最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

書店業務管理システムソフトウェア事件(控訴審)

知財高裁令和4.3.23令和3(ネ)10083著作権侵害差止等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 本多知成
裁判官    中島朋宏
裁判官    勝又来未子

*裁判所サイト公表 2022.3.24
*キーワード:ソフトウェア、表示画面、図形の著作物、複製、翻案、編集著作物性、ユーザーインターフェース、商品等表示

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■事案

書店業務管理システムのソフトの表示画面の類否などが争点となった事案の控訴審

控訴人(1審原告) :ソフトウェア開発販売会社
被控訴人(1審被告):ソフトウェア開発販売会社

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法10条1項6号、12条、21条、27条、不正競争防止法2条1項1号

1 被控訴人表示画面の複製又は翻案該当性
2 被控訴人表示画面2が編集著作物としての控訴人製品に係る著作権を侵害するか
3 不正競争防止法違反の有無
4 社会的に許容された限度を超えた控訴人製品・サービスの複製行為及び顧客奪取行為に係る不法行為の成否(当審における控訴人の追加主張)

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■事案の概要

『(1)控訴人は,「Book Answer 3」という名称の書店業務管理のためのソフトウェア(控訴人製品)を製造,販売している株式会社である。
 被控訴人は,控訴人においてかつて取締役を務めたこともあった被控訴人代表者(A)が平成25年に控訴人を退職した後に設立した株式会社であり,「Perfection」という名称の書店業務管理のためのソフトウェアを製造,販売している。
 この点,被控訴人は,遅くとも平成30年1月以降,Perfectionとして,原判決別紙物件目録記載2のソフトウェア(被控訴人製品2)を製造,販売している。さらに,控訴人は,被控訴人がこれに先立ち平成27年9月1日から被控訴人製品2の改訂前の別のソフトウェア(同目録記載1のソフトウェア(被控訴人製品1)は,上記別のソフトウェアをいう趣旨である。)を製造,販売したと主張するが,被控訴人は,Perfectionに複数のバージョンはなく被控訴人製品2しか存在しないとして,これを争っている。』

『(2)本件は,控訴人が,(1)被控訴人製品の表示画面(被控訴人表示画面)は,控訴人製品の表示画面(控訴人表示画面)を複製又は翻案したもので,被控訴人製品の製造,販売は,控訴人の著作権(複製権又は翻案権,譲渡権,貸与権,公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害するものであるとともに,(2)被控訴人製品は,控訴人製品の周知な商品等表示である控訴人表示画面と類似の被控訴人表示画面を使用して,控訴人製品との混同を惹起するものであり,被控訴人製品の製造,販売は,不正競争防止法(以下「不競法」ということがある。)2条1項1号の不正競争行為に該当すると主張して,被控訴人に対し,原審で次の各請求をした事案である。(以下略)』

『(3)原審は,控訴人の請求をいずれも棄却したことから,控訴人が控訴を提起した。 控訴人は,当審において,前記(2)イの損害賠償について,被控訴人による社会的に許容された限度を超えた控訴人製品・サービスの複製行為及び顧客奪取行為に係る不法行為(民法709条)の主張を追加した。』
(2頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 被控訴人表示画面の複製又は翻案該当性
2 被控訴人表示画面2が編集著作物としての控訴人製品に係る著作権を侵害するか
3 不正競争防止法違反の有無

控訴審でも原審の判断が維持されています。
なお、被控訴人表示画面の複製又は翻案該当性に関する控訴人の補充主張(41頁以下)及び不正競争防止法違反の有無に関する補充主張(42頁以下)について、控訴審は、控訴人のいずれの補充主張も容れていません。

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4 社会的に許容された限度を超えた控訴人製品・サービスの複製行為及び顧客奪取行為に係る不法行為の成否(当審における控訴人の追加主張)

控訴審で控訴人が追加主張した不法行為は認められていません(43頁以下)。

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■コメント

原審の判断が控訴審でも維持されています。

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■過去のブログ記事

東京地裁令和3.9.17平成30(ワ)28215著作権侵害差止等請求事件
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