最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

加圧ベルト健康器具画像事件

東京地裁令和4.11.4令和4(ワ)5840損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官    佐伯良子
裁判官    仲田憲史

*裁判所サイト公表 2022.12.12
*キーワード:写真、商品写真、著作物性、誤認混同惹起行為、虚偽事実告知

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■事案

健康器具である加圧ベルトの画像の著作物性などが争点となった事案

原告:健康器具製造販売会社、代表者
被告:建設会社、代表者

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、114条3項、会社法429条、不正競争防止法2条1項1号、21号

1 原告会社が本件画像の著作権を有するか
2 被告会社の著作権侵害により原告会社が受けた損害及び額
3 被告bに被告会社の原告会社に対する著作権侵害に関し、その職務を行うについて重大な過失があったか
4 被告会社が本件画像を利用して法律上の原因なく利得し原告会社がこれにより損失を受けたか等
5 原告会社の商号が需要者の間に広く認識されているか
6 被告会社が競争関係にある原告会社の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知又は流布したか
7 被告会社が、著作権侵害により原告aの権利を侵害したか、また、原告aが被った損害及び額

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■事案の概要

『(1) 原告会社の被告らに対する請求
 原告会社は、選択的に、
(1)a被告会社が、原告会社が著作権を有する著作物の複製物を電子商取引サイトに表示して原告会社の著作権(複製権、公衆送信権)を侵害し、原告会社はこれによって損害を受け、b被告bは、被告会社の代表取締役であり、被告会社の上記行為に関してその職務を行うについて重大な過失があったと主張して、被告会社に対しては不法行為による損害賠償請求権に基づき、被告bに対しては会社法429条に基づき、連帯して、110万円の支払を求め、
(2)a被告会社は、原告会社が著作権を有する前記の著作物の複製物を電子商取引サイトに表示して法律上の原因なく利得し、原告会社はこれにより損失を受け、b被告bは、被告会社の代表取締役であり、被告会社の上記行為に関してその職務を行うについて重大な過失があったと主張して、被告会社に対しては不当利得返還請求権に基づき、被告bに対しては会社法429条に基づき、前記同様の支払を求め、
(3)a被告会社が、原告会社の周知な商品等表示である原告会社の商号と同一の表示を商品等表示として使用して、原告の商品又は営業と混同を生じさせる行為をし、原告はこれによって営業上の利益を侵害されて損害を受け、b被告bは、被告会社の代表取締役であり、被告会社の上記行為に関してその職務を行うについて重大な過失があったと主張して、被告会社に対しては不正競争による損害賠償請求権に基づき、被告bに対しては会社法429条に基づき、前記同様の支払を求め、又は、
(4)a被告会社が原告会社の前記の著作物を複製利用し原告会社の商品を転売して原告会社の信用を毀損したことは不正競争(不正競争防止法2条1項21号)に該当し、原告はこれによって営業上の利益を侵害されて損害を受け、b被告bは、被告会社の代表取締役であり、被告会社の上記行為に関してその職務を行うについて重大な過失があったと主張して、被告会社に対しては不正競争による損害賠償請求権に基づき、被告bに対しては会社法429条に基づき、前記同様の支払を求める。』

『(2) 原告aの被告らに対する請求
 原告aは、(1)被告会社が、原告会社の著作権を侵害したり、原告会社に対する不正競争を行ったりしたことにより、原告会社の代表取締役である原告aは、警察署や法律相談所に相談に行く等の対応を余儀なくされ損害を受け、(2)被告bは、被告会社の代表取締役であり、被告会社の上記行為に関してその職務を行うについて重大な過失があったと主張して、被告会社に対しては不法行為による損害賠償請求権に基づき、被告bに対しては会社法429条に基づき、連帯して、30万円の支払を求める。』
(2頁以下)

<経緯>

H26 原告会社がSoSoft社と加圧ベルト販売委託契約締結
R01 被告会社が被告オンラインストアで原告商品を販売
   原告会社が被告会社に本件画像利用中止通知

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■判決内容

<争点>

1 原告会社が本件画像の著作権を有するか

本件画像は単にベルトを撮影したものにすぎず、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)とはいえないと被告は反論しました。
この点について、裁判所は、本件画像の著作物性を肯定。
その上で、原告会社にその著作権が帰属していることを認定しています(9頁)。

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2 被告会社の著作権侵害により原告会社が受けた損害及び額

被告による本件画像の著作権(複製権、公衆送信権)侵害に関する損害論について、裁判所は、使用料相当額損害として5万円を認定しています(114条3項 10頁以下)。

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3 被告bに被告会社の原告会社に対する著作権侵害に関し、その職務を行うについて重大な過失があったか

被告会社は、原告会社が著作権を有する本件画像を被告オンラインストアに表示して原告会社の著作権を侵害したところ、被告bは被告オンラインストアの責任者であり、被告b以外の者が被告オンラインストアにかかわっていたこと自体を認めるに足りないなどとして、被告会社の代表取締役である被告bには被告会社の原告会社に対する著作権侵害に関して、その職務を行うについて重大な過失があったと認められると裁判所は判断しています(11頁)。

結論として、被告会社とともに会社法429条に基づき被告bに対しても支払い請求が認められています。

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4 被告会社が本件画像を利用して法律上の原因なく利得し原告会社がこれにより損失を受けたか

被告会社による本件画像の利用により原告会社が受けた損失の額は、これによる本件画像の著作権侵害に係る損害の額を超えないとして、不当利得返還請求の主張は認められていません(11頁以下)。

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5 原告会社の商号が需要者の間に広く認識されているか

結論として、裁判所は、原告会社の商号が、需要者の間に広く認識されているとは認めるに足りないと判断しています(不正競争防止法2条1項1号 12頁以下)。
結論として、誤認混同惹起行為該当性は否定されています。

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6 被告会社が競争関係にある原告会社の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知又は流布したか

結論として、裁判所は、不正競争防止法2条1項21号所定の被告会社が競争関係にある原告会社の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知又は流布したものとは認められないと判断。原告の主張を認めていません(12頁以下)。

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7 被告会社が、著作権侵害により原告aの権利を侵害したか、また、原告aが被った損害及び額

被告会社が、原告会社の本件画像の著作権を侵害したことに関して、原告会社の権利侵害とは別に、原告法人の代表者である原告aの権利を侵害したとは認めるに足りないと裁判所は判断しています(13頁)。

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■コメント

健康器具の加圧ベルトの商品画像がどのようなものであったのか、別紙添付がないのでわかりませんでした。