著作権文献

2011年12月27日

新刊案内 堀田貢得、大亀哲郎「編集者の危機管理術 名誉・プライバシー・著作権・表現」(青弓社)ほか

2011年もあと僅かになりました。今年も読み残しの書籍がたくさんあって、どうしたものかという感じです。
11月には、福井健策先生の御著書「ビジネスパーソンのための契約の教科書 」(文春新書)が刊行されて、新書版で容易に手にすることができる契約実務書としてお勧めの一冊でした。

お正月休みにでもご一読をお勧めしたい書籍として、12月の新刊本のなかから3冊をご案内させていただけたらと思います。

■2011年12月9日刊行
堀田貢得、大亀哲郎「編集者の危機管理術 名誉・プライバシー・著作権・表現」(青弓社)

出版にかかわる法務の諸問題を網羅した一冊で、出版関係者のかたには必携の書籍ではないでしょうか。
著作権だけでなく、表現の問題(宗教や差別)や商標、名誉、プライバシー、景表法、薬事法、不競法などなど、小学館の法務においでになった著者ならではの実例がふんだんに盛り込まれています。

青弓社

【目 次】

まえがき
第1章 「名誉毀損」「プライバシー侵害」訴訟は編集者の宿命
 1 「名誉毀損」「プライバシー侵害」訴訟に強くなろう
 2 メディア規制・高額賠償支払い判決続発までの舞台裏
 3 書籍にも「名誉毀損」「プライバシー侵害」の裁判例はこんなにある
 4 「名誉毀損」「プライバシー侵害」が出版差し止めになる場合
 5 「名誉毀損」「プライバシー侵害」をいかに防ぐか
 6 肖像権の侵害とは何か
第2章 盗用か、引用か――著作権侵害の境界は微妙
 1 著作権、何も知らないと大ケガをする!
 2 著作権法の基本の基本「著作物の利用とアイデアの利用 どこが違う?」
 3 昔片隅、いま主流、ますます増える著作権トラブル
 4 「引用」は、許可を求める必要もなければ、当然、支払いも無用
 5 著作権トラブルを防ぐ「これだけは要注意!」
 6 訴訟で負けると、こんな責めを負う。著作権侵害には刑事罰もある!
 7 著作権侵害の責めを負わない手段はあるか?
 8 出版社、編集部には「著作権」はほとんどない!?
 9 肖像権には経済的な利用の側面もある。パブリシティー権も必須知識だ!
第3章 「商標権侵害」「不正競争防止法」トラブルって何だ?
 1 出版社での商標権侵害のトラブル事例を総覧してみよう!
 2 過去の商標問題事例から、編集者の留意点を探る
 3 編集長になったら気をつけろ! 「商標に関する基礎知識」
 4 ライバル商品に要注意! 不正競争防止法のトラブル事例
 5 たまには訴える側にまわってみよう。攻撃法を知り防御策を磨け!
 6 デジタル化に必要な、商標登録の対応
 7 「特許庁」「弁理士」について知っておこう
 8 商標の管理にはお金がかかるのだ(商標管理費用)
第4章 「景品表示法」「製造物責任法」「薬事法」の落とし穴
 1 雑誌編集者には必須、「景品表示法」のルールを完全マスターせよ!
 2 広告、懸賞、懸賞告知、プレゼント、全員サービスなど、これは絶対「NO!」10例
 3 「情報」に製造物責任はない、でも、知っておきたい「PL法」
 4 本当は怖い「薬事法」の中身、「甘い話」は要注意!
 5 あなたが一般誌の編集者ならば、ここに気をつけよう
第5章 コミックはトラブルの百貨店と覚悟せよ
 1 「ステレオタイプな絵」「職業蔑視」など最も多い差別表現トラブル
 2 歴史的事実を描くコミックでは「歴史認識」の有無がトラブルの元になる
 3 性表現、暴力表現など「倫理観」は一般企業の専売特許ではない
 4 モデルは人・もの・団体・会社などが「実在しないか」確認せよ
 5 コミックにも「名誉毀損」訴訟は起きるのだ
 6 イスラム、ユダヤなど「宗教のタブー」にふれていないか
 7 コミックは「背景描写」でトラブルになりやすい
 8 特定の企業、ブランド品などを描くときは商標権について細心の注意を払え
第6章 文庫とコミックは「差別・不適切表現」の宝庫だと思え!
 1 差別・不適切表現が発覚すると人権団体に「抗議・糾弾」をされる場合がある
 2 「絶版本」の復刻、親本の「文庫化」の際は特に注意が必要
 3 編集者泣かせでは終わらない「屠場差別」表現は文庫の独壇場
 4 日本の差別の源流は「部落差別」だ
 5 障害者差別はコミックが最大の発生源
第7章 最強の編集者は「指摘・抗議・クレーム」への対応がうまい
 1 これからは「危機管理」に弱い編集者は生き残れない!
 2 抗議への対応の基本は「誠実さ」。編集者の横柄さ・慇懃無礼は事態を悪化させるだけ
 3 メールによるクレーム・抗議への鉄則は「メールで回答するな」
 4 文書による抗議には、まず差出人に「回答する」ことを連絡する
 5 代理人(弁護士)選任・依頼の可否判断は慎重に
 6 差別表現などによって、人権団体との協議が糾弾会に発展した場合
 7 エセ同和行為(物品販売、対価要求)は断固拒否すること
 8 政治結社などからの抗議には、その団体の「背景」を警察を通して確認をすることが先決
 9 「謝罪広告」掲載要求を伴う抗議には、弁護士の判断に従え
参考文献一覧
あとがき

