最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

フィジー国家防災政策策定業務委託契約事件(控訴審)

知財高裁令和5.9.5令和5(ネ)10020著作権侵害差止等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 宮坂昌利
裁判官    本吉弘行
裁判官    岩井直幸

*裁判所サイト公表 2023.9.8
*キーワード:業務委託契約、不当利得

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■事案

政府開発援助専門家派遣業務委託契約での成果物の範囲が争点となった事案の控訴審

控訴人(1審原告) :防災専門家
被控訴人(1審被告):独立行政法人

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■結論

控訴棄却

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■争点

1 不当利得の有無
2 本件ポリシーに係る著作権の帰属等

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■事案の概要

原審判決1頁以下より

『本件は、原告が、被告との間で専門家業務委託契約(以下「本件委託契約」という。)を締結し、同契約に基づき、防災の専門家としてフィジー共和国(以下「フィジー」という。)に派遣された際に、同契約に基づく業務外で別紙著作物目録記載の文書(以下「本件ポリシー」という。ただし、確定稿以前の案を含めて総称することがある。)を作成し、その著作者として著作権を有するところ、被告が原告に無断で本件ポリシーの複製、譲渡、貸与等を行い、本件ポリシーに係る原告の著作権を侵害するおそれがある旨を主張して、著作権に基づき、本件ポリシーの複製、譲渡、貸与等の差止め(著作権法(以下「法」という。112条1項)及びその複製物の廃棄(同条2項)を求めると共に、本件ポリシーの作成に要する費用は3億円余に上るのに対し、本件委託契約により支払われた報酬は月額70万円余であり、原告がその差額相当額の損失を被り、被告が法律上の原因なく上記差額相当額の利益を得た旨を主張して、被告に対し、不当利得返還請求(一部請求)として、3000万円及びこれに対する令和3年9月15日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』

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■判決内容

<争点>

1 不当利得の有無

原審同様、結論として、控訴人の不当利得返還請求は認められていません(4頁以下)。

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2 本件ポリシーに係る著作権の帰属等

控訴審でも、原審同様、控訴人の本件ポリシー案の著作権に関連する主張は認められていません(5頁以下)。

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■コメント

原審の判断が控訴審でも維持されています。

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■過去のブログ記事

東京地裁令和5.1.12令和3(ワ)12669著作権侵害差止等請求事件
原審記事