を選択し、これを原告の設定したテーマごとに分類して配列したものといえると判断。
原告書籍収録文書は、全体として素材である原資料の選択及び配列に編者の個性が顕れているものと認められるものであり、編集著作物に当たるというべきである、としています。
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2 韓国書籍解説は、原告書籍解説に係る原告の著作権(翻案権)を侵害するか
韓国書籍の冒頭に韓国語(ハングル)で書かれた解説文が、原告書籍解説に係る原告の翻案権を侵害するかどうかについて、裁判所は、収録文書や資料の掲載順序が原告書籍収録文書と同じであることなどから、依拠性と日本語から韓国語への翻訳する変更の翻案行為性が認められています(39頁以下)。
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3 被告らは、韓国高麗書林と共謀して韓国書籍を製作したか
被告らが、韓国高麗書林と共謀して韓国書籍を製作したかどうかについて、結論としては、認められていません(40頁以下)。
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4 被告らは、韓国書籍が原告書籍に係る原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものであることの「情を知って」韓国書籍を販売したものか
原告は、被告らが韓国高麗書林のDと共謀して原告書籍に基づき韓国書籍を製作し、これを日本で販売していたとして侵害みなし行為(113条1項2号)に該当すると主張しましたが、裁判所は、被告らの製作関与の事実が認められないこと、また、販売の際に侵害の認識を有していたとも認めるに足りる証拠もないとして113条1項2号該当性を否定しています(46頁以下)。
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5 被告らは、韓国書籍を販売することにより原告書籍に係る原告の著作権(譲渡権)を侵害したか
原告の著作権(複製権、翻案権)及び著作者人格権の侵害の事実は認められませんでしたが、さらに譲渡権(26条の2)の侵害性が争点となっています。
この点について、裁判所は、被告Bないし被告高麗書林は、韓国書籍収録文書が原告書籍収録文書を複製したものであること及び韓国書籍解説が原告書籍解説を翻案したものであることを認識し得たにもかかわらず、このような調査を行うことなく韓国書籍を販売したものであるとして、原告が平成14年4月4日に被告高麗書林を訪問して被告Bとやりとりをした後の被告高麗書林による韓国書籍の販売による原告書籍に係る原告の著作権(譲渡権)侵害については、被告高麗書林及び被告Bに過失があったというべきであるとして、両者の譲渡権侵害が認定されています(47頁)。
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6 消滅時効の成否
被告らは、消滅時効の抗弁を主張しましたが(民法724条)、被告高麗書林が平成14年4月4日以降も韓国書籍の販売を継続していたことの認識が原告にあったとは認定できないとして、裁判所は被告らの主張を認めていません(48頁)。
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7 原告の損害
原告書籍に係る原告の著作権(譲渡権)侵害について、逸失利益として27万円(10セットの販売。1セット当たり2万7000円の許諾料として算定)、弁護士費用として3万円の合計30万円が損害額として認定されています(48頁以下)。
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8 被告らの不当利得の有無
被告らによる不当利得の有無について、裁判所は原告の主張を認めていません(51頁)。
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9 本件新聞記事及び本件ビラ等は、被告両名の名誉ないし信用を毀損するものか(反訴)
謝罪広告掲載などを求めた反訴請求について、まず、本件新聞記事やビラに掲載された内容が、被告らの社会的評価を低下させるものであることが認定されています(51頁以下)。
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10 本件新聞記事及び本件ビラ等に掲載された事実は真実か等(反訴)
次に、掲載事実の真実性や真実であると信ずるについて相当の理由があったかどうかが検討されていますが、いずれも認められていません(53頁以下)。
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11 被告両名の損害について(反訴)
被告両名の名誉ないし信用を毀損した行為について、被告高麗書林が受けた無形の損害及び被告Bが受けた精神的損害についてそれぞれ30万円、また、弁護士費用についてはそれぞれ3万円が損害額として認定されています(54頁)。
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12 謝罪広告の要否(反訴)
被告らが求めた新聞への謝罪広告掲載の必要は、認められていません(54頁以下)。
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■コメント
「北朝鮮の極秘文書」図書館蔵本事件の判決文でも触れられていた別件訴訟である損害賠償請求事件となります。
被告出版社らの韓国語翻訳版侵害書籍製作への直接の関与は認められなかったものの、侵害書籍販売の点で過失が認められています。
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■過去のブログ記事
2009年03月21日記事(不二出版訴訟)
復刻版歴史資料事件
2010年04月10日記事
「北朝鮮の極秘文書」図書館蔵本事件
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「北朝鮮の極秘文書」図書館蔵本事件(控訴審)
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2012年02月20日