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■2011年12月1日刊行
 高林 龍編著「著作権ビジネスの理論と実践2」(成文堂)

早稲田大学ロースクールの著作権法特殊講義を内容とする3冊目の書籍となります。
JASRAC寄附講座として広く公開され聴講も可能な講演形式が採られていたりと、高林先生ほか門下の皆様の意欲的な取り組みが大変印象的です。

成文堂 出版部

【目 次】

はしがき
第1回 ガイダンス─著作権法概観─
講師:高林 龍
第2回 著作権行政の現状と課題
講師:渋谷達紀/ゲスト:永山裕二
第3回 著作権行政の現状と課題
講師:渋谷達紀/ゲスト:永山裕二
第4回 レコード製作者の権利とその適用範囲
講師:今村哲也/ゲスト:安藤和宏
第5回 Googleブック(サーチ)を巡る著作権法上の諸課題
講師:平嶋竜太/ゲスト:鳥澤孝之
第6回 憲法による著作権の保護と制約・パロデイーをめぐる諸問題
(2010年5月22日開催の日本著作権法学会への参加)
第7回 文藝著作物に関する著作権法上の諸問題
講師:富岡英次
第8回 ディジタルコンテントビジネスと著作権
講師:竹中俊子/ゲスト:伊藤ゆみ子
第9回 著作権ライセンス契約のポイント
講師:竹中俊子/ゲスト寺澤幸裕
第10回 著作権の侵害主体
講師:今村哲也/ゲスト:奥邨弘司
第11回 いわゆる写り込み問題について
講師:前田哲男/ゲスト:中川達也
第12回 最近の著作権侵害訴訟の動向と注目点
講師:高林 龍/ゲスト:岡本 岳
第13回 設計図面などの機能的著作物における創作性について
講師:前田哲男
第14回 文藝著作物の引用について
講師:富岡英次

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■2011年12月10日刊行
 高林 龍、三村量一、竹中俊子編「年報知的財産法2011」(日本評論社)

商事法務から毎年刊行されていた知財年報が、今年は日本評論社より出されています。
著作権法の2011年の学説の動向について、安藤和宏先生と今村哲也先生がご担当されておいでで、一年の学説動向がよく分かります(58頁以下)。
本号の特集としては、「電子書籍をめぐる著作権法上の課題」(206頁以下)が取り上げられています。

日本評論社

【目 次】

[巻頭座談会]
 知的財産法の今日的論点をめぐって
 出席者/高林 龍・三村量一・竹中俊子
 司会/駒田泰土 コメント/中山一郎・安藤和宏 
[2011年 判例の動向]
 判例の動き/三村量一
[2011年 学説の動向]
 1著作権法/安藤和宏・今村哲也
 2特許法/加藤 幹
 3不正競争・商標・意匠/志賀典之・五味飛鳥
[2011年 政策・産業界の動向]
 政策・産業界の動き/中山一郎
[2011年 諸外国の動向]
 1米国における知財の動き/竹中俊子
 2欧州における知財の動き/アインゼル・フェリックス=ラインハルト.河辺幸代
 3WIPOをめぐる国際動向/高木善幸
 4中国における知財の動き/兪 風雷
 5韓国における知財の動き/張 睿暎
[特集]電子出版をめぐる著作権法上の課題
 1総論/上野達弘
 2電子出版時代の出版社の保護/横山久芳
 3電子書籍と著作権−読書環境の変化を中心に/島並 良
 4電子出版契約と権利処理/福井健策
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2011年10月16日

新刊案内 小川明子「文化のための追及権─日本人の知らない著作権」(集英社新書)

2011年10月19日刊行の本書は、小川明子先生(早稲田大学グローバルCOE総合研究所知的財産法制研究センター助手)が博士論文を下敷きとして新たに新書版として書き起こされたもので著作権や著作者人格権、そして日本ではまだ導入されていない追及権(*)を平易に紹介する内容のものです(本文全176頁)。
追及権導入の是非については賛否の分かれるところですが、「追及権こそが芸術家を守ってくれる権利」だと知って欲しいという小川先生の思いが伝わる一冊となっています。

目次
第一章 芸術家は貧しいのか
第二章 芸術家と著作財産権
第三章 芸術家と著作者人格権
第四章 追及権の始まりと今
第五章 追及権と制限規定のバランス
第六章 追及権は芸術家を救えるのか?


