最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

同人誌収益分配事件

東京地裁令和4.2.17令和1(ワ)15345共同著作権に基づく利得配分等請求事件PDF
別紙1
別紙2

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官    佐伯良子
裁判官    仲田憲史

*裁判所サイト公表 2022.3.8
*キーワード:同人誌、分配金、不当利得、業務委託契約、準委任契約

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■事案

同人誌発行に関連する業務について収益分配の合意の有無などが争点となった事案

原告:個人
被告:漫画家

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 民法703条、656条

1 本件同人誌販売に係る分配金
2 未刊の同人誌販売に係る分配金
3 業務委託料等

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■事案の概要

『本件は、原告が被告に対し、(1)原告が被告と共同で製作した別紙作品目録(既刊)の同人誌の売上げについて、被告が原告に分配金を支払わないとして、不当利得又は共同著作権に対する侵害行為としての不法行為に基づく損害賠償として、85万2670円、(2)別紙作品目録(未刊)の同人誌について、共同製作の合意が成立していたにもかかわらず、被告の一方的な都合で販売に至らなかったことによる債務不履行に基づく損害賠償として、97万2000円、(3)原告が、同人誌製作のための執筆、編集等の作業を行ったこと、書店委託手続きを行ったこと、通信販売サイトの開設、運営作業を行ったこと、同人誌即売会で手伝いをしたこと、被告の個人的な依頼に基づきパソコンの初期設定等やインターネットオークションへ代理入札をしたことなどに係る、契約に基づく作業対価又は不当利得として、1060万9448円の合計1243万4118円及び令和元年6月21日(訴状送達の日の翌日)から、平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金又は利息を請求する事案である。』(2頁以下)

<経緯>

H22.12 原被告で同人誌製作、販売

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■判決内容

<争点>

1 本件同人誌販売に係る分配金

原告と被告との間で本件同人誌の売上金、収益の分配について明示の合意はありませんでした。
裁判所は、原告について、
1)寄稿の分量も少なくない
2)本件同人誌のデザイン等を担当
3)即売会等での販売に貢献
また、被告について、
4)商業作家として収益が上がる可能性を認識できた
5)収益を原告に分配したことがあった

といった事情を勘案して、原告が被告に売上金を請求しない旨の合意は成立しておらず、当事者間の公平の見地から原告と被告の貢献度に応じて収益を分配することが公平であると判断。個別の同人誌について、何らかの合意があったかどうかを検討した上で、不当利得返還請求の内容を判断。
裁判所は、各事情を総合考慮し原告の貢献度を踏まえて、被告の利得(原告の損失)となる分配金を10万9046円と認定しています(9頁以下)。

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2 未刊の同人誌販売に係る分配金

原被告間で「U」の続刊について、被告が漫画を描き下ろして共に同人誌を販売するという契約が締結されたとは認められないなどとして、同人誌製作契約の締結は認定されず、未刊の同人誌販売に係る分配金に関する原告の主張は認められていません(20頁以下)。

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3 業務委託料等

本件同人誌の製作、販売や歴史講演会関連、パソコン設定管理、ヤフオク代理入札等に関する業務について、原告は業務委託料の支払を求めましたが、裁判所は業務委託契約の成立を認めず、結論として原告の主張を認めていません(23頁以下)。

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■コメント

共同して同人誌を制作、販売し、さらに各種業務を担った際の契約関係が争点になった事案です。