「おまかせ君プロVer.2.5」測量業務用ソフトウェア事件(控訴審)−著作権 損害賠償等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「おまかせ君プロVer.2.5」測量業務用ソフトウェア事件(控訴審)
知財高裁平成24.1.31平成23(ネ)10041損害賠償等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 八木貴美子
裁判官 知野 明
*裁判所サイト公表 2012.2.13
*キーワード:退職従業員、創作性、職務著作、複製、翻案、共同不法行為、限界利益
--------------------
■事案
測量業務用ソフトウェアの著作物性や退職従業員らによる複製権侵害性などが争点となった事案の控訴審
控訴人(一審被告・附帯被控訴人):工事測量サービス会社、建設工事会社、被告会社代表取締役X1、原告元従業員X2
被控訴人(一審原告・附帯控訴人):測量ソフトウェア開発販売会社
--------------------
■結論
控訴棄却、附帯控訴による原判決変更
--------------------
■争点
条文 著作権法2条1項1号、15条2項、21条、27条、112条、114条2項
1 原告プログラムは創作性を有するか
2 原告プログラムは職務著作か
3 被告プログラムは原告プログラムを複製又は翻案したものか
4 被告らの共同不法行為の成否
5 原告の損害
--------------------
■事案の概要
『「おまかせ君プロVer.2.5」という名称の測量業務用の原告ソフトを製造し,これを使用して測量業務等を行っている原告が,被告ソフトを製造し,これを使用して測量業務等を行っている被告YKSC社,同社の関連会社である被告ワイケイズ社,被告YKSC社の代表取締役である被告X1,及び原告の元従業員で,被告YKSC社の従業員である被告X2に対し,被告プログラムは原告プログラムを複製又は翻案したものであり,共同して被告ソフトを製造し,これを複製,使用,譲渡する被告らの行為は,原告の原告プログラムに対する著作権(複製権又は翻案権)を侵害すると主張して,(1)被告YKSC社及び被告ワイケイズ社に対して,著作権法112条1項に基づいて被告プログラムの製造等の差止め,及び同条2項に基づいて被告プログラムの複製物等の廃棄を,(2)被告らに対して,著作権侵害に基づく損害賠償として6000万円及び内金3000万円に対する訴状送達日の翌日である平成19年10月6日から,内金3000万円に対する訴え変更の申立書送達の日の翌日である平成21年3月7日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払うよう求めて,訴訟を提起した。
原審は,(1)被告YKSC社及び被告ワイケイズ社に対し,被告プロクラムの製造等の差止めを,被告YKSC社に対し,被告プログラムの複製物等の廃棄を命じ,また,(2)被告らに対し,損害賠償として連帯して3227万3664円及び内金983万3716円に対する平成19年10月6日から,内金998万3927円に対する平成21年3月7日から,内金509万2587円に対する平成21年8月31日から,内金736万3434円に対する平成23年2月25日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を命じ,原告のその余の請求を棄却する旨の判決をした。
被告らは,これを不服として控訴を提起し,原告は,損害賠償の請求について附帯控訴を提起し,併せて被告らに対する損害賠償の請求を9000万円に拡張すると共に,拡張部分3000万円に対する「附帯控訴及び訴変更申立書」の送達日の翌日である,被告X2については平成23年9月29日から,その余の被告については同月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた』事案(3頁以下)
--------------------
■判決内容
<争点>
1 原告プログラムは創作性を有するか
2 原告プログラムは職務著作か
3 被告プログラムは原告プログラムを複製又は翻案したものか
4 被告らの共同不法行為の成否
5 原告の損害
1から4の各争点について、原審の判断が維持されています(7頁以下)。但し、原告の損害額については、増額されています(10頁以下)。
--------------------
■コメント
原告の損額額について、被告YKSC社が被告ソフトを使用したことによる利益(いわゆる限界利益。著作権法114条2項)の算定において増額されるとともに、弁護士費用も増額されています。
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■過去のブログ記事
2011.6.13記事 原審
「おまかせ君プロVer.2.5」測量業務用ソフトウェア事件(控訴審)
知財高裁平成24.1.31平成23(ネ)10041損害賠償等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 八木貴美子
裁判官 知野 明
*裁判所サイト公表 2012.2.13
*キーワード:退職従業員、創作性、職務著作、複製、翻案、共同不法行為、限界利益
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■事案
測量業務用ソフトウェアの著作物性や退職従業員らによる複製権侵害性などが争点となった事案の控訴審
控訴人(一審被告・附帯被控訴人):工事測量サービス会社、建設工事会社、被告会社代表取締役X1、原告元従業員X2
被控訴人(一審原告・附帯控訴人):測量ソフトウェア開発販売会社
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■結論
控訴棄却、附帯控訴による原判決変更
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、15条2項、21条、27条、112条、114条2項
1 原告プログラムは創作性を有するか
2 原告プログラムは職務著作か
3 被告プログラムは原告プログラムを複製又は翻案したものか
4 被告らの共同不法行為の成否
5 原告の損害
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■事案の概要
