知財判決速報2008

2009年02月12日

機動戦士ガンダムパチスロ事件〜著作権 業務委託料等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

機動戦士ガンダムパチスロ事件

東京地裁平成20.12.25平成18(ワ)24821業務委託料等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官      平田直人
裁判官      瀬田浩久

*裁判所サイト公表 09/2/9

添付別紙PDF(シーンデータ裁判所評価)

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■事案

アニメ「機動戦士ガンダム」のパチスロ開発業務に関して、未払い対価の
支払いや成果物の二次的著作物性についてその著作権、著作者人格権
に基づく差止請求が争われた事案

原告:アニメ企画制作会社
被告:娯楽用電子機器開発製造会社

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 民法632条、656条

1 本件各契約の法的性質
2 本件業務の履行の状況
3 追加作業に関する受委託契約の成否
4 抗弁関係の成否

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■判決内容

<経緯>

H18.1.27  原被告間でガンダムパチスロ実機開発案件キックオフミーティング
H18.2.13  開発委託契約、見積書
H18.3.1   開発委託契約、見積書
H18.3.20  開発委託契約、見積書
H18.4.26  プリプロダクション実施、遅延原因報告書作成
H18.5.23  基本契約、個別契約締結
H18.5.31  着手金1530万円支払
H18.6.6   契約交渉会議
H18.6.13  V2「機動戦士ガンダム靴瓩阿蠅△け宙篇」制作延期
H18.8.29  被告が成果物の査定評価額を原告に通知(合計4327万円余)
H18.8.30  原告は社内算定結果を被告に通知(合計9369万円余)
H18.9.28  被告から原告に対して未履行部分の解除通知
H18.11.7  本件訴訟を提起
H19.9.13  山佐株式会社 パチスロ「機動戦士ガンダム供前ァ戦士編〜」
        発表
H19.12   パチスロ「機動戦士ガンダム供前ァ戦士編〜」リリース

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<契約関係>

山佐(パチスロ製造販売)→開発委託→被告(ハードウェアデザイン、
ソフトウェア開発)→開発委託→原告(液晶画面表示シーンデータ制作)

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<争点>

1 本件各契約の法的性質

原被告間の本件開発委託業務の内容は、劇場用映画「機動戦士ガンダム」
などのDVDの2Dセルアニメの名場面をパチスロ用の動画データ(シーンデ
ータ)に再現する業務でした。シーンデータの作成は元映像のリアルタイム
3DCG化(2.5D)によるものです(43頁)。

パチスロ(回胴式遊技機)開発業務委託基本契約(3頁以下)の法的性質に
ついて、原告は請負契約とは異なる無名契約であって、仕事完成義務その
ものを負担することはないと主張しました。
この点について、裁判所は、準委任の性質があるものの、本件各契約(個別
契約)の目的がパチスロに使われる映像の制作であることから、基本的には
「請負」の業務の範疇にあるものとしています。
また、業務内容、対価、支払方法、納期などに関する本件各契約(個別契約)
についても、共同作業によって契約の履行が完遂される「請負的な性格を有
する業務の委託契約」として捉えられています(107頁以下)。

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2 本件業務の履行の状況

次に、シーンデータの個々の制作作業がどの程度仕上がれば個別にみた
本件業務の完成に至るといえるかを確定する必要があり、「本件仕様」の
内容が問題とされています(108頁以下)。

結論的には、「本件仕様」とは「原告において,本件元映像にできる限り似
せること
」(111頁)であり、各シーンデータごとに個別に完成の度合いを
5段階に分けたうえで検討されています。

そのうえで、裁判所は、被告に提出された本件シーンデータの出来型の
金銭的な評価として全体で4857万円、既払金1530万円を差し引いて、
未払相当金は3327万円であると判断しています(113頁以下)。

なお、本件各契約関係の未履行部分(出来型以外の部分)は既に契約
解除により解消されているとして、結果的に本件基本契約10条の「納入
物」の「引渡し」が完了しており、予備的請求である二次的著作物に
関する著作権及び著作者人格権に基づく差止請求については認められ
ていません(114頁)。

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3 追加作業に関する受委託契約の成否

原告は、被告のために追加作業を行っており、本件基本契約9条3項、
商法512条により受委託契約が原被告間で成立していると主張しました。
しかし、結論的には、各個別契約とは別個の契約が成立しているとは
認められず、追加作業についての対価請求は容れられませんでした
(114頁以下)。

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4 抗弁関係の成否

(1)一部解除の抗弁

平成18年9月28日に被告から原告に対して未履行部分の解除通知が
出されていますが(10頁)、この通知により本件シーンデータの出来
型として割合的に完成したものと評価できる部分以外については、
本件各契約の未履行部分として解除されたものと認められています
(115頁以下)。

(2)同時履行の抗弁

未履行部分の解除が認められていることから、被告の対価支払債務
と牽連関係に立つ原告の引渡債務は存在しないとして、被告の抗弁
は容れられていません
(116頁以下)。

(3)相殺の抗弁

さらなる外注などによる損害があるとして、被告は損賠賠償請求権の
存在を主張しました。しかし、原告の帰責性については、

被告の帰責性といわば競合するものとみるのが相当であって,原告において,債務不履行責任を生ずるような帰責事由があるものと認めることはできないというべきである

として、相殺の抗弁を認めませんでした(117頁)。

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■コメント

パチスロ実機開発のためのアニメ映画の3DCG化の現場のやりとりが
良く分かる判決内容です。

8ヶ月間にわたるパチスロ実機開発業務について平成18年1月のキッ
クオフミーティングからシーン成果物の査定評価の溝が埋まらなかっ
た8月まで、連日のように開催されたミーティングについてその報告書
や議事録から開発業務の進捗具合が分かります(56頁以下)。

アニメセル画の2次元映像を3次元で表現する場合、ポリゴン(多角形)
データであるモデリングデータの変形作業が重要なものでしたが
(43頁以下)、遅延原因報告書の記載(100頁以下)を見ると、双方
にとって想像以上にたいへんな作業であったことが伺えます(*)。

開発業務委託契約の法的性質論については、共同作業の面を重視す
れば準委任の性質が強調されますし、成果物の完成の面を重視すれ
ば請負の性質が強調されますが、裁判所は、基本的には請負契約と
捉えつつ「完成」の度合いのランク付けを行い業務委託料の査定判断
をしています。
また、原告に債務不履行を認めないうえでの処理となっています。

本件業務における完成度を計るための「仕様」を表現するとすれば,被告の具体的な指示を前提として,原告において,本件元映像にできる限り似せることである,としかいいようのないものである
(111頁)

と裁判所に言わしめている点も、通常のプログラム開発業務で作成
される「仕様書」とは違った一面を見るところです。

なお、シーンデータの二次的著作物性について今回は判断されるに
至りませんでした。
アニメ「機動戦士ガンダム」(原著作物)の著作権は、著作権表示から
すると創通とサンライズ、となりますが、2Dセル画にできる限り似せて
制作された2.5D著作物であるシーンデータの二次的著作物性につい
ては、いかに困難な制作過程を経たものであったとしても原著作物と
酷似しているが故に新たな創作性の付与が否定される可能性があり
そうですし、光沢感、立体感など印象の違いから肯定される可能性も
否定はできないところです。

 〜〜〜〜〜

せっかくですので、近所のパチンコ屋さんを覗いてみました。
パチスロとしては、

「サラリーマン金太郎」
「北斗の拳」
「エヴァンゲリオン」


などが目に付きました。

2.5Dというのは、「サラ金」みたいなタイプでしょうか。
「エヴァ」は2Dと3Dが混在しているようなタイプでした。

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■過去の遊技機器関連ブログ記事

2007年1月5日記事
宇宙戦艦ヤマトパチンコ事件

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■参考文献

漫画キャラクターの立体化商品(ガレージキット)の二次的著作物性に
ついて、ガレージキット事件(京都地裁平成9.7.17判決)参照。
芹田幸子「ガレージキットの第二次著作物性並びに職務著作の成立要件」
     『村林隆一先生古稀記念 判例著作権法』(2001)353頁以下

請負人(ベンダー)の債務不履行を否定しつつ、過失相殺の規定を類推
適用することで具体的妥当性を図った事例として、東京地裁平成16.3.10
判決参照。
(財)ソフトウェア情報センター「ソフトウェア取引における紛争事例
を巡る判例に関する調査報告書
」(2006)71頁以下

未完成プログラムの分量に着目して債務不履行と判断しなかった事例
として、東京地裁平成17.4.22判決参照。
(財)ソフトウェア情報センター「ソフトウェア契約関連判例に関する
調査研究報告書-平成18年度版-
」(2007)21頁以下

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■参考サイト

山佐株式会社
パチスロ「機動戦士ガンダムII〜哀・戦士編〜」機種情報ページ
パチンコ 店/パチンコ・パチスロ 総合情報 Pガイド
パチンコ 店/パチンコ・パチスロ 総合情報 Pガイド  パチスロ「機動戦士ガンダムII〜哀・戦士編〜」 山佐

(*)Where is a limit?のTontonさんからおしえていただいたサイト

SLN3DEXPO Vol.2 2.5次元アニメの技法 - SLNblog

Tontonさん曰く、
「エクセルでマクロ組もうが、DBの仕事であろうが、
基本的にはパソコンで仕事をやる場合の人の場合、
殆どが2Dです。そういう意味ではライターさんとか
物書きさんとかも、そういう分別になります。
しかし、3Dの場合、xy軸に更にz軸が追加される訳で
すから、仕事量が半端じゃなく増える事は目に見え
ています。」

なるほど。。



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2009年01月17日

自動車部品コーティング剤品質誤認表示事件〜不正競争防止法 不正競争行為差止等本訴請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

自動車部品コーティング剤品質誤認表示事件

東京地裁平成20.11.28平成18(ワ)23402等不正競争行為差止等本訴請求事件PDF
 平成19(ワ)24141反訴請求事件

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官      大竹優子
裁判官      中村恭

*裁判所サイト公表 09/1/8

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■事案

自動車部品用のコーティング塗料の入った缶に貼付されたラベルに
記載された商品名について、品質誤認表示性が争われた事案

本訴原告:固体潤滑処理販売会社(反訴被告)
       代表取締役Aの訴訟承継人ら
本訴被告:塗料、塗料機械製造販売会社ら(反訴原告)

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 不正競争防止法2条1項1号、13号、14号、民法709条

1 品質誤認表示性(13号)
2 商品・営業混同表示行為性(1号)
3 営業誹謗行為性(14号)
4 文書送付による名誉毀損の成否(略)
5 不当訴訟提起の不法行為性(略)
6 Aらの発言による名誉毀損の成否(略)
7 Y1の発言による名誉毀損の成否(略)

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■判決内容

<経緯>

S42.3   原告会社設立 B,被告Y1,被告Y2が発起人
H9.3    Bが引退、末弟Aが代表取締役に就任
H14.3   Y1が社長代行を解任される
H14.4   Y1が被告会社を設立
H16     Y1がAを刑事告発
H17.4    Y1がAらの取締役解任訴訟を提起
H20.7.31  Aが死去

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<争点>

1 品質誤認表示性(13号)

原告会社は、取引先に塗料を販売する場合、塗料缶に品名として
「XYLAN 1052」と商品表示していました。ところで、被告会社も同様に
「XYLAN 1052」と塗料缶に商品表示して取引先に販売していましたが、
成分は異なる塗料でした(商品名「ホスタフロン5875」表示についても
同様)。

この点について、裁判所は、「XYLAN 1052」との商品表示は、ザイラン
1052(ウイットフォード社製)を使用し、粘度調整のための溶剤以外の
ものを加えないものであり、ザイラン1052(ケーヒン仕様)を満たして
いる製品であると需要者によって理解されるものであるが、被告会社は、
「XYLAN 1052」と表示してザイラン1052(被告会社製)を販売していた
ことから、品質誤認表示(不正競争防止法2条1項13号)にあたると判断
しています。
(70頁以下)

結論的には、営業上の損害について190万円、弁護士費用20万円の合計
210万円を損害額として認定。差止請求については認めませんでした。

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2 商品・営業混同表示行為性(1号)

被告会社が被告商品に「XYLAN 1052」と表示して販売していた行為が、
原告会社が商標として使用していた「ザイラン1052」について、1号違反
となると原告は主張しましたが、裁判所に容れられていません。
(74頁以下)

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3 営業誹謗行為性(14号)

被告Y1、Y2らが被告会社の業務として「原告会社は潰れる」、「A社長は
横領犯」、「社長の逮捕は近い」などの事実を告知したとして、原告は
被告らの行為の営業誹謗行為性をさらに争点としています。

しかし、結論としては、被告から誹謗する話を直接聞いた者の証人尋問の
申請がなく、証人尋問がないままに原告会社主張の営業誹謗行為があっ
たと認定することはできないとして、裁判所は、14号違反を否定しています。
(75頁以下)

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■コメント

今回の事案は、自動車のスロットルシャフトなどの部品の機能性コーティ
ング加工に使用されるフッ素樹脂塗料を取扱う会社間で争われた不正
競争事案です。
身内の紛争(B,C,Y1,Aは兄弟)で、民事訴訟が濫発されていて、横領や
放火についての刑事告発まである様相となっています。