(*)
「一般に追及権は,美術の作品,特にファインアートあるいは視覚芸術作品の著作者の持つ譲渡不能かつ放棄不能の経済的権利とみなされている。オリジナルの作品(原作品),あるいはオリジナルとみなされる作品が公開オークションあるいはディーラー経由で販売された際,この権利によって著作者は販売額の一部を与えられる。」(後掲小川論文六号222頁)

(内容紹介:ビーケーワンより)
ヨーロッパやアメリカの一部では、「追及(利益配当)権」という著作権の保護システムによって、芸術家の利益が保証されるシステムがある。著作権をわかりやすく解説しながら、追及権についてくわしく紹介する。

文化のための追及権 ─日本人の知らない著作権 (集英社新書)
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現代アートの旗手村上隆氏が、オークションカタログに自己作品の画像掲載の対価として、販売価格の1%を受領する契約をオークションハウスと契約したというニュースが先日伝えられましたが(asahi.com(朝日新聞社):村上隆に作品落札額の1% カタログ掲載の対価 − 文化トピックス − 文化 2011年9月20日10時54分 赤田康和)、落札されなければ掲載料を支払わなくて良い契約内容となっており、あたかも追及権を部分的ながら契約で実現したような側面もあって美術作家保護の1つの取決めとして注目されます。

なお、最近の追及権の話題に触れたものとして、「大家重夫・福王寺一彦対談「著作権を巡る問題1」」『連盟ニュース』438号(2011年4月号 日本美術家連盟)1頁以下があります。

小川先生は、早稲田大学で開催されているジャスラック公開講座では、昨年2010年度には「追及権をめぐる課題」を担当されたりと精力的に研究発表活動をされておいでで、本年10月15日開催の第2回「著作者人格権をめぐる現代的諸問題」の会場には小川先生も見えられていて、講座の終わりには、高林龍先生が壇上から門下となる小川先生の本書の上梓をおしらせされておられました。

■小川先生の論文等(一部)

小川明子「日本における追及権保護の可能性―フランス,フィンランド,英国での聞き取り調査をもとに―」PDF(企業と法創造「特集・変容する企業社会と労働法」(2006年3月発刊)(通巻第六号))

小川明子「著作権法改正による美術の著作物への影響 ─47条の2と追及権─」PDF(企業と法創造「特集・知的財産法制研究V」(2010年3月発刊)(通巻第二十二号))

【早稲田大学グローバルCOE≪企業法制と法創造≫総合研究所 知的財産法制研究センター】RCLIPコラム 小川明子「追及権をご存じですか?」(2011/10/4 update)
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2010年11月02日

新刊案内 小林尋次「再刊現行著作権法の立法理由と解釈−著作権法全文改正の資料として−」

1958年(昭和33年3月)刊行の小林尋次「現行著作権法の立法理由と解釈−著作権法全文改正の資料として−」が第一書房から再刊されました(A5判 税込4200円)。

第一書房

再刊にあたって、久留米大学名誉教授で元文化庁著作権課課長補佐・著作権調査官でおいでであった大家重夫先生が再刊の意義、解題、索引等を担当されておいでです。
大家先生のお話では、小林さんのご遺族から早い段階で再刊の許諾を得ていたそうですが、最近の格安DVD事件(映画保護期間満了事件)で参考文献として判決において引用されるなど、本書の重要性が再認識されている状況を踏まえて再刊が実現したようです。大家先生ほか第一書房の皆様のご尽力には心から感謝したいと思うところです。

手元にある1958年刊行本と再刊本を比較してみますと、原書は文部省を発行者とする非売品の扱いで本文全281頁。
再刊本は縦書きが横書きに改められていて本文は213頁に収められています。原書にはなかった索引と附録として旧著作権法(明治32年当時)、明治43年、大正9年、昭和6年、昭和9年著作権改正法、旧著作権法(昭和45年当時)が掲載されていて旧法にあたる際に利用し易い体裁となっています。
また、解題として大家先生による「小林尋次について−水野錬太郎「著作権法」を手直ししようとした学者行政官」が巻末に掲載されていて小林さんのひととなりにも触れる大変興味深いものとなっています。

現行著作権法のコンメンタールも重要ですが、著作権法の沿革を知る上でも本書も必携の一冊ではないでしょうか。
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2010年09月06日

文献案内 大家重夫「鳩山和夫と著作権」(マーチャンダイジングライツレポート2010年9月号)

マーチャンダイジングライツレポート(山科ホールディングス/旧商品化権資料センター刊行)2010年9月号(50頁以下)から、大家重夫先生の「鳩山和夫と著作権」の連載(IP時事問題・特別寄稿)が始まりました(連続3号掲載予定)。

鳩山由紀夫前首相の曾祖父、鳩山和夫にスポットを当てたもので、和夫と著作権、知的財産権についてのご論考。
和夫の来歴(岡山・美作勝山藩からアメリカ留学、代言人へ)、ベルヌ条約加盟との関わりなど、興味が尽きないところです。

商品化権資料センター (JLIC)
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2010年04月19日

文献案内 「2009年度3年次井関ゼミ共同論文集」(同志社大学法学部井関ゼミ)