『「おまかせ君プロVer.2.5」という名称の測量業務用の原告ソフトを製造し,これを使用して測量業務等を行っている原告が,被告ソフトを製造し,これを使用して測量業務等を行っている被告YKSC社,同社の関連会社である被告ワイケイズ社,被告YKSC社の代表取締役である被告X1,及び原告の元従業員で,被告YKSC社の従業員である被告X2に対し,被告プログラムは原告プログラムを複製又は翻案したものであり,共同して被告ソフトを製造し,これを複製,使用,譲渡する被告らの行為は,原告の原告プログラムに対する著作権(複製権又は翻案権)を侵害すると主張して,(1)被告YKSC社及び被告ワイケイズ社に対して,著作権法112条1項に基づいて被告プログラムの製造等の差止め,及び同条2項に基づいて被告プログラムの複製物等の廃棄を,(2)被告らに対して,著作権侵害に基づく損害賠償として6000万円及び内金3000万円に対する訴状送達日の翌日である平成19年10月6日から,内金3000万円に対する訴え変更の申立書送達の日の翌日である平成21年3月7日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払うよう求めて,訴訟を提起した。
原審は,(1)被告YKSC社及び被告ワイケイズ社に対し,被告プロクラムの製造等の差止めを,被告YKSC社に対し,被告プログラムの複製物等の廃棄を命じ,また,(2)被告らに対し,損害賠償として連帯して3227万3664円及び内金983万3716円に対する平成19年10月6日から,内金998万3927円に対する平成21年3月7日から,内金509万2587円に対する平成21年8月31日から,内金736万3434円に対する平成23年2月25日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を命じ,原告のその余の請求を棄却する旨の判決をした。
被告らは,これを不服として控訴を提起し,原告は,損害賠償の請求について附帯控訴を提起し,併せて被告らに対する損害賠償の請求を9000万円に拡張すると共に,拡張部分3000万円に対する「附帯控訴及び訴変更申立書」の送達日の翌日である,被告X2については平成23年9月29日から,その余の被告については同月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた』事案(3頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 原告プログラムは創作性を有するか
2 原告プログラムは職務著作か
3 被告プログラムは原告プログラムを複製又は翻案したものか
4 被告らの共同不法行為の成否
5 原告の損害
1から4の各争点について、原審の判断が維持されています(7頁以下)。但し、原告の損害額については、増額されています(10頁以下)。
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■コメント
原告の損額額について、被告YKSC社が被告ソフトを使用したことによる利益(いわゆる限界利益。著作権法114条2項)の算定において増額されるとともに、弁護士費用も増額されています。
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■過去のブログ記事
2011.6.13記事 原審
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2012年02月17日
「生命の實相」書籍著作権事件(控訴審)−著作権 損害賠償等、著作権侵害差止等、出版権確認等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「生命の實相」書籍著作権事件(控訴審)
知財高裁平成24.1.31平成23(ネ)10028損害賠償等、著作権侵害差止等、出版権確認等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 池下 朗
裁判官 武宮英子
*裁判所サイト公表 2012.2.3
*キーワード:著作権譲渡、出版契約、印税、著作権表示、著作権登録、消滅時効、権利の濫用、死後の人格的利益の保護、取得時効
--------------------
■事案
生長の家創始者谷口雅春氏(故人)の著作「生命の實相」に関する著作権の帰属や出版契約等を巡って争われた事案の控訴審
控訴人(原審第2事件原告):宗教法人
控訴人(原審第2事件原告):創始者実娘X
控訴人・附帯被控訴人(原審第1事件被告・第3事件原告):出版社
被控訴人・附帯控訴人(原審第1事件原告・第2事件被告・第3事件被告):社会事業団
被控訴人(原審第2事件被告・第3事件被告):出版社
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■結論
控訴棄却、附帯控訴棄却
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■争点
条文 著作権法61条、60条、79条、63条、民法723条、163条
第1事件
1 原告社会事業団の設立による本件(1)の各書籍の著作権の移転の有無
2 本件(1)の各書籍についての著作権使用(出版)契約に基づく印税請求権の発生の有無
3 印税請求権の消滅時効の成否
4 謝罪広告掲載請求の可否等
第2事件
1 原告生長の家による本件(1)の書籍1及び本件(2)の書籍1の著作権の取得の有無等
2 亡Aの死後の人格的利益の侵害行為の有無
3 謝罪広告掲載請求の可否
4 本件(2)の各書籍2の著作権についての管理合意の有無
第3事件
1 本件(3)の各書籍についての出版権の設定の有無
2 解約の成否
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■事案の概要
『(1)原審の事案の概要
ア 原審第1事件