人命、安全に関わる自動車部品の仕様に関係する事項なので、塗料の
品質に直結する表示については慎重な取扱いが求められるところです
(61頁以下参照)。

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2009年01月16日

サントリー黒烏龍茶比較広告事件〜不正競争防止法 不正競争行為差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

サントリー黒烏龍茶比較広告事件

東京地裁平成20.12.26平成19(ワ)11899不正競争行為差止等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官      坂本三郎
裁判官      國分隆文

*裁判所サイト公表 09/1/7

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■事案

商品パッケージの著作物性や商品比較広告の営業誹謗行為性が
争点となった事案

原告:サントリー
被告:食品製造販売会社ら

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 不正競争防止法2条1項1号、2号、13号、14号、
   著作権法2条1項1号、2項


1 原告商品表示の周知性又は著名性の有無
2 原被告らの各商品表示の類似性の有無
3 被告ら各商品が原告商品と混同を生じさせるか
4 被告の虚偽事実告知行為性又は品質誤認表示行為性の有無
5 虚偽事実告知行為性又は品質誤認表示行為についての故意過失
   の有無

6 商標権侵害性
7 本件デザインの著作物性の有無
8 損害論
9 信用回復措置の要否

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■判決内容

<争点>

*不正競争防止法にかかわる論点については、後掲の弁理士廣田先生
のブログ「名古屋の商標亭」記事に詳しいので、そちらをご覧いただけたら
と思います。

結論としては、原告ペットボトル容器のパッケージデザインと、被告旧商品
(A)のティーバッグ包装箱デザインに関する被告の商品・営業主体混同
行為(デザインの類似性 不正競争防止法2条1項1号)と営業誹謗行為
(比較広告での虚偽事実告知 同14号)の成立が肯定されています。

1 原告商品表示の周知性又は著名性の有無(1号肯定)
2 原被告らの各商品表示の類似性の有無(肯定)
3 被告ら各商品が原告商品と混同を生じさせるか(肯定)
4 被告の虚偽事実告知行為性又は品質誤認表示行為性の有無
   (14号肯定)
5 虚偽事実告知行為性又は品質誤認表示行為についての故意過失
   の有無
(肯定)
6 商標権侵害性(否定)
7 本件デザインの著作物性の有無(否定)
8 損害論(肯定)
9 信用回復措置の要否(否定)

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7 本件デザインの著作物性の有無

被告が、その運営するウェブサイトに原告商品のパッケージデザインを
含む原告商品の画像を掲載して比較広告をしていました。
そこで原告は、原告商品の画像の使用がパッケージデザインの著作権
を侵害するとして複製権侵害性を争点としました。

商品パッケージの著作物性について、裁判所は、著作権法2条1項1号、
同条2項の規定は、

意匠法等の産業財産権制度との関係から,著作権法により著作物として保護されるのは,純粋な美術の領域に属するものや美術工芸品であって,実用に供され,あるいは,産業上利用されることが予定されている図案やひな型など,いわゆる応用美術の領域に属するものは,鑑賞の対象として絵画,彫刻等の純粋美術と同視し得る場合を除いて,これに含まれないことを示していると解される。

としたうえで、

証拠(甲42,43,52)及び弁論の全趣旨によれば,本件デザインは,当初から,原告商品のペットボトル容器のパッケージデザインとして,同商品のコンセプトを示し,特定保健用食品の許可を受けた商品としての機能感,おいしさ,原告のブランドの信頼感等を原告商品の一般需要者に伝えることを目的として,作成されたものであると認められる。

そして,完成した本件デザイン自体も,別紙原告商品目録の写真のとおり,商品名,発売元,含有成分,特定保健用食品であること,機能等を文字で表現したものが中心で,黒,白及び金の三色が使われていたり,短冊の形状や大きさ,唐草模様の縁取り,文字の配置などに一定の工夫が認められるものの,それらを勘案しても,社会通念上,鑑賞の対象とされるものとまでは認められない。

したがって,本件デザインは,いわゆる応用美術の領域に属するものであって,かつ,純粋美術と同視し得るとまでは認められないから,その点において,著作物性を認めることができない。

として、ペットボトル容器のパッケージデザインが著作権法上の保護の
対象となる著作物であることを否定しました。
(79頁以下)

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■コメント

サントリー(サントリー提供画像より)




いま盛んにCMで流れているサントリーの黒烏龍茶(ペットボトル)の
パッケージの類似性と比較広告での営業誹謗行為性を巡っての事案。
サントリーのペットボトル商品に対して、被告商品は、ティーバッグで
煎れる分包タイプのものでした。
結論としては、金色の唐草模様まで似ていた被告旧商品(被告商品A 
写真中央)パッケージがサントリー商品パッケージに類似する(2条1項1号)
とされ、また被告が「70倍 サントリーなんかまだうすい」等と表示した比
較広告について、実際にはその濃度がサントリー商品のほうが濃かった
ことから、営業誹謗行為(2条1項14号)にあたるとされました。

ただ、ペットボトルのパッケージデザインを著作権法上の「美術の著作物」
として保護するには、ハードルが高い事案でした。

原告商品
商品紹介 黒烏龍茶 サントリー

被告商品B
烏龍茶黒濃タイプの通販ショップ

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■過去のブログ記事

比較広告事件関連

2008年10月22日記事
黒酵母健康食品比較広告事件
2007年6月9日記事
日本香堂ローソク営業誹謗事件
2006年10月24日記事
ロッテVSグリコキシリトールガム比較広告事件

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■参考判例

海洋堂チョコエッグおまけフィギュア模型事件
大阪高判平成17.7.28平成16(ネ)3893違約金等本訴請求、不当利得返還反訴請求控訴事件PDF

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■参考文献

中山信弘「著作権法」(2007)138頁以下
田村善之「著作権法概説 第二版」(2001)31頁以下
作花文雄「著作権制度における美的創作物(応用美術)の保護ー
  法目的制度間調整に基づく著作物相応性の視点による対象範囲の
  画定規準ー」『コピライト』46巻544号(2006)44頁以下
野一色勲「「美術の著作物」と「美術の範囲に属するもの」の
  「美術」の語義の相違」『意匠法及び周辺法の現代的課題―
  牛木理一先生古稀記念
』(2005)425頁以下
本山雅弘「応用美術の保護をめぐる著作権の限界づけと意匠権の
  保護対象」同上書469頁以下
クリストファー・ヒース、大西育子訳「美的創作物の保護−デザイン、
  著作物、立体商標または不正競争防止法とのインターフェース−」
  同上書631頁以下
内藤裕之「応用美術と美術の著作物性 量産品のデザイン等は、
  どのような基準と限度で美術の著作物として保護されるか。」
  『新・裁判実務大系 著作権関係訴訟法』(2004)155頁以下
満田重昭「著作権と意匠権の累積」『民法と著作権法の諸問題
   半田正夫教授還暦記念論集
』(1993)616頁以下
竹田千穂「応用美術が「美術の著作物」として著作権法上保護される
  ための判断基準」『最新判例知財法 小松陽一郎先生還暦記念
  論文集
』(2008)603頁以下

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■参考サイト

名古屋の商標亭(弁理士廣田先生)
2009年1月13日記事
黒烏龍茶

2009年1月14日記事
たのむ!

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■追記(09.1.25)

企業法務戦士の雑感(09.1.21記事)
■[企業法務][知財]サントリーの執念。

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■追記09/10/12

柿内瑞絵「自他商品識別力の弱い標章を含むパッケージデザインの保護-「黒烏龍茶」事件-」『知財管理』59巻8号(2009)1023頁以下



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2009年01月15日

槇原敬之対松本零士著作権事件〜著作権 著作権侵害不存在確認等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

槇原敬之対松本零士著作権事件

東京地裁平成20.12.26平成19(ワ)4156著作権侵害不存在確認等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官      坂本三郎
裁判官      佐野信

*裁判所サイト公表 09/1/7

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■事案

槇原敬之さん作詞「約束の場所」のフレーズが、漫画家松本零士さんの
漫画のフレーズの著作権を侵害しているかどうかが争点となった事案

原告:音楽アーティスト
被告:漫画家

原告表現:「夢は時間を裏切らない 時間も夢を決して裏切らない」

被告表現:「時間は夢を裏切らない,夢も時間を裏切ってはならない。」

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 民法709条、723条、著作権法21条

1 著作権侵害、著作者人格権侵害に基づく損害賠償請求権の不存在
  の確認の訴えの利益の有無

2 名誉毀損の成否
 1.本件被告録画発言について,被告は,情報提供者にすぎないとして,
  不法行為責任を負わないか
 2.本件被告発言は,原告の名誉を毀損するか
 3.本件被告発言は,事実を摘示するものか,あるいは,意見ないし論評
  の表明に当たるか
 4.本件被告発言が事実を摘示するものである場合,その摘示事実の重要
  な部分につき真実であることの証明があるか
 5.本件被告発言が意見ないし論評の表明に当たる場合,その前提事実の
  重要な部分につき真実であることの証明があるか,意見ないし論評と
  しての域を逸脱していないか
 6.本件被告発言が摘示した事実の重要な部分が真実であると信じる相当
  の理由が存在するか
 7.被告の名誉毀損行為によって原告が被った損害の額
 8.謝罪広告の要否及びその内容

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■判決内容

<争点>

1 著作権侵害、著作者人格権侵害に基づく損害賠償請求権の不存在の確認の訴えの利益の有無

槇原さんは、松本さんが槇原さんに対して著作権侵害、著作者
人格権侵害に基づく損害賠償請求権を有していないことの確認
を求めていました。
しかし、松本さんが、弁論準備手続期日に上記各請求権を放棄
する旨の意思表示(債務免除の意思表示)をしたことから、槇原
さんが、将来、松本さんから上記各請求権を行使されるおそれは
存在しないとして、裁判所は不存在の確認の訴えの利益がない
と判断。著作権にかかわる争点については不適法な訴えとして
却下しています。
(161頁)

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2 名誉毀損の成否

松本さんの発言自体が槇原さんの名誉を毀損するかどうかの争
点について、裁判所は松本さんの名誉毀損行為を認めています。

テレビ番組での松本さんの発言について、一般視聴者は、槇原さ
んが松本さんの表現に依拠して松本さんの表現と似たフレーズを
作ったという印象を抱くものであるとして、裁判所は、松本さんの
発言が槇原さんの名誉を毀損したと判断しています。
(171頁以下)

松本さんの発言自体が名誉毀損にあたると判断されたうえで、
続いて違法性阻却の成否が判断されていますが、この点につい
ても裁判所は否定(193頁以下)。
さらに、松本さんの発言が摘示した事実の重要な部分が真実で
あると信じる相当の理由が存在するかどうか、の点についても
相当の理由があったとはいえないと判断しています(218頁以下)。

結論として、慰謝料200万円と弁護士費用20万円が損害額として
認定され、ただ、謝罪広告は認められていません。
(220頁以下)

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ところで、名誉毀損の成否の争点のなかで松本さんは、槇原さん
のフレーズと松本さんのフレーズの酷似性を根拠に、槇原さん
が松本さんの表現に依拠しなければこうしたフレーズは作成で
きないとして、依拠作成の事実について、摘示事実の重要な部
分について真実であることの証明を行っています。
(210頁以下)

この部分について、裁判所は、

(1)松本さんの表現へのアクセスの容易性について

漫画本や経済雑誌、CD-ROM、書籍、大学のホームページなどに
松本さんのフレーズが掲載されていましたが、

・槇原さんがそれらに接したとする直接の証拠はない
・これらの媒体の読者はかなり限定されている
・被告表現は、非常に短い文章であり、他の文章と区別して
 認識するのが困難な場合もある


として、槇原さんが、松本さんのフレーズに接したものと推認
することはできないと判断しています。

(2)槇原さんのフレーズと松本さんのフレーズの類似性について

松本さんは、槇原さんのフレーズが、依拠しなければ創作でき
ないほどに松本さんのフレーズに酷似していると主張している
ことから、依拠性判断のための間接証拠としてこの点について
検討されています。
(214頁以下)


まず、共通点について、

確かに,被告表現と原告表現とは,「時間」,「夢」の一方を主語に,他方を目的語とし,「裏切らない」という動詞を使用している点,第1文と第2文で,主語と目的語を入れ替えて,反復させている点で共通しており,上記共通部分は,両表現の特徴的な部分であるといえる。特に,被告表現及び原告表現において,「夢」や「時間」といった抽象的な言葉を主語及び目的とし,それらを入れ替えた2つの文章が,いずれも意味が通じるようになっており,この両表現の共通点は,ありふれたものとはいえず,大きな特徴があるといえる。

ありふれたものとはいえない、としたうえで、相違点について、

しかしながら,被告表現第2文においては,「裏切ってはならない」となっているのに対し,原告表現第2文においては,「決して裏切らない」となっており,この表現上の相違から受ける印象は相当程度異なる。つまり,「裏切ってはならない」と命令形の文章とすると,裏切ることが少なからずあるが,すなわち,実際には,努力しても夢が叶わないことが少なからずあるが,そのようなことはあってはならないという願望を表しているものと,通常,理解されるのに対し,「決して裏切らない」と断定した形の文章とすると,裏切ることはないこと,すなわち,努力すれば夢は必ず叶うことを表現しているものと,通常,理解されるのであって,両表現から観念される意味合いは相当異なるというべきである。