2010年3月10日刊行の本書は、同志社大学法学部法学研究科教授井関涼子先生門下の知的財産法ゼミ(第10期生)の皆さん総勢25名による共同論文集です。

第1部 漫画と知的財産法
第2部 知的財産法の産業との関わり
第3部 音楽と知的財産法
第4部 著作物の改変に関する諸問題〜二次的著作物、パロディ、サンプリングの観点から〜
第5部 商標の法的保護


漫画や音楽、サンプリングの問題など先端的な問題が取り上げられていて、学生の方々の問題関心の所在も分かって興味深い内容の論文集となっています。

本書は、4年次の卒論に繋がる3年次の共同論文集の制作という位置付けのようですが、俊英が揃っている印象で羨ましい限りのゼミです。
フィールドワーク(取材)も含め、ゼミの皆さんの丁寧な対応振りには、井関先生の「研究と教育は車の両輪」というお言葉がまさしく体現されていると感じるところです(同志社大学法学部・法学研究科 -Faculty of Law-「<ゼミ・レポート> 井関涼子ゼミ(知的財産法)」)。


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2010年03月21日

新刊案内 田中 豊編「判例で見る 音楽著作権訴訟の論点60講」(日本評論社)

2010年3月25日刊行の本書は、訴訟で争点とされた音楽著作権や契約に係わる論点を中心に60講をまとめたものです。執筆は、田中豊先生や前田哲男先生を含め8名の弁護士の方々によるものとなっています。

判例でみる音楽著作権訴訟の論点60講
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目次を概括していただければ分かるように、音楽著作権に関する論点を網羅する内容で、ボリューム感があります(本文498頁)。
田中先生は、最近で思い浮かぶところとしては、紋谷暢男編「JASRAC概論 音楽著作権の法と管理」(2009)でのご論考(「著作権侵害とJASRACの対応」151頁以下)や著作権情報センター(CRIC)1月講演会「著作権侵害による損害賠償請求訴訟に係る諸問題」でのご講演、また、パンドラTV事件(ジャストオンライン事件 東京地裁平成21.11.13平成20(ワ)21902著作権侵害差止等請求事件)ではジャスラックの代理人弁護士を担当されておいでです。

目次

第1章 著作物および著作者
 1 著作物
 2 著作者

第2章 著作権侵害
 1 依拠
 2 同一性・類似性
 3 公衆概念
 4 侵害行為
 5 著作権侵害の証拠収集

第3章 著作権侵害の責任主体
 1 規範的利用主体論
 2 道具の提供者に対する損害賠償請求
 3 道具の提供者に対する差止請求
 4 インターネット上のサービス提供者の責任
 5 会社とその取締役の責任
 6 屋号の続用者の責任

第4章 著作権侵害訴訟における抗弁事由
 1 権利制限
 2 著作権保護期間
 3 時効

第5章 著作者人格権および著作隣接権
 1 著作者人格権
 2 著作隣接権

第6章 権利の救済
 1 差止請求
 2 不法行為に基づく損害賠償請求
 3 不当利得返還請求
 4 謝罪広告の請求
 5 刑事罰

第7章 著作権の契約と管理
 1 著作権に関する契約
 2 著作権等管理事業法

判例でみる 音楽著作権訴訟の論点60講|日本評論社より


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2010年03月09日

論文案内 大家重夫「藤田君代夫人と著作権」(全3回 マーチャンダイジングライツレポート)

大家重夫先生が『マーチャンダイジングライツレポート』の2010年2月号(45巻2号)から3回に亘って画家レオナール藤田(藤田嗣治)夫人と著作権について論考を公表されておいでです(2月号と3月号は既刊)。

【目次】

第1章 藤田嗣治家の人々
第2章 平野政吉美術館の名前
第3章 著作権者の許諾が得られないという評判(以上、2月号)
第4章 国会議員の質問主意書により問題提起
第5章 小学館「原色現代日本の美術」事件
第6章 展覧会カタログ事件(以上、3月号)
第7章 「Leonard-Tsuguharu Foujita(レオナール・ツグハル・フジタ)」事件
第8章 「レオナール・ツグハル・フジタの生涯と作品」輸入事件
第9章 著作権の公共性と個人性
第10章 藤田君代の功績


ファインアート系の作家で著作権紛争というと、レオナール藤田の作品が関係する事件が判例上重要なものとなります(判例百選第三版「引用」162頁以下、「展覧会のカタログへの作品掲載」174頁以下、「フランスで出版された画集の日本への輸入、販売」232頁以下、第四版「引用(2)」120頁以下参照)。

知り合いの画商から以前、美術作家で著作権にうるさかったのは、藤田と東山魁夷さんだったと聞いたことがありますが、大家先生の御論文を通して作家(作品と作家の周辺)理解が進む印象です。
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2010年02月18日

新刊案内 青山紘一「著作権法(事例・判例)」(経済産業調査会)