原告社会事業団は,(1)亡Bが戦前に創作した多数の著作物の集合体としての「生命の實相」の著作権は,亡Bが原告社会事業団の設立者として行った寄附行為の寄附財産であって,原告社会事業団に帰属しているところ,同原告は,上記「生命の實相」に属する書籍をそれぞれ復刻した復刻版である本件(1)の書籍1及び本件(1)の書籍2について,被告日本教文社との間で著作権使用(出版)契約を締結したが,印税(著作権使用料)に未払がある,(2)本件(1)の書籍1の著作権者は原告社会事業団であるのに,被告日本教文社が原告社会事業団に無断で本件(1)の書籍1に真実と異なる著作権表示を行ったことが不法行為を構成するなどと主張して,被告日本教文社に対し,著作権使用(出版)契約に基づき,印税の支払を求めるとともに,民法723条に基づき,別紙謝罪広告目録1記載の謝罪広告の掲載を求めた。
イ 原審第2事件
原告生長の家及び亡Bの遺族である原告Xは,(1)亡Bが戦前に創作した著作物である「生命の實相 <黒布表紙版>」(全20巻)及び本件(1)の書籍1について,原告生長の家が,亡Bを相続した共同相続人から著作権(共有持分)の遺贈及び売買による譲渡を受けたから,当該著作権は原告生長の家に帰属する,(2)本件(2)の各書籍は,第2事件被告ら(原告社会事業団及び被告光明思想社)が「生命の實相<黒布表紙版>」の第16巻として出版された「神道篇 日本国の世界的使命」から「第1章 古事記講義」を抜き出し,別の題号を付して共同で出版したものであるが,亡Bは,戦後に「生命の實相」として出版された書籍から,第16巻を削除していることに照らすと,第2事件被告らへの出版の許諾を撤回したものと認められるから,第2事件被告らによる本件(2)の書籍1の出版は,原告生長の家の著作権(複製権)を侵害するとともに,亡Bが存命であればその著作者人格権(同一性保持権)の侵害となるべき行為(著作権法60条)に該当し,これにより亡Bの声望が害された,(3)原告生長の家と原告社会事業団は,本件(2)の各書籍2について,原告生長の家がこれらの出版その他の利用の管理を決定する旨の合意をしたなどと主張し,原告生長の家及び原告Xにおいて原告社会事業団及び被告光明思想社に対し,著作権法112条1項,2項(原告Xにつき更に同法116条1項)に基づき,本件(2)の書籍1の出版等の差止め及び廃棄を,民法723条又は著作権法115条及び116条1項に基づき,別紙謝罪広告目録2記載の謝罪広告の掲載を,原告生長の家において原告社会事業団及び被告光明思想社に対し,不法行為に基づく損害賠償を,原告生長の家において原告社会事業団に対し,原告生長の家が本件(1)の書籍1の著作権を有することの確認を,上記合意に基づき,本件(2)の各書籍2について原告生長の家の承諾なく,その出版権の設定及び消滅を行うことの禁止を求めた。
ウ 原審第3事件
被告日本教文社は,本件(3)の各書籍について,原告社会事業団との間の出版契約に基づいて出版権の設定を受けたにもかかわらず,原告社会事業団及び被告光明思想社が,被告日本教文社に無断で,本件(3)の書籍31ないし34について出版及び販売を行い,本件(3)の書籍1ないし15について出版を行うおそれがあるなどと主張して,原告社会事業団に対し,被告日本教文社が本件(3)の各書籍の出版権を有することの確認を,原告社会事業団及び被告光明思想社に対し,著作権法112条1項に基づき,本件(3)の書籍1ないし15,31ないし34の出版等の差止めを求めた。
(2)原判決の内容
ア 原審第1事件について
原審は,原告社会事業団は,その設立により亡Bから「生命の實相」の著作権の移転を受けたものと認定し,(ア)未払印税請求は,原告社会事業団は被告日本教文社に対し,本件昭和49年契約に基づき印税の支払請求権を取得したが,本件(1)の書籍1の未払印税50万円を除き消滅時効が完成した,(イ)謝罪広告掲載請求は,被告日本教文社の誤った著作権表示により原告社会事業団の社会的評価が低下したものとはうかがわれないから理由がないと判示して,原告社会事業団の請求のうち,本件(1)の書籍1の未払印税50万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな平成21年3月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払請求の限度で認容した。
イ 原審第2事件について
原審は,(ア)著作権に基づく請求については,原告生長の家が本件(1)の書籍1及び本件(2)の書籍1の著作権を取得したとは認められず,(イ)原告Xの著作権法60条に基づく請求については,本件(2)の書籍1の出版により亡Bの声望が害されたとは認められず,(ウ)謝罪広告掲載請求については,本件(2)の書籍1の出版が著作者が存命であればその著作者人格権(同一性保持権)の侵害となるべき行為に該当せず,原告社会事業団及び被告光明思想社が「生長の家」の布教活動を不当に妨害する行為又は原告生長の家の名誉を侵害する行為をしたとは認められず,(エ)原告生長の家と原告社会事業団との,原告生長の家が本件(2)の各書籍2の出版その他の利用の管理を決定する旨の合意に基づく請求については,そのような合意があったとは認められないから,いずれも理由がないと判示した。
ウ 原審第3事件について
原審は,(ア)本件(3)の書籍1ないし30,32について,被告日本教文社,原告生長の家及び原告社会事業団が本件合意(2)又は独占的排他的な出版権設定合意を含む本件各出版使用許諾契約をしたとは認められず,(イ)本件(3)の書籍31,33及び34について,原告社会事業団が被告日本教文社に対し独占的排他的使用権を設定する契約を締結したことは認められるが,原告社会事業団の解約により効力を失ったから,被告日本教文社の出版権確認請求及び出版等の差止請求は理由がないと判示した。
(3)控訴の内容
原告生長の家,原告X及び被告日本教文社は,原判決中の敗訴部分を不服として本件控訴を提起した。また原告社会事業団は,附帯控訴して,債務不履行又は不法行為に基づき,本件(1)の書籍1の18版及び19版の誤った著作権表示の訂正,弁護士費用及び誤った著作権表示による権利侵害状態についての損害賠償を求めた』事案(4頁以下)
--------------------
■判決内容
<争点>
第1事件
1 原告社会事業団の設立による本件(1)の各書籍の著作権の移転の有無
2 本件(1)の各書籍についての著作権使用(出版)契約に基づく印税請求権の発生の有無
3 印税請求権の消滅時効の成否
4 謝罪広告掲載請求の可否等
第2事件
1 原告生長の家による本件(1)の書籍1及び本件(2)の書籍1の著作権の取得の有無等
2 亡Aの死後の人格的利益の侵害行為の有無
3 謝罪広告掲載請求の可否
4 本件(2)の各書籍2の著作権についての管理合意の有無