観念の意味合いの相違を指摘。さらに、

また,被告表現及び原告表現とも相当短い文章であり,このように短い文章においては,「裏切ってはならない」と「決して裏切らない」という相違は,必ずしも小さなものではない。むしろ,被告表現第2文が,「裏切ってはならない」という表現となっている点も,被告表現の特徴的な部分であるといえ,このような特徴的な部分を原告表現が有していないこと,上記・のとおり,両表現から受ける意味合いが相当異なることからすると,両表現の相違は大きいということができる。

特徴的な部分の相違もあるとして、結論として2つのフレーズ
は酷似しているとはいえないと判断しています。

   --------------------

■コメント

松本さんによって盗作疑惑が持たれたフレーズを含む槇原さん作
詞作曲の楽曲「約束の場所」は、CHEMISTRYのために提供された
楽曲でした。
槇原さんのフレーズにクレームを入れた松本さんに対して、
CHEMISTRYの所属レーベルであるデフスターレコーズの社員が、
槇原さんと松本さんの間を取り持とうと奔走しましたが、結果的に
はうまくいきませんでした(198頁以下)。

著作権に係わる争点1について、判決では直接答えていませんが、
名誉毀損行為の違法性阻却事由の判断のなかで槇原さんが松本
さんのフレーズに依拠したかどうかや2つのフレーズの類似性が
判断されているので(210頁以下)、この点が著作権の問題として
参考になります。

依拠性について、名誉毀損事案の場合と著作権侵害事案の場合と
でどちらがどれだけ立証を尽くさなければならないか、という点
で違いがあるかもしれませんが、依拠性自体が否定された事案と
いう点でも重要な判断かもしれません。

なお、類似性の判断については、あくまで依拠を立証するための
間接証拠としての類似性であるので、侵害の要件としての類似性
とは異なる点に注意しなければならないと指摘するものとして、
中山後掲書、さらに田村後掲書参照。

ただ、極めて短い文章の類似性、依拠性が争点となっている今回
の事案で、29部清水コートが示した判断内容は、依拠性判断とは
切り離した侵害要件としての類似性判断と同様に捉えることがで
きると考えられます。

   --------------------

■過去のブログ記事

2006年10月20日記事
松本零士・槙原敬之盗作問題

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■参考文献

佃 克彦「名誉毀損の法律実務 第2版」(2008)300頁以下
設楽隆一「複製ないし翻案について」『著作権研究』30号(2004)2頁以下
中山信弘「著作権法」(2007)463頁以下
田村善之「著作権法概説 第二版」(2001)51頁以下
書籍217頁中2頁分の類似性、依拠性が問題となった「日照権」盗用事件に
ついて、著作権判例研究会編「最新著作権関係判例集2-1」(1980)
195頁以下参照

   --------------------

■参考サイト

MAKIHARANORIYUKI.COM
(楽曲「約束の場所」についてのご報告)

   ------------------

■追記09.11.26

時事通信記事によると、2009年11月26日知財高裁第2部で和解が成立。

「26日、東京高裁(中野哲弘裁判長)で和解が成立した。槇原さん側の弁護士によると、松本さんが槇原さんに謝罪し、今後、歌詞について異議を述べないことで合意。一審は松本さんに220万円の支払いを命じたが、和解金はないという。」(時事ドットコム2009/11/26-18:47)

槇原敬之氏のコメント

「本日、私、槇原敬之は、松本零士氏との間の裁判に関して、和解をいたしました。
(和解内容に関しましては、後日お知らせ致します。)
その内容は、簡単にいえば、今回の一連の発言に関して松本さんに謝っていただき、私の曲である「約束の場所」の今後の使用について松本さんが異議を述べないということです。
私といたしましては、いわゆる盗作騒動が3年前に起きたことにより、私自身の名誉回復をはかるために今回の裁判を起こしたものであったので、こうした和解の内容に関しては満足しております。」
MAKIHARANORIYUKI.COM2009.11.26記事

   ------------------

■追記09.11.28

槇原氏から和解内容についてリリースが出ています。

2009.11.27 MAKIHARANORIYUKI.COMより

和解条項
1控訴人・附帯被控訴人・反訴原告である「松本零士」こと松本晟
(以下「控訴人」という)は、平成18年10月19日から同11月9日の
合計14回のテレビ番組の出演(生出演及び録音・録画出演の双方を含む)において、
被控訴人・附帯控訴人・反訴被告である「槇原敬之」こと槇原範之
(以下「被控訴人」という)作成に係る別紙表現目録記載1の表現
(以下「表現1」という)と、控訴人作成の別紙表現目録2記載の表現
(以下「表現2」という)との関係に関する一連の発言によって、
被控訴人の社会的評価に相当の影響を与えたことにつき、陳謝の意を表明する。

2控訴人及び被控訴人は、表現1と同2との関係につき、
異なる評価による見解を有するに至ったことを確認すると共に、
このような見解の相違が生じたことが、双方にとって不本意であることを認める。

3控訴人は、表現1を含む別紙歌詞目録記載の歌詞に基づく曲目の
テレビジョンにおける放映、ラジオにおける放送、
インターネットを通じた配信及び当該曲目を録画・録音した物品の
製造並び販売その他現在知られ将来開発されるあらゆる利用に異議を述べない。

4被控訴人は、控訴人が権利を有している商標登録番号第5256025号、
及び同5256026号の商標登録に係る商標登録に対する異議申立てを
速やかに取り下げる。

5控訴人及び被控訴人は、知的財産高等裁判所平成21年(ネ)第10008号、
同第10011号、同第10039号において行った相手方に対する請求を全て放棄する。

6以上の条項以外に、被控訴人と控訴人との間には、
何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する。

7訴訟費用及び和解費用は、各自負担とする。

以上

   ------------------

■5256025号

(111)【登録番号】商標登録第5256025号(T5256025)
(151)【登録日】平成21年8月7日(2009.8.7)
(541)【登録商標(標準文字)】時間は夢を裏切らない
(500)【商品及び役務の区分の数】1
(511)【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
 第41類 講演会を介した知識の教授
(561)【称呼(参考情報)】ジカンワユメオウラギラナイ
【検索用文字商標(参考情報)】時間は夢を裏切らない

■5256026号

(111)【登録番号】商標登録第5256026号(T5256026)
(151)【登録日】平成21年8月7日(2009.8.7)
(541)【登録商標(標準文字)】夢も時間を裏切ってはならない
(500)【商品及び役務の区分の数】1
(511)【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
 第41類 講演会を介した知識の教授
(561)【称呼(参考情報)】ユメモジカンオウラギッテワナラナイ
【検索用文字商標(参考情報)】夢も時間を裏切ってはならない


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2009年01月11日

四国八十八ヶ所霊場会写真事件(控訴審)〜不正競争防止法 損害賠償請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

四国八十八ヶ所霊場会写真事件(控訴審)

知財高裁平成20.12.24平成20(ネ)10051損害賠償請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 田中信義
裁判官      石原直樹
裁判官      杜下弘記


*裁判所サイト公表 1/7

   --------------------

■事案

原告が撮影した仏像画の写真の写真集を基に四国八十八ヶ所霊場会が
御札を無断で製作、販売したとして不正競争行為性が争われた事案の
控訴審

原告(控訴人) :写真家
被告(被控訴人):四国八十八ヶ所霊場会ら

   --------------------

■結論

控訴棄却

   --------------------

■争点

条文 改正前不正競争防止法2条1項3号、民法709条

1 不正競争行為性の肯否
2 一般不法行為性の肯否

   --------------------

■判決内容

<争点>

1 不正競争行為性の肯否

控訴人(原告)である写真家は、四国八十八ケ所霊場会が所有する仏画を
写真撮影し、その写真の複製物を書籍に掲載し出版しましたが、被控訴人
(被告)である四国八十八ケ所霊場会は、この書籍に掲載された写真の複
製物を更に撮影した写真を使用して、仏画の御影(御札)を制作販売しま
した。こうした被控訴人らの行為に対して控訴人は不正競争行為性と一般
不法行為性を争点としました。

被告の行為の不正競争行為性(商品形態模倣行為 不正競争防止法2条1項
3号)について、書籍掲載の写真(本件写真の複製物)といった書籍の一部分
を捉えての商品性に関して裁判所は、

同号にいう「商品」とは,競争の目的物たり得るものとして独立して取引の客体とされているものをいい,ある商品を構成する要素の一部であって,それ自体が現に独立して取引の客体とされていないようなものは,ここにいう「商品」には該当しないものと解するのが相当である。
(25頁)

と説示したうえで、書籍自体は「商品」たり得るものの、書籍に掲載された
本件写真の複製物は書籍から独立し、競争の目的物たり得るものとして取
引の客体として予定されているものではないことは明かであるとして、本件
写真の複製物の2条1項3号所定の「商品」性を否定しています。
(24頁以下)

   ----------------------------------------

2 一般不法行為性の肯否

被告四国八十八ケ所霊場会による書籍掲載の写真の複製物を更に撮影した
写真を使用しての仏画の御影(御札)の制作販売行為の不法行為性(民法
709条)がさらに争点となっています。

この点について、裁判所は、

(1)仏教美術制作家B制作の本尊絵図そのものに接しなくても、本件写真の
複製物に接するだけで直接本尊絵図に接した場合に準ずる宗教的ないし精神
的充足を得られるという点に本件写真の複製物独自の経済的価値があると考
えられるが、被告が本件御影(御札)を制作販売しても本件写真の複製物独
自の経済的価値を何ら損なうものではない。

(2)原告が本件御影(御札)の制作販売を予定したわけでもない。

(3)被告は、本件御影(御札)制作にあたって作業の省力化の利益を得てい
るが、原告も書籍制作にあたって被告の協力を得ている。

こうした諸事情を勘案して不法行為を構成するほどの違法性があるものとは
認められないと判断しています。
(26頁以下)

   --------------------

■コメント

控訴審も原審の結論を維持しています。
控訴審では、不正競争防止法2条1項3号の「他人の商品」要件について、
商品の部分の「商品」性評価について、言及している点が参考になります。

なお、「商品」性に言及する過去の判例として、後掲マンホール用足掛具
事件参照。

   --------------------

■過去のブログ記事

2008年5月2日記事
四国八十八ヶ所霊場会写真事件

   --------------------

■参考文献

商品の部品と部分について、
小野昌延編「新注解不正競争防止法新版」(上)(2007)449頁以下参照

   --------------------

■参考判例

マンホール用足掛具事件
東京地裁平成17.5.24平成15(ワ)17358不正競争防止法違反差止等請求事件PDF

   ----------------------------------------

■追記09.1.22

企業法務戦士の雑感(2009-01-15記事)
■[企業法務][知財]知財高裁の親切心

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2009年01月10日

北朝鮮映画事件(対フジテレビ)控訴審〜 著作権 著作権侵害差止等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

北朝鮮映画事件(対フジテレビ)控訴審

知財高裁平成20.12.24平成20(ネ)10011著作権侵害差止等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 田中信義
裁判官      榎戸道也
裁判官      浅井憲


対日本テレビ事件
知財高裁平成20.12.24平成20(ネ)10012著作権侵害差止等請求控訴事件PDF


*裁判所サイト公表 09/1/9

   --------------------

■事案

日本が国家として承認していない北朝鮮国民の著作物の著作権が
日本の著作権法上でも保護されるかどうかが争われた事案の控訴審

原告(控訴人) :朝鮮映画輸出入社(平壌:北朝鮮行政機関)
           映像企画制作仲介会社(東京)
被告(被控訴人):フジテレビ

   --------------------

■結論

一部認容

   --------------------

■争点

条文 著作権法第6条3号、民法709条

1 北朝鮮著作物の我が国における著作権法上の保護の可否
2 一般不法行為の成否

   --------------------

■判決内容

<争点>

1 北朝鮮著作物の我が国における著作権法上の保護の可否

控訴審は、朝鮮映画輸出入社の著作権に基づく差止請求と、朝鮮映画
輸出入社及び映像企画制作仲介会社の独占的利用許諾権の各侵害を理
由とする損害賠償請求について、いずれも理由がないと判断しています。
(9頁以下)

我が国と北朝鮮との間でベルヌ条約上の権利義務関係が生じず、北朝鮮
著作物は我が国著作権法上保護されない(著作権法6条3号所定の著作物
に該当しない)と判断した原審の判断を正当としています。

   ----------------------------------------

2 一般不法行為の成否

控訴人らは控訴審で一般不法行為(民法709条)の成立を予備的に追加
しました。
この点について映像企画制作仲介会社に映画著作物の利用について民
法709条の法律上保護される利益があるとされて、損害額10万円(民事
訴訟法248条)と弁護士費用損害額2万円の合計12万円の損害賠償額が
認定されています。
(15頁以下)

著作物は人の精神的な創作物であり,多種多様なものが含まれるが,中にはその製作に相当の費用,労力,時間を要し,それ自体客観的な価値を有し,経済的な利用により収益を挙げ得るものもあることからすれば,著作権法の保護の対象とならない著作物については,一切の法的保護を受けないと解することは相当ではなく
利用された著作物の客観的な価値や経済的な利用価値,その利用目的及び態様並びに利用行為の及ぼす影響等の諸事情を総合的に考慮して,当該利用行為が社会的相当性を欠くものと評価されるときは,不法行為法上違法とされる場合があると解するのが相当である。
(19頁)