著作権法(事例・判例) (現代産業選書―知的財産実務シリーズ)
著作権法(事例・判例) (現代産業選書―知的財産実務シリーズ)
クチコミを見る


青山紘一先生ご執筆の本書は、経済産業調査会発行の「現代産業選書 知的財産実務シリーズ」に位置付けられる1冊で2010年2月10日刊行(本文617頁)。平成21年の著作権法改正(平成22年1月1日施行)に対応した内容となっています。

本書は大きく分けて第一部の著作権総論部分と第二部の判例部分に別れていますが、判例は133件も収録されていてボリューム感があります。
判例については、著作権判例百選の第四版(2009)にも対応していて、大変使い勝手が良いものとなっています。
事例の最後(事例133)には小室詐欺被告事件が取り上げられていて(613頁以下)、また最新の判例としては、チャップリン・モダンタイムス格安DVD事件(最判平成21.10.8)まで触れられています。

詳しい本書の内容について
著作権法(事例・判例) 経済産業調査会サイト

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2010年02月04日

新刊案内 小野昌延、山上和則編著「不正競争の法律相談」(青林書院)

2010年2月10日刊行の本書は、新青林法律相談シリーズ24巻目に位置する不正競争防止法Q&A解説書です。

前著となる改訂版(青林法律相談シリーズ19巻)は2002年刊行で平成13年改正に準拠したものでしたが、今回刊行の本書では、平成21年改正(業者の技術やノウハウ等の営業秘密を保護するため、営業秘密侵害罪の要件などが見直され(不正の利益を得たり、保有者に損害を加えたりする目的をもってなされる行為を処罰の対象に含め、また、営業秘密を領得する行為を新たに刑事罰の対象とした)、営業秘密の刑事的保護が拡大されている)に対応しています。

項目も84題(本文513頁)から87題(635頁)とボリュームアップしています。

判例としては、直近の裁判例としては精肉石川屋産地偽装刑事事件(仙台地裁平成21.2.25平成20(わ)707等不正競争防止法違反等被告事件)まで触れられています。

不正競争の法律相談 (新青林法律相談)
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2010年01月27日

新刊案内 三山裕三「著作権法詳説-判例で読む16章 第8版」(レクシスネクシスジャパン/雄松堂出版)

2010年2月24日刊行の本書は、判例が豊富に盛り込まれた著作権概説書として定評がある弁護士三山裕三先生執筆のもの。
第7版が2007年9月刊行で、今回は2009年著作権法改正を踏まえた改訂版となっています(本文全570頁)。

第8版では、判例は手遊び歌事件(東京地裁平成21.8.28判決)まで触れられていて、充実の一冊ではないでしょうか。

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書籍案内
著作権法詳説−判例で読む16章 第8版:雄松堂出版より

平成7年に東京布井出版から初版が刊行された本書も、この14年の間に8版を数えるようになり、いよいよスタンダードな著作権法の教科書としての位置を確立しつつあります。
インターネットやデジタル化の普及に伴い、著作権法を取り巻く環境は日を追うごとに変化している中、124条にも及ぶ著作権法の概要を345もの判例もとに解説した好著です。
本論を助けるものとして、327の注、77のtopics、26の囲み記事など、読者の理解を深める情報も満載。大充実の内容となっております。
いまや1億総クリエータ、1億総ユーザともいえる現在、ぜひお手元においていただきたい1冊です。



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2010年01月18日

新刊案内 福井健策「著作権の世紀」(集英社新書)

弁護士福井健策先生執筆の本書(2010年1月20日刊行)は、2005年刊行「著作権とは何か」(集英社新書)に続く著作権新書版本の第二弾(本文全228頁)。

著作権の現代的課題を網羅する一冊で「情報の独占」「自由流通」「創作振興」「多次的創作」といったキーワードから著作権を読み解こうとするものです。応用美術論や人格権論といった著作権の本質論に繋がる議論を提供されています。

情報の大海原を前にして呆然と立ちすくむのではなく、力強く漕ぎだそう、そう問いかける内容ではないでしょうか。

著作権の世紀―変わる「情報の独占制度」 (集英社新書 527A)
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目次

はじめに
第一章 情報の独占制度
第二章 対立するテクノロジーと著作権
第三章 多次的創作の時代-カヴァー、アレンジと二十世紀藝術
第四章 PD、オア・ノットPD、それが問題だ-著作権は何年間守られるべきか
第五章 アーカイヴィングの現在-電子図書館、番組ライブラリー、フィルムセンター
第六章 変容する著作権-リフォーム論、DRM、パブリック・ライセンス
第七章 疑似著作権と情報の「囲い込み」
終章  情報の「世界分割」
あとがき
主要参考文献
索引


骨董通り法律事務所コラム(2009.11.5記事)
福井健策「擬似著作権: ピーターラビット、お前に永遠の命をあげよう」

集英社
『著作権の世紀──変わる「情報の独占制度」』|集英社新書

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2009年12月31日

新刊案内 渡辺知子、龍村全著・日経デザイン編「知的財産権とデザインの教科書」(日経BP社)