第3事件
1 本件(3)の各書籍についての出版権の設定の有無
2 解約の成否
各争点について、原審の判断が維持されています(11頁以下)。
なお、控訴人らは亡Bの相続人らの(1)の書籍に係る著作権の時効取得が成立したと追加的に主張しましたが、裁判所は複製権等を独占的、排他的に行使する状態を継続している事実や他の者に対する著作権の行使を排除した事実を主張、立証したと認めることはできないとして容れていません(12頁以下)。また、附帯控訴における被控訴人社会事業団の控訴人日本教文社に対する損害賠償金の支払請求、訂正措置ないし訂正広告請求の点についても、これを認めていません(14頁以下)。
--------------------
■コメント
第1事件について50万円の限度で印税請求が認められた原審の判断が控訴審でも維持されています。
--------------------
■過去のブログ記事
2011.3.22記事 原審
--------------------
■参考サイト
生長の家 ニュースリリース(2012.1.31)
生長の家社会事業団等との訴訟の判決について
日本教文社 総合情報ページ(2012.2.1)
生長の家社会事業団等との訴訟について
光明思想社 完全勝訴のお知らせ(2012.1.31)
第2審全面勝訴のお知らせ
著作権仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件(棄却決定)
知財高裁平成24年1月31日平成23(ラ)10003
生長の家社会事業団
生長の家社会事業団の護法の運動
「生命の實相」書籍著作権事件(控訴審)
知財高裁平成24.1.31平成23(ネ)10028損害賠償等、著作権侵害差止等、出版権確認等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 池下 朗
裁判官 武宮英子
*裁判所サイト公表 2012.2.3
*キーワード:著作権譲渡、出版契約、印税、著作権表示、著作権登録、消滅時効、権利の濫用、死後の人格的利益の保護、取得時効
--------------------
■事案
生長の家創始者谷口雅春氏(故人)の著作「生命の實相」に関する著作権の帰属や出版契約等を巡って争われた事案の控訴審
控訴人(原審第2事件原告):宗教法人
控訴人(原審第2事件原告):創始者実娘X
控訴人・附帯被控訴人(原審第1事件被告・第3事件原告):出版社
被控訴人・附帯控訴人(原審第1事件原告・第2事件被告・第3事件被告):社会事業団
被控訴人(原審第2事件被告・第3事件被告):出版社
--------------------
■結論
控訴棄却、附帯控訴棄却
--------------------
■争点
条文 著作権法61条、60条、79条、63条、民法723条、163条
第1事件
1 原告社会事業団の設立による本件(1)の各書籍の著作権の移転の有無
2 本件(1)の各書籍についての著作権使用(出版)契約に基づく印税請求権の発生の有無
3 印税請求権の消滅時効の成否
4 謝罪広告掲載請求の可否等
第2事件
1 原告生長の家による本件(1)の書籍1及び本件(2)の書籍1の著作権の取得の有無等
2 亡Aの死後の人格的利益の侵害行為の有無
3 謝罪広告掲載請求の可否
4 本件(2)の各書籍2の著作権についての管理合意の有無
第3事件
1 本件(3)の各書籍についての出版権の設定の有無
2 解約の成否
--------------------
■事案の概要
『(1)原審の事案の概要
ア 原審第1事件
原告社会事業団は,(1)亡Bが戦前に創作した多数の著作物の集合体としての「生命の實相」の著作権は,亡Bが原告社会事業団の設立者として行った寄附行為の寄附財産であって,原告社会事業団に帰属しているところ,同原告は,上記「生命の實相」に属する書籍をそれぞれ復刻した復刻版である本件(1)の書籍1及び本件(1)の書籍2について,被告日本教文社との間で著作権使用(出版)契約を締結したが,印税(著作権使用料)に未払がある,(2)本件(1)の書籍1の著作権者は原告社会事業団であるのに,被告日本教文社が原告社会事業団に無断で本件(1)の書籍1に真実と異なる著作権表示を行ったことが不法行為を構成するなどと主張して,被告日本教文社に対し,著作権使用(出版)契約に基づき,印税の支払を求めるとともに,民法723条に基づき,別紙謝罪広告目録1記載の謝罪広告の掲載を求めた。
イ 原審第2事件
原告生長の家及び亡Bの遺族である原告Xは,(1)亡Bが戦前に創作した著作物である「生命の實相 <黒布表紙版>」(全20巻)及び本件(1)の書籍1について,原告生長の家が,亡Bを相続した共同相続人から著作権(共有持分)の遺贈及び売買による譲渡を受けたから,当該著作権は原告生長の家に帰属する,(2)本件(2)の各書籍は,第2事件被告ら(原告社会事業団及び被告光明思想社)が「生命の實相<黒布表紙版>」の第16巻として出版された「神道篇 日本国の世界的使命」から「第1章 古事記講義」を抜き出し,別の題号を付して共同で出版したものであるが,亡Bは,戦後に「生命の實相」として出版された書籍から,第16巻を削除していることに照らすと,第2事件被告らへの出版の許諾を撤回したものと認められるから,第2事件被告らによる本件(2)の書籍1の出版は,原告生長の家の著作権(複製権)を侵害するとともに,亡Bが存命であればその著作者人格権(同一性保持権)の侵害となるべき行為(著作権法60条)に該当し,これにより亡Bの声望が害された,(3)原告生長の家と原告社会事業団は,本件(2)の各書籍2について,原告生長の家がこれらの出版その他の利用の管理を決定する旨の合意をしたなどと主張し,原告生長の家及び原告Xにおいて原告社会事業団及び被告光明思想社に対し,著作権法112条1項,2項(原告Xにつき更に同法116条1項)に基づき,本件(2)の書籍1の出版等の差止め及び廃棄を,民法723条又は著作権法115条及び116条1項に基づき,別紙謝罪広告目録2記載の謝罪広告の掲載を,原告生長の家において原告社会事業団及び被告光明思想社に対し,不法行為に基づく損害賠償を,原告生長の家において原告社会事業団に対し,原告生長の家が本件(1)の書籍1の著作権を有することの確認を,上記合意に基づき,本件(2)の各書籍2について原告生長の家の承諾なく,その出版権の設定及び消滅を行うことの禁止を求めた。