と裁判所は説示。そして、

(1)本件映画が経済的な利用価値のある映画である
(2)映画製作にあたり相当の資金、労力、時間を要している
(3)仲介会社は放映許諾により使用料を得ていた
(4)本件無許諾放映によりビデオやDVDが販売できない状況になった
(5)放映は報道目的のニュース内であるが、営利事業であること
(6)6分のTV番組中2分を超える放映で相当な時間の利用であること

などの点から、フジテレビによる本件無許諾放映は社会的相当性を欠
く行為であり仲介会社が本件映画の利用により享受する利益を違法に
侵害する行為に当たり、過失も認められる(19頁以下)として不法行為
の成立を肯定しています。

なお、朝鮮映画輸出入社の映画著作物の日本国内における利用につい
ては、要保護性のある法的利益の存在は認められませんでした。

   --------------------

■コメント

奇しくも今回も第4部(但し、田中信義裁判長)での判断となりました。

原審、控訴審ともにフジテレビ、日本テレビの番組放送での北朝鮮の映画
著作物の利用について、著作権者や仲介会社の日本国内での著作権法
上の保護を否定しましたが、控訴審では予備的に追加された一般不法行
為論について、著作権法上の保護を受けない著作物の利用であっても仲
介会社には要保護性のある法的利益があるとして民法709条による保護を
肯定しています。

読売オンライン(YOL)事件(知財高裁H17.10.6平成17(ネ)10049)や
法律書籍著作権侵害事件(知財高裁H18.3.15平成17(ネ)10095)での判断
の流れ(第4部 塚原朋一裁判長。現在は第1部担当)からすると、著作権
侵害性を否定した場合の一般不法行為の肯否について、知財高裁での一
般不法行為論の採用もさほどハードルが高くないのかもしれません。
なお、こうした過去2件の事案での知財高裁第4部の挑戦に対して批判的
な立場に立たれる見解として、田村編著後掲書25頁以下参照。

田村先生のご見解のエッセンスは、ウエストロー・ジャパンのコラムで
触れることが出来ます。

第3回 「知的財産法と不法行為」 今週のコラム[ウエストロー・ジャパン]
(2008年3月31日掲載)

北朝鮮の映画著作物の事案ということもあって、その取扱いについては
政治判断に委ねるべきだとも考えられますが、一方では、自由放任され
てしまうことで日本国内で活動しているエージェントのインセンティヴを
過度に損ない、成果開発の投資が過小となることが裁判所にとって明か
な場合といえるのであれば控訴審の判断も是認されるところです(田村
後掲書42頁以下参照)。
なお、原審の結論に賛成するものとして、茶園、横溝後掲論文参照。

   --------------------

■過去のブログ記事

2005年10月12日記事
ヨミウリオンライン事件控訴審
2006年3月29日記事
「法律書籍著作権侵害」事件控訴審
2007年12月20日記事
「北朝鮮映画」事件(対フジテレビ)原審

   --------------------

■参考文献

山根崇邦「著作権侵害が認められない場合における一般不法行為の成否-通勤大学法律コース事件-」『知的財産法政策学研究』18号(2007)221頁以下 知的財産法政策学研究/21世紀COEプログラム:「新世代知的財産法政策学の国際拠点形成」研究プロジェクト 論文PDF
塩谷 信「模倣品に対する意匠権,商標権,不正競争防止法 第2条第1項第1号,同2号,同3号,著作権および民法第709条の射程距離の研究」『パテント』60巻7号(2007)54頁以下 論文PDF
田村善之「知的財産権と不法行為-プロセス思考の知的財産法政策学の一様相」『新世代知的財産法政策学の創成』(2008)3頁以下
山本隆司、井奈波朋子「創作性のない表現をデッドコピーした場合における不法行為成立の可否」『最新判例知財法 小松陽一郎先生還暦記念論文集』(2008)658頁以下 インフォテック法律事務所 論文PDF
茶園成樹「北朝鮮の著作物について我が国が保護する義務を負わないと判断された事例」『知財管理』58巻8号(2008)1099頁以下
横溝 大「未承認国家の著作物とベルヌ条約上の保護義務-北朝鮮著作物事件-」『知的財産法政策学研究』21号(2008)263頁以下
石原 修「ニュース記事見出しの著作物性とその利用による不法行為の成否-ヨミウリオンライン事件控訴審判決-」中山信弘編『知的財産権研究』(2008)248頁以下

   --------------------

■参考サイト

「知」的ユウレイ屋敷(2008年12月28日記事)
[著作権]北朝鮮映画事件控訴審判決が不法行為の成立を認めた点を考える

   ----------------------------------------

■追記09/1/16

参考サイト
企業法務戦士の雑感(2009.1.14記事)
[企業法務][知財]たかが12万、されど12万。

   ----------------------------------------

■追記09/5/22

西口博之「未承認国家の著作権保護-北朝鮮映画判決を読んで-」『コピライト』576号(2009)65頁以下

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2009年01月09日

「真説猟奇の檻」アドベンチャーゲーム事件〜著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「真説猟奇の檻」アドベンチャーゲーム事件

東京地裁平成20.12.25平成19(ワ)18724損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官      関根澄子
裁判官      古庄研

*裁判所サイト公表 09/1/6

   --------------------

■事案

アダルト向けアドベンチャーゲーム(AVG)の「映画の著作物」性や
翻案権侵害性が争われた事案

原告:コンピュータソフトウェア開発販売会社
被告:アニメーション作画、ゲーム企画制作会社

   --------------------

■結論

請求棄却

   --------------------

■争点

条文 著作権法2条3項、10条1項7号、27条

1 本件ゲームソフトが映画の著作物に該当するか
2 本件ゲームソフトの影像の著作権の帰属
3 翻案の有無

   --------------------

■判決内容

<経緯>

H7.8.25  日本プランテック社が本件ゲームソフト「猟奇の檻」をPC-9800
        シリーズ(PC98)向けに販売開始
H9.6.20   被告会社設立、Bが現在被告会社の代表取締役
H16.12.17 被告が被告ゲームソフト「真説猟奇の檻」をWin向けに販売開始

「猟奇の檻」
シナリオ:A 原画:B 開発:ゼロシステム 発売元:日本プランテック
「真説猟奇の檻」
シナリオ:A 原画:B 開発:スタジオライン 発売元:スタジオライン

   ----------------------------------------

<争点>

1 本件ゲームソフトが映画の著作物に該当するか

本件ゲームソフトのリメーク版として被告ゲームソフトが被告により製作、
販売されたことから、原告が製作した本件ゲームソフト又は(著作権譲渡
を受けたとする)本件ゲームソフトの脚本(シナリオ)の翻案権侵害を理由
として損害賠償を被告に対して請求しました。

原告は、本件ゲームソフトの著作者(著作権者)が原告であるとする前提
として、原告が映画の著作物である本件ゲームソフトの製作に携わった
(本件ゲームソフトの影像の全体的形成に創作的に寄与した者である)等
主張しました。

まず「映画の著作物」性については、著作権法2条3項に

この法律にいう「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的
又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定され
ている著作物を含むものとする。


とあるところ、裁判所は、

「映画の効果に類似する視覚的効果」とは,多数の静止画像を眼の残像現象を利用して動きのある連続影像として見せる視覚的効果をいい,また,「映画の効果に類似する視聴覚的効果」とは,連続影像と音声,背景音楽,効果音等の音との組合せによる視聴覚的効果を意味する
(14頁)

と説示したうえで、本件ゲームソフトの影像は多数の静止画像の組合せ
によって構成されているのもので静止画像の画面ごとに音楽や台詞が加
えられていて、台詞の終了の際にクリックすることで画面が変わるものの、
動きのある連続影像が存することを認めることができない、として本件
ゲームソフトの映画の著作物性を否定しました。
(13頁以下)

   ----------------------------------------

2 本件ゲームソフトの影像の著作権の帰属

原告は、本件ゲームソフトの影像の全体的形成に創作的に寄与した者で
ある、あるいは、本件ゲームソフトの販売元である日本プランテック社との
合意により著作権を取得した旨主張しましたが、裁判所に容れられてい
ません(16頁以下)。

原告の本件ゲームソフトへの関わり方について、裁判所は

原告は,本件ゲームソフトの原画,音楽,シナリオ記載の会話文等をデジタルデータ化し,これらのデジタルデータを本件ゲームソフトのシナリオに従ってプログラミングし,プログラムを創作し,本件ゲームソフトを完成させたことが認められる。
としたうえで、
上記認定事実によれば,原告は,本件ゲームソフトのプログラミングの過程で,シナリオに従って原画(画像),音楽,会話文等のデジタルデータを統合する作業を行ったことが認められるが,上記作業は,シナリオに従って行われたプログラムの創作行為そのものであり,本件ゲームソフトの影像の著作物の創作行為であると認めることはできない。
(18頁)

として、プログラムの創作行為と影像の創作行為を峻別。結論として、
画像や文字表示等で画面上に表現される本件ゲームソフトの影像の具体
的な創作行為に原告又は原告代表者が関与したとまでは認められないと
して、本件ゲームソフトの影像の著作権の原告への帰属を否定しています。
(16頁以下)

なお、本件ゲームソフトの著作権について販売元の日本プランテック社
との権利関係で日本プランテック社と原告との著作権帰属に関する合意
の事実が認められていません(19頁以下)。
原画とシナリオの著作権については、原告と被告が二重譲渡関係に立つ
可能性もありましたが(5頁、7頁)、そこまで踏み込んだ判断とはなりま
せんでした。

   ----------------------------------------

3 翻案の有無

映画の著作物又は複合的著作物としての本件ゲームソフトの翻案性に
ついては争点1、2の判断からこれを否定。
また、シナリオの翻案性については、本件ゲームソフトのシナリオ及び
被告ゲームソフトのいずれもが証拠として提出されていないため、シナ
リオの具体的内容や翻案権侵害の判断対象・基準となるシナリオにおけ
る思想又は感情の表現上の本質的部分がどこにあるのか証拠上明かで
なく、そのため依拠性や直接感得性を判断できないとしてこの点について
も否定しています。
(20頁以下)

   --------------------

■コメント

PC98時代のゲームソフトのリメイク版として製作された「真説猟奇の檻」
は、企画・脚本が佐野一馬さん、原画が横田守さん(被告会社代表取締役)
の作品です(Windows版コマンド選択式マップ移動型アドベンチャーゲーム)。

旧作の脚本も佐野さんで原画も横田さんですから、原告が押さえられる権
利としては製作したプログラムの著作権部分のほかは、シナリオや原画の
法人著作や著作権譲渡、ゲームソフトが映画の著作物ならば映画監督のよ
うなモダンオーサーとしての地位(16条)、あるいは映画製作者としての
地位(29条)に原告が立つのであれば映画の著作物としてのゲームソフト
(影像)自体の著作権、さらには影像製作部分での原告独自の新たな創作
行為を捉えてその点での著作権が考えられます。
しかし、結局のところゲーム製作上の原告のプロデューサー的な立ち位置
(資金の一部提供、基本骨格のアイデア提供、編集統括)、プログラム開発
会社の立場からは、原告はゲームソフト(影像)自体の著作者・著作権者と
までは認められるに至りませんでした。

ところで、ロールプレイングゲーム(RPG)自体わたしはやったことがない
ので、原画などがどのように展開表示されるものなのか正確には分からな
いのですが、下記のサイト(CALIGULA Official Web Site)を見ると原画の
色遣いの華やかさはとても印象的です。

旧作「猟奇の檻」のリメイク版として「真説猟奇の檻」が製作されましたが、
旧作は10年近くも昔のゲームソフト。契約上の縛りがあったり、旧作のシリ
ーズが原告側でいまでも展開中ならばともかく、判決文を読む限り原告の
主張・立証には厳しいものがあった印象です。

   --------------------

■参考判例

ゲームソフトの映画の著作物性について、
「中古ゲームソフト」販売差止事件
最高裁平成14.4.25平成13(受)952著作権侵害行為差止請求事件判決PDF

シュミレーションゲームの映画の著作物性が否定された事案について、
「三国志3」事件
東京高裁平成11.3.18平成7(ネ)3344PDF

ビデオゲームの映画の著作物性について、
「パックマン」事件
東京地裁平成6.1.31平成4(ワ)19495PDF

ゲームのプログラム著作物の保護と影像著作物の保護の個別性について、
ディグダク事件(東京地裁昭和60.3.8昭和59(ワ)12619)

   --------------------

■参考文献

ゲームソフトの映画の著作物性、頒布権について、
藤田康幸、藤本英介、小倉秀夫「著作権と中古ソフト問題」(1998)43頁以下
泉 克幸「ゲームソフトの譲渡制限と頒布権」『紋谷暢男教授還暦記念 知的財産法の現代的課題』(1998)509頁以下
小倉秀夫「優越的地位ないし頒布権を利用したゲームソフトの中古販売規制の可否」中山信弘編『知的財産権研究4』(1999)169頁以下
岡 俊邦「最新判例62を読む 著作権の事件簿」(2007)254頁以下
ゲームの著作権、非映画的ゲームに言及するものとして、
内藤篤・升本喜郎著、福井健策編「映画・ゲームビジネスの著作権」(2007)122頁以下、136頁以下