知的財産権とデザインの教科書
知的財産権とデザインの教科書
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2009年12月28日刊行の日経デザイン編「知的財産権とデザインの教科書」は、渡邊知子弁理士、龍村全弁護士によるインダストリアルデザイン系の法律関係(意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法、契約)を解説するものです(本文全189頁)。

日経デザイン」2004年9月号から2009年11月号までに「知財ニュース解説」や「知財ショートセミナー」に掲載された記事から46編が選ばれていて、ヴィジュアル的にも読みやすい体裁となっています。

シャンプーのパッケージデザイン(意匠法)から始まって、携帯電話のインターフェイス(部分意匠)、正露丸事件(商標)、ピーターラビット事件(著作権、商標)、ひこにゃん事件(著作権、契約)、模倣品対策(不正競争防止法)と、読み物としても面白いものとなっています。

意匠法と著作権法が交錯するインダストリアル系デザインの取扱いはいつも悩みどころですが、知財年報2009年版の特集:「応用美術の法的保護」などと一緒に読んでみると一層理解が深まるかもしれません。

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2009年12月30日

新刊案内 浅岡邦雄「〈著者〉の出版史-権利と報酬をめぐる近代」(森話社)

2009年12月11日刊行の本書は、中京大学文学部准教授浅岡邦雄先生による明治時代を中心とした近代出版史における権利と報酬(すなわち著作権問題、契約問題)を対象とする論考です。

版権条例の制定過程についての記述の誤謬(伊藤信男「著作権事件100話-側面からみた著作権発達史-」(1976)日本大家論集事件37頁以下参照)を示すくだり(本書34頁以下)など、なるほどなあ、と興味が尽きない部分です。

いずれにしても、無断転載、出版問題は100年前の明治時代の頃と現代でさほど変わっていないことが良く分かります。

【目次】

はじめに──権利と報酬をめぐる近代

1 権利をめぐる著者と出版者

1『西国立志編』をめぐる出版事情
2「版権条例」「版権法」における雑誌の権利
3「同盟医書販売組合」の設立と医学書の出版
4書物としての『一年有半』『続一年有半』

2 作家の出版契約

1著者と出版者とのデリケート・バランス
2小杉天外の著書出版契約
3明治後期地方新聞における小説再掲載の実態──山田美妙を中心に
4岩野泡鳴日記にみる著書の出版
5籾山書店と作家の印税領収書および契約書


“著者”の出版史―権利と報酬をめぐる近代
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2009年12月24日

新刊案内 「知財年報2009」(I.P.Annual Report)

今年で5冊目となる知財年報(渋谷達紀/竹中俊子/高林龍編 別冊NBL130号)2009年度版が発行されました(2009年12月22日刊行)。
知財判例の動きや学説の動向、また特集1としては「応用美術の法的保護」が取り上げられています。

著作権法に関する学説の動きについては、例年同様今村哲也先生がご担当されておいでで、この1年の論文や書籍が把握できてとても参考になります(57頁以下)。

特集の2つめとしては、「グローバル化する現代的課題」として論文が掲載されています。
フェアユース論の限界から著作者と利用者の対等性を念頭に新しい著作権法のフレームとして「人権」からアプローチする論考として、張睿暎先生の「著作物ユーザに権利はあるか-新しい著作権法フレームとしての人権」(294頁以下)も掲載されています。

人権の性質論(憲法論)や著作権法でのとらえ方など、張先生にいつかお伺いできたらと思っています。

知財年報 2009
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「2009年の判例・学説・産業界の動向、諸外国における知財の動向を解説するほか、特集では、著名あるいは新進気鋭な学者や実務家の論考を10本掲載。2009年3月開催の国際知的財産セミナー報告も収録。 」

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2009年12月23日

新刊案内 秀間修一「すぐに役立つ音楽著作権講座」(シンコーミュージックエンタテイメント)

音楽出版社協会(MPA)の音楽著作権実務者研修でも長年講師をされておいでの秀間修一氏執筆による音楽著作権契約実務を一覧できる解説書です(2010年1月10日刊行 契約書サンプル規程集も含め315ページ)。

冒頭に3K(「権利」「規程」「契約」)の重要性が述べられていますが、全く同感です。
音楽著作権の契約実務をするためには、権利=著作権、規程=ジャスラック規程、契約=各種契約書の理解がないと困難です。

なお、新しい書式としては音楽配信契約書のMPA/NMRCフォーマットも掲載されています。これはMPAのサイトで登録すれば音楽出版社はダウンロード可能となっています。

すぐに役立つ音楽著作権講座
すぐに役立つ音楽著作権講座
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【目次】(下記のサイトより)

序章 音楽ビジネスにおける「3K」(権利・規程・契約)の重要性
第1章 音楽ビジネスのしくみを知ろう
第2章 権利のことを知ろう
第3章 規程を知ろう
第4章 契約のことを知ろう
第5章 権利と規程をビジネスに活かそう
第6章 契約書サンプル集