ウ 原審第3事件
被告日本教文社は,本件(3)の各書籍について,原告社会事業団との間の出版契約に基づいて出版権の設定を受けたにもかかわらず,原告社会事業団及び被告光明思想社が,被告日本教文社に無断で,本件(3)の書籍31ないし34について出版及び販売を行い,本件(3)の書籍1ないし15について出版を行うおそれがあるなどと主張して,原告社会事業団に対し,被告日本教文社が本件(3)の各書籍の出版権を有することの確認を,原告社会事業団及び被告光明思想社に対し,著作権法112条1項に基づき,本件(3)の書籍1ないし15,31ないし34の出版等の差止めを求めた。
(2)原判決の内容
ア 原審第1事件について
原審は,原告社会事業団は,その設立により亡Bから「生命の實相」の著作権の移転を受けたものと認定し,(ア)未払印税請求は,原告社会事業団は被告日本教文社に対し,本件昭和49年契約に基づき印税の支払請求権を取得したが,本件(1)の書籍1の未払印税50万円を除き消滅時効が完成した,(イ)謝罪広告掲載請求は,被告日本教文社の誤った著作権表示により原告社会事業団の社会的評価が低下したものとはうかがわれないから理由がないと判示して,原告社会事業団の請求のうち,本件(1)の書籍1の未払印税50万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな平成21年3月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払請求の限度で認容した。
イ 原審第2事件について
原審は,(ア)著作権に基づく請求については,原告生長の家が本件(1)の書籍1及び本件(2)の書籍1の著作権を取得したとは認められず,(イ)原告Xの著作権法60条に基づく請求については,本件(2)の書籍1の出版により亡Bの声望が害されたとは認められず,(ウ)謝罪広告掲載請求については,本件(2)の書籍1の出版が著作者が存命であればその著作者人格権(同一性保持権)の侵害となるべき行為に該当せず,原告社会事業団及び被告光明思想社が「生長の家」の布教活動を不当に妨害する行為又は原告生長の家の名誉を侵害する行為をしたとは認められず,(エ)原告生長の家と原告社会事業団との,原告生長の家が本件(2)の各書籍2の出版その他の利用の管理を決定する旨の合意に基づく請求については,そのような合意があったとは認められないから,いずれも理由がないと判示した。
ウ 原審第3事件について
原審は,(ア)本件(3)の書籍1ないし30,32について,被告日本教文社,原告生長の家及び原告社会事業団が本件合意(2)又は独占的排他的な出版権設定合意を含む本件各出版使用許諾契約をしたとは認められず,(イ)本件(3)の書籍31,33及び34について,原告社会事業団が被告日本教文社に対し独占的排他的使用権を設定する契約を締結したことは認められるが,原告社会事業団の解約により効力を失ったから,被告日本教文社の出版権確認請求及び出版等の差止請求は理由がないと判示した。
(3)控訴の内容
原告生長の家,原告X及び被告日本教文社は,原判決中の敗訴部分を不服として本件控訴を提起した。また原告社会事業団は,附帯控訴して,債務不履行又は不法行為に基づき,本件(1)の書籍1の18版及び19版の誤った著作権表示の訂正,弁護士費用及び誤った著作権表示による権利侵害状態についての損害賠償を求めた』事案(4頁以下)
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■判決内容
<争点>
第1事件
1 原告社会事業団の設立による本件(1)の各書籍の著作権の移転の有無
2 本件(1)の各書籍についての著作権使用(出版)契約に基づく印税請求権の発生の有無
3 印税請求権の消滅時効の成否
4 謝罪広告掲載請求の可否等
第2事件
1 原告生長の家による本件(1)の書籍1及び本件(2)の書籍1の著作権の取得の有無等
2 亡Aの死後の人格的利益の侵害行為の有無
3 謝罪広告掲載請求の可否
4 本件(2)の各書籍2の著作権についての管理合意の有無
第3事件
1 本件(3)の各書籍についての出版権の設定の有無
2 解約の成否
各争点について、原審の判断が維持されています(11頁以下)。
なお、控訴人らは亡Bの相続人らの(1)の書籍に係る著作権の時効取得が成立したと追加的に主張しましたが、裁判所は複製権等を独占的、排他的に行使する状態を継続している事実や他の者に対する著作権の行使を排除した事実を主張、立証したと認めることはできないとして容れていません(12頁以下)。また、附帯控訴における被控訴人社会事業団の控訴人日本教文社に対する損害賠償金の支払請求、訂正措置ないし訂正広告請求の点についても、これを認めていません(14頁以下)。
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■コメント
第1事件について50万円の限度で印税請求が認められた原審の判断が控訴審でも維持されています。
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■過去のブログ記事
2011.3.22記事 原審
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■参考サイト
生長の家 ニュースリリース(2012.1.31)
生長の家社会事業団等との訴訟の判決について
日本教文社 総合情報ページ(2012.2.1)
生長の家社会事業団等との訴訟について
光明思想社 完全勝訴のお知らせ(2012.1.31)
第2審全面勝訴のお知らせ
著作権仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件(棄却決定)
知財高裁平成24年1月31日平成23(ラ)10003
生長の家社会事業団
生長の家社会事業団の護法の運動
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2012年02月15日
「合格!行政書士 南無刺青観世音」入れ墨事件(控訴審)−著作権 損害賠償請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−
最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「合格!行政書士 南無刺青観世音」入れ墨事件(控訴審)