   --------------------

■参考サイト

猟奇の檻 - Wikipedia

CALIGULA Official Web Site

-MY'factory-横田守


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2008年12月25日

メルク合意閲覧等制限申立事件〜不正競争防止法 訴訟記録閲覧等制限申立事件決定(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

メルク合意書閲覧等制限申立事件

知財高裁平成20.12.16平成20(行タ)10007訴訟記録閲覧等制限申立事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官      齊木教朗
裁判官      嶋末和秀

基本事件:知財高裁平成20.10.30平成20(行ケ)10308審決取消請求事件

   ----------

知財高裁平成20.12.16平成20(行タ)10008訴訟記録閲覧等制限申立事件PDF
基本事件:知財高裁平成20.10.30平成20(行ケ)10314審決取消請求事件

*裁判所サイト公表 12/24

   --------------------

■事案

訴訟記録中に営業秘密(不正競争防止法2条6項)が含まれるとして、
その部分の閲覧謄写等の制限を求めた行政訴訟

申立人:製薬会社

登録商標:「メルク萬有」(第642075号)
       「日本メルク萬有」(第640192号)

   --------------------

■結論

申立て却下

   --------------------

■争点

条文 不正競争防止法2条6項、民訴92条1項2号

1 合意内容の営業秘密性

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■判決内容

<争点>

1 合意内容の営業秘密性

(1)米独メルクの独立と名称使用合意の経緯

独メルクと米メルクは、第一次世界大戦を経て独立した医薬品企業と
なり、「メルク」の名称の使用については地域ごとに異なる取扱いをす
る合意をしている経緯がありました。
申立人(基本事件被告)は、その親会社である米メルクと基本事件原
告の親会社である独メルクのこの合意の内容が営業秘密にあたること
から、基本事件の訴訟記録中の当該情報記載部分の閲覧謄写等の
制限を申立てました。

しかし、基本事件原告の日本子会社のウェブサイトやウィキペディア、
米メルクのオーストラリア子会社のウェブサイト、WIPO仲裁調停セン
ターのドメインネーム裁定等からこうした合意事項については既に公
然と知られているものであって、申立人保有の営業秘密であるとは
認められないと判断されています(2頁以下)。

   --------------------

(2)守秘義務の有無

甲号証のなかには、本件合意に係る契約書や書簡がありましたが、独
メルクが契約書上守秘義務を負っているとはいえないこと、別件審判
の訴訟記録中の本件契約書の写しは、既に1年近く閲覧謄写できる状
態であったこと、合意内容に有用性が認められないこと、などからこの
点についても申立人保有の営業秘密であるとは認められないと裁判所
は判断しています(5頁以下)。

結論として、本件合意が申立人保有の営業秘密であることの疎明がない
として申立てが却下されています。

   --------------------

■コメント

民事訴訟法には、秘密保護のための閲覧謄写等の制限規定があります
(92条)。
訴訟記録中に当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法2条6項)が
記載されているとの疎明がある場合、当事者の申立てにより裁判所は
決定で営業秘密記載部分の閲覧謄写等の請求をすることができる者を
当事者に制限することができます(民訴法92条1項2号)。

基本事件である審決取消請求事件の訴訟記録中に営業秘密の記載が含
まれると被告は申立てたわけですが、非公知性、有用性が認められな
いとしてその記載部分の営業秘密性が否定されました。

申立人は商標権審決取消請求事件では訴訟対応していなくて擬制自白
が成立しています。
秘密としておきたかった部分がどのような事項だったのか、本当のところ
はよく分からない印象です。

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■関連ブログ記事

Matimulog(2008/12/24記事)
arret:訴訟記録閲覧制限請求却下決定

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■参考文献

新民事訴訟法と営業秘密について、
大阪弁護士会友新会編『最新不正競争関係判例と実務第2版』(2003)64頁以下
営業秘密事件の審理の現状と非公開審理について、
牧野利秋監修、飯村敏明編『座談会 不正競争防止法をめぐる実務的課題と理論』(2005)221頁以下

山本庸幸「要説不正競争防止法第4版」(2006)334頁以下
小野昌延編「新注解不正競争防止法新版」(下)(2007)787頁以下

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2008年12月21日

まねきTV事件(控訴審)〜著作権 著作権侵害差止等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

まねきTV事件(控訴審)

知財高裁平成20.12.15平成20(ネ)10059著作権侵害差止等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 石原直樹
裁判官      榎戸道也
裁判官      杜下弘記

*裁判所サイト公表 12/17

   --------------------

■事案

海外でもインターネットを利用して日本のTV番組が見られる
ソニー製「ロケーションフリー」のハウジングサービス「まねきTV」
の適法性が争われた事案の控訴審

原告(控訴人) :NHK、民放
被告(被控訴人):永野商店

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■結論

控訴棄却

   --------------------

■争点

条文 著作権法2条1項9号の5、99条の2、2条1項7号の2、23条

1 本件訴えは訴権の濫用によるものとして却下されるべきものか
2 被告は本件放送の送信可能化行為を行っているか(著作隣接権)
3 被告は本件著作物の公衆送信行為を行っているか(著作権)


   --------------------

■判決内容

<争点>

1 本件訴えは訴権の濫用によるものとして却下されるべきものか

控訴審も原審の判断を維持して本件訴えが訴権の濫用には当たらないと
判断しています。
(24頁)

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2 被告は本件放送の送信可能化行為を行っているか(著作隣接権)

放送事業者の著作隣接権を侵害してるかどうかの争点について、
ベースステーションが「公衆」(不特定又は特定多数の者)に対する送信
機能がなく、いわば「1対1」の送信を行う機能しか有していないものであ
るとして原審同様、自動公衆送信装置に当たらず、被告は本件放送の
送信可能化行為を行っているということはできないとしています。
(24頁以下)

   ----------------------------------------

3 被告は本件著作物の公衆送信行為を行っているか(著作権)

被告の行為が原告が著作権を有する番組の公衆送信行為にあたるか
どうかについて、原審同様、被告が公衆送信行為を行っているということ
はできないと判断しています。
(29頁以下)

   --------------------

■コメント

原審の判断を維持しています。
これでようやくテレビ番組のネット配信サービスのなかで裁判上適法と
認められた事業(ハウジングサービス)が晴れて展開されることになります。

なお、集合住宅向け録画サーバ事業「選撮見録(よりどりみどり)」事件
で敗訴した(株)クロムサイズは昨年12月11日に負債総額39億8000万円
で民事再生法適用申請しています。応訴の負担でたいへんだったと思い
ますが、永野商店さんにはがんばってもらいたいものです。

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■過去のブログ記事

2008年6月23日記事
まねきTV事件(原審)

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■参考文献

中野圭二「テレビ番組送信サービス「まねきTV」事件」
パテント』61巻8号(2008)67頁以下
論文PDF

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■参考サイト

株式会社永野商店 まねきTV

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■追記08.12.24

企業法務戦士の雑感(2008-12-22記事)
■[企業法務][知財]“ロケーションフリー”サービスをめぐる判断のギャップ。

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■追記09/5/14

TKC速報判例解説
今村哲也 「テレビ放送をインターネット回線を経由して視聴するシステムを使用するための設備提供の適法性が争われた事例(知的財産高等裁判所平成20年12月15日判決)」
論文PDF

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2008年12月09日

映画「嵩山少林寺」事件〜著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

映画「嵩山少林寺」事件

東京地裁平成20.12.4平成20(ワ)2106損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官      平田直人
裁判官      柵木澄子

*裁判所サイト公表 12/8

   --------------------

■事案

映画「嵩山少林寺」、「CHARON(カロン)」などのビデオグラム化権契約を
巡ってその成否、内容が争われた事案


原告:映画製作配給販売、企画開発会社
被告:映画、ビデオ、CD製作配給販売会社
    CD、DVD、ソフトレンタル販売会社

   --------------------

■結論

請求棄却

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■争点

条文 民法415条、民法709条

1 債務不履行による損害賠償請求権の有無
2 著作権(複製権・頒布権)侵害による損害賠償請求権の有無

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■判決内容

<経緯>

H15    映画「嵩山少林寺」製作(監督:原告代表者Z)
       原告が映画「嵩山少林寺」のビデオグラム化権取得
H16    映画「CHARON(カロン)」製作(監督:原告代表者Z)
       原告が映画製作者として映画「CHARON(カロン)」の著作権取得
H17.12.8 原告がアジアシネマギルドにビデオグラム化権販売代理権授与
       原被告間でビデオグラム化権使用許諾契約を代理人を通して交渉
H18.1.11 被告が350万円を、原告は原盤を代理人に交付
H18.3   被告が映画DVDの販売予告(4/21)を雑誌広告に掲出
       「嵩山少林寺」DVDの他社販売の事実(H16ころ)が判明
H18.3.31 被告がDVDの販売中止を告知

   ----------------------------------------

<争点>

1 債務不履行による損害賠償請求権の有無

映画「嵩山少林寺」と「CHARON(カロン)」「ポチの告白」などの
ビデオグラム化権(映画をDVDやビデオとして出版する権利)を保有
する原告は、これらの映画のビデオグラム化権の譲渡契約について
被告と契約が成立している(代金2800万円 最低保証金額)にもかか
わらず、被告が代金を支払わないとして被告の債務不履行を主張しま
した。しかし、

(1)交渉の内容や経緯、発言が曖昧かつ不明確
(2)合意書面案提示時期での交渉内容の矛盾
(3)合意書面不作成同意の不合理性

などの点から、結論としてビデオグラム化権譲渡契約締結の事実が
認定されず、原告の主張は容れられていません。
(12頁以下)

   ----------------------------------------

2 著作権(複製権・頒布権)侵害による損害賠償請求権の有無

原告は、映画DVDの販売予告を掲載した雑誌広告やWebへの掲出
行為の著作権(複製権、頒布権)侵害性をさらに主張しました。
この点について裁判所は、

(1)原告は、ビデオグラム化権の譲渡(映画の複製・頒布の許諾)に
   ついてアジアシネマギルドに代理権授与していた
(2)原告は、代理人を通して被告から350万円を受領
(3)被告は、代理人を通じて原告から映画の原盤を受領

こうした事情から、仮に原被告間で複製頒布許諾について明確な合
意があったとは認められないとしても被告らに過失はないとして、
雑誌広告掲出行為の不法行為性を否定。
また、Web掲出行為についても、被告らの行為性自体が否定されて
います。
(15頁以下)

   --------------------

■コメント

少林寺武術をテーマにしたドキュメンタリー映画「嵩山少林寺(すうざん
しょうりんじ)」とスタイリッシュロードムービー「CHARON(カロン)」
(いずれも高橋玄監督作品)。

映画製作者とDVD製作販売会社との間でビデオグラム化に向けて映画
の原盤の引き渡しがあり、また350万円の現金の授受がありましたが、
契約書の取り交わしがなかったことからビデオグラム化権の許諾契約
の成否、内容を巡り紛争となりました。

合計7本の映画のビデオグラム化権譲渡の対価として2800万円という
のは高額に過ぎるという認識は、原被告ともにあって(14頁参照)、
2800万円の実質を考えると原告が製作中の映画「妻と拳銃」への出
資という性質の資金となると考えられたわけですが、いずれにしても
あいまいな出資話となりました(のちに「妻と拳銃」は製作中止)。
また、映画「嵩山少林寺」については他社から既にDVDで販売されて
いたことから、ビデオグラム化権の許諾関係にも疑義が生じています。

なお、映画作品の契約(覚書)を巡る紛争としては、最近では、映画
「久高島」事件がありました。
(東京地判平成20.7.16平成19(ワ)11418著作権侵害差止等請求事件)

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■過去のブログ記事

2008年7月23日記事
映画「久高島」事件

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■参考サイト

グランカフェ・ピクチャーズ


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■追記08.12.10

高橋玄監督より詳しい訴訟の経緯に関するメールを拝受いたしました。
ここではその内容を詳しくは記載しませんが、映画「嵩山少林寺」のビデオ
グラム化については、既販売部分の契約はすでに終了していて被告との
契約上は問題がない状況だったそうです。
一審の訴訟代理人を交代して控訴審に臨まれるとのこと、控訴審の行方
に注目したいと思います。



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2008年12月06日

Eコマース商品仕入先情報営業秘密事件〜不正競争防止法 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

Eコマース商品仕入先情報営業秘密事件

東京地裁平成20.11.26平成20(ワ)853損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清水節
裁判官      佐野信
裁判官      國分隆文

*裁判所サイト公表 12/4

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■事案

音楽関連商品をネット販売(Eコマース)していた原告の保有する
商品仕入先情報について営業秘密性が争われた事案

原告:レコード企画制作販売会社
被告:退職従業員
    退職従業員の父親

   --------------------

■結論

請求棄却

   --------------------

■争点

条文 不正競争防止法2条1項7号、2条6項

1 商品仕入先情報の営業秘密性
2 秘密保持合意に基づく秘密保持義務違反性
3 競業避止合意に基づく競業避止義務違反性

   --------------------

■判決内容

<経緯>

H11.1    被告Aが原告会社に就職
H12.4.16  被告Aがアルバイトから正社員へ変更
H15.9.19  原被告間で秘密保持合意1締結
        被告Aの父親である被告Bと原告が身元保証契約締結
H18.9.14  原被告間で秘密保持合意2締結
H19.2.15  被告Aが原告会社を退職
        被告Aはモバイルコンテンツ事業会社に転職