〜コラム〜
「(C)表示と(P)表示の意味と効果」
「レコード製作者の意義を考える」
「著作権詐欺事件の教訓」
「50年が経過したレコードでも使うときは要注意!!〜実演家の著作隣接権保存期間を正確に計算しよう〜」
「ビートルズの原盤の権利がもうすぐ消滅する?〜ビートルズ作品の保護期間を考える〜」
「楽曲や原盤が作家やアーティストに断りなくCMに使われるケースとは〜局制作CMと著作権との関係〜」


すぐに役立つ音楽著作権講座|シンコーミュージック・エンタテイメント

written by ootsukahoumu at 07:17|この記事のURLTrackBack(0)

2009年12月20日

新刊案内 中山信弘、大渕哲也、小泉直樹、田村善之編「著作権法判例百選第四版」別冊ジュリスト198号(有斐閣)

待望の著作権判例百選第4版が刊行されました(2009年12月18日刊行)。横組みになって装いも新たになりました。
18日にあった行政書士での著作権勉強会でも「あれが変わった、これが変わった」と話題になりました。

第3版が2001年刊行ですので、ほぼ8年。この間めまぐるしく変化するウェブ環境もあって、著作権に関する判例の変遷、掲載判例の取捨選択を拝見するのも楽しみなところです。また、執筆陣の入れ替わり(新旧交代)も興味を引きます。

ちなみに、島並良先生は「ヒットワン事件」、井関涼子先生は「スモーキングスタンド事件」、福井健策先生は「色画用紙見本帳事件」、小倉秀夫先生は「ベジャール事件」を執筆担当。
田村善之先生は、「ポパイネクタイ事件」をご担当されておいでです。

著作権判例百選 第4版
著作権判例百選 第4版
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【目次】(有斐閣サイトより)

1 著作物──創作性/設計図の著作物性/応用美術/タイプフェイスの著作物性/編集著作物/データベース/二次的著作物など28件
2 著作権の主体──著作者の認定/共同著作物/職務著作/映画製作者など12件
3 著作権の内容──依拠性/複製権/翻案権と類似性/原作者の権利が及ぶ範囲など16件
4 著作権の制限──団体内部の複製/引用/時事の事件の報道など12件
5 権利の取引──譲渡契約の解釈/許諾契約の解釈/共有著作権と正当理由など8件
6 保護期間──旧法下の映画の保護期間/戦時加算など3件
7 著作者人格権──同一性保持権/本質的特徴を感得できない要約など9件
8 パブリシティ権──競走馬の名称/肖像等の使用許諾など3件
9 侵害と救済──将来の著作物の差止め/間接侵害/著作権侵害訴訟の訴訟物/損害額の算定/名誉回復等措置など19件
10 国際関係──著作権関係事件の国際裁判管轄/未承認国の著作物など3件
計113件


BENLI
著作権法判例百選[第4版]

企業法務戦士の雑感
■[企業法務][知財]8年ぶりに出た百選。

有斐閣
著作権判例百選第4版〔No.198〕 有斐閣
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2009年12月14日

新刊案内 椙山敬士「著作権論」(日本評論社)

弁護士椙山敬士先生の論文集となる「著作権論」(2009年12月20日刊行)は、2002年から2008年にかけて発表された椙山先生の講演録や論文(8件 書き下ろし2箇所)を収録したものとなります。

【目次】

第1部 現行著作権法の主要課題――リフォーム論
第2部 保護範囲論
 第1章 翻案の構造
 第2章 フェアユース
 第3章 考慮すべき要素
第3部 知的財産権のアポリア
 第1章 データベースに関連する判例の分析
 第2章 知的財産権の共有
 第3章 生成中の権利
終 章 知的財産権の転換期


著作権論
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ところで、椙山敬士先生を講師に迎えてのJASRAC連続公開寄付講座が今週開催されるので、聴講してきたいと思っています。

2009年度早稲田大学 JASRAC連続公開寄付講座
主催: 早稲田大学大学院法務研究科・法務教育研究センター
共催: 早稲田大学グローバルCOE
知的財産法制研究センター(RCLIP)

第6回12月19日(土)「フェアユース規定を巡る課題と展望」
13:00〜14:30
司会: 平嶋竜太(筑波大学大学院ビジネス科学研究科准教授)
講師: 椙山敬士(弁護士)

JASRAC連続公開寄付講座『著作権侵害をめぐる喫緊の検討課題』

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2009年11月29日

新刊案内 鹿毛丈司「最新 音楽著作権ビジネス-音楽著作権から音楽配信ビジネスまで-」

鹿毛丈司さんといえば、インディーレーベルの音楽著作権に関する参考書として「音楽ビジネス・自遊自在」「実践編」がありますが、新刊本「最新 音楽著作権ビジネス-音楽著作権から音楽配信ビジネスまで-」(2009年12月10日刊行 ヤマハミュージックメディア)は、本文124頁、巻末用語集、契約書式集を含め全162頁とたいへんコンパクトなので気軽に読める体裁となっています。

特別講座として、鹿毛さんがプロデュースされたCDアルバム「ピアノでラブ・ストーリー」の制作、販促の流れが掲載されていて具体的なイメージが掴みやすいものとなっています。