知財高裁平成24.1.31平成23(ネ)10052損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 池下 朗
裁判官 武宮英子
*裁判所サイト公表 2012.2.3
*キーワード:著作物性、著作者人格権、出版社の責任、人格権、プライバシー権
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■事案
自らの左大腿部に施した十一面観音立像の入れ墨の画像を彫り師に無断で自著の書籍やホームページに掲載するなどしたとして著作者人格権侵害性が争点となった事案の控訴審
控訴人 (一審被告):出版社、執筆者
被控訴人(一審原告):彫り師
--------------------
■結論
一部変更
--------------------
■争点
条文 2条1項1号、18条、19条、20条
1 本件入れ墨の著作物性
2 著作者人格権侵害の成否
3 人格権及びプライバシー権侵害の成否
4 損害及びその額
--------------------
■事案の概要
『(1)原審の事案の概要
当事者の表記については,被控訴人を原告,控訴人Xを被告X,控訴人株式会社本の泉社を被告本の泉社という。
原審の経緯は,以下のとおりである。
被告Xは,「合格!行政書士 南無刺青観世音」と題する書籍(平成19年7月1日初版第1刷発行。以下「本件書籍」という。)を執筆し,被告本の泉社は,これを発行,販売した。本件書籍の発行,販売等に関して,原告は,被告らに対して,以下の各請求をした。
ア 原審「第1の1の請求」
(ア)被告らが原告の許諾を得ずに原告が被告Xの左大腿部に施した十一面観音立像の入れ墨(以下「本件入れ墨」という。)を撮影した写真の陰影を反転させ,セピア色の単色に変更した画像(以下「本件画像」という。)を本件書籍の表紙カバー(別紙の1。以下「本件表紙カバー」という。)及び扉(別紙の2。以下「本件扉」という。)の2か所に掲載したことは,原告の有する本件入れ墨の著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)を侵害すると主張して,被告らに対し,連帯して,著作者人格権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき損害賠償金77万円(慰謝料70万円,弁護士費用7万円)及びうち70万円に対する不法行為の後の日である平成19年7月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,
(イ)原告の人格,名誉を傷付ける記述及び原告のプライバシーに関する記述がされており,これらの記述は原告の人格権及びプライバシー権を侵害すると主張して,被告らに対し,連帯して,人格権及びプライバシー権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき損害賠償金33万円(慰謝料30万円,弁護士費用3万円)及びうち30万円に対する前同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求めた。
イ 原審「第1の2の請求」
原告は,被告Xが平成19年7月1日以降インターネット上の自己のホームページ(以下「本件ホームページ1」という。)に本件表紙カバーの写真を掲載していることは,原告の有する本件入れ墨の著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)を侵害するとして,被告Xに対し,著作者人格権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき損害賠償金35万円(慰謝料30万円,弁護士費用5万円)及びうち30万円に対する不法行為の後の日である平成21年5月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
ウ 原審「第1の3の請求」
原告は,被告本の泉社が平成19年7月1日以降インターネット上の自社のホームページ(本件ホームページ1と併せて「本件各ホームページ」という。)に本件表紙カバーの写真を掲載していることは,原告の有する本件入れ墨の著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)を侵害するとして,被告本の泉社に対し,著作者人格権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき損害賠償金35万円(慰謝料30万円,弁護士費用5万円)及びうち30万円に対する不法行為の後の日である平成22年2月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
なお,原告は,本件訴訟において,本件入れ墨の著作権(複製権,翻案権,公衆送信権〔送信可能化権を含む。〕)侵害に基づく損害賠償は請求しない旨を明らかにしている。
(2)原判決の概要等
原審は,(1)本件入れ墨は,著作物性を有する,(2)被告らの本件画像及び本件各ホームページを掲載する被告らの行為は,氏名表示権及び同一性保持権を侵害すると判断して,原告の被告らに対する損害賠償金の支払請求の一部を認容し,その余の請求を棄却した。
これに対して,被告らは,原判決中の敗訴部分を不服として本件控訴を提起した』事案(2頁以下)
--------------------
■判決内容
<争点>
1 本件入れ墨の著作物性
2 著作者人格権侵害の成否
3 人格権及びプライバシー権侵害の成否
4 損害及びその額
争点1ないし3について原審の判断を維持しています。但し、損害額については、半額に減額されています(6頁以下)。
--------------------
■コメント
入れ墨の著作物性が争点となった最初の事例として注目されていましたが、控訴審でも本件入れ墨について、墨の濃淡等によって仏像の表情の特徴や立体感を表すための工夫等がされている点等を総合して著作物性が認められています。
なお、出版社の責任についても、原審同様、肯定されています。
--------------------
■過去のブログ記事
2011.8.4記事 原審
「合格!行政書士 南無刺青観世音」入れ墨事件(控訴審)