   ----------------------------------------

<争点>

1 商品仕入先情報の営業秘密性

原告は、音楽CDなどのオンラインショップ取扱い、アナログレコード
の企画製造流通も手がける音楽関連事業会社ですが、原告管理の
仕入先情報(業者の名称、住所、電話、FAX、担当者、メールアドレス、
取扱商品の特徴など)を被告が退職後競業会社で利用しているとして、
その営業秘密性がまず争点となりました。

秘密管理性の要件(不正競争防止法2条6項)としては、

(1)当該情報にアクセスした者が、当該情報が営業秘密であることを
   認識できるようにしてあること
(2)当該情報にアクセスできる者が制限されていること

が要求されます(小松一雄編著「不正競業訴訟の実務」(2005)332頁以下)。

裁判所は、秘密管理性の判断について、

秘密管理性の認定においては,主として,当該情報にアクセスした者に当該情報が営業秘密であると認識できるようにされているか,当該情報にアクセスできる者が制限されているか等が,その判断要素とされるべきであり,その判断に当たっては,当該情報の性質,保有形態,情報を保有する企業等の規模のほか,情報を利用しようとする者が誰であるか,従業者であるか外部者であるか等も考慮されるべきである。
(17頁)

としたうえで、

(1)仕入先情報は、ネットで公開されているものも存在する
(2)仕入先情報は、パソコン上IDとパスワードで管理されている
(3)ファイル自体には閲覧制限はされていなかった
(4)仕入担当者以外でもアルバイトも含め従業員なら閲覧可能
(5)秘密保持契約を締結しているが、情報の明示がない
(6)仕入先情報が営業秘密であることの注意喚起をしていない

などの管理状況、情報の性質、秘匿の必要性から、本件仕入先情報は、
原告従業員にとって、それが外部に漏らすことの許されない営業秘密
として保護された情報であるということを容易に認識できるような状況
にあったということはできない、として結論として営業秘密性を否定し
ています。

   ----------------------------------------

2 秘密保持合意に基づく秘密保持義務違反性

被告Aは、原告と

6.業務上知り得た会社の機密事項,工業所有権,著作権
  及びノウハウ等の知的所有権は,在職中はもちろん退職後にも
  他に一切漏らさないこと。


という規定をもつ誓約書と、

3.退職後の秘密保持義務
私は,貴社を退職後も,機密情報を自ら使用せず,又,他に開示いた
しません。

4.競業避止義務
私は,退職後も2年間は貴社と競業する企業に就職したり役員に就任
するなど直接間接を問わず関与したり,あるいは競業する事業を自ら開
業したり等,一切しないことを誓約いたします。


という規定をもつ秘密保持誓約書を計2通締結していました。

仕入先情報がこれら誓約書の機密事項等に該当するかどうかがさらに
争点となりました。

この点について裁判所は、

(1)本件機密事項等についての定義、例示が一切記載されていない
(2)従業員の営業秘密認識可能性もない

として、結論的には、秘密保持合意に基づく秘密保持義務違反性を認
めませんでした。
(20頁以下)

   ----------------------------------------

3 競業避止合意に基づく競業避止義務違反性

秘密保持誓約書には、上記のような退職後の競業避止義務規定があり
ました。
被告Aが退職後に就職した会社はモバイルコンテンツ事業会社で、同社
ではレコード、CD等のネット通販、携帯電話サイトでの通販業務を行っ
ていることから競業避止合意違反性が次に争点とされています。

裁判所は、退職後の競業避止義務は退職従業員の職業選択の自由に対
して極めて大きな制約を及ぼすものであるとして競業避止義務の内容に
ついては、

合意によって課される従業員の競業避止義務の範囲については,競業行為を制約することの合理性を基礎づけ得る必要最小限度の内容に限定して効力を認めるのが相当である。

として限定解釈(包括的競業避止規定を公序良俗に反し無効とは評価せ
ずに)を行ったうえで、

そして,その内容の確定に当たっては,従業員の就業中の地位及び業務内容,使用者が保有している技術上及び営業上の情報の性質,競業が禁止される期間の長短,使用者の従業員に対する処遇や代償の程度等の諸事情が考慮されるべきであり,特に,転職後の業務が従前の使用者の保有している特有の技術上又は営業上の重要な情報等を用いることによって行われているか否かという点を重視すべきであるといえる。
(22頁)

と説示。そのうえで、

(1)所属部署の責任を単独で負うような地位には就いていない
(2)競業避止義務等を負うことの代償措置がない
(3)競合する取扱商品は一般の大手レコード店でも取扱っている

などの諸事情から、

同被告は,その種の業務を行うに際して,原告就業中の日常業務から得た一般的な知識,経験,技能や,その業務を通じて有するようになった仕入先担当者との面識などを利用し得たにすぎないものと考えられ,本件全証拠によっても,被告Aが原告の保有している特有の技術上又は営業上の重要な情報等を用いてエムアップの業務を行っていると認めることはできない。

として、被告Aが転職先で実施している業務の内容は、本件競業避止合
意の内容に含まれるとは認められないと判断しています。
(21頁以下)

結論として、競業避止義務違反性は認められませんでした。
なお、同旨の限定解釈論を採る判決としては、アートネーチャー事件が
あります。
東京地裁平成17.2.23平成15(ワ)7588等営業秘密使用差止等請求事件PDF

   --------------------

■コメント

退職直前の有給休暇中に転職先の業務として仕入先と接触を
もっていたなど退職前の被告Aの行為態様の悪質性を原告は
指摘しています(11頁参照)。

退職従業員の行為が自由競争の範囲を逸脱するかどうか(自由
領域に属する情報の利用行為かどうか)、その全体的評価(小松
前掲書344頁)からすると、Aの行為態様の悪質性は高くはなく、
また、Aは役員でもない一般従業員であったこと、さらに情報の
性質、使われ方からしても不正競争行為性が認められるにはハ
ードルが高い事案でした。
そして、そもそもAの場合、退職後の競業行為まで制限する必要
が使用者側にあったのか。退職後の競業避止義務規定の適用に
疑問の残るケースでした。

   --------------------

■参考文献

永野周志、砂田太士、播磨洋平「営業秘密と競業避止義務の法務
(2008)50頁以下、150頁以下、265頁以下、限定解釈論について284頁
以下参照。なお、ヤマダ電機事件(東京地裁平成19.4.24判決)については、
294頁以下参照。
仕事を通じて獲得した知識やノウハウは労働者にとっても基本的な知的財
産であるという視座から競業避止義務の制約法理を展開するものとして、
道幸哲也「競業避止義務制約の法理」『知的財産法政策学研究』11号(2006)205頁以下参照。
小野昌延「営業秘密の保護-不正競業としてのノウ・ハウの侵害を中心として-」(1968)296頁以下
知的所有権法研究会編「最新企業秘密・ノウハウ関係判例集第三版」(1991)487頁以下、497頁以下、520頁以下
田村善之「競争法の思考形式」(1999)74頁以下
田村善之「不正競争防止法概説第二版」(2003)465頁以下
牧野利秋(監)飯村敏明(編)「座談会 不正競争防止法をめぐる実務的課題と理論」(2005)202頁以下、211頁以下
山本庸幸「要説不正競争防止法第4版」(2006)164頁以下
日本弁理士会中央知的財産研究所編「不正競争防止法研究 「権利侵害警告」と「営業秘密の保護」について」(2007)249頁以下(川瀬幹夫)

   --------------------

■参考判例

トーレラザールコミュニケーションズ競業避止義務事件
東京地決平成16.9.22平成16(ヨ)1832業務禁止仮処分PDF

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2008年12月05日

研磨装置営業誹謗事件〜不正競争防止法 特許権侵害差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

研磨装置営業誹謗事件

東京地裁平成20.11.27平成18(ワ)25907特許権侵害差止等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官      関根澄子
裁判官      古庄研

*裁判所サイト公表 12/2

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■事案

原告保有の特許権の侵害性と被告会社に転職した退職従業員による
営業誹謗行為性が争われた事案

原告:自動車用車輪表面処理加工会社
被告:金属製品研磨会社

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 不正競争防止法2条1項14号

1 特許権侵害性(略)
2 営業誹謗行為性

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■判決内容

<経緯>

H14.8.9  原告が「ワークの研磨装置」特許権設定登録
H17.1.31  原告の工場長Aが退職、被告会社に転職
        原告の従業員B、Cも退職後被告会社に転職

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<争点>

2 営業誹謗行為性

原告会社の退職従業員であるA(被告従業員)が、原告が
ホイール研磨の仕事ができなくなったとか、原告会社が倒
産するなど原告の取引先に虚偽の事実を告知したとして、
その営業誹謗行為性が争点となりました。

原告代表者の陳述書、Aや被告代表者の供述、証人尋問の結
果などから、結論として営業誹謗行為性は否定されています
(17頁以下)。

なお、研磨装置の同一性(本件発明の実施品)に関する告知
行為についても、虚偽事実性がないと判断されています
(26頁以下)。

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■コメント

営業誹謗行為性に関する最近の論考としては、特許第2委員
会第6小委員会編「競合他社の取引先への警告が営業誹謗行
為とみなされないための留意点」『知財管理』58巻10号(2008)
1299頁以下があります。

ここでは、平成10年から19年の間の14号事案28件について
検討が加えられています。


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2008年11月30日

数霊占術書籍事件(控訴審)〜著作権 損害賠償等請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

数霊占術書籍事件(控訴審)

知財高裁平成20.11.27平成20(ネ)10058損害賠償等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官      中平健
裁判官      上田洋幸

*裁判所サイト公表 11/28

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■事案

生年月日から数字を算出して鑑定する「数霊占術」に関する
書籍の著作権侵害性が争われた事案の控訴審

原告(控訴人) :未来予知学研究家
被告(被控訴人):占者
           出版社ら

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、21条、27条

1 複製権・翻案権侵害性の肯否

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■判決内容

<争点>

1 複製権・翻案権侵害性の肯否

原告書籍の9箇所の部分を被告ら刊行の2冊の書籍の該当箇所
と対比したうえで、いずれも

表現上の共通点はなく,また,共通点があったとしても,それらは抽象的なアイデアにおける共通点や創作性のないありふれた表現の共通点にとどまり,被告書籍各部分は,原告書籍各部分の複製又は翻案に該当しない。

として、原審同様複製権、翻案権侵害性を否定しています。
(16頁以下)

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■コメント

占いに関する書籍の複製権、翻案権侵害性が争われた事案
の控訴審ですが、原審同様、抽象的な計算方法やアイデアは
著作権法の保護の対象とはならないことが明らかにされてい
ます。

なお、原審と違って原告と被告の書籍の問題部分の対比表別
紙PDFが裁判所サイト上公表されていて、争点となった箇所の
内容がわかります。

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■過去のブログ記事

2008年06月19日記事(原審)
数霊占術書籍事件

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添付別紙PDF
別紙1
別紙2
別紙3
別紙4

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2008年11月29日

粉砕機械設計図事件〜著作権 損害賠償等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

粉砕機械設計図事件

東京地裁平成20.11.20平成18(ワ)23435損害賠償等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官      平田直人
裁判官      柵木澄子


*裁判所サイト公表 11/25

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■事案

粉砕解砕機器の設計図の著作物性が争われた事案

原告:一般化学粉砕機械設計製造販売会社
被告:粉砕機製作販売会社
    原告会社元取締役ら

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、不正競争防止法2条1項14号、
    会社法330条、356条1項、民法709条


1 被告は原告の設計図をフリーライドしたか

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■判決内容

<争点>

1 被告は原告の設計図をフリーライドしたか

原告は被告が機械設計図を持ち出したり、複製するなどした違法行為が
あると主張しましたが、裁判所は認めていません。

裁判所は、

原告の機械設計図面(甲1ないし35の各奇数番号の図面)は,機械の設計図であって,その性質上主として線を用い,これに当業者間で共通に使用されている記号や数値を付加して二次元的に表現するものであるから,同一の機械を設計図に表現するときは,おのずから類似の表現にならざるを得ない。

このような見地からみたとき,上記機械設計図面については,いずれも,これらが創作的に表現されたものであることを認めるに足りないから,著作権法上保護される著作物であるということはできず,他に,原告が上記機械設計図面の内容につき,排他的な権利を有していることの主張,立証はない。

そうすると,被告会社の機械設計図面(甲2ないし36の各偶数番号の図面)が,原告の機械設計図面(甲1ないし35の各奇数番号の図面)を参照して作成された,類似する図面であるとしても,このことのみで,被告Aらの行為を違法であるということはできない。

として、被告が原告の機械設計図を参照、利用して被告会社の機械設
計図を作成したとしてもこのことのみで被告らの行為をただ乗りによ
る違法行為ということはいえないと判断しています。
(31頁以下)