【目次】
まえがき
特別講座

第1章 音楽ビジネスの全体像
第2章 原盤制作と原盤契約 
第3章 音楽出版管理と著作権契約
第4章 インタラクティブ配信
第5章 これからの音楽ビジネスへのヒント
巻末データ


最新 音楽著作権ビジネス 原盤権から配信ビジネスまで
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2009年11月21日

新刊案内 紋谷暢男編「JASRAC概論 音楽著作権の法と管理」(日本評論社)

2009年11月25日刊行(本文全290頁)の本書は、音楽著作権管理団体であるJASRAC(社団法人日本音楽著作権協会)の歴史や音楽著作権の管理に係わる権利関係について言及する学術書です。以下のように多彩な執筆陣容となっています。

はじめに 音楽文化とJASRAC/紋谷暢男
第1章  JASRAC誕生の経緯と法的環境/大家重夫
第2章  JASRACが管理する権利/上野達弘
第3章  JASRACへの音楽著作権の信託/鈴木道夫
第4章  JASRACの音楽著作権管理/市村直也
第5章  著作権侵害とJASRACの対応/田中 豊
第6章  国際条約と日本国著作権法/岡本 薫
第7章  音楽産業とその関係者/前田哲男
第8章  著作権をめぐる今日的課題/斉藤 博

JASRAC概論―音楽著作権の法と管理
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大家重夫先生ご執筆の第1章では、JASRACの歴史(すなわち日本の著作権の歴史)を振り返ることができます。
上野達弘先生は、著作権概論(第2章)、鈴木道夫先生は、管理委託契約関係(第3章)、市村直也先生は、分配などの実務的な部分(第4章)、田中豊先生は、著作権侵害論(第5章)、岡本薫先生はJASRACへの提言など(第6章)、前田哲男先生は著作隣接権まわりについて(第7章)、斉藤博先生は、Google Book Search和解案など今日的な問題について(第8章)取り上げておいでです。

つい先日、JASRAC70周年記念パーティーの席上、鳩山由紀夫総理が著作権保護期間延長議論について言及、「70年に延ばすよう最大限努力する」旨の発言があって、さっそくMIAUは声明を公表しています(鳩山内閣閣僚による、最近の著作権保護期間延長に関する発言について 2009-11-20 18:00:00 )。

公取委がジャスラックに対して排除措置命令を出したり(詳しくは、大家重夫先生「公取委のJASRACへの排除命令は妥当か」『マーチャンダイジングライツレポート』582号52頁以下(2009.4 商品化資料センター刊行)参照)と話題に事欠かないところですが、ジャスラックは音楽ビジネスにとっては無くてはならない存在。
ジャスラックは70周年を迎えましたが、政権交代や公益法人制度改正など環境は変化していますので、より身近な存在として日々ブラッシュアップして欲しいところです。

written by ootsukahoumu at 05:27|この記事のURLTrackBack(0)

2009年11月01日

新刊案内 西島大介「魔法なんて信じない。でも君は信じる。」

竹熊さんのブログに本書の紹介記事が掲載されていたので早速購入。
本書は、漫画家さんが出版社に生原稿を紛失されてしまった際の顛末をご本人が漫画で紹介するドキュメンタリー(批評は、大谷能生氏)。本文全155頁(2009年11月24日刊行)。

魔法なんて信じない。でも君は信じる。 (本人本)
魔法なんて信じない。でも君は信じる。 (本人本)
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たけくまメモ(2009年11月1日記事)
マンガ原稿紛失とその賠償額について

本を出す前に出版契約を交わさないという業界の慣習についてのことで、これについての論考がまったくない」との指摘が竹熊さんのブログ記事にあるように、西島さんの今後の契約まわりの対応については言及がありません。たしかに現在、漫画雑誌の執筆については、契約書のやりとりはまだ少ないと思われます(漫画単行本の出版契約書はあります)。

でも、わたしのクライアント先の漫画家さんは、業界慣行に果敢にチャレンジ。いまでは、漫画雑誌執筆契約についてしっかりと契約書を取り交わしています(「契約書を取り交わさないというのが業界慣行だ」、という「昨日の常識」は、政権すら交代する現在となっては「今日の非常識」かもしれません)。

原稿紛失時の対応について、たとえば少数頁紛失の場合は原稿料の10倍額、出版不能の場合は、印税相当額を損害額と取決めておくなど、今後の契約書の内容を考えるにあたって本書はとても参考になりました。


以前、数頁分の紛失原稿が見つかって、そのやりとりの仲介をしたこともありましたが、当時わたし側の事情で預かった原稿を漫画家さんのところへ持参せず郵便送付しましたが、保険をめいっぱい掛けた(損害要償額数百万円)冷や冷やさ加減をいまでも思い出します。

手にとってみた一枚一枚のカラー原稿は、それこそ美術作品のように素晴らしいもので、雑誌や単行本でみるものとはまったくの別モノでした。生原稿の紛失は、当事者(漫画家さんだけでなく、出版社側にも)にとって想像以上のインパクトであろうことが分かります。

written by ootsukahoumu at 21:10|この記事のURLTrackBack(0)