知財高裁平成24.1.31平成23(ネ)10052損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 池下 朗
裁判官 武宮英子
*裁判所サイト公表 2012.2.3
*キーワード:著作物性、著作者人格権、出版社の責任、人格権、プライバシー権
--------------------
■事案
自らの左大腿部に施した十一面観音立像の入れ墨の画像を彫り師に無断で自著の書籍やホームページに掲載するなどしたとして著作者人格権侵害性が争点となった事案の控訴審
控訴人 (一審被告):出版社、執筆者
被控訴人(一審原告):彫り師
--------------------
■結論
一部変更
--------------------
■争点
条文 2条1項1号、18条、19条、20条
1 本件入れ墨の著作物性
2 著作者人格権侵害の成否
3 人格権及びプライバシー権侵害の成否
4 損害及びその額
--------------------
■事案の概要
『(1)原審の事案の概要
当事者の表記については,被控訴人を原告,控訴人Xを被告X,控訴人株式会社本の泉社を被告本の泉社という。
原審の経緯は,以下のとおりである。
被告Xは,「合格!行政書士 南無刺青観世音」と題する書籍(平成19年7月1日初版第1刷発行。以下「本件書籍」という。)を執筆し,被告本の泉社は,これを発行,販売した。本件書籍の発行,販売等に関して,原告は,被告らに対して,以下の各請求をした。
ア 原審「第1の1の請求」
(ア)被告らが原告の許諾を得ずに原告が被告Xの左大腿部に施した十一面観音立像の入れ墨(以下「本件入れ墨」という。)を撮影した写真の陰影を反転させ,セピア色の単色に変更した画像(以下「本件画像」という。)を本件書籍の表紙カバー(別紙の1。以下「本件表紙カバー」という。)及び扉(別紙の2。以下「本件扉」という。)の2か所に掲載したことは,原告の有する本件入れ墨の著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)を侵害すると主張して,被告らに対し,連帯して,著作者人格権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき損害賠償金77万円(慰謝料70万円,弁護士費用7万円)及びうち70万円に対する不法行為の後の日である平成19年7月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,
(イ)原告の人格,名誉を傷付ける記述及び原告のプライバシーに関する記述がされており,これらの記述は原告の人格権及びプライバシー権を侵害すると主張して,被告らに対し,連帯して,人格権及びプライバシー権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき損害賠償金33万円(慰謝料30万円,弁護士費用3万円)及びうち30万円に対する前同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求めた。
イ 原審「第1の2の請求」
原告は,被告Xが平成19年7月1日以降インターネット上の自己のホームページ(以下「本件ホームページ1」という。)に本件表紙カバーの写真を掲載していることは,原告の有する本件入れ墨の著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)を侵害するとして,被告Xに対し,著作者人格権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき損害賠償金35万円(慰謝料30万円,弁護士費用5万円)及びうち30万円に対する不法行為の後の日である平成21年5月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
ウ 原審「第1の3の請求」
原告は,被告本の泉社が平成19年7月1日以降インターネット上の自社のホームページ(本件ホームページ1と併せて「本件各ホームページ」という。)に本件表紙カバーの写真を掲載していることは,原告の有する本件入れ墨の著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)を侵害するとして,被告本の泉社に対し,著作者人格権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき損害賠償金35万円(慰謝料30万円,弁護士費用5万円)及びうち30万円に対する不法行為の後の日である平成22年2月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
なお,原告は,本件訴訟において,本件入れ墨の著作権(複製権,翻案権,公衆送信権〔送信可能化権を含む。〕)侵害に基づく損害賠償は請求しない旨を明らかにしている。
(2)原判決の概要等
原審は,(1)本件入れ墨は,著作物性を有する,(2)被告らの本件画像及び本件各ホームページを掲載する被告らの行為は,氏名表示権及び同一性保持権を侵害すると判断して,原告の被告らに対する損害賠償金の支払請求の一部を認容し,その余の請求を棄却した。
これに対して,被告らは,原判決中の敗訴部分を不服として本件控訴を提起した』事案(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件入れ墨の著作物性
2 著作者人格権侵害の成否
3 人格権及びプライバシー権侵害の成否
4 損害及びその額
争点1ないし3について原審の判断を維持しています。但し、損害額については、半額に減額されています(6頁以下)。
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■コメント
入れ墨の著作物性が争点となった最初の事例として注目されていましたが、控訴審でも本件入れ墨について、墨の濃淡等によって仏像の表情の特徴や立体感を表すための工夫等がされている点等を総合して著作物性が認められています。
なお、出版社の責任についても、原審同様、肯定されています。
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■過去のブログ記事
2011.8.4記事 原審
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