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■コメント

原告会社を退職した元取締役ら被告が立ち上げた競業会社での
競業行為の不法行為性や原告会社在任中の被告らの忠実義務違
反、善管注意義務違反行為性、不法行為性などが争われました。

結論的には、被告の行為に違法性が認められませんでしたが、
原告の主張内容をみると、被告らの行為を「自由競争の範囲を
逸脱した違法な行為」という論拠で括ってしまっていて不正競
争防止法上の営業秘密性の検討だとか、営業誹謗行為性、さら
に著作権法の要件事実に沿った主張がされていないので、その
点が残念な事案でした。


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■参考文献

中山信弘「著作権法」(2007)62頁以下

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■追記(09.4.3)

控訴審(裁判所サイト09.4.3公表)
知財高裁平成21.3.31平成21(ネ)10001損害賠償等請求控訴事件PDF

控訴棄却
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2008年11月14日

リライト式ポイントカード秘密保持契約事件〜損害賠償等請求事件(損害賠償等請求本訴,手数料支払請求反訴事件)判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

リライト式ポイントカード秘密保持契約事件

東京地裁平成20.10.30平成18(ワ)17608損害賠償等請求事件(損害賠償等請求本訴,手数料支払請求反訴事件)PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官      関根澄子
裁判官      古庄研

*裁判所サイト公表 11/13

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■事案

セルフ式ガソリンスタンド向け顧客情報、精算システムの共同開
発に際して締結した秘密保持契約、覚書を巡って債務不履行が
争われた事案

原告(反訴被告):顧客管理カードに関するソフトウェア企画開発会社
被告(反訴原告):ガソリンスタンド業界向け精算機器開発販売会社

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■結論

請求一部認容(本訴・反訴ともに)

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■争点

条文 民法415条、1条2項

1 本件機密保持契約上の義務違反の有無
2 本件覚書2条1項の約定違反の有無
3 本件共同開発における信義則上の義務違反の有無
4 本件覚書3条1項に基づく約定紹介手数料請求権の成否
5 本件覚書3条2項に基づく約定分配金請求権の成否(反訴請求)

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■判決内容

<経緯>

H15.3     原被告間でシステム共同開発を合意
H15.5.1    被告保有の情報に関する機密保持覚書締結
H15.6.23   原告保有の情報に関する機密保持契約書締結
         (本件秘密保持契約書)
H15.7     システム初期バージョン完成
H15.7.14   共同で意匠登録出願
H15.9.1    共同で特許出願 
H15.11.7   共同で商標登録出願
H17.2     新バージョン開発開始
H17.4.1    システムの販売方法、手数料に関する覚書締結(本件覚書)
H17.10    被告が独自開発システムを販売(〜H18.10)
H17.12.28   原告が機密保持契約違反を通知
H18.2.9    被告が未払い分配金の支払いを請求
H18.2.27   本訴提起
H18.5.13   反訴提起

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<争点>

1 本件機密保持契約上の義務違反の有無

(1)第3条違反性

「第3条(類似する商品の開発)
 乙は,本件製品と類似する製品について,別途開発を行う
 場合は,甲に事前に通知する。」

 (甲:原告 乙:被告)

原告保有の技術情報の保持を目的とした本件機密保持契約書の
第3条には、類似商品開発制限規定がありました。

原告は、被告が別途独自にシステム開発して類似商品を販売し
たことが、本条に違反すると主張しました。

この点、裁判所は、同条の意義について

同条項を設けた趣旨は,被告が,原告から開示を受けた原告の技術情報等を利用して原告及び被告が共同開発するシステムと類似する製品の開発を独自に行うことを制限することにあり,「本件製品」は,原告及び被告の本件共同開発に係るペセカシステムを意味するものと解される。

としたうえで、

1.被告が販売した商品には、原告のシステムの機器をその構成に含まない
2.被告商品はネット接続による顧客管理という原告システムの機能を持たない
3.本件磁気データ仕様をそのまま使用していない
4.技術的特徴の非独自性、外観の公知性

という諸点から、被告販売商品は、第3条「本件製品と類似する
製品」に該当しないと判断しました。
(38頁以下)

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(2)第4条1号、3号、6号違反性

「第4条(機密保持)
 1 乙は,事前に甲の書面による同意を得た場合を除き,甲から
 開示された情報,資料および,本契約の締結または履行に関連
 して知りえた技術上,業務上の秘密を第三者に漏洩してはなら
 ない。
 3 乙は,機密情報を所定の目的のみに使用し,また業務上これ
 を知る必要のある乙の従業員以外のものについて機密情報に関
 与させない。
 6 乙は,甲の事前の承諾なしに機密情報に含まれ,またはその
 一部をなす発明,考案,ノウハウ等(以下発明という)を所定
 の目的以外に使用しない。また,甲の著作権,工業所有権を侵
 害しない。」

 (甲:原告 乙:被告)

次に、本件磁気データ仕様が原告の機密にあたるかどうか、
第4条所定の機密保持義務違反の成否が問題となっています。


この点について、裁判所は、

本件機密保持契約が保護の対象とする機密は,原告が保有する技術情報等,すなわち本件共同開発前に原告が保有していた技術情報等に係るものであって,本件共同開発の成果(「本開発の成果」)に係る技術情報等の機密を直接保護の対象とするものではないと解される(仮に本件機密保持契約が本件共同開発の成果に係る技術情報等の機密を保護の対象とするのであれば,本件契約書に,原告及び被告の双方がその機密の保護義務を負うことが明示されてしかるべきであるが,本件契約書にはそのような双方が機密の保護義務を負うことを規定した条項は存在せず,かえって,機密保持に関する本件契約書4条各号は,被告が原告に対して一方的に負う義務として規定している。)。
(46頁以下)

としたうえで、東洋エレクトロニクス社が作成した本件磁気データ
仕様は原被告保有の技術情報から派生した情報(本開発の成果)
であり、かつ原被告のいずれかに帰属するものと決することができ
ない性質のものであるとして、原告の機密該当性を否定。

結論として、被告の本件機密保持契約上の義務違反性を否定して
います。

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2 本件覚書2条1項の約定違反の有無

本件覚書
 「前文
 株式会社デナロ(以下甲という。)と株式会社エム・エス・ピー
 (以下乙という。)は,互いに協力してペセカシステム(以下商
 品という。)を販売するに当たり,その販売方法並びに手数料に
 つき,以下の通り覚書を締結した。
 1条
 商品の内容を,石油の精算システム(以下機械という。),ポイ
 ントカードシステム,ロイコカード,販売促進企画の4個に分類
 し,それぞれの販売方法及び手数料を規定する。
 2条1項
 機械を甲が販売し,ポイントカードシステム,ロイコカード及び
 販売促進企画は乙が販売する。」

 (甲:被告 乙:原告)

被告の販売行為が、システムの販売方法及び手数料に関する覚書
2条1項に違反しないかどうかが争点となりました。

この点について、裁判所は、原被告が現に販売していたペセカ
システムが対象であってこれとは異なる商品は、本件覚書2条1項
の対象外である。そして、被告販売商品は同一ではないとして
約定違反はないと判断しています。
(49頁以下)

   ----------------------------------------

3 本件共同開発における信義則上の義務違反の有無

被告の開発販売行為が共同開発における信義則上の義務違反となら
ないかどうかがさらに争点となっています。
この点について、

1.ペセカシステムと被告商品は、同一または類似の商品とは認められない
2.顧客の苦情を踏まえたうえでの開発
3.本件磁気データ仕様の特定業者以外の第三者への開示が認められない
4.原告も別途開発販売行為をしている

などから、被告の債務不履行は認められませんでした。
(50頁以下)

   ----------------------------------------

4 本件覚書3条1項に基づく約定紹介手数料請求権の成否

「3条
 1 甲が乙の紹介により,乙が管轄するユーザーに機械を
 販売した場合,甲はその販売価格の5%を手数料として
 乙に支払う。」

 (甲:被告 乙:原告)

給油料金精算システム3店舗分販売の紹介手数料の成否もあわせて
争点となっていますが、3店舗分の紹介手数料合計135万円の被告の
支払義務が認められています。
(51頁以下)

   ----------------------------------------

5 本件覚書3条2項に基づく約定分配金請求権の成否(反訴請求)

「3条
 2 乙が販売するロイコカードについては,販売価格と仕
 入れ価格の差額の50%を乙は甲に支払う。」

 (甲:被告 乙:原告)

反訴請求部分については、販売利益の分配金に関し被告の原告に
対する214万円余の分配金請求権の取得を認定しています。
(56頁以下)

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■コメント

カーショップに行くとリライト式のポイントカードを発行してくれ
ていつ来店したか、ポイント数、車種、整備状況などを管理して
くれるのでとても便利です。
こうしたポイントカードシステムとセルフ式ガソリンスタンドでの
給油料金精算システムを連動させたシステムの共同開発案件
で今回紛争が生じました。

いずれの会社も技術、ノウハウがあって共同開発案件とは別個
独自の開発案件をそれぞれ手がけることになりましたが、既存
の共同開発案件とのかねあいは常に微妙な問題を孕むことにな
ります。

   --------------------

■追記(08.11.20)

事例検討されたものとして、

ライセンス第1委員会第2小委員会「戦略に応じた秘密保持条項の留意点」
知財管理』58巻10号(No.694 2008)1339頁以下参照

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2008年11月13日

「写真で見る首里城」事件〜著作権 著作権侵害差止等請求事件判決(下級裁判所判例集)〜

最高裁判所HP 下級裁判所判例集より

「写真で見る首里城」事件

那覇地裁平成20.9.24平成19(ワ)347著作権侵害差止等請求事件PDF

那覇地方裁判所民事第2部
裁判官 田邉実

*裁判所サイト公表 11/12

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■事案

写真集に掲載された写真の職務著作物性と発注納入先である
財団法人の過失が争われた事案


原告:写真家(被告会社元取締役)
被告:フォトライブラリー、マルチメディア制作会社
    (財)海洋博覧会記念公園管理財団

   --------------------

■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法15条1項、19条、21条

1 原告の写真撮影の有無
2 職務著作の当否
3 本件原写真18の創作性
4 本件原写真18の著作権譲渡等の合意の有無
5 過失の有無
6 過失相殺の成否
7 損害論
8 謝罪広告、差止の必要性

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■判決内容

<経緯>

H6.6     被告会社が被告財団に写真集の企画を提案
H9.5.9    写真集(初版)2万部発行    
H9.8     原告が本件原写真18を撮影
H9.10.1   原告が被告会社に就職
H9.12.25  原告が被告会社の取締役に就任
H9.12.31  原告による撮影行為(〜H13.10.19)
H11.3.16  写真集(第2版)2万部発行
H13.9.20  業績不振で原告の役員報酬0に
H14.2.20  原告が取締役を退任
H14.3.29  写真集(第3版)2万部発行
H14.5.2   原告が就職前に持ち込んだ写真800点を返却
H17.6.30  写真集第4版(本件写真集)発行
 
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<争点>

1 原告の写真撮影の有無

本件写真集「写真で見る首里城(第4版)」に掲載されている18点の
写真の撮影時期と撮影者がまず判断されています。

結論として、18点すべてが原告の撮影によるもので、うち本件原写真
18の1点についてだけは、被告会社に就職する前に撮影されたことが
認定されています。
(22頁以下)

   ----------------------------------------

2 職務著作の当否

次に、原告の撮影した写真の職務著作物性(著作権法15条1項)の成否
が争点となっています。


1.「法人等の業務に従事する者」

原告は、被告会社の従業員兼取締役として被告会社と雇用関係にあり
被告会社の業務に従事する者にあたる。
(45頁以下)

   ----------

2.「職務上作成する著作物」

被告会社の指示に基づき写真集を作成、納入する目的で原告は在職中
撮影行為を行っており、各撮影は職務上行われたものである。
(51頁)

   ----------

3.「法人の発意」

被告会社の指示に基づき、その業務の一環として撮影したものであり
被告会社の発意による。
(51頁)

   ----------

4.「法人等が自己の著作の名義の下に公表するもの」

第2版、第3版の巻末の奥付きには、編集制作者として被告会社の商号
が表示されていたことなどから、公表名義性も具備する。
(51頁以下)

   ----------

5.「別段の定め」

原告と被告会社との間に原告が著作者となるという合意が認められない。
(52頁以下)


以上から、原告が就職する前に撮影された写真1点(本件原写真18)以外
の写真はすべて職務著作が成立して、被告会社がこれら写真の著作者と
判断されました。

   ----------------------------------------

3 本件原写真18の創作性

座喜味城跡を地上から撮影した本件原写真18について、創作性が争点
となっていますが、同じアングルから被告会社の従業員によって撮影さ
れた写真との対比からも相違が認められることなどから、創作性が肯定
されています。
(55頁以下)

   ----------------------------------------

4 本件原写真18の著作権譲渡等の合意の有無

本件原写真18の著作権の譲渡の合意や複製の許諾の有無、また第4版
には撮影者として原告の氏名が表示されていなかったことから氏名表示
権不行使の合意の有無が争点となっています。

裁判所は、複製についての原告による黙示の許諾の余地を認めながらも、
原告の氏名の表示をしない出版形式での複製の許諾は無かったと判断。
結論としては、原被告間で譲渡合意、複製許諾、氏名表示権不行使合意
はなかったと判断し、複製権侵害、氏名表示権侵害を肯定しています。
(56頁以下)

   ----------------------------------------

5 過失の有無

被告会社の過失と共に、写真集の制作を発注し、納入先となった被告財
団の過失も認められています。そして、出版に関する複製権侵害行為に
ついて被告らの共同不法行為性が肯定される結果となっています。
(63頁以下)

   ----------------------------------------

6 過失相殺の成否

被告財団は、原告の過失を巡り過失相殺を主張しましたが、認められて
いません。
(64頁)

   ----------------------------------------

7 損害論

本件原写真18の複製権侵害の部分(財産権侵害)として、2.5万円、氏名
表示権侵害の部分(慰謝料)として10万円、弁護士費用2.5万円の合計15
万円が損害額として認定されました。
(65頁以下)

   ----------------------------------------

8 謝罪広告、差止の必要性

本件原写真18が写真集の最終ページに掲載された9点のうちの1点にすぎ
ないこと、写真集制作の経緯などから謝罪広告の必要性を否定しています。
(66頁以下)

また、出版差止についても権利の濫用として認めていません。
(67頁以下)

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■コメント

写真で見る首里城





画像は、(財) 海洋博覧会記念公園管理財団サイトより
首里城公園(しゅりじょう) 琉球王国の栄華を物語る真紅の世界遺産トップページ

問題となったのは首里城公園のショップなどで販売されていたオリジナル
写真集です。

写真集の発注納入先である被告財団についても、写真集掲載の写真につ
いてその著作者等の確認に関して相当の注意義務が課されることを裁判
所は認めています(63頁以下)。

財団としては、写真集の編集制作業務を制作業者に発注しており、写真
の権利処理についてはその制作会社に任せていたわけですが、業者を
信頼しているだけでは発注者は責任を回避できないのは、最近の事例で
いえば八坂神社祇園祭ポスター事件(東京地裁平成20.3.13平成19(ワ)
1126損害賠償請求事件)などと同じです。

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■過去のブログ記事

2008年3月16日記事
八坂神社祇園祭ポスター事件

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2008年11月12日

サーティワンアイスクリーム(We make people happy.)事件〜不正競争防止法 不正競争行為差止請求事件判決(知的財産裁判例集)〜


最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

サーティワンアイスクリーム(We make people happy.)事件

東京地裁平成20.11.6平成20(ワ)13918不正競争行為差止請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官      平田直人
裁判官      柵木澄子


*裁判所サイト公表 11/10

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■事案

サーティワンアイスクリームが長年にわたって使用してきた標語
「We make people happy.」文言の商品等表示性が争われた事案

原告:B-Rサーティワンアイスクリーム
被告:コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン

原告文言:We make people happy.
被告文言:Make People Happy.

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 不正競争防止法2条1項1号

1 原告文言の商品等表示性

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■判決内容

<争点>

1 原告文言の商品等表示性

裁判所は、原告が使用していた標語「We make people happy.」文言
の商品等表示性について、平易かつありふれた短文の標語そのものは、
本来的には自他識別力を持たないとしつつも、

長期間にわたる使用や広告,宣伝等によって当該文言が特定人の営業を表示するものとして,需要者の間に広く認識され,自他識別機能ないし出所表示機能を獲得するに至っている
(22頁以下)

場合には、商品等表示としての営業表示に該当する余地がある。

そのうえで、原告文言について、

1.ポスターなどでの表示が登録商標と比較してさほど目立たない
2.顧客に対するメッセージや社是のようなものとして認識される
3.長期間にわたる使用が認められないものもある

このような点から、一般消費者にとって原告文言を原告の業務に係る
営業の表示として受け取るとは通常考え難いと判断。

結論として、原告文言の商品等表示性(不正競争防止法2条1項1号)を
否定しています。

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■コメント

原告文言画像
原告文言

被告文言画像
被告文言(別紙目録より)


こうした平易なキャッチコピーの独占的な使用を認めて良いかという
価値判断があったと思います。
誤認混同惹起性なども含めて考えると、原告には厳しい提訴だった
かもしれません。

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■参考記事

名古屋の商標亭
2008年11月11日記事
サーティワンのモットー
2008年11月12日記事
スマイルいくら?

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2008年11月09日

融雪板営業秘密事件〜不正競争防止法 不正競争行為差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜


最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

融雪板営業秘密事件

大阪地裁平成20.11.4平成19(ワ)11138不正競争行為差止等請求事件PDF

大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 田中俊次
裁判官      西理香
裁判官      北岡裕章

*裁判所サイト公表 11/5

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■事案

発熱セメント体についての営業秘密の不正開示を受けたうえで
融雪瓦や融雪歩道板を製造販売したとしてその不正競争行為性
が争われた事案

原告:図柄・模様等の転写を業とする会社
被告:屋根工事請負会社ら

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 不正競争防止法2条1項8号、2条6項

1 本件各情報の営業秘密該当性

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■判決内容

   【営業秘密目録】

1 発熱部とその周りに表面層を有し,発熱部と表面層はともに
  セメントをベースとし,発熱部は導電性を高くするよう炭素を
  所定割合均一に混合している融雪板の構造。
2 粒状又は粉状の炭素(黒鉛)を使用すること。
3 セメントベースに対する炭素の重量割合。
4 発熱部の周囲を絶縁体で覆うこと。
5 融雪板が4個の端子を有するのがよいこと。
6 融雪板の適切な具体的な寸法が,一辺が約30僂よいこと。
7 融雪板の適切な表面デザイン。

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<争点>

1 本件各情報の営業秘密該当性

原告は、営業秘密目録にある7件の各情報が個別に営業秘密
(不正競争防止法2条6項)に該当するととともに、これらの各情報
が組み合わされた全体としても営業秘密性があると主張しました。

(1)各情報の営業秘密性

しかし、裁判所は、これら各情報について、公開特許公報(特開
2000−110106)によりすでに公知であったことや有用な技術
情報ではない(あるいは有用性が不明)こと、秘密管理性が不明
であることなどから、1〜7の各情報の営業秘密性が否定されてい
ます。
(12頁以下)

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(2)各情報全体の営業秘密性

各情報全体としてみても、各情報が公知または有用性を欠く情報
を単に寄せ集めただけのものであり、これらの情報が組み合わさ
れたことによって予想外の特別に優れた作用効果を奏するとも認
められない、として本件各情報全体としてみた場合の営業秘密性
も否定されています。
(20頁以下)

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■コメント

原告に電気技師として雇用されていた元京大教授P2が被告と接点
をもったことに起因する営業秘密不正開示事案ですが、キーパー
ソンとなるP2は被告にされず、また原被告間で締結されていない
秘密保持契約書案を理由に損害額を算定している点も原告側主張
の弱さを印象付けるものでした。

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2008年11月01日

プラスチックシート形成刃営業誹謗事件(控訴審)〜不正競争防止法 不正競争行為差止請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

プラスチックシート形成刃営業誹謗事件(控訴審)

知財高裁平成20.10.30平成20(ネ)10016不正競争行為差止請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官      中平健
裁判官      上田洋幸

*裁判所サイト公表 10/31

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■事案

被告による原告の取引先に対する特許権侵害警告書通知行為の
営業誹謗行為性(不正競争防止法2条1項14号)が争われた事案
の控訴審

原告(控訴人) :プラスチックシート折曲部用形成刃製造販売会社
被告(被控訴人):プラスチックシート製造販売会社代表取締役(特許権者)

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 不正競争防止法2条1項14号

1 原告と被告は競争関係にあるか
2 告知事実の内容
3 告知事実の虚偽性

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■判決内容

<争点>

1 原告と被告は競争関係にあるか
2 告知事実の内容
3 告知事実の虚偽性

争点の判断について、原判決の事実および理由を引用しています。

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■コメント

事案の概要
 控訴人(原審原告。以下,単に「原告」という。)は,被控訴人(原審被告。以下,単に「被告」という。)が,競争関係にある原告の取引先等に対して,原判決別紙物件目録1記載のプラスチックシート(以下「本件シート」という。)及び同目録2記載のプラスチックシート折曲部用形成刃(以下「本件形成刃」という。)を製造販売し又は使用する原告の行為が被告の有する特許権を侵害するとの内容を記載した文書を送付した行為が,不正競争防止法2条1項14号所定の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知する行為に当たると主張して,同法3条1項に基づき,同告知行為の差止めを求めた。
原判決は,本件シート及び本件形成刃は被告の特許発明の技術的範囲に属し,被告の特許には無効理由はなく,被告が告知した事実は,虚偽であるとは認められないから,被告の行為は,不正競争防止法2条1項14号に規定する不正競争行為に該当しないとして,原告の請求を棄却した。原告は,原判決を不服として,本件控訴を提起した。


という、営業誹謗不正競争事件の控訴審ですが、控訴審でも
原判決の判断部分がそっくり引用されていて原判決維持の判
断となっています。
(5頁以下)

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■過去のブログ記事

2008年1月11日記事
「プラスチックシート形成刃営業誹謗」事件


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2008年10月31日

外国人児童向け漢字教材事件〜著作権 損害賠償等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

外国人児童向け漢字教材事件

東京地裁平成20.10.23平成19(ワ)25428損害賠償等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官      平田直人
裁判官      瀬田浩久


*裁判所サイト公表 10/31

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■事案

東京外国語大学公式サイトに掲載された外国人児童向け漢字教材に関して
著作権侵害および著作者人格権侵害性が争われた事案

原告:帰国・外国人教育相談室教材開発グループ所属者ら4名
被告:東京外国語大学
    東京外大多言語・多文化教育研究センター元勤務者E


別紙1PDF
別紙2PDF
別紙3PDF

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、27条

1 著作権侵害及び著作者人格権侵害の有無

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■判決内容

<経緯>

H13.3.23 教材80を原告らと被告Eが共同で創作したうえ発行
H14.9.25 教材160を原告らと被告Eが共同で創作したうえ発行
H18.3.20 教材200を原告らと被告Eが共同で創作したうえ発行
H19.1   被告らが被告教材試作品を東京外大公式サイトに掲載
H19.4.1  被告らが被告教材を東京外大公式サイトに掲載

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<争点>

1 著作権侵害及び著作者人格権侵害の有無

原告教材に対する改変行為の翻案権侵害性の判断について、

著作物の翻案(著作権法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。
そして,著作権法は,思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから(著作権法2条1項1号),既存の著作物に依拠して創作された著作物が,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分について,既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,既存の著作物の翻案に当たらないと解するのが相当である(最高裁判所平成13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)

として、江差追分事件最高裁判決を前提に原告教材と被告教材の
類似点について検討。

原告が主張する原告教材と被告教材・被告教材試作品との間の類
似点が、いずれも

(1)表現それ自体ではなく、アイデアにおいて共通するにすぎない
(2)表現部分についても、文章の表現自体が短文で平凡かつ
   ありふれたものであって記述者の個性が現れていない
(3)アイデアの表現方法が限定されている部分の表現についても、
   記述者の個性が現れていない

ということから、被告の教材作成行為はそもそも著作物の翻案に
あたらず著作権侵害及び著作者人格権侵害の成立が否定されて
います。
(10頁以下)

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■コメント

問題となった双方の教材の目次やコンテンツを眺めると、
「似ている項目立て、内容だなあ」
というのが最初の印象です(別紙1〜3参照)。

目次(左:原告教材 右:被告教材)
11-1








内容(アイデアの類似にすぎない 左:原告教材 右:被告教材)
22-1







内容(短文で個性がない 左:原告教材 右:被告教材)
33-1








教育教材の開発では、どうしても競合他社の内容に類似して
しまう(他社製品の印象に引っ張られる)のでまったくの新規
案件として一から創作するよりかえって手間がかかる場合も
多いかと思います。

共同創作者のひとりが、問題となった教材の開発案件に携わ
っているわけですから、似通った教材になってしまうのも分から
ないではありません。

どれだけ似させないかが、教材開発者の腕の見せ所になります。

この教材もアイデアの盗用に終わっているといえばそうなので
すが、著作権法上の保護は受けないとしても、共同で創作した
著作物の成果をそのうちの一人が独り占めするような事態が仮
に認定できるのであれば(共同創作者に経済的損害が生じている)、
一般不法行為(民法709条)などの余地も考えていっていいのか
もしれません(著作権侵害性を否定しつつ一般不法行為を肯定
した後掲「通勤大学事件」知財高裁判決参照)。

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■過去のブログ記事

2006年3月29日記事(通勤大学事件)
法律書籍事件控訴審

2008年2月14日記事
営業ノウハウ書籍事件

2008年2月20日記事
パズル書籍事件

2008年6月19日記事
数霊占術書籍事件

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■参考文献

山根崇邦「著作権侵害が認められない場合における一般不法行為の成否-通勤大学法律コース事件-」
知的財産法政策学研究』18号(2007)221頁以下

山本隆司、井奈波朋子「創作性のない表現をデッドコピーした場合における不法行為の可否」
小松陽一郎先生還暦記念論文集 最新判例知財法』(2008)658頁以下

三浦正広「著作権侵害と不法行為法理の機能-著作権の保護と競争秩序の維持」
現代社会と著作権法 斉藤博先生御退職記念論集』(2008)361頁以下


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